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―肝補助治療の経験から―
井上 昇
1983 年 12 巻 1 号 p.
1
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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―100%, 50%, 20%補助率における血行動態と心筋代謝からの検討―
今関 隆雄, 金子 博, 山田 崇之, 浅野 献一
1983 年 12 巻 1 号 p.
3-6
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
補助循環の心不全に及ぼす効果と, 拍動流, 定常流のそれぞれの効果の違いを知る目的で, 12頭の雑種成犬を用いて以下の実験を行った。血液ポンプ, 空気駆動式駆動装置を用いて, 拍動流体外循環を行ない, 完全体外循80ml/kg送血流量で, ローラーポンプによる定常流と比較した。常温完全体外循環より直腸温32℃で大動脈を遮断し, 心停止液による30分間心停止を経て, 大動脈遮断を解除し, 肺動脈に送血量の0%, 50%, 80%を流すことによって, それぞれ100%, 50%, 20%流量補助率を設定し, 各々30分間ずつの補助循環を経て, 人工心肺よりweaningした。この結果, 段階的weaningという形をとったこの実験では, 心筋乳酸代謝の面で拍動流と定常流では20%補助に至ってはじめて有意差が生じた。拍動流に於ては終始DPTI/TTI≧1.2であり, 定常流では100%補助に於てのみ, DPTI/TTI≧1.2であったことから, 心筋代謝面での有意差が生じたと思われた。
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鈴本 聖, 見目 恭一, 横手 祐二, 高本 真一, 上田 恵介, 江本 秀斗, 田村 文彦, 長谷川 和康, 山中 秀雄, 尾本 良三
1983 年 12 巻 1 号 p.
7-10
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
市販のコンピュータライズド患者監視システムを使って, 補助心臓あるいは補助循環の効果の程度を把握できる多指標パターン表現(レーダチャート)表示システムを開発した。指標として, 平均左房圧TTI, 平均収縮期圧, 全身灌流量, 末梢抵抗, 左心房一回仕事量の6種を採用した。補助循環を開始する直前のデータ(コントロール)を100%として, 補助効果の陽性方向を正六角形の外側になるように, 6種の指標を表示した。各種補助手段の血行動態的接合点, 特に, 補助手段の移行に関する問題に検討を加える際, 移行すべき補助手段の選択や移行すべき時期が決定される根拠となる, 患者の過去から現在までの血行動態の蓄積や各種指標による補助効果の把握が可能になった。
本システムに過去の補助循環例のデータを入力して, その機能が正しく動作することを確認した。補助形式の移行や予後の予想にも有用なモニタとなり得ることが示唆された。
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許 俊鋭, MJ. BUCKLEY, CD. LIAPIS, FH. LEVINE, WG. AUSTEN, 尾本 良三
1983 年 12 巻 1 号 p.
11-15
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
急性心筋硬塞のため広範な左室壁心筋壊死が生じ重篤な心原性ショックに陥った患者は緊急冠動脈再建手術では左室のPump failureのため救命することは極めて困難である。
このような症例においてParadoxical movementにより左室機能に重篤な障害を与えている硬塞壊死部を切除し, 一時的左室補助機能を持つ人工的左室壁で置換することを目的としてダイナミックパッチ型左室補助装置は開発された。雑種成犬12頭(第一群)において本装置の血行動態に及ぼす効果を検討した結果, 平均大動脈圧は20~36%, 平均心拍出量は17~50%増加し, 平均左房圧は16%低下した。更に6頭(第二群)において右室バイパスモデルを用い虚血心筋代謝を検討した結果, 前負荷, 後負荷, 心拍数一定の条件下で, 本装置はTension time index(TTI)を21~26%低下させ, 心筋酸素消費量を24~29%減少させることにより, 心筋代謝面でも虚血心筋に有利な効果をもつことが明らかになった。
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S. TAKATANI, S. KOIKE, I. YADA, R. YOZU, L. FUJIMOTO, G. JACOBS, R. KI ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
16-19
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
拍動型ポンプを使用した全置換型人工心臓と無拍動型遠心ポンプによる両心バイパス実験(仔牛使用)で、左右ポンプをそれぞれ独自に駆動させたところ、10から20%に及ぶ左右ポンプの流量差(左>右)が発見された。これらの流量差は、血行動態、特に両心房圧、を正常範囲内に保つために、必要な生理学的条件の1つであった。また、これらの流量差と、大動脈圧、大動脈圧と左房圧との差及び末梢抵抗との相関系数は、0.6~0.8と高値を示した。右心系との相関関係は見られなかったので、これらの流量差は、気管支動脈を介した、大動脈から左房への短絡を意味するものと考えられる。尚、これらの流量差については、今までには、報告されていないが、人工心臓の駆動条件の設定及び、埋め込み型人工心臓の設計において重要な因子の1つであるので、今後の追求を必要とする。
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高木 啓之, 高木 登志子, 堀田 寿郎, 成田 伍郎
1983 年 12 巻 1 号 p.
20-23
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
犬用埋込み型完全人工心臓で, Feed back式制御, max. 200ml/kg/min以上のOutput, one又はdouble chamber方式, 駆動空気圧は手動又はFeed back式自動調節を試作しテストした. 流入側弁は, 内径8φ, 10φ, 11φ ball弁, Hinged plate弁(1.2cm
2, 1.45cm
2), 流出側弁は全部8φ ball弁とし, 陰圧は使用しなかった. Mock circulation testの結果はOutputは駆動空気圧と比例した. そのテストの計測諸数値から, このチャンバーには8φ ball弁は, 弁口面積が不充分であることが明かとなった. 動物実験は低体温下体外循環法で行い, このシステムは, 静脈帰来量の増減によく対応し, 実用への可能性を認めたが, まだ開発すべき多くの問題点がある. 現時点でいえば, 右one-chamber左double-chamber方式が, 実用化に最も有利である.
