日本作物学会紀事
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85 巻 , 2 号
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研究論文
栽培
  • 掛橋 孝洋, 津田 誠, 平井 儀彦
    85 巻 (2016) 2 号 p. 115-121
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    乳苗移植と間断灌漑の導入により,非塩土壌ではイネの生育収量が高まったと報告され,塩土壌では低くなったと報告されているので,塩土壌におけるこれらの技術の問題を検討するために研究を行なった.容量15 Lのポットに土壌全層に塩化ナトリウム(塩)45 g を添加する区(均一区),同量の塩を下層のみに添加する区(不均一区),塩を添加しない区(無塩区)を設け,水稲品種日本晴をポット当たり1個体移植した.苗は葉齢2.5と4.7の乳苗と中苗を用い,移植後の灌漑法は常時湛水と間断灌漑で,それぞれ湛水区と間断区とした.その結果,無塩区の茎数,穂数,地上部乾物重は乳苗移植のみで湛水区より間断区で大であった.登熟歩合は乳苗,中苗移植ともに間断区で湛水区より小であった.このため精籾重は,乳苗移植では間断区と湛水区の間に有意な差はなく,中苗移植では間断区で湛水区より小であった.均一区の乳苗は二つの灌漑法で枯死したのに対して,中苗は間断区で乳苗より生存期間が長く,湛水区で成熟まで生育した.生育収量は均一区より不均一区で高かったが,乳苗,中苗移植ともに間断区で湛水区より著しく小であった.湛水区で土壌塩分布はあまり変わらなかったものの,間断区では初期の塩分布にかかわらず上層に塩分が集積した.乳苗は耐塩性が小さく,間断灌漑は土壌上層に塩分を移動させるため,乳苗移植,間断灌漑は塩土壌に適しておらず,移植時の土壌上層の塩分濃度を低くし,湛水条件を維持することが塩土壌により適していると考えられた.
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  • 秀島 好知, 有馬 進, 鈴木 章弘, 牧山 繁生, 森敬 亮, 浅川 将暁, 広田 雄二, 大塚 紀夫, 稲田 稔
    85 巻 (2016) 2 号 p. 122-129
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,北部九州における今後の麦わら適正処理技術を確立するために,麦わらのすき込み処理と焼却処理の違いが雑草の発生消長および水稲生育に及ぼす影響について,現地圃場試験で検討するとともに,ポットによる追試験を行った.まず現地圃場において,麦わらの焼却とすき込みの処理の違いが水田雑草の発生と水稲生育に及ぼす影響を調査したところ,雑草発生の抑制効果は焼却に比べてすき込みした方が高かった.また,水稲の生育はすき込みで分げつが抑制されるものの,出穂後の登熟が向上し,増収する傾向がみられた.また,麦わらの雑草抑制効果についてポットで追試験を行ったところ,オオムギ,コムギいずれの麦わらをすき込んだ場合にも,各種の水田雑草に対して強い発生抑制が認められた.雑草発生抑制効果は,経時的に低下するものの,水稲収穫時期の秋頃から麦作の出穂期の翌年春頃まで観察された.さらに,麦わら処理量の影響を検討した結果,実際に想定されるわら生産量に相当する20~40 kg/aを処理した場合は,雑草抑制効果が認められたが,その1/10程度の少量処理ではむしろ雑草の生育を助長する可能性が示唆された.以上の結果から,麦わらの処理は焼却よりもすき込みが適しており,麦わら生産全量をすき込むのが望ましいと考えられた.
