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H.-J. SCHLOTFELDT, W. NEUMANN, H. FUHRMANN, K. PFORTMUELLER, H. BOEHM
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
85-91
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
南ザクセン地方においては1981年まではせっそう病, 紅斑性皮膚炎, ビブリオ病, レッドマウス病などの細菌病の治療が効果的に行われていた。しかし, 耐性菌の増加によって, その年から状況が一変した。西ドイツで現在魚病薬として認可されている薬剤はクロラムフェニコール, クロルテトラサイクリン, オキシテトラサイクリン, フラゾリドン, トリメトプリム・スルファジメトキシン合剤, ニフルプラシンであるが, 現在, 治療効果の期待できる薬剤はテトラサイクリンだけである。
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Nour El-Din AMIN, I.S. ABDALLAH, T. ELALLAWY, S.M. AHMED
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
93-97
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
全部で25尾の病魚を検査した結果, 急性の場合と慢性の場合とで症状が異なることが分かった。すなわち, 前者は皮膚の発赤, 全身に散在する大小の出血斑, 眼球突出, 脱肛を特徴とし, 後者は脱鱗や周囲の充血した潰痕が体側をはじめ体表の処々に見られることを特徴としていた。白点虫の寄生がストレスとなったと考えられた。14株の Aeromanas hyrophila が分離され, 接種実験の結果, そのうち8株が強病原株, 3株が病弱原株, 3株が非病原株であった。
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Teresa P. NIETO, M. J. R. CORCOBADO, Alicia E. TORANZO, Juan L. BARJA
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
99-105
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
スペイン北西部の養魚場のニジマス稚魚に1983年3月と1984年4月に発生した流行病を調べた。病魚の腹腔, 腎臓, 肝臓, 鰓から分離された菌株を調べたところ, 運動性エロモナスが最も多かった。代表株4株の病原性と種を調べたところ, いずれも病原株であり, 3株は A. hydrophila biovar hydrophila に同定された。発病はいずれも水温が5.5-8℃から急に11℃に上昇したときに起こっており, そのストレスが引き金になったと考えられた。
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北尾 忠利, 吉田 照豊, 青木 宙, 福留 巳樹夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
107-114
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
ウナギ潰痕病起因菌と既知の非定型 A. salmonicida 及び大塚ら(1984)によって報告されたウナギからの分離菌との分類学的比較を試みた。既知の A. salmonicida とは生化学的性状において一致しなかった。血清学的性状では金魚由来の菌株との間に共通抗菌が存在し, 特に大塚らによって報告されたウナギ由来菌株とは, ほぼ同一の抗原構造を有することが判明した。なおLPSの電気泳動パターンにおいては, 他の A. salmonicida 菌株と同一のパターンえお示すことが認められた。
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Pseudomonas fluorescens の症状
R.C. DUREMDEZ, G.D. LIO-PO
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
115-123
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
テラピア稚魚から分離された Pseudomonas fluorescens の性状を調べた。発育温度範囲は10℃から41℃, 至適温度は25-30℃, 発育可能な食塩濃度は0から50ppt, 至適濃度は0-15ppt, 発育pH範囲は5.0から6.7, 至敵pHは5.7-8.4であった。水中での生存時間を調べたところ, 淡水では148日間, 汽水では50日間生存したが, 海水では1日後には死滅していた。
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K. Olav HOLM, Ellen STROM, Klara STENSVAG, Jan RAA, Trond JORGENSEN
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
125-129
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
所謂ヒトラ病の大西洋サケの腎組織から分離されるVibrio sp. TEOは本病の進行に関係していると考えられている。ノルウェー沿岸の地理的に離れたいくつかの養魚場で分離された18株について調べた結果, それらの生化学的性状は殆ど同じであった。さらに, 血清型やDNAの電気泳動像も互いによく一致する一方, V. anguillarumやV. ordaliiとは明瞭な差が認められた。本菌を健康魚に注射すると発病し, 菌は再分離されるが, 発病中の養魚場において, 健康魚からは分離されない。
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田島 研一, 絵面 良男, 木村 喬久
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
131-142
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
我が国における魚類ビブリオ病原因菌の分類学的位置を明らかにする目的で, 国内各地より収集した同病原因菌219株について検討した結果, 数値分類においては別種と考えられた phenon I. V. anguillarum と phenonII Vibrio sp. はDNAの相同性の結果からはむしろ同一種に属する菌群と考えられた。さらに両者は血清学的には同一の耐熱性抗原(J-0-1)を保有していたが, 易熱性抗原(K-2)により明らかに分別し得た。
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Ming-Chen TUNG, Shinn-Shyong TSAI, Lih-Fang HO, Shiuh-Tyan HUANG, Shin ...
