化学工学論文集
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26 巻, 2 号
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  • 青木 秀之, 鈴木 朗, 久枝 穣, 諏訪 義和, 中川 辰二, 屋我 満, 庄子 正和, 三浦 隆利
    2000 年 26 巻 2 号 p. 127-141
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    最近のガス燃料燃焼速度に関する全素反応および簡略計算方法について述べ, 噴霧および微粉炭等の燃焼のような二相流で適用されるLagrange法とEuler法による燃焼計算方法を比較した. また, 壁境界条件に関して壁関数モデルから低レイノルズ数モデルへの展開されている状況を示した. さらに微粉炭の燃焼では最近の高分子構造を考慮した高分子モデル (Flash Chainモデル) に関しても示した. 燃焼計算で重要な乱流モデルに関してはk-∈2方程式モデルが普及しているが, 燃焼反応および非等方性乱流を考慮する必要からLESモデルの採用が不可欠であり, LESモデルの必要性を示し, さらにサブモデルとして利用されるふく射伝熱, すす生成, NOx生成, 未燃焼粒子の分裂などに関して取り扱い方法を示すなど, 燃焼計算に必要な総合的モデルと各々の計算手法を示した.
  • 加知 岳志, 山本 剛, 古畑 朋彦, 新井 紀男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 142-150
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    エネルギーは現代社会の基礎を成すものであり, エネルギー資源無くして現在の生活は成り立たない. 最も一般的に使用されているエネルギー資源である化石燃料は有限であり, これを如何に高効率に利用するかが重要な課題である. 化石燃料から動力へのエネルギー変換を行う有効な技術として, ガスタービンシステムが挙げられる. ガスタービンは圧縮機, 燃焼器, タービンから構成され, 作動流体である燃焼ガスが構成器内を高速で流れる速度型機関である. 蒸気タービンと組み合わせたコンバインドサイクルや, 電力だけでなく熱の供給も併せて行うコージェネレーションなどのシステムにより, 非常に高いエネルギー変換効率を得ることができる. また, ガスタービン単体の効率も, 一方向凝固技術や空気膜冷却技術の発展によって年々向上している. 筆者らが提案する新しいコンセプトに基づいた発電システムと最先端の実証機を紹介し, ガスタービンの今後を展望する.
  • 大塚 昭彦, 桝本 弘毅, 鎗居 俊雄, 新井 紀男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メタンガスを燃料に用いるガスタービン部材として, CVD-SiCコーティングしたC/C材料を想定し, SiCの酸化に対する雰囲気の影響を調べた. 本研究では, 水蒸気を含む高温酸化雰囲気での試験 (最高温度1,700℃) を行うため, キセノンランプによる加熱方式を利用し試験設備内部の高温水蒸気による腐食の防止を図った上で, ランプ加熱固有の部分的加熱を利用して試験片を保持するSiC製ジグとの接触による試験片との高温反応の影響を防いで試験を行った. 本報告では, 高温酸化によりSiC皮膜表面に生成するアモルファスSiO2は, 雰囲気中に水蒸気が存在することで結晶化が促進され, 冷却時の体積変化に伴うSiO2皮膜の剥離が起ること, および, 1,700℃の高温では水蒸気の存在はSiCの酸化膜の成長を促進することを実験的に示した.
  • 森 哲哉, 宮内 寛太, 前野 幸彦, 青木 秀之, 三浦 隆利
    2000 年 26 巻 2 号 p. 157-164
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    CDQプレチャンバーおよび高炉内における, 中温乾留コークスの部分燃焼の現象把握を目的とした2次元解析モデルを構築し, 球形の単一コークス塊の層流内での燃焼挙動について, 実験および解析を行った. 本解析では中温乾留コークス塊を石炭・コークス粒子の充填層であると仮定し, 各石炭・コークス粒子の燃焼をチャー燃焼の式を用いて計算した. また, 揮発分放出, タールの2次分解および析出を含めた, 熱分解反応についても考慮した. コークス塊内部およびコークス塊周りの気相場は, それぞれ, Darcyの式, およびNavier-Stokes式を用いて解析した.
    中温乾留コークスの燃焼における, 不均一反応および均一反応の中温乾留コークスの品質に与える影響を, コントロールボリューム法を用いて解析したところ, 燃焼反応は酸素の境膜拡散支配で進行し, 均質化反応によってコークスの消費が抑制されることが分かった.
