日本呼吸器外科学会雑誌
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9 巻, 5 号
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  • 腋窩開胸法と比較して
    関根 康雄, 山田 英夫, 宮田 佳彦, 山田 研一, 山口 豊
    1995 年 9 巻 5 号 p. 568-572
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    胸腔鏡下肺嚢胞切除術が肺のガス交換能に及ぼす影響について, 腋窩開胸法と比較することにより検討した.腋窩開胸法6例, 胸腔鏡下手術5例に対し, 術前および術後経時的に呼気ガス分析および動脈血ガス分析を施行した.呼吸状態では両群とも呼吸数の増加, 一回換気量の減少がみられ, 分時換気量にはあまり大きな変化はみられなかった.血液ガスデータでも両群間に有意な変化はみられなかったが, PaO2において胸腔鏡下手術の方がやや良好な値を示した.VD/VTでは両群ともに一時的な上昇傾向を示し, AaDO2では手術直後より腋窩開胸法に比し胸腔鏡下手術で有意に良好な値を示した.以上より胸腔鏡下手術はガス交換能の面でも浸襲の少ない優れた方法であることが認められた.
  • 長谷川 誠紀, 村川 雅洋, 寺田 泰二, 松井 輝夫, 荒井 俊之, 森 健次郎
    1995 年 9 巻 5 号 p. 573-578
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1990年6月から1995年3月までに当院救急部・集中治療部に入院した小児患者483例中58例に対して合計252回の気管支鏡を行った.対象は生体肝移植周術期40例, 他の手術後9例, 気道異物3例などで, 気管支鏡を必要とした原因は, 無気肺・気道分泌物貯留36例, 肺炎20例, 気道狭窄8例, 気道出血7例, 肺水腫6例, 気道異物・誤嚥4例などである.無気肺24例中19例で虚脱した肺の再膨張に成功した。肺炎20例中16例で気管支鏡で得た標本から起炎菌が検出された.気道狭窄の8例は他の診断法では呼吸困難の原因がつかめず, 気管支鏡にて初めて病態が明らかになった.気道異物の2例では硬性気管支鏡にて異物が摘出された.乳児挿管例11例では我々が作製した外付けチャコネル付き極細気管支鏡が有用であった.合併症は高度低酸素血症と徐脈を呈した1例のみであった.気管支鏡は小児重症例救急例にも安全かつ有効な手段である.
  • 伊達 学, 佐藤 功, 中野 秀治, 中川 準平
    1995 年 9 巻 5 号 p. 579-585
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    触診において頚部リンパ節触知不能な症例を含むN3γ右側肺癌5症例に対し拡大リンパ節郭清術を含む集学的治療を行い, その意義について検討した。Induction chemotherapyを4例に施行し, 扁平上皮癌の1例にPRを得た.術式は葉切3例, スリーブ葉切1例, 全摘1例で, 初期の2例では従来の後側方切開にて郭清後, 仰臥位にて頚部郭清を追加したが, 他の3例は正中アプローチによる頚部縦隔連続郭清を施行した.最長生存は, 化療が奏功したT1扁平上皮癌で, 術後2年5ヵ月目に局所再発で失った.また, 2例は術後早期に肺合併症で失った.
    N3γ肺癌に対する外科治療の意義は不明であるが, 拡大郭清により長期生存が期待できる症例もある.Induction chemotherapyを付加した拡大郭清は侵襲も大きく, その意義は今後本術式が確立され, かつ症例が蓄積された時点で検討される必要があると考える.
  • 北村 道彦, 阿保 七三郎, 橋本 正治, 泉 啓一, 南谷 佳弘, 木村 愛彦, 小田嶋 敏, 戸沢 香澄
    1995 年 9 巻 5 号 p. 586-591
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺癌切除56例の治療成績を郭清リンパ節個数, 転移リンパ節個数の面から検討した.結果 : R2a+2b例の平均郭清リンパ節個数は右37, 左28と右が多かった.転移リンパ節でみると個数0;34例, 1~3;10例, 4~6;9例, 7以上;3例であった.腺癌では平均2.8個であり, 扁平上皮癌では平均1.0個と前者が多かった.全症例の5生率は66%であった.病理病期別5生率は, stageI;89%, II;83%, IIIA;47%, IV;0%であり, 転移リンパ節個数別では0;72%, 1~3;60%, 4~6;61%, 7以上;0%であった.再発は15例あり, 遠隔臓器が12例と優位でリンパ節は2例と少なかった.結論 : 左の郭清リンパ節個数は右に比べ少ないが, 再発形式に差はなかった.リンパ節転移個数が6個までは良好な予後が期待できると考えられた.また, リンパ節転移個数よりもstageの方が, よく予後を反映していた.