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
143-148
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
1983年3月, ある淡水養殖池のカムルチーに急性敗血症が発生し, 累積死亡率30%に達した。病魚は突然不活発になるほかには外見的な症状は見られず, そのまま池底で死亡した。血液や脾臓の塗抹標本には両極染色性の桿菌が観察された。脾臓や腎臓に白斑病巣が散在し, 組織学的には大小の菌塊を含む巣状壊死が認められた。分離菌は Pasteurlla 属に分類され, 感染実験により病原菌であることが証明された。また, 多くの抗菌剤に感受性があり, クロラムフェニコールの投与によって効果的に治療された。
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R. G. GETCHELL, J. S. ROHOVEC, J. L. FRYER
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
149-159
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
7株の Renibacterium salmoninarum の抗原を免疫電気泳動法を利用して血清学的に比較した。泳動像から7つの共通成分が識別された。そのうちの1つであるF抗原を硫安塩析とゲル濾過によって部分精製した。相互吸収試験の結果, F抗原は R. salmoninarum の主要な表在抗原であることが分かった。この抗原は耐熱性であり, 硫酸ドデジル・ナトリウムポリアクリルミド・ゲル電気泳動法で推定された分子量は57000であった。
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若林 久嗣, 岩藤 俊幸
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
161-165
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
細菌性鰓病羅病と体組織への酸素供給能の低下との関係を明らかにする目的で羅病魚の筋肉中のグリコーゲン, ピルピン酸塩, 乳酸塩を測定した。 Flavobacteriumsp. BGD7721 を実験感染させたニジマス稚魚の筋肉中のグリコーゲンと乳酸塩は, 感染魚が餌も摂らず不活発になることから, 時間とともに減少した。しかし, 乳酸塩は魚が横転する頃から増え始め, 死亡時には133±58mg%に達した。この現象は乳酸塩ピルビン酸塩の比においてより顕著であり, 死亡直前に筋肉中に過剰の乳酸が蓄積することが明らかとなった。
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乙竹 充, 若林 久嗣
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
167-171
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
細菌性鰓病の原因菌 Flavobacterium が産生する菌体外物質(ECP)の生理活性について検討した。ATCC 35035株をCGY寒天培地を用いて培養し, tris 緩衝液によって2度洗浄し, その洗浄液中よりアセトンを用いてECPを分離した。ECPには血球凝集能, 菌体凝集能, 魚毒性, プロテアーゼ及びその他数種の酵素活性が認められる一方, 内毒素, 溶血素については認められなかった。また洗浄後の菌体の感染力は著しく低下していることが観察された。
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児玉 洋, Mohamed MOUSTAFA, 見上 彪, 伊澤 久夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
173-179
発行日: 1985/09/05
公開日: 2010/02/10
ジャーナル
フリー
Vibrio anguillarum 培養上清濾液中に存在する外毒素を部分精製した。2種のクロマトグラフィーにより得られた40Kの糖蛋白および34Kの蛋白を含む画分はニジマスおよびマウスに腸管毒性と血管毒性を示した。毒素はトリプシン, プロテアーゼ, エチルエーテル, およびアセトンに耐性であり, 過ヨウ素酸カリ処理により失活した。毒素は比較的耐熱性であるが100℃あるいは121℃, 20分の加熱により失活した。毒素の示す毒作用は抗毒素血清により完全に中和された。
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Mohamed MOUSTAFA, 児玉 洋, 見上 彪, 伊澤 久夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
181-186
発行日: 1985/09/05
公開日: 2010/02/10
ジャーナル
フリー
強毒 Vibrio sp. N7802 株培養上清濾液をDEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィーおよびセファデックスG200ゲル濾過を用いて分画した。ニジマスおよびマウスに致死性を示す画分が分離され, 分子量35Kの糖蛋白が検出された。この画分には蛋白分解酵素活性, 溶血活性のどちらも検出されなかった。これらの結果より, 本菌株は2種の酵素とは異なる外毒素を産生することが示唆され, この毒素がニジマスのビブリオ病の病理発生に関与する可能性も考えられる。
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Fulvio SALATI, 楠田 理一
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
187-191
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
