日本呼吸器外科学会雑誌
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15 巻, 7 号
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  • 高橋 修, 濱武 基陽, 金子 聡, 中橋 恒
    2001 年 15 巻 7 号 p. 727-731
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    80歳以上の超高齢者非小細胞肺癌完全切除例29例を対象として手術成績, 合併症, 予後について検討した.累積5年生存率は48.3%であった.対象症例の病理学的病期別の5年生存率は, I期56.7%, II, III, IV期38.1%で, 有意差を認めなかった.縮小手術の5年生存率は80 .2%と比較的良好な予後が得られ, ドレーン留置期間, 術後在院期間が短い傾向を示した.耐術能が低下していると考えられる超高齢者の小型非小細胞肺癌に対しては, QOLの面からも縮小手術を選択肢の1つとして考慮してもよいと考えられた.
  • 早川 正宣, 前田 元, 澤端 章好, 船越 康信, 奥村 好邦
    2001 年 15 巻 7 号 p. 732-735
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1988年から1999年までの12年間に国立療養所刀根山病院で肺結核の診断にて手術を施行した22例について検討した.男性14例, 女性8例.年齢は30-75歳, 平均49歳.手術施行理由は, 多剤耐性菌例が17例, 喀血例4例, 荒蕪肺例1例であった.多剤耐性菌症例の菌陰性化率は, 88.2%と良好で, 術後合併症発生率は17.6%, 術死及び在院死はなかった.感受性のある薬剤数と菌陰性化率の間に有意な相関を認めなかったが, 多剤耐性菌と判明した後の化療期間が, 長期なほど排菌陽性率が高い傾向がみられた.再発例の原因として, 1例は, 切除断端に病巣が遺残したためで, もう1例は, 対側の散布巣が再燃し, 空洞を形成したためと考えられた.以上より, 多剤耐性菌症例においては, 病巣の拡大や新たな耐性の出現がない時期に手術を行う必要性があると思われた.
  • 植田 真三久, 坪田 紀明, 松岡 英仁, 宮本 良文, 吉村 雅裕
    2001 年 15 巻 7 号 p. 736-740
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1984年6月から1999年12月までに行われた原発性肺癌手術症例1, 337例を対象とし, 周術期に問題となった4つの合併症についてそれらの対策と治療成績を述べる.なお術後1ヵ月以内の術死は3例, 0 .2%であった.
    (1) 術前に腫瘍に関連した急性呼吸器病変を有した症例 (n=20): 緊急手術となった4例は救命できたが待機手術の閉塞性肺炎1例を術後肺炎で失った.手術時期の決定が術後経過を左右し, 術前からの十分な管理が必要であった. (2) 特発性間質性肺炎を有する症例 (n=10): 初期3例は急性増悪にて死亡したが, 周術期における過剰酸素投与の回避とステロイドパルス療法及び抗生剤の長期投与にて最近の連続7例は治癒退院した. (3) 術後膿胸例 (u=15): 発症時期は急性期が9例 (全例生存), 晩期 (1ヵ月から2年) が6例であった.晩期発症の6例全例に術前補助療法が行われており2例が死亡した. (4) 術後間質性肺炎例 (n=11): ステロイドパルス療法の開始が遅れた初期の5例は死亡したが, 発症早期に治療を開始した最近の連続6症例は救命した.
    これらの合併症対策により, 当センターの原発性肺癌手術における全死亡率 (術死+在院死) は前期465例/7年の13例, 2.8%から後期872例/8年の7例, 0.8%に減少した.
  • 高野 浩昌, 山川 久美, 佐藤 展将
    2001 年 15 巻 7 号 p. 741-746
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    自然気胸に対して胸腔鏡下に施行した, 自動縫合器による嚢胞切除術と内視鏡用結紮糸による結紮術を比較検討した.1994年9月から2000年9月までに自然気胸に対して行われた胸腔鏡手術のうち, 初回手術例197例204側 (切除群: 74例77側, 結紮群: 123例127側) を対象とした.術後再発例は, 切除群で16例 (20.8%), 結紮群で5例 (3.9%) であり, 再発率は結紮群で有意に低い結果となった (p=0.0001).切除群の再発例16例中9例に再手術を行ったが, このうち4例で初回手術時の切除線に新たな嚢胞が認められた.一方, 結紮群では, 再発例5例中1例で再手術を行ったが, 結紮点における嚢胞の新生はなく, 他の4例でも画像的に新たな嚢胞は認められなかった.自然気胸に対する胸腔鏡下肺嚢胞結紮術は, その再発率を低下させうる可能性を有し, 有用な術式であると考えられた.