  • 土井 修, 児玉 憲, 東山 聖彦, 横内 秀起
    1995 年 9 巻 5 号 p. 592-596
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺手術に伴うAir leakに対し, 新しい生体接着剤GRFG glueの有用性につき検討した.
    対象は高齢者で気腫性病変や胸膜癒着が高度で, 肺切離面, 剥離面など肺胸膜欠損部からのAir leakが高度の症例や, 縮小手術としての区域切除等で切離面の広い症例でFibrin glueではAir leakの閉鎖が困難と判断された症例11例である.Glueの使用量は1症例当り2~4m/で, 接着層の再剥離は見られず, 塗布後の密封試験で11例中5例が完全に閉鎖し, 1例を除く他の5例も塗布部からのAir leakは殆ど見られなかった.ドレーンからのAir leak消失までの日数, 抜管時期はそれぞれ平均1.3病日, 3.6病日であった.ホルマリンの過剰塗布や接着郎以外への付着に注意すれば臨床上毒性は無かった.
    将来Fibrin glueに代わる有用な接着剤と思われる.
  • 松添 大助, 岩崎 昭憲, 米田 敏, 吉永 康照, 川原 克信, 白日 高歩
    1995 年 9 巻 5 号 p. 597-601
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性.左前胸部痛を主訴に入院し, 胸部X線写真で左第3肋骨前方上縁に骨融解像が認められた.胸部CT・MRI検査で, 骨融解の部位に一致した胸壁内に腫瘍が認められ, また, 腫瘍直下には肺嚢胞が認められた.胸壁腫瘍の診断で手術を施行したところ, 腫瘍と肺嚢胞の一部が一塊となっており, 術中病理検査で悪性所見が認められた.胸壁原発の悪性腫瘍と考えて胸壁と肺の一部を一塊に切除したが, 術後の病理診断は肺嚢胞壁原発の扁平上皮癌であった.本症例は胸壁へ強く浸潤していたにもかかわらず, 肺内への浸潤は認められず, 臨床的にも骨破壊を来たした時点でようやく発見されている.気腫性嚢胞の肺癌合併はよく経験されるところであるが, 本症例のように胸壁進展肺癌の形態をとるタイプもあることを強調したい.気腫性肺嚢胞症は, 嚢胞壁や胸壁の変化も観察することが重要であると考えられた.
  • 秋葉 直志, 斉藤 祐二, 山下 誠, 野田 剛, 尾高 真, 大木 隆生, 栗原 英明, 三浦 金次, 伊坪 喜八郎
    1995 年 9 巻 5 号 p. 602-605
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は18歳女性.12歳のときからMarfan 症候群で経過観察を受けていた.1993年8月31日に突然呼吸困難が出現した.胸部X線で右自然気胸と診断した.胸腔ドレナージを行なうもair leakageが持続し, 1993年9月6日に手術を施行した.摘出標本に直径1.5cmの穿孔部が認められた.術後経過は良好で第9病日に軽快退院した.1994年6月13日に解離性大動脈瘤破裂で死亡した.Marfan症候群の4.4から11%に自然気胸が合併し, 再発率が高いと報告されている.手術療法は自然気胸の治療上有効であり, また, Marfan 症候群で起こりがちな創治癒の遷延は認められなかった.
  • 島 義勝, 赤嶺 晋治, 中村 昭博, 成松 政治, 辻 博治, 田川 泰, 川原 克信, 綾部 公酪, 富田 正雄
    1995 年 9 巻 5 号 p. 606-610
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    陳旧性多発肋骨骨折に対し, セラミックピンによる肋骨固定術を行って疼痛の改善を試みた。症例は34歳の男性で, 胸部外傷受傷4ヵ月後に肋骨骨折部の著明な癖痛のため肋骨の再固定の目的で入院した.7ヵ所の変形治癒した肋骨の化骨部分を切除し, 骨髄内にセラミック肋骨ピンを挿入し, 再固定した.疼痛は消失し, 8ヵ月後, 職場に復帰し就労している.
    セラミックピンは取扱いが容易で, X線透過性もよく生体内で安定であるなどの特徴を持ち, 陳旧性肋骨骨折の変形治癒による疼痛に対しての肋骨再固定に有用と思われたので報告した.
  • 阪本 俊彦, 石井 昇, 岡田 昌義, 真庭 謙昌, 山岸 洋之
    1995 年 9 巻 5 号 p. 611-616
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    術後に低肺機能が予測された肺癌, 2症例に対し気管支形成術を併用した区域切除術を行い, 良好に肺機能を温存し得たので報告する.