Edwardsiella tarda からフェノール-水法で抽出後, Cetavlon 処理および高速遠心により精製したリポ多糖の化学分析を行った。リポ多糖はタンパク3.6%, 有機リン0.09%, 糖22.0%および脂肪酸8.3%を含んでいた。これらのうち, 糖には KDO 4.1%, ペントース1.1%, ヘキソース12.0%, 6-デオキシヘキソース0.6%, ヘプトース3.9%およびアミノ糖3.9%が含まれ, 脂肪酸は主としてβ-ヒドロキシミリスチン酸, ミリスチン酸およびパルミチン酸で構成されていた。これらの分析結果は Salmonella で報告されているものと類似していた。
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野村 潤一郎, 青木 宙
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
193-197
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
ポリアクリルアミドゲル電気泳動および銀色染色法を用いてグラム陰性菌: Vivrio anguillarum, Aeromonas hydrophia, Edwardsiella tards, E. hoshinae, E. icutaluri および Pasteurella piscicida のリポ多糖体(LPS)の解析を行った。 V. anguillarum のLPS泳動パターンは血清型によって異なり, 同一血清タイプでのパターンは一致した。 A. hydrophila の各菌株のLPS泳動パターンは異なったが, 一部共通のバンドがみられた。 E. hosdhinae, E. icutaluri のパターンとも異なった。 P. piscicida のLPSの泳動パターンはすべて一致した。
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青木 宙, 金澤 哲也, 北尾 忠利
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
199-208
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
1981年から1983年にかけて全国各地のアユ養殖場で分離された Virio asruillarum 139株について薬剤感受性試験を行ったところ, 137株は CP・TC・SM・ABPC・CL・NA・NF・SA 及び TMP のうち1剤から8剤の耐性を示した。うち30株より CP・TC・SM・ABPC・SA あるいは TMP の組合せの伝達性Rプラスミドが検出された。これら検出されたRプラスミドDNAの構造は, 1980年に流行したものと相同性を示した。さらに, 地域が異なっていてもRプラスミドのDNA構造は一致した。
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高嶋 則之, 青木 宙, 北尾 忠利
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
209-217
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
1981年から1983年にかけてかくちのハマチ養殖場の病魚より分類された Pasteurella piscicida 281株のうち262株が CP・TC・APC・KM・NA・NF・SA の1剤から6剤耐性を示した。伝達性Rプラスミドは, 262株中168株より検出され, 検出されたRプラスミドの耐性マーカーは, CP・TC・APC・KM あるいは SA 耐性を示した。それらRプラスミドのDNAの構造は互いに相同性を示した。同一のDNA構造のRプラスミドを有する P. piscicida の多剤耐性株が全国各地の養殖場で流行していることが示唆された。
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宮崎 照雄, 界外 昇
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
219-227
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
ヒラメ, マダイ, ニホンウナギ, テラピアの Edwardsiella tarda 感染症およびアメリカナマズの E. ictaluri 感染症について, 比較病理組織学的研究を行った。ヒラメ, ニホンウナギの E. ictaluri 感染症における感染病巣の炎症反応は化膿性炎で, また, マダイとテラピアの E. tarda 感染症の感染病巣の炎症反応はマクロファージの集簇とそれに続く肉芽種性炎でそれぞれ特徴づけられた。原因菌に対して好中球およびマクロファージは食菌するが, 殺菌的ではなく, 原因菌の細胞内増殖を許していた。
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Jim S. NELSON, John S. ROHOVEC, John L. FRYER
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
229-235
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
Vibrio anguillaum 菌株 LS-174 をニジマスに腹腔内注射ないしは菌浴法で感染させた。3尾ずつ3時間おきに48時間サンプリングし, 組織切片を蛍光抗体(直接法)で染色し, 感染の進行状況と接種菌の運命を調べた。接種法による差は認められず, いずれの場合も菌はまず脾臓に現れ, そこで増え始めると, つづいて腎臓でも増え始めた。殆どの組織に菌が広がり敗血症になると死に至った。諸臓器組織に広範な壊死おとび菌体外抗原の存在が認められた。しかし, マクロファージによる食菌像は観察されなかった。
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児玉 洋, 本多 昭彦, Mohamed MOUSTAFA, 見上 彪, 伊澤 久夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
