魚病研究
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20 巻, 1 号
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  • 坂井 勝信
    1985 年 20 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1967年から1982年まで, さけ・ます類病魚から分離・保存されたA. salomonicida 114株の自発凝集性および血球凝集性を検討した。自発凝集株はさけ・ます類血球を凝集したが, コイ科魚類および哺乳類血を凝集せず, 一方, 非凝集株はこれらさけ・ます類血球を凝集しなかった。また, 長期の保存培養による自発凝集株から非自発凝集株への変異に一致して, 血球凝集株から非血球凝集株へと変異することから, 自発凝集性と血球凝集性とは相互に密接な相関を有するとともに, 自発凝集株は血球に付着することを示すと考えられる。
  • 坂井 信勝, 木村 喬久
    1985 年 20 巻 1 号 p. 9-21
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     A. salmonicuda分離株114株の自発凝集性を調べた結果, 凝集(AG), 非凝集(NAG)および中間(IM)の3型の分別され, 分離年(保存培養期間)と出現率から, AG→IM→NAG型への表現型変異が想定され, 事実, IM型はAGとNAG細胞から構成されていた。AG型はニジマス正常血清および抗血清による溶菌反応, 腹腔内遊出白血球による免疫食菌作用に対して強い抵抗性を有し, さらにニジマスへの接種において強い持続感染性と病原性を示した。NAG型は, これら抵抗性および感染性を有しなかった。
  • T.C. HSU, E.B. SHOTTS, W.D. WALTMAN
    1985 年 20 巻 1 号 p. 23-35
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     Aeromonas hydrophila菌群の164株を供試して25種類の炭水化物解能を調べた。アラビノース, サリシン, セロビオース, シュークロース, ラクトースからの酸産生に菌株間の差異が認められた。グルコースからのガス産生は86.6%にみられたが, 他の糖からの産生にはさらに大きな菌株間の差がみられた。相関分析やカイ二乗検定の結果, アラビノースやサリシンからの酸産生, グルコースやサリシンからのガス産生によって, 人や魚やその他の動物由来の株と, 水などの環境由来の株とが区別されることが分かった。
  • E.B. SHOTTS, T.C. HSU, W.D. WALTMAN
    1985 年 20 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     寒天平板での簡易定量法により, Aeromonas hydrophila類縁菌の蛋白分解能を調べた。供試菌株の全てがアルブミン, カゼイン, フィブリノーゲンを, 殆どがゼラチン, ヘモグロビン, エラスチンを分解した。一方, コラーゲンを分解する株は皆無であった。相関関係を推計したところエラスチン分解能以外の5つの分解能は互いに高い相関性が認められた。エラスチンの分解にはこれらとは異なる酵素系が関与していることが示唆された。カゼインおよびエラスチンの分解能の強い菌株は環境水由来の株よりも人や魚やその他の動物由来の株が多かった。
  • 宮崎 照雄, 城 泰彦
    1985 年 20 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1979年春から夏にかけて, 徳島県下のアユ養殖場で海産稚アユの飼育中に Ishthyophonus hoferi 感染症(イクチオホヌス症)が発生した。病魚は共通して, 体色の褪色, 腹部膨満, 体表の微少潰痕, 腹水貯留, 内蔵諸器官での微少結節を示していた。病理組織学的には, Ichthyophonus の多核球状体が全身に伝播し, 糸状体の伸長, 胞子形成を行っていた。それらに対して, マクロファージ多核巨細胞, 肉芽腫による炎症反応が見られた。
  • 虫明 敬一, 中井 敏博, 室賀 清邦
    1985 年 20 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     致死濃度以下の銅液(100,250μg-Cu/l)に浸潰したニホンウナギ血漿コルチコステロイド量は, 12時間銅処理魚において最高値を示した。血中の白血球数(リンパ球, 顆粒球)は24時間銅処理魚において最も減少した。白血球の Edwardsiella tarda に対する食作用を in vitro で調べたところ, 24時間処理魚の白血球の食菌率は対照区のそれの半分程度に低下していた。以上の結果から, 先に報告した銅処理によるウナギの E. tarda などに対する感受性の増大は, ストレスの3次反応であり, 主として白血球の食菌作用の低下に起因するものと考えられた。