  • 吹野 俊介, 深田 民人, 岡田 耕一郎, 目次 裕之, 三和 健
    2001 年 15 巻 7 号 p. 747-751
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    肺の定型的カルチノイドが陳旧性結核病巣に発生した稀な症例を経験したので報告する.症例は, 75歳, 女性, 胸部X線写真で2cmのcoin lesionを指摘され, CTガイド下生検で定型的カルチノイドと診断された.胸腔鏡下右中葉切除術 (ND2a) を施行した.腫瘤は右S4aに1.1×0.9×0.5cmの大きさで, 境界明瞭, 割面は褐色であった.腫瘤の中心部は陳旧性結核病巣で, その壁に定型的カルチノイド胞巣が散在しているのが認められた.病理病期は, p-Stage I, p-T1N0M0, p0d0e0pm0で, 術後経過は良好で, 術後6ヵ月の現在再発の徴候は認められない.
    定型的カルチノイドといえども, リソパ節転移をきたすことがあり, 低侵襲な胸腔鏡下手術によるリソパ節郭清の良い適応と考えられる.
  • 孤立性骨転移肺癌症例の手術適応に関する考察
    大澤 久慶, 佐藤 諦, 田中 明彦, 田中 利明, 前川 功二
    2001 年 15 巻 7 号 p. 752-757
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    腫大した胸骨転移にて発見された肺癌症例に対して左上葉切除と胸骨切除再建を一期的に施行したので報告する.症例は50歳, 男性.胸骨と左上肺野に腫瘍を認め, 胸骨生検と気管支細胞診の結果から, 原発性肺癌とその胸骨転移との診断を得た.胸骨以外には転移巣を認めないこと, 肺癌, 胸骨転移巣がそれぞれ切除可能であること, 縦隔リンパ節転移を認めないこと等から一期的切除を行う方針とした.胸骨の切除範囲は, 第2肋骨上縁から第4肋骨下縁までとし, 周囲の肋骨ごとen blocに切除した.続いて左第4肋間開胸で, 左上葉切除とリンパ節郭清を行い, 胸骨欠損部はMethyl methacrylic resinにMarlex meshをサソドイッチさせた方法で再建した.術後は, 感染や胸壁の動揺もなく, 職場に復帰したが, 癌再発にて1年後に死亡した.
  • 山下 芳典, 清水 克彦, 宮原 栄治, 峠 哲哉
    2001 年 15 巻 7 号 p. 758-763
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は69歳, 女性.検診にて右肺に異常陰影を指摘され, 当科へ紹介された.胸部CTにて右肺S3b, 肺門部に2cm大の腫瘍を認め, 画像上肺癌 (cT1N0M0) を疑ったが, 術前に気管支鏡下に施行された細胞診・組織診では確定診断を得ることはできなかった.そのため診断および治療目的にて外科的生検を先行する手術を施行した.開胸下に腫瘍を露出したが肺門にありexcisional biopsyは不可能であり, cutting biopsy形式の18ゲージ針を用いてueedle biopsyを行った.迅速病理にて悪性の診断を得て右上葉切除術を施行した (sT1N0M0).永久病理にてadenocarcinoma, pT1N0M0, p0であったが, 閉胸前に行った胸腔内洗浄細胞診にて腫瘍細胞とともに気管支上皮細胞が確認され, needle biopsyによる腫瘍細胞の胸腔内脱落と判断した.
    術前の経皮針生検による腫瘍細胞の散布が問題になっているが, 今回のように術中の針生検でも同様の問題が起こりうる.熟練した術者により, fine needleを用いて, 出血させ癌細胞を流出させることなく, 1回の穿刺で診断をつけることが重要と考えられる.
  • 桂 浩, 井内 敬二, 松村 晃秀, 末岐 博文, 田中 壽一, 大森 謙一, 大倉 英司, 白橋 幸洋, 後藤 正志, 森 隆
    2001 年 15 巻 7 号 p. 764-768
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は63歳男性.突然の胸背部痛で発症, 画像上縦隔の拡大, 右血性胸水さらに縦隔に腫瘤影を認め, 奇形腫の破裂が疑われ紹介された.術前には画像上縮小した腫瘤影を認めるのみであった.1999年8月右側腋窩経路で腫瘍摘出術を行った.右胸腔内は癒着を認めるのみで, 明らかな破裂を疑わせる所見はなかった.腫瘍は胸腺右下極へ連続, 術中病理検査で胸腺カルチノイドが疑われ腫瘍摘出と胸腺部分切除を行った.術後病理診断で胸腺カルチノイドと確定されたが, 胸腺切除断端陽性が疑われたため, 同9月胸骨正中経路で胸腺摘出術を行った.縦隔内には明らかな腫瘍破裂を疑わす所見は認めず, 胸腺内には腫瘍遺残などは認めなかった.術後約1年9ヵ月の現在, 再発などは認めていない.縦隔腫瘍中, 奇形腫の破裂は時に認めるが, 胸腺カルチノイドの破裂は極めて稀であった.