237-242
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
ホルマリン不活性化 Aeromonas salmonicida で免疫したニジマス血清中の抗 A. salmonicida 抗体を抗体を酵素抗体法(ELISA)により検出した。ELISAの反応性は血清希釈と平行し, またそれぞれの結成の凝集素価とも相関ししかもより感度よく抗体を検出した。ELISAにより, 免疫2週間後にニジマス血清中に抗体が検出された。本ELISAは他種 Aeromonas および Vibrio に対する抗体とは反応しなかった。
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吉水 守, 木村 喬久
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
243-261
発行日: 1985/09/05
公開日: 2010/02/10
ジャーナル
フリー
特異抗体感作 staphylococci を用いた coaggulutination test の細菌性およびウイルス性疾病迅速診断への応用について検討した。病魚の腎臓あついは患部の加熱抽出液を抗原とする coagglutination test によりサケ科魚類の細菌性腎臓病, セッソワ病, ビブリオ病およびコイ科魚類の“穴あき病”の迅速診断が, また病魚の内臓ホモゲナイズ濾液を抗原としてIPNの迅速診断が可能であった。さらに本法により自然凝集性 A. salmonicida の血清学的識別, V. anguillarum およびIPNの血清型別も可能であった。
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Chiu-Yuan CHIEN, Ching-Long LIN
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
263-266
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
池中養殖中のエビPenaeus indicus幼生に感染したLagenidium sp. の形態変化を観察した。この鞭毛菌類に属する真菌は幼生を襲い死亡率は85%に達した。触角、頭胸甲、尾節の内部に寄生し、糸状の遊走子嚢の中に形成された遊走子が放出管の先端から遊出した。甲殻類のカビ病の最初の報告例であるこの疾病はエビ幼生の飼育環境の悪化に伴って発生した。
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Kuo-Chun LIU, Lee-Min MAI, Chau-Heng CHIEN
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
267-272
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
最近, 台湾の養殖ウナギにバランキオマイセス症が発生した。この病原真菌の存在は鰓組織の光学顕微鏡観察によって不動胞子と呼ばれビーズ状の構造物が見られたことによって認識された。感染している鰓組織を取り, 電子顕微鏡観察をした。生殖期は無隔菌糸細胞の細胞質の濃縮から始まり, 続いて菌糸細胞内に隔壁が形成された。仕切られた細胞質はそれぞれ所謂不動胞子と同じ球形の遊走子嚢となった。成熟するとこれらの遊走子嚢はお互いから, さらには菌糸から離れ, やがて各遊走子嚢から鞭毛をもった多数の遊走子が放出された。
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岡本 信明, 中瀬 清一, 鈴木 裕之, 中居 裕, 藤井 恭治, 佐野 徳夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
273-285
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
in Vitro におけるイクチオホヌスの生活史を明らかにした。本菌は MEN-10(pH 7~9) で厚膜球状多核体 tw から極く短い菌糸を伸長し同先端から単核球状体 ub を放出、 ub は成長し再び tw にもどった。 tw は病魚体の球状体と同じと見做された。同(pH 3~5)では、菌糸は伸長し分枝をくり返し、条件悪化により菌糸先端に多核菌糸球状体 ht を形成した。 ht は同(ph 7~9)でアメーバブラストに変形、続いて運動性あるアメーバ状体を放出した。またその一部は出芽してプラズモジウム様体にもなった。
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A. AMANDI, R. A. HOLT, J. L. FRYER
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
287-304
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
アメリカ北西部においてMyxobolus insidiosusの分布が拡大しており, ニジマスとスチールヘッドが新たに宿主に加わった。感染体は水中に存在すると信じれており, その水にギンザケを入れたところ8日間では感染しなかったが50日間で感染した。また, 感染体の量の差によると思われるが, 水系によって感染率に大きな差が見られた。M. insidiosus血清に対する反応をゲル拡散法で調べたところ, 非感染魚の組織や他種の粘液胞子虫の胞子とは反応がなかった。一方, 種々の宿主や地域から集めたM. insidiosusは抗原的に類似していた。
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Chu-Fang LO, Shih-Chieh CHEN, Chung-Hsiung WANG
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
