臨床神経学
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54 巻 , 5 号
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総説
原著
  • 原 直之, 大隣 辰哉, 西原 伸治, 大田 泰正, 栗山 勝
    2014 年 54 巻 5 号 p. 395-402
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    特発性脊髄硬膜外血腫16例の臨床分析をおこない,脳卒中と類似した点を検討した.初診時に片麻痺を示す症例が10例(62.5%)で,ホルネル症候群を4例(25%),無痛性の発症を1例(6.3%)みとめた.また激痛発症で迷走神経反射による意識障害をきたし,くも膜下出血様の症例もみとめた.MRI画像が確定診断に有用であり,好発部位は頸髄下部であった.横断像では血腫は,左右どちらかに偏った楕円形が多く,偏在性の脊髄圧迫が片麻痺出現の要因である.発症は活動時に多く,関連要因は,抗血栓剤内服,C型肝炎,慢性腎不全などをみとめた.急速進行例は,緊急手術の適応になるが,保存的治療も可能であり,予後も良好であった.
  • 植村 順一, 井上 剛, 青木 淳哉, 佐治 直樹, 芝崎 謙作, 木村 和美
    2014 年 54 巻 5 号 p. 403-407
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    当科に入院した発症2週間以内の急性期延髄梗塞90例(右側48例,左側33例,両側9例)で,難治性吃逆は5例(5.5%)だった.急性期延髄梗塞例を難治性吃逆群と吃逆なし群の2群に分けて,頭部MRI像での病変部位を比較すると,難治性吃逆群の頻度が右側で有意に高く(p = 0.048),とくに延髄右側中部内側が多かった(p < 0.001).PubMedで検索しえた論文中に難治性吃逆があり,頭部MRI像で責任病巣が確認しえた症例は16例あり,その責任病巣は延髄中部内側が11例だった.難治性吃逆の責任病巣は中部延髄の疑核,大縫線核と推定されているが,延髄中部右側内側が発症機序に関係している可能性がある.
症例報告
  • 佐藤 健太, 両角 佐織, 竹内 有子, 落合 淳, 馬渕 千之
    2014 年 54 巻 5 号 p. 408-412
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性である.手足のむくみ,四肢近位優位の全身の痛みで受診した.四肢の皮疹,高度の関節痛・筋痛・咽頭痛,血清CKの上昇をみとめた.筋生検の所見と合わせ皮膚筋炎と診断した.ステロイド・免疫抑制剤の使用にもかかわらず,急速進行性間質性肺炎にて死亡した.抗CADM-140抗体は無筋炎型皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis; ADM)を中心に報告され,陽性例では重篤な間質性肺炎を合併する.本症例では血清で抗CADM-140抗体をみとめたが,CK上昇,高度の筋痛・咽頭痛を呈し,剖検では,びまん性肺胞障害による肺胞出血をみとめた点が特徴的であった.
  • 澤村 正典, 大石 渉, 中西 悦郎, 丸浜 伸一朗, 金 剛, 原田 清
    2014 年 54 巻 5 号 p. 413-416
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性である.1年前から進行する温痛覚,深部覚障害と著明な感覚性運動失調をみとめ座位保持も困難となった.四肢や体幹にデルマトームに一致したpatchyな温痛覚低下をみとめた.諸検査によりSjögren症候群にともなう後根神経節炎によるataxic sensory neuronopathyと診断した.Sjögren症候群にともなう後根神経節炎は,一般に治療抵抗性である事が多い.本症例では,単純血漿交換により座位保持が可能な状態に改善し,最終的にD-ペニシラミン内服を追加し,症状の安定を維持できた.年余の経過であったが,単純血漿交換,D-ペニシラミン内服により改善した貴重な症例と考え報告した.
  • 向井 雅子, 菅谷 慶三, 松原 四郎, 蔡 華英, 矢部 一郎, 佐々木 秀直, 中野 今治
    2014 年 54 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    常染色体優性遺伝形式のPOLG1変異をみとめた家族性進行性外眼筋麻痺(progressive external ophthalmoplegia: PEO)の1家系を報告する.症例は73歳女性,PEO,早発閉経,多発ニューロパチー,ミオパチー,L-DOPA反応性パーキンソン症候群をみとめた.生検筋に赤色ぼろ線維とsuccinate dehydrogenase染色で濃染するcytochrome c oxidase欠損筋線維が散見され,腓腹神経生検は軸索障害主体であった.生検筋のミトコンドリアDNA多重欠失と核DNAのPOLG1変異p.Y955C(c.2864A>G)をみとめた.パーキンソン症候群と多発ニューロパチーをともなうPEO家系は,積極的にPOLG1解析をおこなうべきである.
