臨床神経学
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53 巻, 2 号
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会告
楢林賞
  • 武田 篤
    2013 年53 巻2 号 p. 91-97
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    われわれは最近,嗅覚障害がパーキンソン病(PD)認知症の併発を予測する徴候であることを報告した.重度嗅覚障害を示すPD群は認知機能低下と関連して報告されて来た脳代謝低下分布を示した.またvolumetric MRIによる検討から,嗅覚障害は扁桃体や他の辺縁系をふくむ局所脳萎縮と関連していることが明らかとなった.ドパミン補充療法の発達,そして高齢発症例の増加により,現在PDの予後をもっとも大きく悪化させるのは随伴する認知症の存在であることが知られている.しかしながらその発症を早期に的確に予測できる方法論は未だ確立していない.嗅覚テストは今後,進行期PD の治療において重要な役割を果たして行くと考えられる.
原著
症例報告
  • 郡山 晴喜, 京樂 格, 山下 秀一, 塩見 一剛, 松元 信弘, 中里 雅光
    2013 年53 巻2 号 p. 104-108
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は,歩行時のふらつきと複視で発症した62歳の男性である.失調性歩行と下肢の筋力低下をみとめ当科に入院した.胸部単純写真で左肺野に結節影をみとめ,経気管支肺生検で肺小細胞癌と診断した.抗Hu 抗体とP/Q型抗VGCC抗体の両者をみとめ,傍腫瘍性小脳変性症とLambert-Eaton筋無力症候群の合併例と診断した.症状出現から3ヵ月以内に放射線化学療法を開始し,腫瘍の縮小にともない小脳症状と下肢の筋力低下の改善をみとめた.一般に傍腫瘍性小脳変性症は癌化学療法の効果に乏しいとされているが,症状出現から早期に癌化学療法を導入することが傍腫瘍性小脳変性症の改善に有効であると考えられた.
  • 宮城 愛, 寺澤 由佳, 山本 伸昭, 和泉 唯信, 梶 龍兒
    2013 年53 巻2 号 p. 109-113
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は78歳男性である.慢性膿胸に対する胸腔洗浄中に左片麻痺を発症し,頭部CTで点状の空気像をみとめたために,脳空気塞栓症と診断された.頭部CTとほぼ同時期に実施した頭部MRI-T2* 強調画像で頭部CTの空気像と同部位に多発低信号をみとめた.発症から7時間後のT2* 強調画像では多発する低信号は発症2時間後よりも小さく,より広範にみられるようになり,第54病日では点状の低信号はほぼ消失していた.近年,急性期脳梗塞の診断にMRIをおこなうことが多くなっており,脳空気塞栓症の急性期MRI所見を知っておくことは重要と考える.
  • 手塚 敏之, 下畑 享良, 石原 智彦, 大槻 美佳, 小田野 行男, 西澤 正豊
    2013 年53 巻2 号 p. 114-118
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性である.47歳時より冷蔵庫を開けようとして閉めてしまったり,道路の交差点で意図した方向とは別の方向に向かってしまったり,頭で考えていることと違うことをおこなってしまうという症状が徐々にみられるようになった.これらの行為はconflict of intentions(COI)に相当するものと考えられた.頭部MRIでは脳梁のびまん性萎縮とT2強調画像における膝部から体部,膨大部を主体とする高信号病変をみとめた.原因疾患としては,緩徐進行性の経過とびまん性で均質な脳梁病変から,何らかの白質ジストロフィーが考えられた.COIの鑑別診断として白質ジストロフィーも検討すべきと考えられた.
  • 荒木 克哉, 奥野 龍禎, Honorat Josephe Archie, 木下 允, 高橋 正紀, 水木 満佐央, 北川 一夫, 望月 秀 ...
    2013 年53 巻2 号 p. 119-124
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性である.62歳時多形紅斑とリンパ節腫脹と共に小脳性運動失調が出現したが,数ヵ月で自然軽快した.5年後に再増悪したがステロイドパルス療法で部分的に改善した.多形紅斑やリンパ節腫脹をくりかえし,EBウイルスVCAIgG抗体およびEBウイルスEADR-IgG抗体の上昇と血液および髄液中のEBV-DNA量の増加をみとめたことから慢性活動性EBV感染症にともなう小脳性運動失調と考えた.自己免疫的な発症機序をうたがい,間接蛍光抗体法により患者血清と髄液でラット小脳を染色したところ,プルキンエ細胞と顆粒層が染色された.本症例は成人発症で多形紅斑と共に寛解と増悪をくりかえした点が特異であった.
  • 内藤 裕之, 土井 光, 稲水 佐江子, 伊藤 聖, 荒木 武尚
    2013 年53 巻2 号 p. 125-130
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は46 歳の男性である.感冒症状を契機に緊張性瞳孔,起立性低血圧,膀胱直腸障害,全身の発汗障害などの重度の自律神経障害を発症し,全身の温痛覚障害および脳神経系および四肢の運動障害を合併した.各種検査から節後性無髄線維の軸索変性が主体の急性自律性感覚性運動性ニューロパチーと診断した.免疫グロブリン療法およびステロイドパルス療法をおこなうも自律神経障害の改善は乏しく,予後不良な経過をたどった.頭部MRI 検査にて両側三叉神経の腫大および造影効果が確認され,表在覚の障害は著明であるにもかかわらず深部覚は保たれているといった,過去の報告にはない特徴的な所見をみとめた症例であった.
  • 秋山 拓也, 田代 研之, 山本 明史
    2013 年53 巻2 号 p. 131-135
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は57歳女性である.アレルギー性鼻炎,喘息の既往があり,ロイコトリエン受容体拮抗薬投与開始約1ヵ月後から両下肢脱力,両下肢疼痛を自覚した.好酸球上昇,神経伝導検査で多発単神経炎をみとめチャーグ・ストラウス症候群(CSS)と診断した.IgG4 594 mg/dl,胆道系酵素上昇をみとめた.ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量療法によりCSSの病勢を抑制し,症候,好酸球,胆道系酵素,IgG4の改善をみとめた.CSSに合併する胆道系酵素上昇は従来胆管の好酸球性肉芽腫由来と考えられていたがIgG4関連硬化性胆管炎の可能性もあると考えられた.
  • 野崎 一朗, 松本 泰子, 山口 和由, 清水 有, 熊橋 一彦, 宗本 滋
    2013 年53 巻2 号 p. 136-142
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2013/03/06
    ジャーナル フリー
    症例は23歳男性である.2週間続く腰痛と,その後生じた頭痛で受診した.頭部MRIでは左篩骨洞炎以外に特筆すべき所見はみとめなかった.入院翌日,右同名半盲と項部硬直を生じたことから,腰椎穿刺を施行し,血性髄液をみとめた.出血源検索のための腰椎MRIで,不均一に造影される硬膜内髄外腫瘍をみとめた.腫瘍によるくも膜下出血と診断し,脳神経外科にて腫瘍摘出術を施行された.病理診断は粘液乳頭状上衣腫であり,残存腫瘍に対して術後放射線治療を追加した.脊髄粘液乳頭状上衣腫によるくも膜下出血の頭痛を生じた特異な症例であり,貴重と考え報告した.
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