化学工学論文集
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9 巻, 4 号
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  • 南澤 正敏, 遠藤 一夫
    1983 年 9 巻 4 号 p. 353-358
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    粘性流体中で正弦振動する円柱に働く流体抵抗を測定し, フーリエ解析によって振動の一周期にわたる平均の付加質量係数kavおよび抵抗係数CDavを算出して, それぞれの値と操作条件との関係について検討した.
    1) 抵抗係数CDavは, 振動のレイノルズ数aωd/νおよび振幅比a/dの関数であり, 1≦aωd/ν≦20の範囲内でCDavに関する新たな実験式を見い出した (a: 振幅, ω: 角振動数, d: 円柱の直径, ν: 動粘度).
    2) 修正レイノルズ数dd2ω/νが比較的小さい場合, kavの実験値とStokesによる理論値との一致は良好である. kavに理論値を適用できるdd2ω/νの最大値, すなわち臨界修正レイノルズ数はa/dが約2で最小値をとる.
    3) 高レイノルズ数領域では, a/dが2近傍でkavは最小値, CDavは最大値をとる. a/dが小さい場合は, kavはほぼポテンシャル理論の値1をとり, 付加質量による力が抵抗力より卓越するため準定常の近似が成り立つ.
  • 井上 義朗, 芥川 諭, 佐伯 周治, 伊藤 龍象
    1983 年 9 巻 4 号 p. 359-369
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    電場中に置かれた電解質溶液層内のベナール対流における安定性, 物質移動速度, 対流パターンに及ぼす泳動効果を実験的, 理論的に調べた.
    H2SO4水溶液中のCu2+イオンが銅電極表面上に析出することによって生ずる濃度勾配が, 不安定な密度勾配を形成してベナール対流を発生させる. 電解質溶液層内を流れる電流値を測定することにより, 静止状態から定常対流状態に至るまでの平均物質移動速度の経時変化を求めた. 定常状態の平均シャーウッド数は, 対応する伝熱系のヌッセルト数よりも常に大きい値を示し, 泳動効果は物質移動速度を促進させる. 波数とレイリー数の関係, および六角セル内の対流の向きは伝熱系の場合と異なる. エネルギー積分法を用いた理論的な解析により, 泳動効果は電解質溶液層を不安定化し, 臨界レイリー数を低下させ, 平均シャーウッド数を増加させることがわかった.
  • Kazutoshi Kamiyanagi, Shintaro Furusaki
    1983 年 9 巻 4 号 p. 370-375
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    An analytical method is proposed to obtain intraparticle diffusion coefficient, partition coefficient and longitudinal diffusivity from data of gel chromatography by modifying the theory of Ostergaard (1969). Its accuracy is investigated and compared with that by moment analysis. The accuracy of the two methods are found to be comparable. Impulse response curves are calculated by the use of the Fourier analysis using thus obtained parameters. The calculated curves agree well with the experimental results.
  • 液流動の形態と圧力分布
    宮武 修, 橋本 俊行, 宮田 千加良
    1983 年 9 巻 4 号 p. 376-382
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    液流動形態とフラッシュ蒸発の関連を定量的に把握することを目的として, 垂直邪魔板を設置した場合と設置しない場合について, まず長さ1mのフラッシュ室内の2次元乱流液流動を差分法により数値解析した.
    その結果は, 単位フラッシュ室幅あたりの液流量が4.3×105~8.7×105kg/h・mおよび基準液位が0.4mに対して, 主に計算機の点綴による等流れ関数線図と等圧力 (すなわち等飽和温度) 線図で示した.
    速度分布, 圧力分布および流動形態の数値解析結果は実験結果または観察結果と妥当な一致を示した.
  • 液流動の形態と非平衡の関係
    宮武 修, 橋本 俊行, 宮田 千加良
    1983 年 9 巻 4 号 p. 383-388
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    垂直邪魔板を設置した短いフラッシュ室内の等温乱流液流動における流動形態と圧力分布に関する前報に示した数値解に基づいて, フラッシュ室出口での非平衡温度差を予測する数値解析を行った.
    非平衡温度差に及ぼす液温度, 液流量, 過熱度および邪魔板の高さと位置の影響を算定した. また, 多段フラッシュ蒸発装置の運転操作で代表的な変数の範囲にわたって, 3段のフラッシュ蒸発実験装置を用いて実験も行った.
    邪魔板先端の後方で液の破断が観察される極端な場合を除いて, 数値解析結果は実験結果と良好に一致した.
    本数値解析法は, 新しいフラッシュ室形状の特性づけにおいて, 有用な設計手段を与えるものと考えられる.
  • 山田 幾穂, 李 寿珪, 平岡 節郎
    1983 年 9 巻 4 号 p. 389-395
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    多成分系蒸留のDoublet分離の設計問題を解くための一つの解法が提出され, その解法は以下のように特徴づけられる.
    1) Murphree段効率および塔内の各部に気液のモル流量の変化を考慮した新しい逐次段計算法が用いられている.