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―電気刺激による神経制御の試みとその効果―
井街 宏, 藤正 巌, 宮本 晃, 滝戸 直人, 中島 正治, 稲生 紀夫, 本村 喜代二, 満渕 邦彦, 河野 明正, 小野 俊哉, 渥美 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
24-27
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
完全人工心臓の制御方法はまだ完全とは言えず, 軽度の貧血やCVPの上昇など制御法に起因すると思われる異常な循環動態が見られ食欲や排尿など一般の生存状態も左心バイパスやハイブリッド型完全人工心臓を装着したヤギに比して劣っている。この様な差異を生ずる原因の一つは, 心臓を切除あるいは細動にした動物では心臓受容器から中枢への求心性神経パルスが欠如するためと考えられる。本研究は心臓を細動にした完全人工心臓装着ヤギに, 矩形波の電気刺激を持続的に与え, 循環動態に及ぼす効果を検討したものであるが, 実験の結果, HtやTpの著明な回復, 甲状腺ホルモンの回復などが見られ, トレッドミルによる運動負荷に対する応答性, 一般の生存状態もハイブリッド型完全人工心臓の状態に極めて近いという結果を得た。これらの結果は, 完全人工心臓の制御において圧や流量の他に神経系の制御の必要性を示唆するもので, 今後さらに細い解析を進めるべきと考えられる。
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井街 宏
1983 年 12 巻 1 号 p.
28
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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酒井 清孝
1983 年 12 巻 1 号 p.
29-32
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
中空線維型モジュールの設計はほとんどが経験的に行なわれており、試行錯誤法が有力な手段となっている。そこで溶質除去能、血液側圧力損失ΔPB、プライミングボリュームVBの観点から、モジュール内溶質移動モデルを用いて中空線維型モジュールの至適形状について検討したところ、次の事柄が判明した。中空糸内径は約200μ、有効長は約160mmが適当である。これらの値は溶質除去能よりむしろΔPBおよびVB値の制約から決定され、さらに血液および透析液流量、ヘマトクリットによって変化する。濾過における除水能の場合と異なり、透析における溶質除去能は、膜面積一定の時中空糸本数が少なく、有効長の大きい方がすぐれている。中空糸内径の製作上の誤差および中空糸閉塞率の影響は、中分子量物質の除去、ΔPB、VBにおいて大きい。
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―Polysulfone膜の検討―
南部 正人, 今井 了, 草刈 修一, 酒井 〓
1983 年 12 巻 1 号 p.
33-36
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
合成高分子膜(ポリスルフォン膜)血液浄化器(PS・AK, ASAHI)を主として血液透析(HD)に用い種々検討し、若干の知見を得たので報告する。PS・AKのパーフォーマンスとしてのClearnceはUN 167ml/mm, β
2-Microglobulin (β
2-MG)46ml/min, Myoglobin(Mb)39ml/minおよびUFRは29.4ml/mmHg/hと優れた値を示した。免疫系(WBC, CH50)えの影響は軽度で、低分子量蛋白(β
2-MG, Mb)の平均除去率50%とhemocompativilityの点でも優れていた。透析液漏出蛋白は他の合成高分子膜(EVAL, PMMA)で3~10g、PS・AKでは平均15g(TypeA)、および6g(Type B)であり、β
2-MGの除去量は200(A)および160mg(B)であった。SDS・PAGE分析結果よりMW 94,000附近以下の蛋白を確認し、β
2-MG, Mbに相当する分子量の蛋白も証明された。IPE分析では血清蛋白の主要成分(Albumin, Transferrin, IgG)が検出された。 以上の結果より中分子量物質、低分子量蛋白に由来すると考えられたuremic toxin(s)の除去がPS・AKを用いることで通常の血液透析においても可能になりうると考えられた。
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高木 豊己, 鄭 大基, 小田 治, 斉藤 明, 太田 和宏
1983 年 12 巻 1 号 p.
37-40
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
相当量の蛋白濾過を認めるヘモフィルターを臨床使用し, 従来のフィルターでは改善しなかった異所性石灰沈着, かゆみ, イライラ感の消失およびヘマトクリットの上昇などの臨床症状の改善を経験した。その後順次開発されたヘモフィルター, クラレ:C-2, 東レ: TK-401, Cordis Dow: Duo-Flux, 帝人: FF-22を用いてHDF法, ECUM法より得た濾液の分析を行なった。分析法としてゲル濾過, 二次元電気泳動およびHDFより漏出した9種類の蛋白を免疫拡散法で測定した。ゲル濾過については最大分子量分画ではDuo-Flux(new), FF-22, TK-401, C-2の順に高値を示した。また, 二次元電気泳動ではC-2でIgGを認め, TK-401, Duo-Flux, FF-22ではTf, Hpx, Albなど認めた。HDF排液中の蛋白の漏出量はDuo-Flux, FF-22, TK-401, C-2の順に多く漏出した。
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峰島 三千男, 山下 明泰, 酒井 清孝
1983 年 12 巻 1 号 p.
41-44
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
血液浄化療法による体内老廃物の除去効果やモジユールの性能評価を行う場合、その評価指標としては血漿濃度、除去量、クリアランス(またはダイアリザンス)などが一般に用いられている。しかし、これらの指標はそれぞれ一長一短があり、1つの指標だけで除去効果を論じたり、あるいは誤つて用いた場合には、大きな誤解が生じることも少なくない。そこで本研究では“HD VS. HF”を1つのテーマとして取り上げ、各指標の特徴を比較検討した。コンパートメントモデルを用いた解析の結果、尿素、Vitamin B
12とも除去量では両治療間で大差がなかつた。尿素については安定血漿濃度レベルがHFの方が高く、除去率ではHDの方がはるかに優れていることがわかつた。一方、Vitamin B
12では、総体液の2/3以上を占める細胞内液からほとんど除去されておらず、両治療の除去率の差異もほとんど認められなかつた。従つて、HD、HFをクリアランスで比較する従来の考え方には疑問が残つた。
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山下 明泰, 吉本 達雄, 安藤 和弘, 善本 勝男, 日台 英雄, 酒井 糾, 峰島 三千男, 酒井 清孝
1983 年 12 巻 1 号 p.