305-312
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
Clinostomum complanatum のメタセルカリアは宿主由来の結合組織に包まれており, 周囲の筋繊維にはシストの物理的圧迫による萎縮が認められた。また, 虫体の外皮には, 外皮から直接栄養をとりこむ吸虫に特徴的な褶状の構造が認められ, 経口的ばかりでなく外皮からも栄養をとりこむと考えられた。人為的に脱シストを超したところ, 脱シスト時の虫体の運動とその後の組織内移動によって, 魚体組織の充血, 出血が生じ, 虫の周囲の筋繊維は融解に至った。
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長澤 和也
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
313-321
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
1981~83年の春から初夏に中部北太平洋の49水域で漁獲したベニザケ計3935尾を調査したところ, 206尾(5.2%)に内臓癒着が認められた。病魚は尾叉長35~49cmの中型魚に多く, 30cm以下, 65cm以上の魚にはみられなかった。病魚の割合は淡水生活年数が多い程確実に増え, また, 海洋で2冬過ごした魚が最も高かった。病魚は雄の方が高率であった。病魚はまた未成熟魚に最も多く, その割合は成熟にともなって減少した。病魚の割合は一般に南から北へ向う程低下したが, これは緯度によって漁獲される魚の大きさや成熟度組成が異なるためである。
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Da-Shu NIE, Jin-Pei PAN
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
323-330
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
草魚は四大養殖魚の一つに数えられているが, 病気に対して最も弱いとされており, ウイルス, 細菌, 真菌, 原虫, 蠕虫, 甲殻類, 藻類, 軟体類の幼生などが病原体として知られている。その他, 非生物因子による疾病もくいつかある。重要な流行病については病因, 疫学, 予防, 治療が究明されている。最近, 水田のような衛生的環境が草魚の病気を防ぐのに良い一方, 雑草を食べることで水田の生産性も上がることから, 相互利用の方法が確立された。また, これまでに草魚の寄生虫127種が報告され, 73種の新種と2つの新科が提案された。
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Ya-Li HSU, H.M. ENGELKING, J.C. LEONG
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
331-338
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
IHNウイルスのポリペプチドをSDS-PAGEで分離し, 硝酸銀で染色した。5つのウイルス粒子蛋白を分別し, 各蛋白の総蛋白に対する相対的な寄与とおよその分子量を算出した。各蛋白が感染細胞に出現する時間を調べたところ, 感染2~3時間後にN蛋白, 6~7時間後に膜蛋白のM1, M2蛋白, 9~10時間後に糖蛋白のG1, G2が現われた。感染初期には細胞の蛋白合成を阻害できないので初期試料でのL蛋白と細胞蛋白とを識別は困難であった。
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C. L. SCHULTZ, B. C. LIDGERDING, P. E. MCALLISTER, F. M. HETRICK
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
339-341
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
IHNウイルスに対する抗体を継続的に産生するハイブリドーマ細胞株を確立し、M-IHNV-W1を名付けた。培養液中の抗体を濃縮し、A蛋白セファロースCL-4Bアフィニティークロマトグラフィーで精製した。免疫グロブリンはκ軽鎖をもつIgG 2bに同定された。このIgGはIHNウイルスに特異性を示し、結合能を有するが中和能は低かった。VHSやIPNのウイルスとの交差反応はほとんど認められなかった。
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羽曾部 正豪, 実吉 峯郎
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
343-351
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
CPB spot 減少法による核酸関連物質のスクリーニングを行い, 細胞レベルで ID50.10μg/ml 以下の抗 IHN 活性を示す11種類の化合物を検出した。このうち 6-thioinosine, 5-hydroxy-Urd., virazole, (s)-DHPA, chloroquine について抗 IHN 活性の詳略を調べるとともにニジマス稚魚を用い, 実験感染魚レベルでの抗 IHN 効果も検討した。その結果, 6-thioinosine, 5-hydroxy-Urd, 群の生残率は対照に比べ約20%高かった。薬浴法の違い(毎日, 又は1日おき薬浴)は 5-hydroxy-Urd. 群において生残率の違いとして示されたが, 6-thioinosine 群では違いが認められなかった。
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Paul W. RENO, David V. SERREZE, Susan K. HELLYER, Bruce L. NICHOLSON
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
