臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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64 巻, 3 号
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追悼文
依頼総説
  • 矢部 一郎
    2024 年 64 巻 3 号 p. 135-147
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    [早期公開] 公開日: 2024/02/22
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration,以下SCDと略記)は,小脳性運動失調を主症状とし,パーキンソン症状,錐体路症状などの小脳系以外の多系統障害も呈することがある神経変性疾患である.現時点で根治療法は見いだされていない.SCDのうちの約3分の1は遺伝性SCD(hSCD)で,残り3分の2は多系統萎縮症を含む孤発性疾患である.本稿ではhSCDについて,臨床像,新規治療法開発,バイオマーカー開発,ゲノム医療のそれぞれについて,現状と疾患克服に向けた展望について概説する.

  • 清水 文崇
    2024 年 64 巻 3 号 p. 148-156
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    [早期公開] 公開日: 2024/02/23
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    自己免疫機序により小脳障害をきたす自己免疫性小脳性運動失調症は,グルテン失調症,抗グルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase: GAD)抗体関連小脳失調症,傍腫瘍性小脳変性症,感染後小脳炎などのいくつかの病型がある.それぞれの疾患で免疫学的な病態は異なるが,多くの疾患で分子相同性機序により小脳を標的とすると考えられており,血液脳関門(blood-brain barrier,以下BBBと略記)破綻は分子相同性機序で誘発された病原性のある自己抗体の流入や抗原に感作された病的リンパ球の侵入を惹起するため,自己免疫性小脳性運動失調症の病態の重要なプロセスとなりうる.小脳性運動失調症のあるランバート・イートン筋無力症では小細胞癌との分子相同性機序により誘導されたGRP78抗体がBBB破綻を誘発し小脳性運動失調症を引き起こす.

原著
症例報告
短報
  • 葛目 大輔, 森本 優子, 堤 聡, 山﨑 正博, 細見 直永
    2024 年 64 巻 3 号 p. 190-193
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    [早期公開] 公開日: 2024/02/17
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    高血圧,糖尿病で加療中の71歳男性がふらつきと呂律困難を生じ,右橋及び小脳梗塞と診断された.その1ヶ月後,体が左に傾くようになり,神経学的所見として構音障害と小脳性体幹失調が認められた.心電図は心房細動を示した.頭部MRI拡散強調画像では左右小脳半球及び中小脳脚に高信号病変あり.心原性脳塞栓症に対してダビガトラン300 ‍mg/日の内服を行った.発症第12日目に転院した.72歳時に行った頭部MRI T2*画像では橋にhot cross bun sign(HCBs)を認めた.HCBsの要因として,橋及び両側中小脳脚梗塞による橋小脳路の順行性または逆行性変性(あるいはその両方)が関与したと考えた.

地方会抄録
会告
編集後記
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