鹿児島県下の海岸に近接した飼育池のテラピアに細菌性疾病が発生し, 病魚の内臓から3株の好塩性ビブリオが分離された。分離菌株は, ガラクトース, セロビオース, ラクトース, サリシン発酵性およびリジン, オルニチン脱炭酸が陽性で, 42℃での増殖能を示したが, アルギニン分解, V.P. 反応およびシュクロース発酵性は陰性であった。これらの特徴的な性状から, 分離菌株は3株とも Vibrio vulnificus と同定された。分離菌株のうち2株はカゼイン分解活性および血清抵抗性ともに高く, テラピアおよびコイに対して病原性を示した。1株はカゼイン分解力が微弱であったが, 血清抵抗性および病原性は他の菌株と同様に認められた。菌株保存中に半透明型変異株が分離したが, 連動性がなく, カゼイン分解力も微弱で病原性が見られなかった。
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