    2) 最適原料供給段の位置決定に対してMurdoch-Holland法と同じ方法が用いられている.
    3) 計算機の許容しうる有効桁数内で, 留出および缶出物中に含まれるごく微量の非分配成分のモル流量を考慮することによって, 全成分に対して厳密なPlate-matchingの条件が保証されている.
    さらに, 改良Waterman法と比較した本法の優位性が, nC8~nC7~nC6~nC5の4成分系Doublet分離の数値計算例によって論証された.
  • 山田 幾穂, 張 乗権, 沢田 正敏, 李 寿, 平岡 節郎
    1983 年 9 巻 4 号 p. 396-403
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    塔内を通じて, 気液のモル流量の変化を考慮し, 操作型多成分蒸留の最小還流問題の一解法が示された. 本法には, 仮想ピンチ段の概念と正現化θ法による二つの収束ループが, 塔内組成分布をうるために用いられている. 二つの数値例により本計算法の安定性が示されると同時に, Underwoodの方法が最小還流比を小さく見積もることが明らかにされ, 操作還流比を最小還流比に近づけようとする蒸留プロセスの省エネルギー運転の立場から, 操作還流比を評価するときの本法の有用性が示された.
  • 大沢 英一
    1983 年 9 巻 4 号 p. 404-408
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    散気式曝気槽への酸素移動は散気気泡界面および自由表面と散気装置上部の気泡消滅水面とからなる水面を通して行われる. 散気ガス, 水面上の気体として空気あるいは窒素を用い, これらを適当に組み合わせてKLaと定常溶存酸素濃度を測定することにより, 三つの酸素移動過程から移動速度を求めた.
    (槽幅) / (水深) =2の曝気槽について, 次のことが明らかになった.
    1) 曝気槽への全酸素移動速度に対する散気気泡からの酸素移動速度の比は散気ガス量の増大とともに大となり, 曝気槽の大きさには依存しない.
    2) 自由表面からの酸素移動係数は散気気泡からの酸素移動係数に比べて約1桁小さい.
  • 高橋 勝六, 大坪 藤夫, 竹内 寛
    1983 年 9 巻 4 号 p. 409-415
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    乳化型液体膜による硫酸銅水溶液から銅の抽出を行った. 液体膜は乳化剤としてSpan 80を含むLIX65N-ケロシン溶液であり, 内部水相には硫酸水溶液を使用した. 抽出実験における外部水相のpHおよび銅の抽出率から推算した膜破壊率はLIX濃度とともに増加した. また抽出計算は, 膜破壊を考慮して, 界面での反応が律速段階と仮定して行った. その結果, 反応速度に及ぼす乳化剤の影響を単位界面積あたりの乳化剤濃度で評価することにより, 計算による抽出率は実測値と一致した.
  • 広田 昇治, 福井 啓介, 中島 正基
    1983 年 9 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    前報で, 結晶成長速度が過飽和に関してn次 (2≧n≧1) のときの分級槽型晶析装置の設計法を報告した.
    本論文では, 空隙率一定型晶析装置についての既報の計算法の妥当性が, CEC型商業プラントの操業データを使って確認された.
    また, 空隙率一定型晶析装置の簡易設計法を提案し, 設計線図を提出した.
  • 河村 光隆
    1983 年 9 巻 4 号 p. 421-426
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    都市ごみ熱分解速度を組成の関数として表す試みの一つとして, C, H, O, 元素組成を変数として, 熱分解速度を表現する式を検討した. 都市ごみの内, 半湿式破砕選別機で紙類を分別し, それを76μm以下に微粉砕した試料を用いて, 不活性ガス雰囲気下で熱分解し, 熱分解残渣の元素組成の時間的変化を測定し, ランダム開裂モデルを適用して解析した. その結果, C-H, C-O結合密度の開裂速度を表現する実験的関数を導入すれば, ごみ骨格構造が均一という仮定の下に導いたモデルは, 分解初期を除いて実験結果の傾向をよく表すことができた.
  • 藤井 信行, 島崎 幸博, 池田 幸悦, 三山 創
    1983 年 9 巻 4 号 p. 427-433
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ジチオカーバメート化ポリ塩化ビニル (DTC-PVC) へのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート (SM) とN, N-ジメチルアミノエチルメタクリレート (DAEM) の光グラフト共重合の速度論的な解析を目的として, 回分式光反応器を用いて光グラフト共重合反応を行い, SM, DAEMモノマー濃度, グラフトポリマー重量の時間変化を測定した. 一方, 別途にDTC-PVCの光分解量子収率, SMおよびDAEMの単独重合の速度パラメータ, SMとDAEMの共重合の反応性比およびφ因子を測定し, 光グラフト共重合式にこれらの値を代入して, 光グラフト重合過程のシミュレーション計算を行った. このシミュレーションにより, 特に低重合率の場合, 実験結果をよく説明することができた.