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  • 浜口 秀生, 渡邊 和洋, 松尾 和之, 梅本 雅, 高橋 幹, 渡邊 好昭, 伊藤 一幸
    85 巻 (2016) 2 号 p. 130-137
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    モリブデン(Mo)は豆類の根粒窒素固定に必須の元素である.ダイズは生育初期に必要なMoを種子に依存しており,生育初期から根粒を多量に着生する根粒超着生ダイズは普通の根粒着生を行う品種に比べ多くのMoが必要と考えられる.これまで行われた超着生ダイズの圃場研究では種子のMo含量は考慮されなかった.そこで本研究では,種子のMo含量富化が超着生ダイズの生育と収量に及ぼす影響を検討した.Mo含量富化種子は,前世代のR5(子実肥大始期)にモリブデン酸ナトリウムの0.3 g L-1水溶液を散布量100 mL m-2で2度, 葉面散布して生産した.エンレイとその超着生変異体En6500と改良された超着生系統のEn-b0-1と関東100号についてMo含量富化種子(5.5-15.1 mg kg-1)と対照種子(0.3-2.2 mg kg-1)に由来する植物体の根粒着生,窒素固定,収量を比較した.超着生系統ではMo富化種子由来の植物体は対照種子由来のものに比べ個体当たりの根粒着生量は少ないが,根粒のMo含量が高く,茎乾物のウレイド含量も高かった.Mo富化種子由来の植物体の収量は対照の1.3から2倍であった.エンレイではMo富化種子と対照種子に由来する植物体の間に根粒着生量の差はなかったが,前者の収量は後者より10%まさった.種子Mo富化は超着生ダイズの超着生を部分的に抑制し,生育,収量を大幅に改善すると考えられた.
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  • 長菅 輝, 福永 敦史, 東千 菜実, 梅崎 輝尚
    85 巻 (2016) 2 号 p. 138-143
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    三重県在来のダイズ品種である「美里在来」は,成育中に地上部がしばしば過繁茂して子実生産に悪影響を及ぼす.本品種の栄養成長が旺盛な原因を明らかにするため,成育初期に湿潤土壌条件(湿潤区)と乾燥土壌条件(乾燥区)に2週間晒す土壌水分処理を3ヵ年行い,開花前の草丈,乾物重および葉面積の変化をフクユタカと比較した.土壌水分処理2週間後の美里在来の茎長は両処理区でフクユタカよりも長く,乾燥土壌条件下では短かった美里在来の小葉身長も湿潤土壌条件下ではフクユタカと同等に長くなり,結果として湿潤区の美里在来の草丈はフクユタカよりも長くなった.葉面積は,乾燥土壌条件下では両品種ともに同等であったが,湿潤土壌条件下では主茎節数と平均比葉面積の増加によって美里在来がフクユタカに比較して大きくなった.土壌水分処理2週間後の全乾物重と土壌水分処理期間中の個体成長速度,相対成長率および純同化率に有意な品種間差はみられなかったが,湿潤区の美里在来の土壌処理2週間後のSPADはフクユタカに比較して低く,湿潤土壌条件下では葉肉組織の光合成能力がフクユタカに比較して劣ることが示唆された.
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  • 磯部 勝孝, 二川 航, 河邉 祥子, 加賀美 作京, 肥後 昌男, 鳥越 洋一
    85 巻 (2016) 2 号 p. 144-154
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    高品質なダイズ品種,津久井在来をより多く生産するため,播種期と栽植密度の違いが津久井在来の生育と子実収量に及ぼす影響について2012年から2014年の3年間に5月から7月に播種して検討した.試験区は栽植密度(疎植区,密植区,超密植区)と播種期(5月,6月,7月)を組み合わせ,各年4試験区設けた.栽植密度は疎植区が畝間60 cm,株間15 cmの11.1個体 m-2,密植区は畝間60 cm,株間7.5 cmの22.2個体 m-2,超密植区は畝間30 cm,株間7.5 cmの44.4個体 m-2とし,いずれも一本立てとした.カメムシの発生が多い条件下で津久井在来を5月上旬に播種するとカメムシによる吸汁害の割合が高くなり,低収となる可能性があった.また,7月下旬播種では畝間30 cmで株間7.5 cm(44.4個体 m-2)にすると主茎長が大きくなり,茎径が細くなることから倒伏が著しく発生することが懸念された.このようなことから津久井在来は5月下旬から7月下旬に栽植密度が11.1個体 m-2~22.2個体 m-2となるように栽培するとよいと考えられた.また,津久井在来の子実のタンパク質含有率は播種期や栽植密度によって大きな差はなかったが,エンレイやタチナガハより低く,今後の課題はタンパク質含有率の高い子実を生産することと考えられた.
