Aeromonas hydrophila のホルマリン死菌を抗原として免疫したニシキゴイの血清中における凝集抗体価とタンパクの変化を,ゲルろ過と電気泳動によって分析し,次の結果を得た。1.免疫したニシキゴイの血清中の凝集抗体価は,1週間後から急速に上昇し,4週間後には1:2,048~8,192となり,ピークに達した。2.セルロースアセテート膜電気泳動では,免疫魚と非免疫魚の間に,とくに差異が認められなかった。3.寒天ゲル免疫電気泳動では,免疫魚の血清のアルブミンからα-グロブリン領域の沈降線が陽極側に長く延びる変化を示した。4.ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動ではRm値0.10~0.15付近のバンドが,免疫に伴って濃度が増すことが認められた。5.免疫魚と非免疫魚の血清をSephadex G-200を用いてゲルろ過したところ,4画分に分けられた。凝集抗体活性はこれらのうち最も分子量の大きな画分にのみ認められ,2-ME処理により消失した。
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