症例は39歳男性である.5歳頃,歩行時に足を底屈させる歩容異常が出現し,6歳時に右手の書痙を,15歳時に発声障害を認めた.16歳時には歩行時に左下肢を跳ね上げるような動作性ジストニアが出現し,19歳時に右下肢にもジストニアが拡大した.頭部MRIには異常なく,レボドパ治療は無効であった.全エクソームシークエンス解析にてKMT2B遺伝子に新規のナンセンス変異(c.433C>T, p.Arg145*)を認めDYT28と確定した.両親には同じ変異はなくde novo変異であった.小児期に下肢のジストニアで発症する例ではDYT1,DYT5(瀬川病)の他,DYT28も考慮すべきである.
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