45-48
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
血液透析(HD)および血液濾過(HF)による小分子溶質除去能の差異を明らかにするため, 除去量(M)の概念を導入した。Mは除水量(ΔV)の影響は受けにくいが, 治療時間, 治療前体液量(V(0))に左右され, 治療前血中溶質濃度(C(0))に正比例するため, 溶質除去能の本質的な違いは, 患者を固定して両治療を交互に施行し, M/C(0)の値で評価しなければならない。V(0)≒27l, ΔV≒3lの症例に対するHD, HFの両5時間治療によれば, 尿素窒素の除去率は各々73.1および44.8%とHDがはるかに高値を示すことは周知の通りである。しかしM/C(0)値でも各々19.1および13.4lとHDが高値を示し, HFの小分子溶質除去能の有用性を説いた報告とは異なる結果を得た。またこれらのM/C(0)値が, クリアランス(CL)に対して1本の曲線を与えることより, 溶質の除去能は治療法そのものとは無関係に, CLの差のみによって決定されることが示唆された。
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遠藤 信之, 池田 裕, 保科 繁, 中村 藤夫, 古川 守, 中川 一郎, 阿部 町子, 浦野 寿夫, 鈴木 正司, 平沢 由平
1983 年 12 巻 1 号 p.
49-52
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
PMMA膜を用いた血液濾過治療では、膜透過性がないと考えられるβ
2ミクログロブリン(β
2-MG)の血中レベルが低下する。これは膜表面への吸着現象によるものと推定される。このような現象がβ
2-MG以外の溶質でも、他の膜材質でも見られるかどうかを検討した。in vitroでの尿毒症患者血漿と膜切片のインキューベーション実験では、PMMA膜でのβ
2-MG、グルカゴン、PAN膜(ASK-PAN-15)でのリゾチームの強い吸着が示唆された。クプロファン膜での著明な吸着は見られなかった。PMMA、PAN、クプロフアン膜のモジュールを用いた患者血漿の閉鎖循環実験も、 同様の結果を示した。しかしin vivoでの検討では、in vitroでの結果を必ずしも正確には反映しなかった。PMMAの場合、グルカゴン、β
2-MG、リボヌクレアーゼ、リゾチームが低下したが、PANではグルカゴン、リゾチームの低下が認められた。以上よりある種の溶質は、膜による選択的吸着を受けていることが実証された。
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東間 紘
1983 年 12 巻 1 号 p.
53
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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佐藤 重夫, 広瀬 一, 中埜 粛, 松田 暉, 島崎 靖久, 榊原 哲夫, 中谷 武嗣, 平中 俊行, 加藤 寛, 小林 順二郎, 酒井 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
54-57
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
長時間の日常活動時の心調律の詳細な検討を目的として, ペースメーカー植え込み症例に24時間心電図記録を行なった。対象は, 通常のペースメーカー外来におけるチェックで異常が発見されなかったリチウム型ペースメーカー植え込み患者36例である。ペーシングモードは, VVI27例, VOO1例, AAI2例, DVI2例, VAT 4例であった。VVIペースメーカー27例では, sensing failureが10例(37%)に, うち3例にspike on Tが認められた。またoutput failureが16例(59%)に見られた。これは, 心電図記録上全例noiseが見られ, 筋電位によるoversensingと考えられ, これによる心停止時間は0.8~4.4秒, 平均2.0秒であった。またpacing rate errorが3例に見られた。VVIペースメーカー27例中, ペースメーカーが正常に機能していると考えられたのは, わずか9例(33%)のみであった。本法は日常診療時見つける事が出来ない, ペースメーカー機能不全並びに不整脈の検索に有用であると考えられた。
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小石沢 正, 伊藤 翼, 三井 利夫, 堀 原一
1983 年 12 巻 1 号 p.
58-61
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ペースメーカー植込みの対象となる高度房室ブロック(AVB)と洞不全症候群(SSS)に対して, ペーシング中の自動能, ペースメーカー植込み後の不整脈を検索する目的でVentricular Overdriving Test(VOD)を施行した。AVB 20例(stable AVB 8例, unstable AVB 12例)とSSS 10例(I型3例, II型5例, III型2例)に対してVODを施行し, AVB群では8例に4秒以上の心室自動能の抑制がみられ, 10例は抑制されなかった。SSS群では心室ペーシングによって心房への逆行性伝導のみられたII型の3例では自己リズムが抑制されたが, 他の7例は抑制されなかった。またVODによる自動能の抑制は, pacing rateとVODを行なっている時間とに相関するものが多く, VODの自動能への影響は数分以内に消失すると考えられた。VODは房室伝導の回復及び進行と, ペースメーカー植込み後の不整脈, ヒステレシス機構の作動状態などを推測する上で, 臨床的に有意義であると考えられた。
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進藤 剛毅, 水野 明, 中山 至誠, 松永 仁, 幕内 晴朗, 小塚 裕, 柳生 邦良, 和気 一夫, 浅野 献一
1983 年 12 巻 1 号 p.
62-65
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
植込時良好なペーシングが得られた179例で, ペースメーカー電極寿命に影響する器械側の因子の1つとしてリード先端電極表面積の影響を検討した。179例をリード電極表面積によりI群(80mm
2以上)13例。II群(80~15mm
2)57例, III群(15mm
2以下)109例に分けた。3群のactuarial survival curveよリリード寿命を比較した。I群は予想通り寿命が最も短かく, 次いでIII群, II群と寿命が長くなる結果となり, 表面積の小さいIII群はII群より返って短かい寿命となった。このII, III群間のリード寿命逆転に関与する因子として, 器械側では, 双極型, cylindrical metal tipが, さらにリード植込時年令60才以上, 基礎疾患として高血圧症, 先天性心疾患, 心室内R波高5mV以上, エネルギー比81:1以下など多ぐの生体側因子が関与していることを明らかにした。リード寿命は単に電極表面積の減少に基づく急性期刺激閾値の低下のみでは決まらず, 長期的には生体因子が多く関与することが解った。
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松永 康弘, 三崎 拓郎, 大池 恵広, 向井 恵一, 川筋 道雄, 三井 毅, 桜井 潤司, 渡辺 洋宇, 岩 喬
1983 年 12 巻 1 号 p.