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品種・遺伝資源
  • 笠島 真也, 今井 康太, 清水 隆大, 伊藤 博武, 中丸 康夫, 吉田 穂積, 佐藤 三佳子, 神野 裕信, 吉村 康弘, 高橋 肇
    85 巻 (2016) 2 号 p. 155-161
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    北海道における秋播性コムギの基幹品種きたほなみは,従来の品種ホクシンに比較して収量性が高い.その多収要因を明らかにするために,2011/2012年と2012/2013年の2作期にわたって,両品種の生育・収量特性を比較した.きたほなみは,子実収量がホクシンに比べて8%多かった.これは一穂粒数が多く,千粒重が重かったためであり,シンク容量が大きかったことが多収要因であった.また,成熟期の全乾物重は,きたほなみがホクシンよりも13%重かった.全乾物重は,乳熟期から成熟期までのCGRが高かったために重く,特に穂の乾物重が大きく増加したことから,登熟後半でのソース能力が高かったことも多収要因であった.きたほなみは,葉身の窒素含有率が乳熟期と成熟期において第2葉と第3葉でホクシンよりも高く,登熟後半でも直立した緑色葉が効率的に光エネルギーを吸収してNARを高く維持したために乳熟期以降に乾物生産を高く維持したと推察された.
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  • 田中 英彦, 山崎 信弘, 天野 高久
    85 巻 (2016) 2 号 p. 162-167
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    外国稲を含む52品種・系統を供試して,圃場条件下における低温苗立ち性を評価し,さらに低温苗立ち性と15℃における低温発芽性および15℃水中における初期伸長性との相互関係を検討した.苗立ち試験は5月と7月に実施した.土壌を充填した水稲マット苗用育苗箱に播種深度5 mmで播種し,代かきした水田内に設置し,5月播種では水深3 cm程度の湛水管理を行い,7月播種では第1葉抽出始めから9日間約14℃の冷水を掛け流した.両播種期ともに苗立ち率に大きな品種間差異が認められた.道内品種では「胆振早稲」の苗立ち率が最も高かったが,外国稲6品種は両播種期ともに「胆振早稲」よりも高い苗立ち率を示した.苗立ち率を出芽率(EM),出芽した個体の第1葉抽出率(FLE/EM),第1葉抽出個体の生存率(ES/FLE)の3つの構成要素に分解し,苗立ち率に対する相対的な影響力を重回帰分析によって検討した結果,5月播種ではEMが,7月播種ではEMとES/FLEが最も苗立ち率に影響した.15℃発芽係数(発芽率を平均発芽日数で除した値)と両播種期の苗立ち率および苗立ち構成要素の間の相関関係は概して弱かったのに対して,15℃における第2葉長(第2葉葉鞘+葉身),草丈,最長根長との間に有意な正の相関関係を認めた.以上の結果から,低温苗立ち性に優れた有望な外国稲が見出されたこと,選抜にあたっては低温発芽性ばかりでなく発芽以後の初期伸長性に着目すべきことを指摘した.
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  • 田中 英彦, 田中 文夫, 山崎 信弘
    85 巻 (2016) 2 号 p. 168-172
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    高い苗立ち性を示す外国稲を含む水稲8品種を供試して,風乾した無代かき土 (酸化土:OS) と稲わら粉末を添加した代かき土 (還元土:RS),およびPythium属菌接種の有無 (接種:IPと無接種:NP) の組み合わせ処理を行い,出芽,苗立ちに及ぼす影響を検討した.播種1日後の酸化還元電位 (Eh) は,OS区の400 mVに対して,RS区では-136 mVと強還元の条件が得られた.OS区の出芽率が94%であったのに対して,RS区では75%と低下した.「Alborio-J1」,「キタアケ」,「胆振早生」は,OS区に比較してRS区で有意に出芽率が低下した.「Italica Livorno」と「Arroz da Terra」はRS区における出芽率の低下程度が小さく,土壌還元に対する耐性が高かった.Pythium属菌接種の影響では,NP区の苗立ち率が80%であったのに対して,IP区では14%と大きく低下した.すべての品種でNP区に比べIP区で苗立ち率は有意に低下したが,「Dunghan Shali」の低下程度が最も小さかった.なお,RS/IP区の苗立ち率はRS/NP区よりも低下したが,OS/IP区よりも高かった.これは,接種後の溶存酸素濃度の低下により,Pythium属菌の実生への感染が阻害されたためと推察された.