    症例1 : 78歳の男性, 左S6の腺癌と診断された.術前肺機能検査ではVC 1.98L, FEV1.0 1.37Lであった.
    症例2 : 65歳の男性, 右S6の扁平上皮癌例である.肺機能検査はVC 3.30L, FEV1.0 2.92Lと良好であったが, 肺シンチグラフィーで算出された右下葉切除術後の予測残存肺機能はVC 1.12L, FEV1.0 0.86L であった.
    両例ともB6を含め下葉支, 底区支を襖状に切除する, 気管支形成術を併用しS6の区域切除術を施行した.
    2例とも術後の合併症はなく, 肺機能は良好に温存され, 術後5ヵ月, 6年の現在, 再発もなく健在である.
  • 斎藤 幸雄, 渕上 隆, 野本 靖史, Toshio Ohmori, Tohru Urushibara, 横山 孝一
    1995 年 9 巻 5 号 p. 617-621
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    緊急手術にて救命しえた胸部鈍的外傷例を経験した.症例は42歳, 男性, 交通外傷にて本院に搬送された.初診時より呼吸困難, 著明な頸胸部の皮下気腫を認め, ショック状態であった.X線透視にて右気胸を確認, 胸腔ドレナージを施行したが症状は改善せず, 気管支ファイバー検査では右上幹分岐部の損傷が確認された.他臓器には重篤な損傷が無く, 緊急開胸手術を施行した.開胸所見では右上葉に肺挫傷および裂創を認め, 右主気管支損傷による上幹の離断と主気管支膜様部の裂創を認めた.右上葉は切除し, 膜様部を修復した主気管支と中間気管支を吻合した.術後は胸壁動揺のため約3週間の人工呼吸管理を要したが経過良好であった.外傷性気管支損傷は気管分岐部近傍の主気管支横断裂が多数を占め, 本例の如く右上幹が引き抜かれる様に損傷することは極めて稀である.本症の受傷機転を考える上で興味深いため報告した.
  • 川畑 勉, 河崎 英範, 大田 守雄, 国吉 真行, 石川 清司, 源河 圭一郎
    1995 年 9 巻 5 号 p. 622-625
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    右第8肋骨に発生したきわめて稀な軟骨芽細胞腫の1例を経験した.症例は15歳, 女性で1994年4月, 学校の検診で胸部異常陰影を指摘され, 当院を受診した.自覚症状はなかった.術前に確定診断が得られなかったが, 骨融解像を伴っており悪性腫瘍を考慮に入れ, 同年8月1日, 第7, 第8肋骨を含む根治切除を施行した.腫瘍は7.5×6.5×5.0cm大で胸腔内に進展する内向型であった.病理組織学的に軟骨芽細胞腫と診断された.術後6ヵ月目の現在, 再発の兆候はなく健在である.
  • 渡辺 俊一, 下川 新二, 宮崎 俊明, 山下 正文, 松永 幸宏, 平 明
    1995 年 9 巻 5 号 p. 626-631
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 女性.高度の貧血と胸部異常陰影を指摘され紹介入院となった.眼瞼下垂・四肢の筋力低下は無く, 胸部X線写真で縦隔陰影が拡大, 胸部CTでは前縦隔に平滑な腫瘤を認めた.抗アセチルコリン受容体抗体 (a-Ach R Ab) 価が上昇し, 骨髄穿刺所見で赤芽球系細胞はほとんど見られなかった.赤芽球癆合併胸腺腫の診断で拡大胸腺摘出術を行った.胸腺腫は, 充実性で浸潤はなく正岡分類のStage Iであった.術直後に非脱分極性筋弛緩剤による遷延性無呼吸を生じ, Waning現象も確認された.赤芽球癆は術後一過性に改善したが, 再び進行した.ステロイド・蛋白同化ホルモン等を併用しパルス療法も施行し, 徐々に症状は安定した.現在術後3年を経過したが, 貧血の進行はなく社会復帰している.
  • 大谷 嘉己, 吉田 一郎, 浜田 芳郎, 大島 清宏, 佐藤 泰史, 相崎 雅弘, 高橋 徹, 大滝 章男, 石川 進, 森下 靖雄, 松本 ...