  • 伊藤 直次, 小畑 健三郎, 白田 利勝, 吉留 浩
    1983 年 9 巻 4 号 p. 434-440
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    固体の逐次熱分解反応に関する反応速度パラメータ (z, E, n) および分解熱ΔHを示差熱 (DTA) -熱重量 (TGA) 同時測定によって推算するための基礎式を導き, モデル反応について種々のパラメータを変えて理論的なDTAおよびTGAカーブを描いて検討を行った.
    その結果, DTAピークより分解熱を算出する場合, 反応物の熱容量変化に伴なうベースライン (Imaginary base line) の変動が, 熱容量変化の大きくかつcp1/|ΔH1|値が大ほど大きくなり, ピーク面積測定の際の誤差となることがわかった. 一方, 反応速度パラメータTGAはカーブを直接解析することによって差し支えないことがわかった.
  • 玉野 和保
    1983 年 9 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    著者の考案した液滴粒径の簡便測定装置に, 専用のマイクロ・コンピュータを取り付けた簡易自動液滴粒径測定装置を開発した.
    本装置は測定回路からのインパルス信号の波高値を読み込み, 粒径の値を計算してその結果を表示するフロント・エンド・コンピュータおよびそれから転送された粒径値を集計して粒径分布にして表すホスト・コンピュータを連係した分散型マルチ・プロセッサ処理方式で構成した. この方式では, 水滴径がリアルタイムで測定できるとともに, 直ちに粒径分布にして表すことができた.
    本装置の適用性を検討するために, スピンニング・ディスク・アトマイザによって生成した52~2300μmの均一粒径の水滴群, および単孔圧力ノズルによって生成した噴霧水滴群に対して, その粒径分布測定を行った結果, 本測定装置によって得られた粒径分布は, 液浸法で測定されたそれとよく一致した.
    これらの結果から, 本測定装置は数10μm以上の水滴に対して, その生成法によらないで粒径分布を測定できることが確かめられた.
  • 松崎 晴美, 高橋 燦吉, 朱 宏, 小栗 敬堯
    1983 年 9 巻 4 号 p. 448-454
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    活性汚泥処理の浄化機能に及ぼすDo濃度, MLSS濃度などの代表的環境因子の影響について, 曝気ガス中の酸素濃度を変えられる水深10mのシャフト形曝気槽で, 合成排水を供試して検討した.
    この結果, 単位汚泥量あたりの酸素消費速度γは限界DOを境いにして, それ以上では一定, 以下では低下すること, 限界DOは生物酸化反応により異なり, 酸化反応では1.1~1.35mg/l, 増殖反応では0.65~0.9mg/lの範囲にあることを示した. また, 汚泥沈降性の良否の境いを示すDO濃度は限界DOにほぼ一致し, これ以上では良好, 以下では悪化することを明らかにした. さらに, DO≧4.5mg/lあるいは3.5≧DO>2mg/lの範囲において, MLSS濃度, 滞留時間TRがそれぞれ一定ならば, γと単位汚泥量あたりのCOD除去速度βcは比例関係にある. MLSS, TRが変わると増殖, 酸化および内生呼吸反応の内, 主とする生物酸化反応が変化し, MLSS×TR≧17000h・mg/lかつDO≧4.5mg/lでは酸化反応が主に, MLSS×TR<10000h・mg/lでは増殖反応が主に起こることを明らかにした. また, 細菌のみの単相活性汚泥によるβcは原生動物などを含む混相活汚泥より大きいことを示した.
  • 長棟 輝行, 遠藤 勲, 井上 一郎
    1983 年 9 巻 4 号 p. 455-461
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    基質のインパルス的な一回の流加に対して酵母 (S. cerevisiae) のグルコース比消費速度v, 比増殖速度μ, アルコール比生産速度πなどが示す過渡応答を実験的に検討した. すなわち, 回分培養過程の異なった時期にグルコース濃度を種々に変えた基質液を流加し, その後に酵母が示す各比速度の変化を測定した.
    その結果, 基質流加後の各比速度が示す過渡応答は, 基質流加によるグルコース濃度の増加量ΔGの大きさに応じて二つのタィプに分類できることがわかった. 増加量ΔGが臨界値ΔGcよりも小さい場合には, 基質のインパルス的流加によって各比速度のグルコース濃度に対する過渡応答特性は影響を受けなかった. 一方, 増加量ΔGが臨界値ΔGcよりも大きい場合には, 各比速度は流加後急激に減少し, ある時間の後に最大速度に達した. また, この臨界値ΔGcと回分培養の流加時点におけるグルコース濃度G (τ-), 菌体濃度X (τ-) との間に相関関係を得た.
  • 西 泰英, 上田 光三郎, 福岡 正博, 吉岡 直哉, 新川 正, 高尾 征治, 村上 泰弘, 河野 恵宜, 草野 一仁, 井上 勝利, 中 ...
    1983 年 9 巻 4 号 p. 462-475
    発行日: 1983/07/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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