66-69
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
1969年より頻拍発作の治療に高周波誘導型ペースメーカー(使用機種:Atricon)を22症例に使用した。本論文でこの遠隔成績について検討した。対象は上室性頻拍10例, WPW症候群5例, WPW症候群+心房粗動2例, WPW症候群+洞不全症候群1例, 徐脈頻脈症候群3例, 心室性頻拍1例で年令は4才から72才であった。(1) 15例で最長12年6か月(平均7年5か月)経過しているが何ら合併症なく安全かつ確実に頻拍発作の中断を行い得た。(2) Atricon非使用は4例であった。いずれも心疾患合併例で, 心疾患に対する根治術と同時にAtriconを植め込んだが術後頻拍発作が消失しAtriconを使用していない。(3) 合併症は初期の3例にペーシング不全を認めたのみで, 他に合併症はなかった。(4) 死亡は3例あったが, Atriconに起因する死亡はなかった。以上頻拍発作に対する高周波誘導型ペースメーカー治療は長期遠隔成績において十分満足できる結果と思われた。
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岩 喬
1983 年 12 巻 1 号 p.
70
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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松井 則明, 中川 成之輔, 越川 昭三, 前田 憲志, 笹岡 拓雄, 平沢 由平, 太田 和夫, 武内 重五郎
1983 年 12 巻 1 号 p.
71-74
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
合成抗トロンビン薬MD805の透析用抗凝固薬としての有用性をヘパリンとの比較において評価した。12週間MD805単独による透析を行った。中空糸血栓はヘパリンよりMD805でより強くみられた。ヘパリン透析は著明な遊離脂肪酸の増加と中性脂肪の減少が認められたが, MD805では有意の変動は認められなかった。またヘパリン透析ではPaO
2の低下が認められたが, MD805透析では認められなかった。MD805投与期間中アンチトロンビンIIIが軽度ではあるが有意に増加した。以上よりMD805はヘパリンを比較し, 種々のすぐれた面をもっており, 長期透析用抗凝固薬をして有用と思われた。
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森河 浄, 田村 克彦, 児島 弘臣, 高橋 淳子, 衣笠 えり子, 関口 孝, 中山 文義, 高橋 健, 秋沢 忠男, 佐藤 昌志, 北岡 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
75-78
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
種々のプロテアーゼ阻害活性を有する2-(6-Amidino) naphthyl 4-guanidino benzoate (FUT-175; 以下FUT)の抗凝固作用に着目し, 血液透析の抗凝固薬への応用を試みた. 毎時40-50mgのFUTの投与にて, 凝固時間の延長はほぼ回路内にとどまり, 全身血にはほとんど影響がなかったが, 通常量のヘパリン投与では, 回路内・全身血とも凝固時間は著明に延長した. 透析中のFUT濃度ならびに抗凝固効果は比較的安定しており, しかも透析終了後にはすみやかに血中から消失した. 透析中の血小板機能に対する影響ははっきり証明できなかったものの, β-トロンボグロブリンが増加したのに対して, 血小板第4因子の増加はみとめなかった. FUT投与時には透析2時間目に中性脂肪, 遊離脂肪酸の上昇をみとめ, 後者の末梢組織での利用低下が示唆された. 血小板・脂質系などに対する影響についてはさらに検討する必要はあるが, 3ケ月にわたる観察では副作用もみとめず, FUTは出血の危検のある透析患者に有用な超短時間活性の抗凝固剤と考えられる.
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内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 尾畠 昭二, 春名 邦昭, 尾畠 洋司, 春名 一八, 佐藤 隆光, 中路 修平, 難波 洋司, 伊藤 博光, ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
79-82
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
EVAL中空糸膜血液透析器(KF-101)を使用することにより無抗凝固剤血液透析療法を行なうことができる。しかし、透析器の血液出入口部(ブラッドポート)で血液が澱みを作ったり中空糸束への血液の分配が均等でないと、凝血を生じ透析不能に陥いる場合がある。ブラッドポート内での血流の状態を推定すべく、流れを軸対称のストークス流れであると仮定してナビエ・ストークスの運動方程式を有限要素法を用いて解析した。周辺部の立上りが急でふくらみが大きいと澱みを生じやすく、ロート状の傾斜面の仰角は10~20度の範囲が好ましく思われた。また、中空糸束とポート周辺までの距離が1.5mを超えると澱み部は急激に拡大する。試作したポートでは、中空糸1本当りの流量は中空糸束の中心から外層までほぼ均一であった。また臨床的にもポート内での凝血の発生が低減しており、血流状態の改善効果が確認された。
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中山 文義, 田村 克彦, 児島 弘臣, 高橋 淳子, 衣笠 えり子, 森河 浄, 関口 孝, 高橋 健, 秋沢 忠男, 佐藤 昌志, 北岡 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
83-87
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
われわれは, 走査電顕を用いた人工腎血液適合性評価について検討し, 素材, 滅菌法, 形状, 抗凝固法などによる白血球・血小板付着の特徴について明らかにしてきた。今回は新たに透析膜として, セルロース・アセテート, エチレンビニルアルコール, ケン化セルロースエステル, セルロース・ジアセテート(CDA), 血漿分離膜として, CDA, PMMA, ポリマーアロイさらに抗凝固剤として合成抗トロンビン剤, MD-805, FUT-175を用いて同様の検討を行い, 併せて血流量や治療法の付着に対する影響についても同様の検討を加えた。透析膜への白血球付着は, 検討した4種の膜とも動脈側優位であった。抗凝固剤では, 両者とも付着パターンにヘパリンと差はみられなかった。治療法では, CDA膜を用いても血液透析に比し血液ろ過で白血球付着が少ないことが確認され, 血流速度が高いほど白血球付着はわずかであった。血漿分離膜では透析膜と異なり, 静脈側での赤血球, 血小板の付着が主体で, 白血球の付着はわずかであった。以上より, 膜への血球付着は素材, 抗凝固法などのみならず, 治療方法も大きく影響することが示された。