  • 山下 慶次郎, 村田 圭治, 中田 裕二, 吉田 延弘, 吉川 邦夫
    2000 年 26 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    溶融炭酸塩膜を用いた新規な高温ガス精製方式を考案し, その原理検証を行った. これは, 溶融炭酸塩膜の片面に硫化物を含むガス化ガスを, 裏面にCO2とH2Oを含むキャリアガスをそれぞれ流通させて, ガス化ガス中の硫化物を硫化物イオンとして膜を通し, キャリアガス中に移動し搬出するもので, 従来のものよりコンパクトなガス精製システムが期待できる. 実験の結果, 濃度0.7%の供給硫化物が50%以上脱硫されること, キャリアガス側のCO2とH2O分圧をガス化ガス側よりも高くすることにより硫化物を少なくとも2倍以上濃縮して除去可能であること, 膜表面の気相硫化物と溶融炭酸塩中硫化物イオンの交換反応は十分速いこと等を実証した. また概算した膜中の見かけの硫化物イオン拡散係数は凡そ3×10-11 [mm2/s] であった.
  • 古川 貴浩, KUO CHUAN-HSIEN, YANG WEN-JEI
    2000 年 26 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    燃焼による高温エネルギー変換において, 燃焼器や燃焼室内の燃焼現象と熱移動を把握するのに, 正確な壁面温度の測定は重要な課題である. そこで本研究において, インバース解析法を用いた燃焼壁表面温度のreal-time測定法が研究された. この方法では, 外気の影響を受けない壁内温度を測定し, その値を境界条件の一つとして用いたインバース解析法により逆換算することによって, 実際の外壁面温度が計算された. 実験は車載用エアバックインフレーターを用いて, 密閉タンク内において着火することにより行われ, その時のタンク壁表面温度を計算した.
    燃焼壁表面温度の測定において, インバース解析法を適用することにより, 周囲の高温ガスや時間応答の遅れなどの影響なく, 表面温度の時間的変化を得ることができた. また, その結果から, タンク壁面への放熱量や平均熱伝達率を概算したところ, 実際の実験現象と一致した結果が得られた. 従って, インバース解析法によって, 燃焼ガスの影響を受けることなく, 壁面温度を測定することが可能であると言える.
  • 円山 重直, 郭 志雄
    2000 年 26 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    二酸化炭素再循環型燃焼炉の伝熱解析を目的として, 水蒸気・カーボン粒子群および高濃度二酸化炭素を含むボイラー内のふく射伝熱解析を行った. 解析には, 任意形状・任意温度分布で非等方散乱粒子を含むふく射性媒体の伝熱解析が可能なふく射要素法を用いて非灰色解析を行った. 二酸化炭素濃度が上昇すると, 空気を用いた燃焼炉に比べてボイラー壁面への熱流束は増大する. しかし50%以上の二酸化炭素濃度では, ガスの温室効果のためにふく射熱流束が若干減少する. ガスの温室効果によって二酸化炭素濃度の増加と共に単位体積当たりの発熱量が減少する. これは, 実在の燃焼炉では火炎温度が上昇することを示唆している. 二酸化炭素濃度がふく射伝熱に及ぼす影響は, 火炎に煤粒子を含まない方が顕著に表れる.
  • 谷口 博, 大森 敏明, 岩田 美佐男, 新井 紀男, 平賀 健治, 山口 俊一
    2000 年 26 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    工業炉・ボイラ・ガスタービン燃焼室などの高温場における伝熱は, 放射が主体であるが, 対流効果も同時に考慮した解析が必要であることも多い. 対流による熱移動の表現は微分方程式によっているのに対し, 放射による熱移動は積分方程式により表現されているので, 双方を考慮したシミュレーションは必ずしも容易ではない. 本研究では, 高温場における放射伝熱に対してソーン法およびモンテカルロ法を適用し, 三次元を対象とし放射吸収・反射を考慮する取扱い, 対流伝熱による熱移動との複合への対応を検討した. まず, 解析対象として複雑な形状で高温場の例として工業加熱炉を選び, 温度分布を求めた. また, 同様の手法で解析する必要のある, 低温ではあるが放射効果を無視できない室内温熱環境への検討も行った. さらに, この研究にて使用したコンピュータ・ソフトの構築についても検討した.
