日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
8 巻, 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 吉竹 毅, 菅原 勇, 古瀬 彰, 川内 基裕, 中島 淳, Makoto Takeda
    1994 年 8 巻 5 号 p. 548-554
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    日本猿に一側同種肺移植を行い, 術後免疫抑制剤としてFK506を用い, 術後慢性移行期の移植肺及び脾臓のMHC class 1およびclass 2抗原の発現程度を免疫組織染色により検索した.
    移植肺の肺胞, 気管支上皮ではclass 1およびclass 2抗原発現が正常日本猿のそれらに比し強調された.非移植対側肺では移植肺より強調の程度が少なかった。血管内皮ではclass 1抗原発現において, 正常日本猿との差を認めなかったがclass 2抗原では明かに移植肺に発現強調が認められた.非移植対側肺の血管内皮では移植肺との著差を認めなかった.
    Recipientの脾臓では, 特に, 正常日本猿の脾臓に比しclass 1およびclass 2抗原共に発現が著明であった.
    これらの結果よりMHC抗原の発現では, 免疫抑制剤使用下, 一側同種肺移植後慢性移行期において, 移植肺と共に脾臓にも免疫反応活性の持続が示唆された.
  • 中橋 恒, 金子 聡, 下川 敏弘, 安元 公正
    1994 年 8 巻 5 号 p. 555-559
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺シンチグラフィーを用い術前肺機能より算出した予測残存一秒量が582~700ml/m2の低肺機能を合併した原発性肺癌切除症例16例について, 予測残存一秒量の耐術能の指標としての意義について検討した.術後合併症なく順調に経過した症例は10例であった.呼吸器合併症は無気肺2例・呼吸不全1例で, 2例死亡している.その他の合併症として急性心不全・脳梗塞・術後出血それぞれ1例であった.予測残存一秒量と術後の実測値は平均値に有意の差はなく, 合併症なしの例とありの例で予測値に差を認めなかった.予測残存一秒量による肺切除の安全限界の設定により約2/3の症例に安全な手術が可能であったが, 単独での評価ではハイリスク群の選定が不十分であった.術前の一秒率とCTによる気腫性変化の画像的評価を加味し術後の合併症との関係について見ると, 呼吸器合併症例は, 全例一秒率70%以下の閉塞性障害を呈し, CT上も強い気腫性変化を認めた.死亡した2例は特に高度な気腫性変化を呈していた.
    以上より肺切除の安全限界の指標として予測残存一秒量は有用ではあるが, 単独での評価ではハイリスク群の選定には不十分であり, 術前肺機能やCTによる画像的評価との組み合わせにる総合評価を行うべきで, 特にCTでの気腫性変化の評価は有用と考える.
  • 杉 和郎, 金田 好和, 縄田 純彦, 江里 健輔
    1994 年 8 巻 5 号 p. 560-564
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌に対する治癒切除を胸腔鏡下手術でなしうるか否かを検討した。ここでの治癒切除とは, 肺葉内に留まる原発巣を切除し, N1b以上のリンパ節転移がなく, かつpm1を除く遠隔転移がないと確認されることを条件とした.1978年から1993年まで当科で手術を施行した原発性肺癌症例のうち, 主気管支に浸潤が及ばないpT2以下, p2以下かつpmを除くMOの原発性肺癌 (112例) でリンパ節転移が#14, #13に留まる症例 (63例) は, 腺癌では最大35mm, 扁平上皮癌では最大45mmであった.リンパ節転移を検索するのにサンプリングすべき必要最小限のリンパ節は, 右側で肺門リンパ節と#3, #4, #7であり, 左側では肺門リンパ節と#4, #5, #6, #7であった.以上より, 腺癌では35mm, 扁平上皮癌では45mm以下の腫瘍で, サンプリングによりpNla以下であることが確認されれば, 原発性肺癌の胸腔鏡下治癒切除の可能性が示唆された.