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研究・技術ノート
  • 伊田 黎之輔
    85 巻 (2016) 2 号 p. 173-177
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    従来,籾の水分測定には,粉砕試料5 gを恒温乾燥器の温度106.5±1℃で5時間乾燥する方法(以下,105℃法と称する)とこの測定値との標準誤差が0.5%以内の測定精度が保証された電気水分計による方法がある.近年測定対象が汎用的で測定精度も高く,低廉なハロゲン水分計が開発されているが,ハロゲン水分計を籾の水分測定に用いた報告は見当たらない.そこでハロゲン水分計を用いた籾の水分を測定する場合の最適な測定条件について,サンプル形態(籾および粉砕籾),サンプルの測定量,測定モード(乾燥モード,測定終了モード)に視点をおいて検討した.その結果,粉砕籾5 gにおける急速乾燥時の測定水分変化率が0.5% 30秒-1,測定終了水分変化率は135℃で0.03% 30秒-1とする急速乾燥モードによる測定条件が最良であることが示された.このとき,105℃法の測定値に対する偏差は0.06±0.07%(平均値±標準誤差)と高い測定精度を得ることができ,またこの測定条件における測定所要時間は8分18秒(498±21秒,平均値±標準誤差)で,105℃法の乾燥時間である5時間に比べると大幅な短縮効果がみられた.このことから本法は籾水分の迅速・高精度な測定法であり,収量調査にも広く適用できると期待される.
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  • 白土 宏之, 安藤 正, 浅野目 謙之, 松田 晃, 川名 義明, 片平 光彦, 小野 洋, 菅原 金一, 伊藤 景子, 大平 陽一, 山口 ...
    85 巻 (2016) 2 号 p. 178-187
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    寒冷地において水稲の無コーティング催芽種子の湛水直播栽培を浅層土中播種により実現するために,試作した代かき同時播種機を用いて耐倒伏性品種の催芽種子の湛水直播栽培試験を現地で実施し,作業性,苗立,収量を調査した.現地試験は,秋田県では「萌えみのり」を用いて2011年〜2014年に,山形県では「はえぬき」を用いて2013年〜2014年に実施した.本栽培法は種子コーティングと仕上げ代かきが不要なため,播種までの作業は従来の湛水直播に比べて省力的であった.播種作業時間は,平均0.32時間・人 10a-1,最小0.22時間・人 10a-1であった.苗立率は,播種後落水して浅播きの場合には平均65%と実用化が可能な値となった.圃場全体の苗立むらは背負式動力散布機による散播より小さく,鉄コーティング種子点播機と同程度であった.最高茎数は従来の直播の基準と比べると多く,半分の試験で1000本 m-2以上となった.出穂期と成熟期の乾物重は鉄コーティング直播の目標と同程度であった.倒伏程度は多くの試験で0に近かった.全刈収量は「萌えみのり」では573〜660 kg 10a-1で鉄コーティング直播と同程度,「はえぬき」では480〜688 kg 10a-1であり,倒伏と雑草害が大きかった場合を除くと市町村別収量と同程度であった.以上,本栽培法は従来の湛水直播より省力的であり,苗立,生育,収量は従来の湛水直播栽培と同等であったため,実用化が可能であると判断された.