  • 屋我 満, 江川 真, 青木 秀之, 三浦 隆利
    2000 年 26 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    計算時間短縮の目的で詳細反応機構から導出した3反応簡略化モデルを用いて, メタン-空気燃料過濃乱流拡散火炎の数値解析を行い, あわせて同条件での測定実験も行い, 得られた実験値と解析値との比較から, 導出された3反応簡略化モデルの妥当性を検討した. 温度及び安定化学種濃度とも乱れの大きい火炎面近傍については, 等方性乱流及び等温場を仮定しているκ-∈2方程式モデルを用いていることによる解析結果と実験結果との差異が見られたが, それ以外では良好な一致が見られた. 乱流燃焼解析に一般に用いられている総括反応機構では表すことが不可能である, 燃料過濃条件において活発に生成される一酸化炭素の分布についても3反応簡略化モデルを用いた数値解析結果と実験結果との良好な一致が見られた. 反応機構に3反応簡略化モデルを用いた乱流燃焼解析は局所的な燃料過濃雰囲気も解析可能であることが示され, より普遍的な乱流燃焼解析への道が開かれた.
  • 谷口 正行, 山本 研二, 岡崎 洋文, 小林 啓信, 小豆畑 茂, 津村 俊一
    2000 年 26 巻 2 号 p. 194-201
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    触媒燃焼させた約1,500Kの高温ガス中に微粉炭を噴出して, 開放系で火炎を形成させることにより, 実機と同等の濃度と加熱条件下での乱流場での歴青炭粒子群の着火過程を検討した. 高速度カメラにより, 高温気流により加熱された微粉炭粒子が, まず単粒子として着火し, この着火粒子から火炎が形成され, 伝播する過程を観測できた. 初期段階ではこの火炎は分散しているが, しだいに成長, 合体して連続的な火炎となる. 粒子濃度が高くなると, この着火粒子から連続火炎が形成されるまでの時間遅れが短くなった. 火炎が伝播する領域での微粉炭の熱分解特性に与える粒子濃度の影響を同時に検討した. 濃度が高くなると火炎からの放射が強くなり, この放射加熱の影響により熱分解が加速された.
  • 須田 俊之, 益子 克己, 佐藤 順一, 宮前 茂広, 伊藤 献一, 北野 邦尋, 池田 光二
    2000 年 26 巻 2 号 p. 202-208
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    石炭は, その埋蔵量の大きさから将来のエネルギー源として重要であるが, 単位エネルギーあたりの二酸化炭素排出量が他の化石燃料に比べ多く, そのクリーンで高効率な燃焼技術の開発が求められている. 微粉炭酸素燃焼技術は, 石炭を酸素/循環排気ガスで燃焼させることで排ガスを全て二酸化炭素として回収する方法であり, 窒素酸化物の低減などからも将来期待される石炭燃焼技術である. このような新しい石炭燃焼技術を開発する上で, 石炭の基礎的な燃焼機構を解明することが重要であるが, 著者らのグループではベンチスケールの微粉炭バーナによる燃焼試験に加え, 微小重力場を用いることで石炭の基礎的燃焼挙動を探ってきた. 本報では, その中でも微粉炭粒子群中の火炎伝播機構に関する研究, および単一石炭粒子の燃焼挙動に関する研究について紹介する.
  • 趙 黛青, 山下 博史, 古畑 朋彦, 新井 紀男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    Rich-Lean二段燃焼を用いた高効率ガスターピン発電システムを開発するためには, このシステムにおける燃焼特性およびNOxの生成に関する予測が不可欠である. 本研究では, 1段目を燃料過濃なメタン空気予混合気の一次元予混合火炎, 2段目を1段目の燃焼生成ガスと空気の対向流拡散火炎とする基本的な火炎形態でモデル化することにより, NOxの生成反応を含む詳細素反応機構GRI-Mechを用いて数値解析を行った. その結果, 1段目では過濃燃焼であるためNO生成は極めて小さく, Rich-Lean二段燃焼の最終的なNO生成はほとんど2段目の火炎におけるNO生成に支配されることがわかった. また, 2段目の火炎温度は, 単段で燃焼させる場合に比べてかなり低く, NOの生成は効果的に抑制されることがわかった.