  • 藤澤 武彦, 山口 豊, 馬場 雅行, 安川 朋久, 深澤 敏男, 武田 恒弘, 斎藤 幸雄, 関根 康雄, 柴 光年, 斎藤 博明
    1994 年 8 巻 5 号 p. 565-570
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌切除例353例を用いて, 高齢者肺癌の外科治療における免疫能の低下の問題点と免疫賦活の意義につき検討した.PPD, Candida およびSK/SD抗原による遅延型皮膚反応では3種の抗原とも加齢と共に陽性率は低下し, 特にSK/SD抗原では59歳以下と60歳代および70歳以上で推計学的に有意差が認められた.呼吸器系合併症はSK/SD陰性例で, 特に70歳以上の例に有意に多くみられたことからSK/SD遅延型皮膚反応は高齢者肺癌の術後呼吸器系合併症の予測因子として有用であると考える.またSK/SD遅延型皮膚反応は高齢者の, 特にIII期例の生存率と関連し, TF投与例は非投与例より推計学的に有意に良好な生存率がえられた.高齢者肺癌の外科治療に際しては可能な限り免疫賦活を計ることが治療成績向上に重要である.
  • 治療成績, 手術適応について
    中村 昭博, 川原 克信, 赤嶺 晋治, 高橋 孝郎, 辻 博治, 田川 泰, 綾部 公懿, 富田 正雄
    1994 年 8 巻 5 号 p. 571-575
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1971年より1992年12月までに当科で経験した巨大肺嚢胞症手術症例33例について検討した.術式は, Naclerio-Langer法に準じた縫縮および自動縫合器による肺部分切除を含めた嚢胞切除を主体とし, 両側性8例には胸骨縦切開による両側同時手術を行った.また最近の2症例には, 胸腔鏡下に両側嚢胞切除術を施行した. Hugh-Jones分類で術前II度以上の呼吸困難を示した症例のうち78%で呼吸困難の改善がみられた.また肺機能の変化についてみると, 術後の1秒率の有意な改善がみられた.肺機能の長期的推移を検討したところ, 術前の1秒率が50%以上の症例のうち69%で, 術後の改善とその後の長期間の維持がみられた.術前の1秒率が50%未満の3症例は, 術後早期には1秒率と呼吸困難の改善がみられたが, 加齢と共に再度閉塞性障害が進行した.
    巨大肺嚢胞症に対し, 胸腔鏡下手術も含めて嚢胞切除は有用であったが, 手術適応については更に検討が必要である.
  • 死体冷却と死体肺 flushing の効果について
    梅森 君樹
    1994 年 8 巻 5 号 p. 576-584
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    心停止後の肺移植における死体冷却と死体肺 flushingの効果を, 犬左肺他家移植モデルにて検討した.ドナーはヘパリン化することなくKClにて犠牲死後, 以下の3群に分けた. WIT (warm ischemic time) 群 (n=6) : 気管チューブを利用して100% O2で肺を inflateした状態で4時間室温下に放置した. CIT (cold ischemic time) 群 (n=6) : WIT群と同様の操作を加え, 氷を用いて体表面から冷却し, 4時間放置した. LPDG (low potassium dextran glucose) 群 (n=6) : 1時間室温下に放置後, 肺を LPDG液で fiushし心停止後から4時間経過するように保存した.各群とも左肺他家移植後, レシピエントの右肺動脈を結紮し, 経時的に6時間まで移植肺機能を評価した.各群とも全例6時間生存した. PaO2, PaCO2は LPDG群, CIT群, WIT群の順に良好に経過した. LPDG群は他の2群に比べ有意 (P<0.05) に良好であったが, CIT, WIT群間には有意差を認めなかった.移植6時間後の湿乾燥重量比は LPDG群4.99±0.23, CIT群5.77±0.56, WIT群6.20±0.26であり, LPDG群はWIT群より有意 (P<0.05) に低植を示した.以上より心停止後4時間の肺を移植に使用するためには100% O2 inflation, 死体冷却だけでは充分な効果はなく, 心停止後早期の fiushingが必要と考えられた.