    1995 年 9 巻 5 号 p. 632-636
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症を伴った浸潤型胸腺腫に対し, 内胸動脈より動注化学療法を先行後, 手術を安全に施行し得た症例を経験した.患者は38歳の男性で, 眼瞼下垂および胸部異常陰影で胸腺腫を伴った重症筋無力症 (1型) と診断され, 抗コリンエステラーゼ剤の投与を受けた.腫瘍の大血管への浸潤が疑われ, 術前に左内胸動脈よりCis-diamminedichloroplatinum (100mg) とAdriamycin (20mg) による動注化学療法を2コース施行した.腫瘤縮小率は著明で (63%), 抗癌剤による副作用もなかった.腫瘍が浸潤していた心膜および肺の部分合併切除を伴った拡大胸腺摘出術を安全に施行し得た.術後合併症もなく順調に経過し, 退院後は放射線照射を施行した.浸潤型胸腺腫に対し, 内胸動脈より施行した術前の動注化学療法は, 腫瘤の著明な縮小により, 手術を容易かつ安全に行え, また抗癌剤による副作用も見られず, 全身投与法に比べて有用と思われた.
  • 安孫子 正美, 佐藤 徹, 鷲尾 正彦
    1995 年 9 巻 5 号 p. 637-641
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は46歳の女性.約6年前から気管支喘息として加療されていたが, 最近呼吸困難が増悪し, 精査の結果喘息ではなく, 声門直下の全周性の気管狭窄症と診断された.治療として狭窄部の管状切除, 端々吻合術を施行した.組織像は粘膜固有層に厚い隆起性瘢痕を認めたが, 特異的所見は認めなかった.結核や頸部の外傷, 気管内挿管などの既往はなく, 臨床病理学的に特発性気管狭窄症と診断した.特発性喉頭気管狭窄症は, Grilloらをはじめ以前より報告例が散見されているが, 本邦での報告例はほとんど認められていない.
  • 山本 良二, 飯岡 壮吾, 多田 弘人, 貴志 彰宏
    1995 年 9 巻 5 号 p. 642-646
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 男性.cT4N2M0 Stage IIIBの肺扁平上皮癌と診断された.CDDP100mg/m2, VDS3mg/m2を2コースとL5 Gy×2/day計30 Gyの Induction therapyを施行後yT2N2M0 Stage IIIAとなった.手術予定時まで自宅で待機中に腫瘍空洞の破裂による右膿気胸を合併し, ドレナージ施行2日後に右肺全摘術を行った.気管支断端は第3, 4有茎肋間筋肉弁で被覆した.術後経過は良好であった.放射線化学療法後の胸腔内感染を伴った右肺全摘術は気管支断端瘻発生の危険性が高く, 発生後の予後は不良である.集学的治療が増加する今日このような悪条件の症例が増えることが懸念されるが, 有茎肋間筋肉弁による気管支断端被覆は気管支瘻発生予防に有用であると考えられた.
  • 田中 康一, 三浦 隆, 岡田 秀司, 吉松 俊英, 葉玉 哲生, 内田 雄三
    1995 年 9 巻 5 号 p. 647-651
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    挿管後気管狭窄に対する治療はいまだ容易ではない.最近, 我々は本症の1例を経験し輪状軟骨気管軟骨吻合を行い治癒し得たので報告する。症例は32歳の男性で, 睡眠薬の多量服用により昏睡状態となり, 12日間の気管内挿管を受け, 1ヵ月後に気管狭窄による呼吸困難が出現した.瘢痕性狭窄の主部は高位気管であったが一部声門下腔下縁まで及んでいた.狭窄部直下に気管切開を行い気道を確保した後, 輪状軟骨を温存して狭窄部気管を約5cm切除し, 輪状軟骨気管吻合術を施行した.声門下肉芽組織は完全には切除出来なかったが, 術後経過は良好で, 吻合部狭窄は全く認めず, また発声障害も起こさなかった.
  • 仲宗根 朝紀, 君野 孝二, 武冨 勝郎, 飛永 晃二, 岸川 正大
    1995 年 9 巻 5 号 p. 652-657
    発行日: 1995/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性.胸部X線上右上肺野に2×1.5cmの辺縁明瞭な陰影を認め精査のため当院内科入院.気管支鏡下擦過細胞診で低分化腺癌の診断のため右上葉切除術, 縦隔リンパ節郭清を施行した.組織学的には, カルチノイド様パターン, 巨細胞, bizarre細胞が混在し, 電顕像でdense cored vesicleを認め多彩な組織像を呈した肺原発neuroendocrine carcinomaと診断した.リンパ節転移は認められずP-TINOMOでI期であったがDNAploidy分析ではaneuploidyであることから自験例は予後不良と考えられた.本邦でも本腫瘍に関して今後の症例の集積による腫瘍動態, 治療, 再発, 予後等に関しての検討が必要と考えられた.
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