Chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(CLIPPERS)の病変は一般的に後脳から離れるに従って縮小することが多いが,側頭葉に最大病変を示す症例を経験した.症例は49歳男性.来院22日前から発熱が,その後左眼視野障害が出現し入院となった.神経学的に左眼視野の中心部に暗点を認め,MRIで右側頭葉に粒状のガドリニウム造影効果を伴うFLAIR高信号病変を認めた.その後,橋及び小脳に病変が拡大し,複視・滑動性眼球運動障害・輻輳麻痺が出現した.右側頭葉病変から開頭脳生検し,CLIPPERSと診断した.ステロイド投与により病変・症状ともに軽快した.病初期に後脳から離れた病変が大きい症例であっても,CLIPPERSの可能性を考慮する必要がある.