  • 前原 孝光, 荒井 他嘉司, 稲垣 敬三, 森田 敬知, 矢野 真, 伊藤 秀幸, 野村 友清, 小島 宏司, 藤井 祐次
    1994 年 8 巻 5 号 p. 585-589
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    当院にて1979年から1991年の間に手術療法を施行した気管支拡張症25例の遠隔成績をもとに外科治療の意義につき検討した.手術適応は血痰, 反復性肺炎, 膿性痰であり, いずれも保存的治療は長期に及んでいた.術式は, 1葉切除が16例, 2葉切除が2例, 全摘除が6例, 区域切除が1例であった.病巣完全切除の14例中12例は無症状となり, 残り2例は症状軽快した (100%改善).両側性気管支拡張症9例には片側のみ手術を行い, 反対側の残存気管支拡張病巣が1亜区域の時は100%症状が改善し, 2亜区域の時は86%改善していたが, 3亜区域の時はすべて症状が持続した.気管支拡張症に対して, 保存的治療に抵抗し, 病巣範囲が片側限局性であることが外科治療の良い適応となるが, 両側性気管支拡張症であっても, 対側肺の病巣の合計が1区域以内程度の軽度のものでは症状改善を期待した外科療法の適応と考えられた.
  • 根津 邦基, 飯岡 壮吾, 澤端 章好, 東条 尚, 櫛部 圭司, 河内 寛治, 北村 惣一郎
    1994 年 8 巻 5 号 p. 590-595
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は68歳, 男性.左B4原発扁平上皮癌にて左上葉楔状切除術を施行した.術後放射線照射 (総線量50Gy) を受け, その2ヵ月後放射線肺炎を発症した.術後1年3ヵ月目に労作時呼吸困難感増強のため気管支鏡検査を施行したところ, 左下幹入口部はpin-hole状に狭窄していた.癌再発に原因するものではなく, 左上葉楔状切除術後の変形による狭窄と考えられた.本例に対し, バルーンによる狭窄部の拡張を行った.拡張術後, 労作時呼吸困難感は消失し, 肺機能は改善した.拡張術後1年2ヵ月経過した現在, 同部の気管支の再狭窄はなくQOLの改善が得られている.本法は簡便な治療法であり, 肺葉切除術後の気管支狭窄に対しても, まず第一に考慮すべき手技と考えられた.
  • 渡辺 俊一, 小田 誠, 太田 安彦, 林 義信, 清水 淳三, 渡辺 洋宇
    1994 年 8 巻 5 号 p. 596-600
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は6歳, 男児.生後7ヵ月頃から前胸部陥凹が目立つようになった.1歳6ヵ月頃から発育の遅延, X脚, 偏平足などを認めるようになり当院小児科を受診, Morquio症候群との診断を受けた.当科にて漏斗胸に対し腹直筋有茎胸骨翻転術を施行した.Morquio症候群は遺伝性ムコ多糖代謝異常症のIV型に属するまれな疾患で, 特別な治療法はなく対症療法のみが施行される.Morquio症候群にみられる胸郭や脊柱の変形に対しては, しばしぼ装具を用いた保存的療法が行われるがあまり効果はなく, 逆に心肺機能を抑える結果となったり, また本疾患は知能障害を伴わないため装具の着用が精神的に強い負担となることが多い.漏斗胸を合併したMorquio症候群患者に対する胸骨翻転術は, 精神的にも心肺機能上も有効な治療法であると思われた.