  • 斉藤 正浩, 小川 宏克, 新井 雅隆
    2000 年 26 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    排ガス再循環 (EGR) が燃焼器から発生するNOxの低減に有効であることはよく知られている. 本報ではEGRを噴霧燃焼に適用し, その有効性, とくに燃焼器出口におけるNO濃度と燃焼ガス温度に及ぼす二次空気の導入位置やEGR率の影響について実験的に調べた. その結果, 燃焼火炎は高EGR率において, 高温のEGRガスにより灯油噴霧の蒸発が促進され, その燃料蒸気と燃焼用空気との均質な混合気が形成されて青炎となることが観察された. NO濃度はEGR率の増加に伴って減少するが, 燃焼ガス温度は二次空気の導入位置により異なる傾向を示した. 本実験範囲においては, EGRガスを一次空気に導入し, かつ二次空気を燃焼器入口から95mmの位置で導入した場合, EGR率が15-20%付近において燃焼ガス温度を低下させることなくNO濃度を低減することができ, EGRを噴霧燃焼器へ適用する際のEGRガスや二次空気の導入位置に関する基礎的知見が得られた.
  • 中村 恒明, 仲町 一郎
    2000 年 26 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    1,000℃を越える高温予熱空気に対応しうる低NOx燃焼法としてFDI (Fuel Direct Injection) を開発した. 燃料と予熱空気を高速で炉内に別々に噴射する燃焼法で, 今までにない大量の排ガス再循環を行わせることにより, 大幅にNOxを低減するものである. リジェネレイティブバーナに適用した結果90%以上のNOx低減率がえられることを確認した.
    従来のりジェネレイティブバーナを見直し, シンプル化, コンパクト化を図り, FDI燃焼を利用した新たな低NOxリジェネレイティブバーナを開発した. 鍛造炉, 圧延加熱炉, アルミ溶解炉などのさなざまな工業炉で実証テストを行った結果, 20-60%の省エネルギー効果が得られ, NOxは100ppm (O2 11%) 以下であった.
  • 森田 光宣, 谷川 正
    2000 年 26 巻 2 号 p. 227-235
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    「高性能工業炉の開発」プロジェクトは, エネルギー使用合理化に資する新しい技術開発のためにNEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構) から委託を受けて, (社) 日本工業炉協会が実施している. 高温空気燃焼技術は, 加熱装置の熱効率の向上, 伝熱速度改善および低公害燃焼の同時達成可能な革新的燃焼技術であり, 高性能工業炉開発プロジェクトの根幹をなしている.
    実験炉の仕様決定の考え方, 実験結果を用いた実用炉としての高性能工業炉の主仕様決定方法につき, 流動・伝熱・反応解析手法とその解析結果を合わせて論述し, 実験から実機仕様決定までの最新のアプローチ方法と具体的設計例を提示した.
  • 中川 二彦, 新井 紀男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 236-244
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 蓄熱式熱交換システムを用いて, 燃焼加熱システムの加熱効率を向上する方法について検討した. 蓄熱式バーナの検討では, 燃焼量が140kWの放射伝熱管用バーナと, 燃焼量が2, 900kWの直火バーナを開発し, 共にNOx発生量が従来の1/4以下であることを検証した. また, これらを安価に設置する方法を提案し, その有効性を実機で検証した. 回転式熱交換器の検討では, 既存の放射伝熱管バーナを蓄熱式バーナに置き換えるよりも, 回転式熱交換器を導入する方が低コストで, 加熱効率の向上効果が大きい場合があることを示した. N2ガスジェットヒーターシステムの検討では, 不活性ガスを高温に加熱し, その噴流の対流熱伝達によって, 1, 273K以上の高温下で鉄を無酸化加熱する方法を確立した. また, N2ガスジェットヒーターシステムの加熱源に蓄熱式バーナを用いることにより, 加熱に用いた後の不活性ガスとその顕熱のほぼ100%がリサイクルでき, 従来の1/4の炉長で, 放射伝熱管用蓄熱式バーナを用いた炉と同等の加熱効率が得られる焼鈍炉を提案した.