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佐中 孜, 葛西 浩美, 早坂 勇太郎, 鈴木 利昭, 久保 和雄, 須藤 尚美, 阿岸 鉄三, 杉野 信博, 太田 和夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
88-91
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
腎の排泄機能不全によって、体内に蓄積する蛋白結合能阻害因子(PB-Ix)は、他の物質と競合して、アルブミンと結合すると考えられている。今回の研究によって、馬尿酸および2a, 2bと命名された中分子物質と同定したPB-Ixは、HD、HFよりHDFによって比較的容易に除去された。但し、PB-Ix活性という観点からみると、それらの血液浄化法では、その改善を計ることができず、CAPDのみが活性値を正常値の近くまで回復させることができた。
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寺岡 慧, 高橋 和雄, 三浦 明, 佐中 孜, 鈴木 利昭, 久保 和雄, 阿岸 鉄三, 太田 和夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
92-95
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
雑種成犬を用い, dialysis-induced hypoxemiaの原因について検討を試みた。透析開始前, 開始後15分, 30分, 60分, 90分, 120分, 180分に肺動脈, 左房, 静脈側回路より採血しそれぞれについて白血球数, 血小板数, PO
2,PCO
2を測定した。同様のタイミングで継時的に肺生検を行い, 組織学的検討を行った。また肺動脈圧, 左房圧, 心拍出量を連続的に測定し, 総肺血管抵抗, シャント率を計算した。透析開始後, 白血球数はすべての例で減少した。透析によりPaO
2の低下する群と低下しない群とに分れ, 前者においては総肺血管抵抗とシャント率の増加が認められ, 後者においては認められなかった。またpulmonary leukostasis, microembolizationの所見は組織学的に認められなかった。以上よりdialysis-induced hypoxemiaの原因については, 何らかの機序によるpulmonary vasocontstrictionが関与しているのではないかと考えられる。
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内藤 秀宗
1983 年 12 巻 1 号 p.
96
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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神山 正廣, 山中 直樹, 太田 和宏, 金物 寿久, 岩田 久, 中川 正
1983 年 12 巻 1 号 p.
97-100
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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慢性関節リウマチ(RA)患者に対して血漿交換が施行され、その有効性が注目されている。しかし, 血漿成分全体を交換する場合, 血漿製剤の供給, 生体有用成分の損失, 肝炎等の副作用の問題が生じてくる。そこで, RAの病態に悪影響があると思われる免疫複合体, 免疫グロブリン, RAコンパウンド等を除去し, アルブミン等生体有用成分を再濾過して, 新鮮凍結血漿(FFP)や血漿製剤の補充を出来るだけ少なくする目的のDouble-filtration plasma exehangeをRA患者4例に施行した。その結果, RA因子, 免疫グロブリン, 血沈の低下, 朝のこわばり, 関節痛, 握力, 歩行時間短縮の改善を認め, 消炎鎮痛剤等の薬剤使用を減少させることが出来た。しかし, Single membraneによる2lの血漿交換と比較すると, 臨床的効果においてまだ不充分と考えられ, 2nd separator及び方法の改良, 分離血漿の処理量の増加などの改善が必要と思われた。
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皆川 幸範, 川上 恒生, 児島 哲文, 竹田 治土, 川端 幹夫, 岡安 健至, 武岡 哲良, 橋本 正人, 田辺 達三
1983 年 12 巻 1 号 p.
101-103
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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各種治療法に抵抗を示す難治性MG患者に対して、長期にわたり間歇的に血漿交換療法を施行した。血漿交換には、Hemonetics cell seperator Model 30を用いた。開始当初は、Azathioprineによる免疫抑制療法を試みたが、副作用が強く継続できなかった。また、steroid療法は血漿交較施行前に試みられていたが効果を認めておらず、併用しなかった。1日4~5回の血漿交換を3日間連続施行し、計約6,000mlの交換を行ない、これを1クールとした。血漿交換によって、血清中の抗AchR抗体価は著明に減少したが、1クール終了後約2週間でほぼ施行前値に戻っていた。しかし、症状はこの頃から改善をみており、抗AchR抗体価と臨床症状の間には、いわゆる解離現象を認めた。約2ケ月に1クールを計17回施行し、3年後の昭和57年7月に退院可能となった。
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飯塚 一郎, 山崎 善弥, 高浜 龍彦, 金井 福栄, 矢部 清寿, 平石 守, 丸山 雄二, 和田 達雄, 藤森 義蔵, 浅野 献一, 苑 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
104-107
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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肝不全治療のための血漿交換療法の一法として, 2台の膜型血漿分離装置を使用した, 同時血漿採取交換療法について研究してきたが, 今回, その効果について検討した。本法では, 凍結保存, 溶解による新鮮血漿の効力の減少が最も少ないと考えられ, また, 大量の血漿を供血者から容易に得ることのできる方法である。今回, 肝不全モデルとして, ビーグル犬にD-ガラクトサミンによる急性肝障害を作成し, 2頭の健常犬を供血者として本法を施行した。採血漿, 補液のバランスのとれた回路を用いることにより, 供血犬, 肝障害犬いずれも, 全身状態に著変は起こらず, 安全, 容易に本法が施行された。本法の効果は, 健常血漿による希釈効果と考えられる, トランスアミナーゼ等肝不全時増加因子の著明な減少, 及びプロトロンビン時間, 凝固因子の減少の一定程度の改善, 及び延命効果として認められた。
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―担体の検討―
大城 孟, 神前 五郎, 船越 哲, 上村 八尋, 高木 邦彦, 阪本 泉
1983 年 12 巻 1 号 p.