  • 辻 佑木生, 中山 貴博, 坊野 恵子, 北村 美月, 今福 一郎
    2014 年 54 巻 5 号 p. 423-428
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例1は35歳男性である.6ヵ月前より禿頭予防にフィナステリド1 mg/日を内服していた.頭痛と痙攣発作を発症し,右前頭葉に出血をともなう低吸収域をみとめ,CT venography(CTV)で脳静脈洞血栓症と診断した.症例2は41歳男性である.2年前より禿頭のためフィナステリド1 mg/日,ミノキシジル6 mg/日を内服していた.頭痛を発症し,左頭頂側頭葉に散在する脳梗塞をみとめた.フィナステリド服用中の血栓症発症は,医薬品医療機器総合機構(The Japan Pharmaceutical and Medical Devices Agency; PMDA)へは,当院例を併せて14症例報告があり,脳卒中4例,心筋梗塞6例,その他4例であった.フィナステリドによるエストロゲン上昇の報告があり,血栓症発症への関与が考えられた.
  • 脇坂 佳世, 萩原 のり子, 金澤 有華, 荒川 修治, 吾郷 哲朗, 北園 孝成
    2014 年 54 巻 5 号 p. 429-433
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性である.自発性の低下を主訴に来院し,MRI拡散強調画像で右尾状核と左被殻に高信号域をみとめた.脳梗塞の既往に対して抗血小板薬を服用しており,これに抗凝固薬を追加したが,第10病日に右片麻痺が出現し,MRIで多発性の新規病変をみとめた.他臓器症状はともなわなかったが,入院時より持続する発熱と炎症反応から血管炎の関与をうたがい,MPO-ANCAの上昇に基づきANCA関連血管炎と診断した.腎臓や肺の病変を合併せず,脳病変を契機に診断にいたったANCA関連血管炎の報告はまれであり,不明熱をともなう脳梗塞では血管炎による機序も念頭において検索を進めることが重要と考えられた.
  • 滋賀 健介, 水田 依久子, 能登 祐一, 中川 正法, 佐々木 良元, 山脇 正永
    2014 年 54 巻 5 号 p. 434-439
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性である.2歳頃から2週間持続する下肢脱力発作をくりかえしていたが,CK高値のため入院した.下肢近位筋の筋力低下・眼瞼ミオトニーをみとめた.針筋電図でミオトニー放電をみとめ,prolonged exercise test陽性であった.発端者で,筋特異的電位依存性ナトリウムチャネルαサブユニット遺伝子(SCN4A)のヘテロ接合変異(M1592V)をみとめた.家系解析で本変異と脱力発作との間に共分離を確認し,ナトリウムチャネル異常症と診断した.一般的にSCN4A点変異による麻痺発作の持続時間は数分から1時間と短いが,本家系では1週間以上つづく長い発作を有していた点が特徴的であった.
短報
  • 高 尚均, 河野 彬子, 山野井 貴彦, 徳永 惠子
    2014 年 54 巻 5 号 p. 440-443
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性である.数日の経過で進行する右上下肢脱力のため当科へ入院した.頭部MRIで左内包後脚から放線冠にかけて急性期脳梗塞像と両側中大脳動脈狭窄,および両側視床枕に対称性のT1強調画像高信号所見をみとめた.同部位はT2強調画像では信号変化を示さず,Fabry病を示唆するとされているT1-weighted imaging-pulvinar sign(T1 pulvinar sign)を呈していた.若年性脳梗塞の原因としてFabry病をうたがい遺伝子検査を実施したが,α-galactosidase A遺伝子の全エクソンおよびその近傍のイントロン配列に変異をみとめず,Fabry病は否定された.身体表現型異常には乏しかったものの,低身長や稀発月経の存在からTurner症候群を考え染色体検査を施行したところ,モノソミーXと環状X(60%:40%)モザイクのTurner症候群であることが判明した.Turner症候群でのT1 pulvinar signはこれまで報告がなく,貴重な症例と考えられた.
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