  • 片岡 和彦, 松浦 求樹, 妹尾 紀具
    1994 年 8 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    dumbbell型後縦隔神経鞘腫の1手術例を経験した.症例は36歳男性で, 感冒症状で近医を受診し, 胸部異常影を指摘された.CT, MRIにて, Th2, 3の傍脊椎部に腫瘤影を認め, 拡大した椎間孔から入り込んで硬膜に接しており, dumbbell型後縦隔腫瘍と診断された.MRIは, dumbbell型腫瘍の広がりを3次元的に描出することができ, 硬膜と腫瘍の関係については, ミエログラフィー併用CTに匹敵する所見が得られ, 有用であった.手術は後方, 側方経路併用による一期的手術を選択した.まず腹臥位にて背部正中切開より椎弓切除を施行し, 椎体内腫瘍を剥離した後, 腫瘍に入る神経根を切離した.次に右側臥位とし, 腋窩切開より開胸し, 腫瘍を側方より摘出した.病理学的には良性神経鞘腫であった.dumbbell型腫瘍にはさまざまな術式が報告されているが, 体位変換を伴う後方, 側方経路併用が安全で侵襲も小さいと考えられた.
  • 岡田 克典, 近藤 丘, 半田 政志, 大浦 裕之, 島田 和佳, 広瀬 正秀, 堀越 章, 杉田 真, 佐渡 哲, 佐藤 伸之, 斉藤 泰 ...
    1994 年 8 巻 5 号 p. 607-612
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    左側心横隔膜角に発生したCastleman リンパ腫の1手術例を経験したので報告する.症例は43歳女性で, 集団検診で左下肺野の腫瘤陰影を指摘され当科紹介となった.胸部CT, MRIでは, 左側心横隔膜角に心膜, 横隔膜と接して小児手拳大の充実性の腫瘤が認められた.血管造影を施行したところ, 発達した左内胸動脈が腫瘤に分布するのが認められた.以上より, 横隔膜腫瘍を疑い開胸術を施行した.左第6肋間前側方切開で開胸すると, 心横隔膜角に小児手拳大, 弾性硬の被包化された腫瘤が認められ, 心膜, 横隔膜より剥離し, 完全に摘出した.病理組織学的には, hyaline vascular型のCastlemanリンパ腫と診断された.心横隔膜角に発生したCastleman リンパ腫の報告はまれであるが, この部の腫瘤陰影の鑑別診断においては, 本疾患も含め, 横隔膜リンパ節由来の疾患も念頭におく必要があるものと考える.
  • 堀田 圭一, 須田 久雄, 岡崎 幸生, 桜木 徹, 夏秋 正文, 伊藤 翼
    1994 年 8 巻 5 号 p. 613-618
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    鈍的外傷に伴う気管断裂2例を経験した.第1例目は頚部気管鈍的外傷に伴う頚部気管完全断裂を来たし, 受傷翌日に頚部襟状切開+胸骨正中切開法によるアプローチで気管形成を施行した.第2例目は胸腔内不完全気管断裂で, 外傷直後より呼吸困難を呈し受傷後1日目に右開胸下に気管形成を施行した.
    今回我々が経験した外傷性気管断裂2症例を中心に気管断裂に対する診断, 手術アプローチについて検討してみた.
  • 小間 勝, 明石 章則, 大橋 秀一, 余田 洋右, 神野 浩樹, Toshihiro Okada, 洪 基浩, 鄭 一秀
    1994 年 8 巻 5 号 p. 619-623
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    患者は67歳の女性で, 自己転倒の際に, 左前胸部に縫い針が刺入したがその一部を抜去し放置していた.3年後気胸が発症した際に, 肺内伏針が発見された.我々は胸腔鏡下に肺内伏針を摘出するととも1に気胸を根治した.胸腔鏡下外科手術による伏針摘出術は手術侵襲が小さく術後の疼痛が極めて少ないため従来の開胸下摘出術に比べ非常に有利な手術法と考えられた.
  • 横地 隆, 丹羽 宏, 山川 洋右, 桐山 昌伸, 深井 一郎, 山田 健, 片山 良彦, 田那村 收, 斎藤 雄史, 二之湯 勝啓, 正岡 ...