353-360
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
フリー
VENに感染したタラとニシンは非感染魚に比べ, ヘマトクリットと血球数が低かった。さらにタラではヘモグロビン量も低かった。血しょう中の電解質と蛋白質には影響は認められなかった。感染タラの赤血球では乳酸脱水素酵素とグルコース-6-リン酸脱水素酵素の活性が低かったが, クエン酸合成酵素には変化がなかった。なお, ニシンではいずれも影響は認められなかった。また, 感染タラの赤血球ではATPのレベルが50%下がっていたのに対し, ニシンでは逆に33%上がっていた。
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T. YAMAMOTO, R. K. KELLY, D. NIELSEN
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
361-372
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
ジャーナル
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カナダ中央部に生息するウオールアイにはウイルスの関与する皮膚腫瘍が少なくとも4つ観察されている。第1のリンホシスチスは他の淡水魚や海水魚に見られるものと変わらない。第2の皮膚腫瘍は一見リンホシスチスに似ているが, よく見ると後者と違って表面が滑らかなことで識別できる。第3は青みを帯びた透明な粘膜状の表皮増生であり, 径135nmのレトロウイルスを含む細胞から成っている。第4のものは第3のものより患部が広く, しばしば皮下組織の腫れを伴っている。ヘルペスウイルスが関与している。
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J. R. WINTON, C. N. LANNAN, D. P. RANSOM, J. L. FRYER
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
373-380
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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マスノスケの腎臓と脾臓をプールした試料をCHSE-214株に接種してこのウイルスを分離した。接種24日後にCPEが発現した。CHH-1, KO-6, FHMの各細胞株でも増殖した。至適温度は18℃, 24℃以上では増殖しない。MEM培地でpH3~11で安定, ヨードデオキシウリジン50μ/ml下で発育可能である。クロロホルムに感受性, 魚や鳥や哺乳類の赤血球を凝集する。エンベロープに包まれた径125-250nmの粒子で, 内部に径18nm, 長さ1000nm余りのコイル状のヌクレオカプシッドをもつ。パラミクソウイルス科に属すると考えられる。
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佐野 徳夫, 福田 穎穂, 古河 勝
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
381-388
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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日本産コイの乳頭腫組織から分離されたH. cypriniはFHM, MCT細胞で20℃, 14日間の培養後, 105.5TCID50/mlの力価に増殖し, IUdRその他で不活化された。合胞体を形成せず, Cowdry type A封入体を形成した。粒子直径190±27.2nm, キャプシド直径113.4±8.6nm。感染FHM細胞の封入体内外に, また感染実験魚に見出された腫瘍組織の細胞質と核質に多数のウイルス粒子と核膜からの放出粒子が観察された。平均水温15.2℃の感染実験で5ヶ月後にマゴイ10尾中3尾に, 外観上では自然発生の腫瘍と同質の乳頭腫の形成が認められた。
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長村 吉晃, 若林 久嗣
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
389-394
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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細菌, 2%カゼインおよび対照として生理食塩水を接種したウナギ好中球のグリコーゲン含量を測定するとともに, それら細胞の遊走能と食菌能について調べた。 好中球のグリコーゲン含量は, 細菌を接種したウナギ好中球において最も多く, 107細胞あたり74.6~105.9μgであり, 次いで2%カゼイン接種魚, 対照魚の順であった。一方, 好中球の遊走能は2%カゼイン接種魚で高く, また食菌能は細菌を接種したウナギの好中球で最も活発に認められた。
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本多 昭彦, 児玉 洋, Mohamed MOUSTAFA, 山田 文孝, 見上 彪, 伊澤 久夫
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
395-402
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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ホルマリン不活化Vibrio anguillarum免疫ニジマス由来マクロファージの貪食能を調べた。免疫5週後に採取したマクロファージは正常魚由来のものと比較し有意に高い貪食活性を示した。凝集抗体は免疫3週以降認められた。正常魚由来マクロファージのVibrio貪食は抗体と補体により促進された。免疫1週後のニジマスはその大半が菌の攻撃に対して防御されたことから, 抗体の上昇あるいはマクロファージの貪食能の上昇を認める以前にニジマスは本菌に対する防御免疫を獲得することが示唆される。