108-111
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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われわれはB型肝炎を予防する一手段としてB型肝炎ウイルス吸着・除去フィルターの開発を検討中であるが, 今回はフィルター試作の第一段階としてHBs抗体を多量に固定化し得る担体の検討を行った。検討した担体はガラス, ナイロン, ガントレッ, セファロースで, これに抗ヒトHBs抗体および抗モルモットHBs抗体を固定化した。HBs抗体固定化材料はそれぞれ一定量をカラムに充填しHBs抗原陽性血漿を濾過, 濾過前後の血漿中のHBs抗原価をRPHA法にて測定した。その結果抗ヒトまたは抗モルモットHBs抗体固定化交差結合ガントレッがもっともHBs抗原吸着・除去能に優れ, RPHA法では前2
10から後2
3または前2
10から後2
4に, また
1251ラベルHBs法では前20095cpmから後165cpmまたは前22824cpmから後4987cpmに減少した。今後はこの材料を如何に効率の良い形態に加工するかが重要なテーマーとなる。
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-免疫グロブリンの吸着様式と細胞の活性化との関連性
笠井 俊二, 赤池 敏宏, 国元 武彦, 新田 和男
1983 年 12 巻 1 号 p.
112-115
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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吸着免疫複合体および抗体刺激によるマクロファージの活性化には、抗体の架橋化と至適コンポメーションの獲得およびその維持が極めて重要であり、かつそれらは免疫吸着材表面の親一疎水性、表面荷電密度に大きく左右される事が分かった。また免疫吸着材の性状が免疫グロブリンの抗原認識機能とエフェクター機能に対して異なった影響を与える事が示された。抗体の生物活性発現の分子機序の解明、さらに合成高分子材料を基質とした免疫工学的手法による免疫疾患の治療システムの開発、これら両分野において上記知見は役立つものと思われる。
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市川 公夫, 市川 久志, 井上 昇, 山崎 善弥, 藤森 義蔵, 高浜 龍彦, 飯塚 一郎, 矢部 靖寿, 和田 達雄, 風間 睦美, 森 ...
1983 年 12 巻 1 号 p.
116-119
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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血漿交換療法の普及に伴い, その適応症例が増大しつつある。それに伴う補液としての血漿ならびに血漿製剤の不足さらに肝炎合併の問題がある。これら問題の解決策として, 選択的に病因的高分子物質を除去し, 他の必要成分を含む自家血漿を患者にもどす方法の開発研究および臨床応用が試みられて来ている。今回われわれは, 新に開発した修飾型ポリビニルアルコールゲルより成る吸着材(I-02), 血液ポンブ, 抗凝固剤としてのチトラート液注入および腎臓用濾過器(PAN-15)による除水用二連ポンプなどで構成される簡便な直接血液灌流方式の免疫複合体吸着システムを考案した。
犬を対象に本システムによるI-02カラムへの血液灌流を施行し, 生体適合性ならびに安全性について基礎的検討を行った。一般血液生化学的および凝固因子など血液性状に著変なく, 実験中およびその後, 実験犬はその血行動態も安定しており, 本血液灌流法は安全且簡便に施行された。
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山崎 善弥
1983 年 12 巻 1 号 p.
120
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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苑田 毅, 田中 義隆, 丹沢 宏, 野木 立男, 木村 睦, 西海 四郎, 菊地 哲也
1983 年 12 巻 1 号 p.
121-124
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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Double filtration plasmapheresis用に新たに開発した2種のPMMA血漿成分分離膜(Second filter)を用い. 低温度(4~15℃)および室温域(25~37℃)で3種の方式(Oneway, Recycle. Partial discard)の比較を行なった。総蛋白質透過率85%付近の膜を使う低温度での濾過にくらべ, 総蛋白質透過率60%付近の膜を使う室温域での濾過の場合が血漿成分蛋白質の分離が良く, Sieving Coefficientの経時変化も小さい。血漿の処理量はOne way方式にくらべ, 濃度分極を押えるため膜表面の流速を高めたRecycle方式が多くなる。Partial discard方式は目詰りが最も遅く大量の血漿を処理できるが, 蛋白回収率が低下し多量の補液を必要とする。
血漿中の高分子量蛋白質を除去することを目的とする場合. 室温(25~37℃)でのRecycle方式によるDouble filtrationが好ましいと考えられる。
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金子 岩和, 阿岸 鉄三, 蓮尾 良博, 葛西 浩美, 樋口 雅人, 島田 浩通, 江良 和雄, 太田 和夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
125-128
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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膜を用いた血漿分離交換療法は, 広く臨床的におこなわれてきている。膜型血漿分離器は, 様々の材質が用いられ中空糸型, 積層型(円盤型)が開発されている。
これらの膜型血漿分離器は仕様が異なり, 血漿分離能, 溶質透過能に差があると考えられる。それぞれの血漿分離器のS. C. (Sieving Coefficient)は, 大分子量物質でも0.9以上という値を示した。
5種類の血漿分離器の濾過分離率(Filtration Rate: FR)は, 平均で26.5±28ml/hr・mmHgから1202±25ml/hr・mmHgと高い値を示した。すなわち, 我々が施行している1回あたり3lから4lの血漿交換に対して十分な性能を有していることが確認できた。
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児島 弘臣, 衣笠 えり子, 関口 孝, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 松沢 公彦, 村上 瑛一, 長谷川 了一
1983 年 12 巻 1 号 p.
129-132
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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われわれはcellulose acetate, acrylic polymer, cellulose nitrateより成る三元ポリマーアロイ中空糸膜を開発し, 本膜を応用した臨床用血漿分離器を新しく作製した。この血漿分離器を用い, 雑犬によるex-vivo試験, および臨床使用を行ない濾過性能, 血液適合性について検討した結果, sieving coefficientは総タンパクで常に0.9以上, β-リポタンパクでも0.8以上を維持し, 血漿分離速度の低下もみられなかった。血球成分の変化は, 軽度の白血球, 血小板の減少を認めたものの, 既存の製品に比して遜色なく, 溶血もほとんど認められなかった。臨床使用に際しても同様の成績を示し, 特に副作用の出現は認められず, 残血も僅かであった。以上より, 本製品は今後の広汎な臨床応用に耐え得る十分な性能と血液適合性を持つと考えられる。
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内間 高夫, 渡辺 俊文, 野崎 重治, 高井 信治, 高橋 浩, 堀 正剛, 渡部 孝一, 大坪 修
1983 年 12 巻 1 号 p.
