イヌとサルを用いて, 実験的左脚前枝ブロック, 次いで実験的右脚本幹ブロックを作成し, 心表面マッピングによる興奮伝播様式から比較検討した。
左脚前枝, 中隔枝を含む広範囲の障害にて, 左室前基部心表面に興奮伝播遅延がみられた。サルではもともと同部位が早期興奮部位であり, 左脚前枝ブロックにより, 最終興奮部位となったために, 興奮伝播の方向が大きくかわり, 左軸偏位を示した。ところが, イヌでは同部位はもともと最終興奮部位であり, QRS環の終末部が左上方偏位する程度で, 右脚本幹ブロックを加えることで, QRS軸は左上方へ大きく偏位した。
QRS軸の偏位には, 心臓全体の興奮伝播の方向性が重要で, 左脚前枝ブロックにより左軸偏位を示すには, 左脚前枝の支配領域である左室前基部が早期興奮部位である必要がある。
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