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Stephen G. NEWMAN, John J. MAJNARICH
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
403-411
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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自己凝集をする強毒株のAeromonas salmonicidaを連続培養槽で培養し, 遠心器で集菌し浄洗, 高pHで5mM EDTA処理をしてワクチンを製造した。ニジマス, カワマス, 大西洋サケにこのワクチンを注射法, 浸漬法(高張液前処理および非処理)で投与した。注射法では注射量が効果に影響し, 例えばカワマスでは5倍希釈区, 10倍希釈区, 対照区の死亡率がそれぞれ44%, 67%, 97%であった。浸漬法の効果は一様ではなかったが, 良い例では10倍希釈液の1回浸漬区, 2週あけての2回浸漬区, 対照区の死亡率はそれぞれ36.7%, 0%, 70%であった。
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川合 研児, 楠田 理一
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
413-419
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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Vibrio anguillarumのホルマリン不活化菌体ワクチンを, 14区の養殖池のうち7区の池のアユに0.08~0.16g湿菌重量/kg 魚体重/日の割合で8~15日間経口投与した。これらのうち3免疫区と3対照区でビブリオ病が自然発生し, いずれの免疫区においても死亡魚数ならびに治療に要する投薬日数が対象区より少なかった。自然感染が起こらなかった区の魚について行った攻撃実験では, いずれの免疫区でも対象区より有意に高い生残率を示した。ワクチンの効果は0.1g/kg 魚体重/日の割合で隔日8回の投与により認められ, 59日以上持続した。
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福田 穰, 楠田 理一
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
421-425
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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Pasteurella piscicidaのホルマリン不活化菌体ワクチン, フェノール-水法抽出LPSワクチンおよび菌体を自己消化後硫安で塩析分画した沈降ワクチンの3種のワクチンを用いて, 浸漬法と噴霧法によりブリを免疫し, 生菌の経口接種による攻撃と, 菌体凝集抗体価の測定を行った。攻撃後の生残率はいずれの免疫方法においても, LPSワクチン区, 沈降ワクチン区, 菌体ワクチン区, 対照区の順に高い値を示した。抗体価は噴霧法で免疫した場合いずれのワクチンを用いても, 免疫魚の体表粘液中で対照魚よりも明らかに高い値が認められた。
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W.D. PATERSON, S. P. LALL, D. AIRDRIE, P. GREER, G. GREENHAM, M. POY
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
427-434
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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カルシウム, マグネシウム, 亜鉛, 鉄, 銅, マンガン, コバルト, ヨードおよび弗素の量を変化させた6種類の飼料, および市販飼料で大西洋サケを飼育し, BKD の発生率を比較したところ, ヨードおよび弗素の量の多い区(それぞれ 4.5mg/kg 飼料)は他の区よりも明らかに低かった。また, BKD 菌のホルマリン死菌をフロインドの完全アジュバントと共に注射した区では患部形成が全く見られなかった。市販のせっそう病ワクチンである「フローゲン」を実験室および野外で試験したところ, いずれの場合も効果が認められた。
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西村 定一, 佐々木 治雄, 牛山 宗弘, 井上 潔, 鈴木 雄策, 池谷 文夫, 田中 深貴男, 鈴木 裕之, 小原 昌一, 荒井 真, ...
1985 年 20 巻 2-3 号 p.
435-443
発行日: 1985/09/05
公開日: 2009/10/26
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ホルマリン(F)不活化濃縮ウイルス(V)液の腹腔内接種(IP)により4週間免疫後, 強毒Vによる攻撃試験によって4℃で6日間, 0.2% F 処理を不活化法に選んだ。IP免疫効果は1週で既に現れ, 少くとも 56, 70 日間継続した。ニジマス稚魚を2分間高張処理後, 上記5%液に3時間浸漬し, これを2週間後に再度行い, その2週後, 浸漬攻撃した結果, 対照より斃死が2日遅くなり, 斃死率も低下した(対照 94, 96, 免疫群 58, 71%)。
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