133-136
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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ポリプロピレンを膜素材とした中空糸型血漿分離器の評価を, 雑種成犬を用いた3時間の動物実験より行った。評価方法としては, 血漿分離器入口および分離血漿側における各血漿蛋白分画より蛋白濾過効率を検討した。また, 血漿濾過流量に関しては, 血液流量を50~125ml/minと変化させ, さらに各血流時に膜間圧力差を調整することにより検討を行った。その結果, アルブミン, α
1, γグロブリン分画においては90%以上, α
2, βグロブリン分画においても80%以上の蛋白濾過率を示した。また, 濾過流量については血流100ml/minで39ml/minを得ることが可能で, TMP50mmHg前後の操作であれば溶血のトラブルもなく安全に血漿分離が行えた。
以上の如く, 本モジュールはplasma sepratorとしての機能を有していることが確認できた。
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中西 光, 井上 政昭, 岩井 靖雄, 森 光男, 伴野 丞計, 池田 博之, 島田 淳, 酒井 清孝
1983 年 12 巻 1 号 p.
137-140
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
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血漿交換療法に用いられるプラズマセパレーターでは、種々の中空糸を用いたものが開発されているがそのほとんどのものが、湿式法で製膜されたものである。今回開発されたポリエチレン中空糸膜は、熔融紡糸法と呼ばれる新しい製法によるものである為にその膜表面上の孔形が短冊形状となつている。しかも、中空糸内を流れる血液の流れる方向に対して長軸方向が一致している構造的特徴がある。これと他の種々の膜とを比較評価した結果、その孔形状と操作条件による溶血とに関連があり、ポリエチレン中空糸膜の孔形状が有利である事が認められた。
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谷 徹岡, 藤 太郎, 橋本 宇史, 松田 孝一, 上原 鳴夫, 角田 富士男, 中根 佳宏, 小玉 正智, 野木 立男, 田中 和実
1983 年 12 巻 1 号 p.
141-144
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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分画分子量10万のPMMA膜ミニモジユールを用い、全血からの血漿成分直接分離の可能性と人血漿を使つて血漿成分分離量及びグロブリンのSieving Coefficientに対する超音波、温度の影響を検討した。直接使用についてはグロブリン分離量が少い割に、Trans membren pressure上昇が著しく、これに起因すると思われる溶血や、leakage等を認め適当と思われない。超音波使用は血漿成分の経時的分離量低下に対して明らかに改善を認め、それも温度が高い場合により効果的であつたが、グロブリンでは余り効果が認められなかつた。又TMP田上昇に対しては、その10%程度の減少効果が認められた。温度による影響では、血漿成分分離量は温度が高い程多くなるが、同時に経時的減少も著しくなる。一方グロプリンのSCは低温時に改善する傾向を認めた。本モジユ一ルは0℃から45℃の温度での使用に良く耐えるが、超音波の長時間使用に対しては、さらにfiberの強化が必要と思われる。
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大坪 修
1983 年 12 巻 1 号 p.
145
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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梅津 光生, 藤井 尚文, 田中 隆, 川副 浩平, 藤田 毅, 阿久津 哲造
1983 年 12 巻 1 号 p.
146-149
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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新しく登場した心臓代用弁である単葉傾斜ディスクのBicer-val弁(B-V), 低い弁高を有するブタ弁であるLiotta弁(Liot), Biocor弁(B-C), ウシ心のう膜弁でやはり弁高の低いRoss弁(R-B), 新Ionescu弁(NIS), IMC弁らに対し, in-vitroの水力学的試験を行ない, Gorinの式に基づく弁口面積を算出し, 従来の弁との特性比較を行なった。まずB-VはBjörk-Shiley (B-S)より広い弁口面積を有し, B-S (C-C), Omniscience弁, SJM弁らと同等の特性であったが, 頻脈応答性は多少劣る。Liot, B-Cらの弁口面積はMO-Hancock弁(H250), 新Carpentier弁らのブタ弁と同等の値を呈したが, B-Sより約15%小さい。ウシ心のう膜弁では, Ionescu弁(I-S)がB-Sと類似した弁口面積であるのに対し, IMCはH250と同等, R-B, NISは試験弁18種の中で最大の弁口面積を有した。以上, 各弁それぞれの水力学的特性が明確となった。
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赤松 映明, 木島 利彦, 城山 友広, 福増 広幸
1983 年 12 巻 1 号 p.
150-153
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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A ducted ball valve is newly designed for an extracorporeal assist device. A ball is set up in a well-contoured duct along which the flow velocity is to be constant. This vale wastested and compared with a Bjork-Shiely valve and a St. Jude Medical valve in a steady flow and in a pulse duplicator. This valve proved almost the same pressure-loss as a SJM valve, the lowest in regurgitation, and the minimum in energy-loss.
Simultaneous measurements of ball displacement, flow rate and pressure-loss indicate that (1) the ball valve begins to close before regurgitation, this results in lowest regurgitation, (2) at the initial stage of valve-opening, the ball moves faster than the fluid, (3) at the end of opening or closing period, the ball touchs the cage or the valve seat at the much-reduced speed.
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藤井 尚文, 梅津 光生, 川副 浩平, 田中 隆, 鬼頭 義次, 藤田 毅, 曲直部 寿夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
154-157
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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低心拍出量時および心房細動(af)時に, 各種心臓代用弁がいかなる弁機能特性を示すかを明確にするための実験を行った。
実験に使用した代用弁はBjörk-Shiley弁(BS弁), Ionescu-Shiley弁(ISPX), Mo-Hancock弁(Mo-HX)である。ポンプ駆動圧を130mmHgより60mmHgまで順次減少させ, その間の弁機能特性を調べた。また, afを想定したプログラムを作成し, af時の弁機能特性を調べた。
大動脈弁位においては, ISPXがBS弁に比し優秀な弁機能特性を示し, ISPXを使用することは有効であると考えられる。僧帽弁位においては, 規則正しい収縮時にはBS弁が最も優秀な弁機能特性を示すが,af時にはISPXが最も弁機能特性が優れていた。僧帽弁疾患にaf例が多いことを考えると, 僧帽弁位にISPXを使用することは有効であると考えられる。
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今村 栄三郎, 石原 茂樹, 西谷 泰, 斉藤 喬, 青見 茂之, 小柳 仁
1983 年 12 巻 1 号 p.