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  • 大久保 和男
    85 巻 (2016) 2 号 p. 188-192
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    穂の握り締めによるイネの脱粒性評価の個体検定における実用性について検討し,本方法による育種における脱粒性の選抜方法を考察した.脱粒性が難の3品種,中,やや易,易,極易の各1品種,計7品種を用いて,品種の脱粒性を雑種個体の脱粒性の表現型にみたて,穂の握り締めによる脱粒割合を個体ごとに算出した.4人の調査者が各品種50個体を調査し,評価結果の頻度分布の様相を比較検討した.その結果,個体の脱粒性を穂の握り締めによる脱粒割合で検定する場合,信頼度96%で脱粒性難と比較的脱粒し易い階級 (脱粒性中,やや易,易および極易) の識別が可能と考えられた.イネ育種において,雑種集団から本方法によって脱粒性を個体選抜する場合,脱粒し難い個体群と脱粒し易い個体群の二つの個体群への分別に留めるべきであると考えられた.
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  • 山口 弘道, 神田 英司, 関矢 博幸, 河本 英憲, 木村 勝一, 白土 宏之, 福嶌 陽, 福田 あかり, 押部 明徳
    85 巻 (2016) 2 号 p. 193-197
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    東北地域における飼料用稲品種の湛水直播栽培において,DVRの推定による出穂期予測式と1 kmメッシュ気温データに基づいて,出穂期予測マップを作成した.出穂期予測式は,岩手県盛岡市において直播条件で3年実施した作期移動試験での出穂期,日平均気温データに基づいて品種毎に作成した.熟期が異なる「べこごのみ」と「夢あおば」の出穂期予測式で,それぞれ推定誤差(RMSE)1.3,2.8日の精度が得られた.これらの予測式を,東北地域内の気象条件の異なる岩手県一関市,秋田県大仙市での出穂期,日平均気温を含めて適用した場合にも,それぞれRMSEで1.9,3.1日と,推定精度の低下は小さかった.さらに東北地域の水田地帯を含む1 kmメッシュ気象データを用いて各メッシュ単位でこれらの予測式を適用し,任意の播種日からの出穂期の予測を行うことにより,出穂期予測マップとして,平年の気象条件における品種別,播種日別の出穂期を地図上に表示できる.これらは,広範な地域の単位で,飼料用稲の直播栽培の栽培管理や収穫作業の計画に活用できる.さらに当該年の日平均気温データで随時補正することにより,平年気温に基づく出穂期の予測結果を播種後の気温の推移を反映した予測に近づけることができ,気象変動に伴う作業計画の修正にも対応可能となる.
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  • 山根 正博, 国分 牧衛
    85 巻 (2016) 2 号 p. 198-203
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    東北地方における1993年から2008年までの16年間のダイズ収量の年次変動と地域変動の特徴,ならびにこれらの変動と気象要因との関係を県単位および市町村単位で解析した.気象要因は降水量,日平均気温,日最高気温,日最低気温および日照時間とし,生育期間(6~10月)における月平均値を解析に用いた.解析の対象地域としてダイズ作付面積が100 haを超える市町村41点を選んだ.県平均収量の年次変動を解析した結果,収量水準は日本海側が太平洋側を上回り,日本海側では南部ほど,太平洋側では北部ほど高い傾向を示した.県平均収量は青森,岩手,秋田および山形の4つの県間にはすべて相関が認められたのに対し,宮城と福島は南北に位置する隣県とのみ相関が認められた.16年間における県平均収量とその年次間変動係数との間には正の相関が認められた.41市町村における16年間の収量変動と気象要因との関係を解析した結果,いずれの気象要因も7月の数値が収量と有意な相関を示す市町村が多く認められた.さらに市町村単位に収量と気象要因との関係を重回帰分析したところ,降水量,気温および日照時間の3つの説明変数で市町村の収量変動を説明できる場合が多く認められたが,これらの気象要因の相対的な寄与度と影響を与える時期は市町村により異なった.
