臨床神経学
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56 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
総説
  • 木村 文治
    2016 年 56 巻 4 号 p. 241-247
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    [早期公開] 公開日: 2016/03/30
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症における人工呼吸器装着は最も重要な治療手段選択の一つである.事前意思確認を行なった1990~2013年までの自験例190例の調査結果から,発症から診断までの期間,侵襲的・非侵襲的人工呼吸器装着率,年齢による装着率の変化と推移および予後解析を報告した.その中で,1990~2010年までの160例について,侵襲的人工呼吸器装着による延命効果に影響する因子(年齢,配偶者など)を分析すると共に,侵襲的人工呼吸器装着を決定する因子分析を行い,装着年齢,配偶者の存在,残存運動機能の有無,呼吸器装着までの期間と診断時進行度などが関与することを示した.2010年以後の侵襲的・非侵襲的人工呼吸器装着率の経時的分析結果から,非侵襲的人工呼吸器装着率が年々増加する一方,侵襲的人工呼吸器装着率は減少傾向を示した.世界における人工呼吸器装着率の現況を考察した.
症例報告
  • 金谷 雄平, 高松 和弘, 下江 豊, 仁井見 英樹, 北島 勲, 栗山 勝
    2016 年 56 巻 4 号 p. 248-254
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    [早期公開] 公開日: 2016/03/24
    ジャーナル フリー
    症例は25歳の男性.6歳で視神経炎,12~16歳で3回の大脳白質脱髄巣が出現した再発寛解型多発性硬化症(multiple sclerosis; MS)である.25歳で,嘔吐を伴う胃腸炎に罹患後,脳静脈洞血栓症(cerebral venous sinus thrombosis; CVT)を発症し,腰椎穿刺で悪化した.アンチトロンビン(AT)の低下を認め,AT遺伝子エクソン5番目のコドン359のCGAがTGAに置換したナンセンス変異のAT欠損症ヘテロ接合体であった.MSにCVTが合併した17例が過去に報告されており,腰椎穿刺と高容量メチルプレドニゾロン(mPSL)投与がCVTを誘引した症例が多い.本例はmPSL治療は行ってないが,AT欠損症に,高ホモシステイン血症,感染,腰椎穿刺が加わり発症増悪したと推測した.
  • 長尾 茂人, 近藤 誉之, 中村 敬, 中川 朋一, 松本 禎之
    2016 年 56 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    [早期公開] 公開日: 2016/03/24
    ジャーナル フリー
    症例は43歳の男性である.亜急性に小脳失調症が出現し,ヒト免疫不全ウィルス(human immunodeficiency virus; HIV)感染症が確認された.小脳失調症の原因として,HIV脳症や二次性脳症を来たすウィルス,真菌,抗酸菌などの存在は否定的であった.一方で,自己免疫性小脳失調症と関連のある抗体である抗Yo抗体及び抗グリアジン抗体が検出された.HIV感染症では自己免疫現象がしばしば惹起されることが報告されている.HIV感染症に伴う小脳失調症では自己免疫機序による可能性を考慮する必要がある.
  • 階堂 三砂子, 古田 充, 中森 雅之, 湯浅 義人, 高橋 正紀
    2016 年 56 巻 4 号 p. 260-264
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    [早期公開] 公開日: 2016/03/30
    ジャーナル フリー
    症例1は63歳,女性である.41歳時に4~5時間の運動失調発作が出現し,62歳より発作が頻発した.非発作時にも軽微な小脳徴候があり,画像上小脳虫部の萎縮,脳波で棘波・棘徐波複合・徐波群発を認めた.症例2は症例1の第2子で36歳,軽微な体幹運動失調を呈する女性である.16歳より5~10分の運動失調発作が出現し,脳波異常を認めたため抗てんかん薬が開始された.内服後も発作は頻発したが,33歳以降にほぼ軽快した.症例1,2ともCACNA1A遺伝子解析でc.3575delA変異を認め,反復発作性運動失調症2型と診断した.発症年齢・経過は異なるが,てんかん発作を伴わず著明な脳波異常を伴う点が共通していた.
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