  • 四方 裕夫, 土島 秀次, 野中 利通, 佐久間 勉, 松原 純一, 渡邊 洋宇
    2001 年 15 巻 7 号 p. 769-773
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は54歳男性.53歳時の受傷直後の軽症の血気胸に保存的治療 (穿刺吸引) を行い紹介元へ転医した.4日後に突然大量の血胸が生じたため, 持続吸引ドレナージを行い約1ヵ月で退院となった.受傷1年後に横行結腸と大網が嵌頓する遅発性外傷性横隔膜ヘルニア発症を経験した.手術所見より肺の一部がヘルニア栓となって腹腔臓器の滑脱を防いでいたが, ヘルニア栓が外れて遅発性外傷性横隔膜ヘルニアが発症したものと考察した.受傷時, 4日後の横隔膜裂傷時, ヘルニア栓による無症状時, 横隔膜ヘルニア閉塞絞扼時のそれぞれ時期の状態を画像上比較検討し, 横隔膜損傷の手術適応と遅発性外傷性横隔膜ヘルニアの発症機序に関し考察した.
  • 栗栖 純穂, 平 泰彦, 安藤 幸二, 横手 薫美夫, 打越 敏之, 小川 裕, 中込 幸一, 長田 博昭
    2001 年 15 巻 7 号 p. 774-778
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は61歳, 男性.主訴は, 血痰・喀血.右下葉の肺動脈瘤が急速に増大し, 手術目的にて入院となった.肺動脈瘤と下大静脈血栓症の既往からHughes-Stovin症候群と診断した.右下葉切除術を施行し, 術後にコルヒチン1mg/日とプレドニゾロソ30mg/日の投与を行った.外来でプレドニゾロンを15mg/日まで漸減していったが, 10ヵ月後には両肺に残存した肺動脈瘤は消失し, 血痰・喀血も寛解した.しかしながら本症の病態・治療は未だ確立されておらず, 今後とも症例を蓄積し検討が必要であると考えられた.
  • 原 政樹, 松崎 泰憲, 枝川 正雄, 前田 正幸, 清水 哲哉, 富田 雅樹, 鬼塚 敏男
    2001 年 15 巻 7 号 p. 779-784
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    稀な非定型抗酸菌症を伴った肺分画症の1切除例を報告する.症例は43歳男性で, 近医にて右肺下葉に嚢胞を伴う非定型抗酸菌症の診断にて治療されていたが, 症状が反復再燃し, 嚢胞内の鏡面像も存在したため, 嚢胞の持続感染を疑い, 当科紹介になった.紹介時点で, 胸部X線写真および胸部CT上, 右肺全体に小葉中心性の結節および細気管支の拡張を認め, Mycobacterium intracellulareの喀痰排菌を認めたため, RFP, EB, clarithromycin (CAM) の3剤併用療法を行った.胸部CTにより肺分画症が疑われたため血管造影を行ったところ, 下行胸部大動脈より右肺下葉嚢胞部に走行する1本の動脈を認め, 肺分画症の診断を得た.右肺浸潤影の軽快を確認し, 手術を施行した.右下葉の嚢胞性病変内は, 隔壁を伴う多嚢胞性で, 黄白色の膿を認めた.分画症病変を含めた右中下葉切除を施行した.
  • 内海 朝喜, 城戸 哲夫, 山村 憲幸, 福井 伸哉, 吉川 智
    2001 年 15 巻 7 号 p. 785-790
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    食道癌根治術後肺癌に右上葉切除術を施行し, 胸腔内の死腔を伴った難治性肺瘻を生じた症例に, 遊離腹直筋皮弁充填術を施行し, 良好な結果を得たので報告する.患者は64歳男性.主訴は胸部異常陰影.1993年に食道癌根治術の既往がある.2000年7月18日, 右肺癌に対して右上葉切除を行った際, 右肺上部に死腔が残存した.術直後より肺瘻を認め, OK432胸腔内注入を計5回, 自己血注入を1回施行し, さらに胸腔鏡下肺瘻閉鎖術, 肋間筋弁被覆術を行うも, 肺瘻が再発した.10月26日, 遊離腹直筋皮弁充填術を施行した.右下腹壁動静脈を茎とする腹直筋皮弁を, 胸肩峰動静脈に吻合し, 瘻孔に縫着, 死腔に充填した.術後7ヵ月の現在まで, 術後経過は良好である.形成外科手法の遊離腹直筋皮弁充填術は, 死腔を伴った肺切除後の難治性肺瘻の早期治療に有効であった.