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  • 片山 勝之, 齋藤 秀文, 高橋 智紀
    85 巻 (2016) 2 号 p. 204-210
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    秋田県大仙市の水田転換畑において,乾燥・湿害が軽減可能なチゼル型有芯部分耕播種技術を狭畦栽培に活用し,2012年と2013年の6月中旬播種において,2水準の播種密度(標播,疎播)でダイズ品種「リュウホウ」の生育・収量と雑草発生量を検討した.播種密度にかかわらず,チゼル有芯耕狭畦(チゼル狭畦)区では,全層耕標畦(標畦)区と比べて出芽率が有意に高く,雑草発生量は有意に低下したが,倒伏程度は有意に多かった.また,播種密度にかかわらず,チゼル狭畦区の子実収量は標畦・標播区(慣行)と同等であった.チゼル狭畦・疎播区では狭畦により,慣行並にm2当り莢数が増大し,それに伴い子実収量も増加した.以上の結果は,チゼル有芯部分耕は,無中耕・無培土による省力化が可能な狭畦栽培に良く適応でき,慣行の播種量を24%削減した疎播栽培が可能であると推察された.
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  • 藤村 恵人, 江口 哲也, 松波 寿弥, 太田 健, 村上 敏文, 石川 哲也, 牧野 知之, 赤羽 幾子, 神谷 隆, 青野 克己, 中 ...
    85 巻 (2016) 2 号 p. 211-217
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質を除去するための除染作業が進められている福島県内において,異なる方法の除染が実施された農家圃場で水稲を栽培し,生育や収量への影響と,半減期が長く,放出量が多かった放射性セシウムの吸収抑制効果を調査した.あわせて,吸収抑制対策として指導されているカリ肥料の上乗せ施用やゼオライト施用などの効果も検証した.除染した区画の試験区は反復込みで合計47区,除染していない区画の試験区は同54区である.除染により土壌の放射性セシウム濃度は減少したが,その程度は圃場により異なった.ゼオライトを施用した試験区では,収穫時にも土壌の交換性カリ含量が高く,施用翌年にも同様の傾向が認められた.除染により土壌の可給態窒素含量が低下した場合は,窒素増施などの対策が必要と判断された.すべての試験区において,玄米の放射性セシウム濃度は一般食品の基準値である100 Bq kg-1を下回った.また,玄米の放射性セシウム濃度は除染により減少したが,その程度は土壌と同様に,圃場により異なった.撹乱要因を排除できない2013年南相馬市農家圃場の20試験区を除くと,玄米の放射性セシウム濃度を土壌の放射性セシウム濃度で除して算出した移行係数は,収穫時土壌の交換性カリ含量と相関が認められ,その相関関係に除染の有無による明確な違いは認められなかった.したがって,除染により放射性セシウムの移行リスクが低下した圃場においても,土壌の交換性カリ含量を低下させないような対策が必要と推察された.
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  • 荒木 英晴
    85 巻 (2016) 2 号 p. 218-222
    公開日: 2016/04/19
    ジャーナル フリー
    北海道の秋まきコムギ品種きたほなみでは,越冬前の出現分げつで穂数および収量がほぼ決定することが前報で明らかになった.本報では,きたほなみ,ゆめちからおよび北見91号を用いて,分げつ出現時期が穂の形成や収量に及ぼす影響の品種間差異を検討した.その結果,分げつ出現時期と有効化率との関係では,越冬直前に葉数2枚以上を有する分げつ(越冬前頑健茎)の有効化率はきたほなみが91%で最も高く,ゆめちからが80%,北見91号が76%とやや低下した.また,越冬後の出現分げつはいずれの品種も有効化しなかった.これらの分げつから形成された有効茎の稈長と穂長を調査したところ,いずれの品種も越冬前頑健茎から形成された有効茎の稈長と穂長は長かった.収量構成要素については,いずれの品種も越冬前頑健茎から形成された穂の一穂子実重,一穂粒数,千粒重は高く,収量の高い穂が形成されることが示された.以上のことから,北海道の秋まきコムギ品種では,越冬後の出現分げつは有効化できず,越冬前の出現分げつで穂数および収量が決定されると結論した.
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情 報
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