臨床神経学
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57 巻, 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
症例報告
  • 星野 俊, 鈴木 祐, 秋山 久尚, 山田 浩史, 島 さゆり, 武藤 多津郎, 長谷川 泰弘
    2017 年 57 巻 12 号 p. 747-752
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    59歳男性.複視・口渇で前医入院し糖尿病性ケトアシドーシスと診断.インスリン治療で血糖値改善後に四肢筋力低下・構音障害・嚥下障害・両上肢感覚障害が出現.C4~5,Th10髄内造影MRI病変,ミエリン塩基性蛋白高値,神経伝導速度で2領域以上の脱髄所見を認め,血清・髄液抗Neurofascin155抗体陰性ながら所見より中枢末梢連合脱髄症(Combined Central and Peripheral Demyelination; CCPD)と診断.ステロイドパルス療法後に脊髄病変は消失し退院.後に血清IgG抗Galactocerebroside抗体陽性を確認.CCPDは血漿交換やステロイド療法が有効だが,血清抗Galactocerebroside抗体陽性例の報告はなく症例の蓄積を要する.

  • 渡部 真志, 松本 雄志, 岡本 憲省, 奥田 文悟, 水田 依久子, 水野 敏樹
    2017 年 57 巻 12 号 p. 753-758
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は49歳男性.5年前から人格変化,歩行障害,難聴が徐々に進行した.前頭葉徴候,吃り,垂直性眼球運動障害,筋固縮,失調,両下肢の腱反射消失と深部覚優位の感覚障害を認めた.前頭葉優位の大脳半球,小脳,中脳被蓋に萎縮が見られた.進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy; PSP)を疑ったが,神経伝導検査ではSNAPが誘発不能であり,常染色体優性遺伝性ニューロパチーの家族歴が判明した.DNA methyltransferase 1(DNMT1)遺伝子のp.Y495H変異を認めhereditary sensory and autonomic neuropathy 1E(HSAN1E)と診断した.プリオン蛋白遺伝子検査ではp.M232R変異も判明した.HSAN1Eでは前頭葉症状で発症しPSP様の症状を呈する例が存在する.

  • 松田 倫明, 竹迫 慎平, 中﨑 満浩, 南立 亮, 梅原 藤雄
    2017 年 57 巻 12 号 p. 759-763
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は90歳女性である.入院中,急激に意識レベルが低下し深昏睡に至った.頭部MRI-拡散強調像(diffusion-weighted image; DWI)で両側視床,内包に高信号を認め,血中アンモニア値の上昇,脳波で前頭葉優位のデルタ波・三相波を認めた.肝性脳症に準じて治療を行い,意識レベルの改善,血中アンモニア値低下,DWI高信号の消失を認めた.腹部CTで肝自体に異常は認めなかったが,回結腸静脈から下大静脈に連続する異常血管を認め,portal-systemic encephalopathyと診断した.深昏睡時,視床・内包にDWI高信号を認めた場合には,急性高アンモニア血症に起因する脳症も鑑別上重要である.

  • 阿部 宗一郎, 岡﨑 周平, 殿村 修一, 宮下 光太郎, 猪原 匡史
    2017 年 57 巻 12 号 p. 764-768
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    進行性の構音障害と両下肢感覚障害で発症した稀な橋両腹外側梗塞の1例を報告する.症例は70代男性.検診で高血圧,脂質異常症,耐糖能異常を指摘されていた.来院10日前に歩行障害と構音障害を自覚,徐々に増悪し当科を受診した.来院時に両側顔面の温痛覚低下,構音障害,嚥下障害,下肢に強い四肢の温痛覚鈍麻,失調性歩行を認めた.頭部MRIにて橋の両腹外側に急性期梗塞巣があり,高解像度3次元MRIでは脳底動脈腹側に大きなプラークを認め,アテローム血栓性梗塞と診断した.本症例では橋動脈の短回旋枝が脳底動脈内のプラークにより両側同時に閉塞したと考えた.橋両腹外側梗塞の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.

  • 服部 香寿美, 松田 希, 村上 丈伸, 伊藤 英一, 宇川 義一
    2017 年 57 巻 12 号 p. 769-774
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/27
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    症例は62歳男性.約1週間の経過で歩行困難となり,嗄声,嚥下障害,呼吸不全を来した.神経学的には弛緩性対麻痺に加え,瞳孔不同,眼球運動制限,嚥下障害といった多発脳神経障害を認めた.また,右腋窩に腫大リンパ節を触知した.脊髄MRIにて馬尾の腫大と脊髄髄膜造影効果を認め,右腋窩リンパ節生検から悪性黒色腫転移と判明した.全身の観察にて右第4指爪下の原発部位を確認し,2回目の髄液細胞診で腫瘍細胞が証明でき,髄膜悪性黒色腫症と診断した.化学療法は困難で全身管理を継続したが,転院第60病日に永眠された.本症例は髄膜癌腫症の典型症状がなく,急性の経過で対麻痺と多発脳神経障害を呈した点が特徴的であった.

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