  • 宮崎 照雄, 城 泰彦
    1985 年 20 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1978年秋, 徳島県下の養殖アユに発生した運動性エロモナス症について, 病理組織学的に検索した。病魚は外見的に眼球突出, 尾部と肛門の発赤を呈していた。病理組織学的には, 冒された眼部の眼結膜, 脈絡膜, 眼窩脂肪織などに細菌増殖, 壊死, 出血がみられた。内蔵では肝臓, 脾臓, 造血組織にうっ血から出血に至る循環障害が生じていた。また, 心筋および腎実質に変性像がみられた。しかし, 内蔵諸器官への細菌伝播は極めて軽微であった。
  • 界外 昇, 宮崎 照雄
    1985 年 20 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1983年10月,三重県下のヒラメ養殖場で発生した白点病の病理組織学的検索結果は以下のとおりであった。1. 白点病が発生したヒラメ養殖場では2年魚約1000尾がほぼ全滅した。2. 病魚の鰓には多数の針頭大白点状病巣がみられ,白点虫の寄生が認められた。病理組織所見では,白点虫は鰓上皮細胞と基底膜の間に寄生し,寄生部の鰓上皮細胞および粘液細胞には著しい増生が起こり,皮下結合織には炎症性細胞浸潤が認められた。
  • 長村 吉晃, 若林 久嗣
    1985 年 20 巻 1 号 p. 65-66
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     フィコール・メトリゾ酸ナトリウム液の濃度勾配液を調整し, ウナギ血液からの好中球の分離を試みたところ, 5%と11%あるいは6%と11%のフィコール・メトリゾ酸ナトリウムを重層し, その上にウナギ血液をのせ, 1500rpm, 30分間, 室温で遠心分離する方法が良い結果を与えた。すなわち血球は3つのフラクション(上から1,2,3)に分画され, 1は主としてリンパ球と栓球, 2は主として好中球, 3は殆どが赤血球であった。しかし, 1には少数の好中球, 2には少数のリンパ球と栓球も含まれていた。
  • 小川 和夫, 宇野 信也, 伊藤 進
    1985 年 20 巻 1 号 p. 67-68
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     愛知県のハウス式養鰻池内に体長1cm前後のヒルが大発生する例があった。ヒルはその形態的特徴から, 吻蛭目, Glossiphoniidae科のミドリビル, Batracobdella smaragdinaと同定された。現地調査およびヒルの飼育実験の結果, ミドリビルは通常は水底の石等に付着していて, 吸血時にのみウナギに吸着する一時寄生体と判明した。ヒルの養鰻池への侵入を防ぐことは困難であり, 通常の薬剤の池中散布では効果が期待できないことから, ウナギを取り上げ後に池を消毒し, 他に伝播しないように配慮することが対策として考えられた。
  • 西村 定一, 佐野 元彦, 遠山 冬樹, 金井 義和, 佐野 徳夫
    1985 年 20 巻 1 号 p. 69-70
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     牛胎児血清濃度を1,2,5%としたMEMでEPCとFHM細胞をマイクロプレートに調整し, IHNV長野分離株のウイルス力価を測定したところ, 高い血清濃度はCPEの発現を遅らせ, 力価を緩慢に上昇させ, 最終力価に達するまでにより長期間を要した。最終力価では血清濃度による明瞭な差は生じなかった。FHM細胞ではCPEぼ発現も遅く, MEM-2で調整した両細胞により多数の試料を測定して比較したところ, IHNV長野分離株に対し, FHM細胞はEPC細胞よりも明らかに低感受性であった。
  • 金井 義和, 福田 穎穂, 佐野 徳夫
    1985 年 20 巻 1 号 p. 71-72
    発行日: 1985/06/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     IHNVを構成している5種類の蛋白質のうち, Gの分子量だけが, 細胞内ウイルス材料段階よりも, 細胞外放出ウイルスの方において大きかった。 IHNVの国内分離株16株のうちの1株(HS株)は, Gの分子量において, 他の株より少なかった。 IHNVの米国分離株4株は, Nの大きいカリフォルニア型と, Nの小さいオレゴン型に分けられた。
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