症例は48歳男性.慢性進行性の両上肢の脱髄性末梢神経障害に加えて,左側胸部から下肢の感覚障害を主徴とする急性脊髄炎を発症し,中枢・末梢連合脱髄症(combined central and peripheral demyelination,以下CCPDと略記)と診断した.血清の抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein,以下MOGと略記)抗体・抗galactocerebroside IgG抗体・抗GM1 IgG抗体が陽性であった.ステロイドパルス療法と血漿交換療法で脊髄炎は改善し,プレドニゾロン内服により末梢神経障害の所見は緩徐に改善し各種抗体はほぼ陰転化したが,8カ月後に神経根炎で再発した.抗MOG抗体関連疾患は再発を繰り返して新たな免疫反応を惹起し,CCPDを生ずる可能性がある.