158-160
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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異種生体弁を半分開いた状態(開放型弁)と閉いた状態(閉鎖型弁)でグルタルデヒド処理を施したあと, 各弁葉遊離縁の中央に金属小片を付着して犬摘出心臓ーポンプ回路系の僧帽弁値に置換した。心脈動下でのmarkerの動きをX線映写で観測した。開放型弁の3個の弁尖は同時開放および均一の距離をとりつゝ全開放に至る。心拍出量の多寡に影響されず正常調律拍動下で必ず認められた。対照的に閉鎖型弁では各個の弁尖は順次運動を呈し心拍出量の多寡に応じて全開放したり,一部弁尖の開放不全等, 挙動上著しい不均等を認めた。閉鎖速度は開放型弁561±134msec (n=17), 閉鎖型弁99±89msec (n=16) (P<0.005)。一心拍周期に占める弁開放期間は開放型弁61±3.5%, 閉鎖型弁53±6.6% (P<0.005)。以上の結果より, 半開放位での固定方法はより正常生理的弁運動を行なわせることが確認された。
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藤田 毅
1983 年 12 巻 1 号 p.
161
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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野一色 泰晴, 宮田 暉夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
162-165
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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コラーゲン線維をヘパリン化する方法を用いて, 内腔面をヘパリン化したコラーゲン線維製代用血管を作成した。40頭の成犬胸部下行大動脈に植え込み, 植え込み直後より6ケ月に到るまでの試料を採取し, 肉眼的, 光顕的に検討した。対照として, 16頭の成犬にヘパリン化していないコラーゲン線維製代用血管を植え込み, 同様の期間観察した。採取した標本では, 対照群では植え込み直後より厚い血栓形成がみられたのに対し, 実験群では観察期間を通して血栓の付着は認められず, ヘパリン化の効果が著明であった。外膜側結合組織からの新生血管壁内への線維芽細胞や細血管の侵入は1週間目からみられ, 2週間目では著しかった。このような早期の治癒傾向は布製人工血管では決してみられない現象であり, コラーゲン線維製の有利さを示した。観察期間中, 対照群より遅れながらも内皮細胞の被覆が進行した。この間, 血栓形成は全く認められず, ヘパリン化の効果が明らかにされた。
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―長期生体置換例の表面性状の検討―
田村 康一, 中村 達雄, 水野 浩, 加藤 弘文, 清水 慶彦, 寺松 孝, 日野 常稔
1983 年 12 巻 1 号 p.
166-169
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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小口径の動脈(口径4mm以下)および静脈系に置換し得る人工血管の開発を目的として、われわれの施設において研究をおこなっているPVA-SiO
2複合体を既存の人工血管に塗布し、これを犬腹部大動脈に移植した。その結果、1年以上の長期開存例は、コントール(I群) 2/7。PVA-SiO
2塗布(II群) 4/7。含ヘパリンPVA-SiO
2塗布(III群) 8/12。摘出後にその表面を肉眼及び光顕で縣すると、II・III群では、I群に比べて吻合部の組織の過剰形成もなく、又仮性内膜も菲薄であった。走査型電顕では、I群の全表面はほぼ完成された内皮細胞が覆っている。II群では中枢・末梢に内皮細胞の形成ををみるが、中央にフィブリ線維で覆われた部分がみられた。さらにIII群では、中枢・末梢共に内皮細胞は幼若で、中央には人工血管の露出している部分もみられた。以上より、PVA-SiO
2複合体を塗布することにより、吻合部組織治癒は良好となり、中央部の内皮細胞の新生を遅延させるが仮性内膜は菲薄となった。
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児 玉亮, 広津 敏博, 志村 幸雄, 津田 圭四郎, 井島 宏, 前田 肇
1983 年 12 巻 1 号 p.
170-173
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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市販のダクロン製人工血管をグロー放電により, コラーゲンまたはコラーゲン・コンドロイチン硫酸複合体で表面を修飾し, 犬の静脈に置換した。この処理により, 生体適合性と抗血栓性が向上することが分った。特にコラーゲン・コンドロイチン硫酸複合体を用いた場合に顕著であった。人工血管表面のフィブリン形成や血小板の粘着も抑制された。生体内の血管表面構造に似せて, 材料の表面を修飾すると生体適合性が向上することが示唆される。
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大熊 恒郎, 前山 俊秀, 佐々木 久雄, 大内 博, 葛西 森夫
1983 年 12 巻 1 号 p.
174-178
発行日: 1983/02/15
公開日: 2011/10/07
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静脈用E-PTFE人工血管の犬門脈での内膜形成過程について検討した。雑種成犬38頭の門脈をfibril length 4~8μのE-PTFE人工血管で置換した。早期閉塞による死亡2例を除き36頭中29頭の開存を得ており, 開存率81%であった。これ等につき経時的に屠殺し, 光学顕微鏡, 走査電子顕微鏡による検討を行い以下の結論を得た。初期血栓の抑制は新生内膜の肥厚を防ぎ, 内皮細胞の下層となる組織の完成を早め, 内皮化の進行に寄与する。内皮細胞は宿主門脈より吻合部を越え連続性に伸展し, より中央部に達すると細胞同志の連続を保ちながら飛び石状の集塊を形成し, やがて埋めつくされ内皮化が完成する。孤立性に存在する内皮細胞は認められず, 宿主門脈内皮細胞に由来すると考えられた。門脈への移植では, 内膜の栄養は厚さ0.2mm以上の部分では内皮下に発達した栄養血管が必要であり, 0.2mm以下では直接門脈血により栄養されていると考えられた。
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