症例は39歳女性である.数日の経過で進行する右上下肢脱力のため当科へ入院した.頭部MRIで左内包後脚から放線冠にかけて急性期脳梗塞像と両側中大脳動脈狭窄,および両側視床枕に対称性のT
1強調画像高信号所見をみとめた.同部位はT
2強調画像では信号変化を示さず,Fabry病を示唆するとされているT
1-weighted imaging-pulvinar sign(T
1 pulvinar sign)を呈していた.若年性脳梗塞の原因としてFabry病をうたがい遺伝子検査を実施したが,α-galactosidase A遺伝子の全エクソンおよびその近傍のイントロン配列に変異をみとめず,Fabry病は否定された.身体表現型異常には乏しかったものの,低身長や稀発月経の存在からTurner症候群を考え染色体検査を施行したところ,モノソミーXと環状X(60%:40%)モザイクのTurner症候群であることが判明した.Turner症候群でのT
1 pulvinar signはこれまで報告がなく,貴重な症例と考えられた.
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