    1994 年 8 巻 5 号 p. 624-628
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    後縦隔胸管嚢腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.症例は19歳男性。検診にて縦隔異常陰影を指摘されたが, その後増大傾向を認めたため紹介受診となった.椎体前面にあり両側胸腔に向かって発育する腫瘤で, 精査にて嚢腫性疾患を疑ったが, 確定診断に到らず手術を施行した.左側開胸すると, 後縦隔にあり対側に及ぶ嚢腫で嚢腫の頭側, 尾側は胸管に連なり, 内容液は血性乳麋であった.このため胸管嚢腫と診断した.胸管嚢腫は極めて稀な腫瘍で, 現在までに縦隔内発生が25例前告されているにすぎない.
  • 管野 隆三, 伊勢 一哉, 鈴木 正雄, 櫛田 正男, 矢内 康一, 大石 明雄, 薄場 彰, 井上 仁, 元木 良一
    1994 年 8 巻 5 号 p. 629-637
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    種々の腫瘍マーカーが高値を呈した縦隔未熟奇形腫の一例を経験した.症例は39歳の女性, 主訴は呼吸困難, 胸部痛.胸部X線単純写真及び胸部CT写真上, 前縦隔から左胸腔を占拠する大きな縦隔腫瘍を認めた.腫瘍の針生検では成熟奇形腫の診断であったが, AFP, CA19-9, CA12-5等の腫瘍マーカーが異常高値を示したため悪性成分が存在すると判断, 術前化学療法 (cisplatin, etoposide, bleomycin) を行った.しかし効果は認められなかった.手術を施行, 壁側胸膜, 左上葉とともに腫瘍を摘出し得た.術後, 各種瘍マーカーは正常化した.病理組織所見は脳組織, 未熟上皮組織, 未熟神経系組織などが混在する未熟奇形腫であった.腫瘍マーカーの免疫組織染色ではAFP, CA19-9, CA12-5が陽性を示した.術後14ヵ月を経る現在, 再発の兆候なく各種瘍マーカーも異常値を認めず, 経過観察中である.
  • 勝海 東一郎, 河手 典彦, 平野 隆, 高橋 秀暢, 木下 孔明, 平栗 俊介, 田口 雅彦, 梶原 直央, 安富 文典, 小中 千守, ...
    1994 年 8 巻 5 号 p. 638-642
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    46年間無症状で経過したのち血痰, 喀血にて発見された肺内異物 (焼夷弾破片) の一症例を経験したので報告する.肺内異物のうち, 特に本症例の如き鉱物性肺内異物では肺内における異物の移動とそれに伴う臨床症状の発現あるいは異物近傍からの発癌の報告例もあり, たとえ無症状で経過している場合でもその発見機会や症状発現時には可及的に外科的摘出を考慮すべきと思われた.
  • 三好 新一郎, 吉増 達也, 谷野 裕一, 平井 一成, 別所 俊哉, 鈴間 孝臣, 藤原 慶一, 前部屋 進自, 林 信宏, 玉置 哲也, ...
    1994 年 8 巻 5 号 p. 643-649
    発行日: 1994/07/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性.左側のパンコースト症候群を訴えて来院.胸部X線, CT, MRIで左肺尖部全体を占める腫瘍陰影を認めた.肺尖部胸壁浸潤癌の診断にて5250cGyの放射線照射を施行後, 頚部に横H型の切開を用いた前方アプローチで腫瘍切除を行った.左側の第一肋骨, 内側2/3の鎖骨, 腕頭静脈, 内頚静脈, 鎖骨下動静脈, C7, C8, T1の腕神経, C6, C7, T1の椎体を合併切除した.鎖骨下動脈は径8cmのリング付e-PTFE人工血管で再建, 椎体切除部は切除した鎖骨を移植して固定した.肺癌を疑い左上葉切除, 縦隔, 頚部のリンパ節郭清を追加した。術後病理診断では肺内に癌細胞や瘢痕形成が認められなかったことから, 原発不明の低分化型腺癌と診断した.
    前方では鎖骨下動静脈, 後方では頚椎, 腕神経叢などへの広範な頚部浸潤を伴う肺尖部胸壁浸潤癌の切除に対して, 頚部横H型切開と胸骨正中切開による前方アプローチが有用であった.
feedback
Top