  • 燃料種等への直接変換の可能性実験
    加藤 征三, 奥山 元洋, 久村 和明, 原 武司
    2000 年 26 巻 2 号 p. 245-250
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    地球温暖化の主因であるCO2を燃料種等の再利用できる化学種へ改質する可能性実験を試みた. ここでは安定なCO2をプラズマ活性化反応を利用して分解させ, ここに水素を導入してCO, CH4, CH3OHなどの燃料種へ直接改質することを行った. 本実験では, K-G型分子線発生装置を用い, そこへCO2単体と (CO2+H2) と (CO2+H2+Ar) の混合気体を導入して, 直流グロー放電型反応炉を通過させ, プラズマ反応で生成される化学種を飛行時間 (TOF) 法と四重極質量分析計 (QMS) で検出し, 化学種の特定と改質係数の測定を行った. 実験は気体混合比や放電電圧を変化させて行った結果, CO, CH4, CH3OH等の燃料種が比較的良好な効率で改質できることを検証した. また, 放電電圧の大きさが改質係数に大きく寄与すると共に, H2の混合割合によりCH4とCH3OHの生成割合を制御できる可能性があることもわかった.
  • 山本 剛, 加知 岳志, 杉山 雄一郎, 榊原 功治, 古畑 朋彦, 新井 紀男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    著者らは熱効率の向上を目的として, 燃料過濃燃焼を用い, C/Cコンポジットをタービン材とした新しい高効率ガスタービン複合発電システム「ケミカルガスタービンシステム」を提案している. 本システムは, 主として2系統のガスタービンと1系統のスチームタービンから構成され, 燃料過濃燃焼を用いることによりエクセルギー損失を大幅に低減できることや, 不完全燃焼を用いるため還元性ガスによる炉内脱硝が行われ, システム全体としてNOxの大幅な低減が可能であるなどの利点がある. 本研究は提案したケミカルガスタービンシステムの実証試験を目的として, システムのシミュレーションを行い, さらに既製の超小型マイクロガスタービンを本ケミカルガスタービンの仕様に改良し, その基礎的作動特性について検討した. その結果, シミュレーションからケミカルガスタービンの優位性が示され, 実験からはケミカルガスタービンの実現の可能性が示された.
  • 菊地 隆司, 越崎 健司, 堤 敦司, 加賀野井 彰一, 栗村 英樹, 佐々木 隆, 小川 斗
    2000 年 26 巻 2 号 p. 257-262
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    コンバインドサイクルにメタン水蒸気改質器を組み込み, 熱効率向上および電力負荷平準化の可能性を評価した. 熱効率向上のためのサイクルとしては, スチームタービンから抽気した蒸気とメタンを混合し, ガスタービン排熱により改質反応の熱を供給するサイクルを検討した. メタン供給量を-定とし, 抽気した水蒸気とメタンのモル比を2.25から4.75まで変えたときの熱効率およびメタン改質率を, プロセスシミュレーターASPEN Plusを用いて計算した. 熱効率はいずれの条件でもメタンの高位発熱量基準で51%程度となった. 同様の条件で計算した1, 300℃級コンバインドサイクルの熱効率は50.1%であり, メタン水蒸気改質燃焼発電を行うことにより発電効率が1%程度増加するという結果が得られた. メタン改質率は, 水蒸気-メタンのモル比に対して増加する傾向を示した. 水蒸気-メタンのモル比が4.0で最大となり, 17.9%であった.
    電力負荷平準化のサイクルとして, 電力需要が少ない夜間にメタン改質により製造した水素を貯蔵し, 昼間に貯蔵した水素をメタンとともに燃焼させ発電を行うシステムを検討した. 20: 00~8: 00を夜間, 8: 00~20: 00までを昼間とし, スチームタービンからの蒸気抽気量とメタンのモル比をそれぞれ3.9, 2.0とした. 一定負荷で運転したコンバインドサイクルの出力を1とすると, 解析した条件では, 夜間は出力を0.70まで下げられること, 昼間は1.26まで上げられることが分かり, 提案した発電システムの負荷変動対応への可能性のあることが示された.
  • 松井 達郎, 藪 穣
    2000 年 26 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    シーリング材は低せん断速度では粘度が高く, 高せん断速度では粘度が低いように設計さている. シーリング材としてポリサルファイド系を選び, Ellisモデルをこの流体に適用し, レオメーターを用いての実験により, そのパラメーターを決定した. 高せん断速度では粘度は温度に大きく依存するが, 低せん断速度では粘度は温度に依存しない. モデルにより計算した配管内の圧損及び真空状態からのタンクから排出するのに必要な最小配管径はほぼ妥当な結果を得た. 表面処理した充填材の一部を処理しない充填材に置き換えると, 高せん断速度では粘度は変わらないが, 低せん断速度では粘度は低くなりチクソトロピーを損なう.