  • 樋口 光徳, 大杉 純, 塩 豊, 鈴木 弘行, 藤生 浩一, 管野 隆三, 大石 明雄, 後藤 満一
    2001 年 15 巻 7 号 p. 791-795
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性, 検診にて胸部異常陰影を指摘され, 精査にて左肩甲骨転移を伴う左肺S4の腺癌と診断された.術前CEAは96.8ng/mlと高値を示した.左肺楔状上葉切除術・左肩甲骨摘除術を行った.術後補助療法として化学療法および縦隔に対し計60Gyの放射線療法を施行した.初回手術後1年4ヵ月の胸部CTにて左S6に小結節を認め, 結節の増大およびCEAの漸増を認めたため, 左S6の結節巣に対し左肺部分切除術を施行・摘出標本の病理により前回の肺腺癌の肺内転移と診断された.初回手術後6年4ヵ月経過した現在, 遠隔転移・局所再発の兆候は認めず無担癌生存中である.骨転移を有する進行非小細胞肺癌の治療成績は極めて不良である.また骨転移巣に対する局所治療はQOLの改善が主体であり, 予後には関係しないとされている.しかし, 単発性の骨転移では本症例のように長期生存の報告もあり, 外科的切除の適応となる可能性がある.
  • 田中 明彦, 大澤 久慶, 前川 功二, 田中 利明
    2001 年 15 巻 7 号 p. 796-801
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々は, 外傷性多発肋骨骨折による陥凹胸壁を有する症例に対して積極的に胸壁矯正手術を行い, 胸郭の変形による低肺機能を防止するとともに人工呼吸器よりの早期の離脱に成功した.手術に際しては, 一肋骨にニケ所以上の骨折点を有する分節骨折の修復に金属プレート (リコンストラクションプレート) を使用した.同プレートは, 長さが26cmあり, 複数の骨折点を越えて肋骨の全長にわたり, 添え木を当てるように固定できる.そのため, 骨膜の剥離や骨折部位の開大を行うことなく, 容易に陥凹胸壁を修復できた.
    リコンストラクションプレートを骨折肋骨の全長にわたって固定する胸壁矯正術は, 多発肋骨骨折による胸郭陥凹症例に対して, その簡便性より標準的手術手技となりうると考えられた.
  • 中桐 伴行, 明石 章則, 重村 周文, 近藤 祐一
    2001 年 15 巻 7 号 p. 802-805
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    血清CA125が高値であった月経随伴性気胸に対して, VATS下横隔膜切除を施行し, 病理学的に異所性子宮内膜症を証明出来た一例を経験したので報告する.症例は45歳女性.37歳時, 右気胸にて胸腔ドレナージを施行.44歳時, 右気胸再発.VATS下手術を施行した.45歳時, 右気胸再々発.発症が月経に随伴し, 血清CA125が41 U/mlと高値であることより, 月経随伴性気胸を疑った.VATSにて横隔膜に菲薄化した部位と欠損孔を認め, 横隔膜切除を施行した.病理検査の結果, 横隔膜の異所性子宮内膜症と診断された.術後血清CA125は正常化した.血清CA125が月経随伴性気胸の補助診断に有用であった.
  • 松本 成司, 柳原 一広, 伊東 真哉, 中村 隆之, 李 美於, 大竹 洋介, 磯和 理貴, 板東 徹, 田中 文啓, 長谷川 誠紀, 乾 ...
    2001 年 15 巻 7 号 p. 806-809
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は80歳女性.67歳時右乳癌にて手術を施行された.術後13年目の2000年8月胸部Xpにて右下肺野に腫瘤陰影を認めた.胸部CTにて右S10胸膜直下に辺縁平滑で石灰化は認められない直径1cm大の腫瘤を認めた.診断治療目的にて2000年11月胸腔鏡下肺部分切除術を施行.術中組織診断にて悪性細胞を認めず.永久標本にて肺犬糸状虫症と診断された.肺犬糸状虫症は術前診断がなされることは少なく, 開胸肺生検がなされる.確定診断に侵襲の少ない胸腔鏡下肺生検を用いることは有用であり, 肺野末梢結節影の鑑別疾患の1つとして考慮すべきと思われる.
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