  • 遠藤 茂寿, JANOS SZÉPVÖLGYI, 林 高弘, 内藤 牧男, 谷本 友秀
    2000 年 26 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高速楕円ローター回転型複合化装置 (θコンポーザー) による複合化過程は巨視的な観点から明らかにされつつある. と同時に, 粒子間や粒子-装置間に作用する接触力や装置内の粒子挙動に関するミクロ的な検討は, 被覆粒子層の質の向上を図るうえで必要である. そこで本報では, θコンポーザー内での付着過程を解明する第一段階として, 核粒子の挙動のみに着目し, その運動を粒子要素法 (PEM) で3次元シミュレーションした. 核粒子として直径200μmの単分散球形粒子を装置内に仕込み, 核粒子に及ぼされる接触力や接触点数の変動を解析した.
    ローターをつけない装置内の粒子層のPEMにより求められた巨視的な運動と実測結果はよく一致しており, 用いた粒子要素法が妥当なことを検証した. 楕円型容器の長軸が水平に対し約45度に傾斜した状態で, 最も大きな圧縮が粒子層に作用していた. また, 核粒子に作用する各種の接触力のうち, ローターから受ける力が最も大きく, それはローターの回転速度に依存した. 以上のことから, 複合化状態を制御する上でローターの回転速度を制御することが重要であることがわかった.
  • 大江 修造, 高松 秀明
    2000 年 26 巻 2 号 p. 275-279
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    溶媒和モデルを用いた気液平衡における塩効果の推算法を先に提案した. 本モデルにおいては, 混合溶媒の蒸気圧降下を考慮する事によって沸点及び全圧の推算を行っている. 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数は構成する各純溶媒+塩系における溶媒の活量係数との間に加算性が成立するとした. 本報においては, 蒸気圧降下を示す活量係数をより正確に表現するために, 異種溶媒間補正係数を導入した関数形を新たに提案した. この補正のための関数形は, [1] 混合溶媒の蒸気圧降下を示す活量係数の極値を表し, [2] 純溶媒の時, 補正を行わず, [3] 多成分系への拡張を可能にするという特徴を有する. これにより混合溶媒+塩系における蒸気圧降下の推算精度を格段に向上できた. さらに, 2成分溶媒+塩系で決定した異種溶媒間補正係数を用いて3成分溶媒+塩系の沸点の推算を行ったところ良好な結果が得られた.
  • 近藤 和夫, 植村 美帆子, 奥野 貴子, 田中 善之助
    2000 年 26 巻 2 号 p. 280-285
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    上下両側からのリードフレームの電解エッチングを電流密度分布に基づき二次元数値解析した. アノード幅, 電流密度分布, 板厚によるエッチング形状の影響を検討した. またキャビティ中央部分の残留物消去も検討した.
    アノード幅が増大するに伴い, 一次・二次電流密度分布共に, サイドエッチング長さは短くなった. 特に一次電流密度分布においては, アノード幅200μmのとき中央部分が盛り上がり残留した. 電流密度が増大するに伴いサイドエッチング長さは短くなった. また板厚の増大に伴い, 一次・二次電流密度分布共に, エッチング形状は円形状となりサイドエッチング長さが増大した.
    残留物消去を以下の二つの方法で行った. キャビテイ中心からx=45μm~95μmに孤立レジストを設置した時, アノード幅200μmの残留物を完全に消去出来た. またレジスト厚さが30μm厚以上では, アノード幅200μmの残留物を完全に消去出来た.
  • 早川 洋, 吉田 雅俊, 松本 繁, 金子 安延, 塩島 壮夫
    2000 年 26 巻 2 号 p. 286-292
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    撹拌型プロピレン気相重合反応プロセスの動的挙動を表す物理モデルを構築した. 本プロセスは反応熱の除去に液化モノマーの蒸発潜熱を利用する点が特徴であるが, モデルにはコンデンサーと液化モノマーの蒸発過程のダイナミックスも考慮した. パイロットプラントにおける実測データと本モデルによるシミュレーションとの動的挙動の比較を行なった結果, モデルの良好な性能が確認された. 次にシミュレーションによりシステムの動特性の解析を行なった結果, 反応器の操作は熱的に不安定な定常状態で行なわれていることが示され, プロセスの安定な運転のためには, フィードバック機構の導入が不可欠であることが示唆された.
  • 林 順一, 久保 綾子, 古川 朗, 室山 勝彦
    2000 年 26 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ビール粕を原料とし, 賦活剤に水酸化カリウムを用いた薬品賦活法による高比表面積活性炭の製造を試みた. そして, 製造条件が細孔構造に及ぼす影響について検討した. また, ベンゼン, アセトンの吸着性能についても検討した.
    比表面積は800℃まで炭化・賦活温度の上昇とともに増加し, 900℃では過度の賦活のために減少した. また, 含浸率は2.0で比表面積は最大となった. 含浸率2.0, 炭化・賦活温度800℃の製造条件で, 2, 440mm2/gという高比表面積を有する活性炭を製造することができた.
    また, 活性炭の炭化・賦活過程で水酸化カリウムは500℃までと600℃を越えてからの2段階で賦活剤として有効に作用することが明らかとなった.
    得られた活性炭に対するベンゼン, アセトンの吸着量は, 市販の活性炭に対する吸着量を大きく上回ることがわかった.
  • 迫原 修治, 西川 和男
    2000 年 26 巻 2 号 p. 298-304
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    水溶液の状態で加温すると親・疎水転移を示す感温性ポリマーを用いた高濃度懸濁液の凝集・圧密について検討した. 感温性ポリマーとして, ポリN-イソプロピルアクリルアミド (PolyNIPAM), およびN-イソプロピルアクリルアミドとアクリルアミドの共重合ポリマー (PolyNIPAM-co-AAM) を合成した. 125kg/m3~375kg/m3のカオリン懸濁液を用い, 凝集・圧密はプランジャーテスト法で行った. 所定濃度のポリマー水溶液とカオリン懸濁液を転移温度以下で混合し, ポリマーをカオリン粒子表面に吸着させた後, 混合液を転移温度以上に加温された恒温水槽に浸けてあるシリンダーに移した. これに一定のストロークで棒の押し込みを行った. 加温によって吸着ポリマーが疎水性に変化してもフロックの生成が認められ, ポリマー添加量が0.006kg/kg-kaolinを超えると圧密が起こった. 添加量が0.03kg/kg-kaolinでは, 固体の体積に対するスラッジの体積の比を表すsludge bulkinessがほぼ3に達し, もはや棒の押し込みが困難であった. このような凝集・圧密現象を感温性ポリマーの疎水性相互作用によって説明した.
  • 迫口 明浩, 頭師 栄太, 上岡 龍一, 中塩 文行, 吉塚 和治
    2000 年 26 巻 2 号 p. 305-308
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    8-スルホンアミドキノリン系抽出剤 (CnphSAQ) の液液界面での錯形成反応の定量的解明とシミュレーション法の確立の基礎研究として, CnphSAQの溶媒効果を考慮した半経験的分子軌道計算及び水-トルエン界面での分子動力学計算を行った. その結果, 界面吸着平衡に関する研究から明らかになっている抽出剤1分子当たりの界面吸着面積 (約60AA2) が, スルホンアミドキノリン基の投影面積と等しいことが支持された. さらに, 界面吸着平衡における分子動力学計算から得られた界面吸着に伴うエネルギー変化と界面吸着平衡定数の実験値を比較したところ, 良好な直線関係が得られた.
  • 近藤 和夫, 石山 敬造, 田中 善之助
    2000 年 26 巻 2 号 p. 309-311
    発行日: 2000/03/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    酸化亜鉛薄膜は, 透明導電膜や紫外発光レーザー材料として注目されている. 本研究ではプラズマCVD法を用い, 酸化剤としてN2Oを, また抵抗率を下げることを目的に安全性の高いドーパントであるトリエトキシボレートB (OC2H5) 3 (TEB) を使用し酸化亜鉛薄膜を作成した. その結果, 基板温度が300℃で最小抵抗率4.55×10-3Ω・cmを得ることができた. この最小抵抗率は電子密度の増大と対応し, 薄膜は高いc-軸配向を示した.
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