魚病研究
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16 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 体表における感染防御作用
    川合 研児, 楠田 理一
    1981 年 16 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.アユのビブリオ病経口ワクチンの作用機構を検討するために,免疫魚と対照魚に対して3種類の方法で生菌攻撃を行なって,感染門戸を究明するとともに,体表粘液,腸粘液,および血清中の凝集素価について調査し,体表粘液中に検出された凝集素の役割について考察した。2.排菌法で攻撃した免疫魚と対照魚の各部位における菌の分布を比較したところ,免疫魚の体表部では菌の検出率が低く,両群間に有意差が認められた。3.菌浴法で攻撃した場合には菌は対照魚の皮膚のみで増殖し,腸,腸内容物,および免疫魚の皮膚では検出されなかった。4.筋肉内接種法で攻撃した場合には両群のLD50にはわずかの差異しか認められなかった。しかし,致死に至るまでの時間は免疫魚の方が長い傾向が認められた。5.凝集素価の上昇は免疫魚の体表粘液中だけに認められ,腸粘液や血清では対照魚と差異がなかった。6.免疫魚の体表粘液にはアユの体表に菌の付着を抑制する作用が認められた。7.以上のことから,本病の感染門戸の主体は皮膚であり,経口ワクチンの効果は体表粘液中に分泌される凝集素が皮膚に対する菌の付着を抑制する作用に基づくものであると推察された。
  • トラフグの栄養性ミオパチー症に対するビタミンEの予防効果
    窪田 三朗, 延東 真, 宮崎 照雄, 大林 萬鋪
    1981 年 16 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1) トラフグの種苗生産過程に発生する稚魚の栄養性ミオパチー症をビタミンEの投与で予防する実験を行った。2)実験の結果,餌料100g当りビタミンEを250mg,500mgをそれぞれ投与したものでは本症の発生が予防できた。
  • 分離菌の形態学的,生物学的ならびに生化学的性状について
    楠田 理一, 杉山 昭博
    1981 年 16 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     高知および香川の両県の養殖ハマチとマダイ病魚から分離したStaphylococcus epidermidisの形態学的,生物学的および生化学的性状を検討し,次の結果を得た。1.分離菌株はいずれもグラム陽性,カタラーゼ陽性の球菌で,オキシダーゼをもち,ブドウ糖を発酵的に分解することからStaphylococcus属に分類できる。さらに,コアグラーゼ試験およびマソニットの分解性が,いずれも陰性であることからS. epidermidisに同定した。2.分離菌の性状をBAIRD-PARKERのStaphyloccusサブグループの記載と比較したところ,ハマチ由来株はサブグループII, VおよびVIに,マダイ由来株はIIに分類できた。
  • 分離菌株の血清学的性状について
    杉山 昭博, 楠田 理一
    1981 年 16 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1975年から1978年にかけて高知,香川,三重および兵庫県の養殖ハマチ,マダイおよびウナギからStaphytococcus epidermidisを分離した。そして,これらの菌株の血清学的性状を交叉凝集反応,培養条件と加熱処理の凝集性に及ぼす影響,交叉吸収試験およびOUCHTERLONY法によるゲル内沈降反応によって調査した。その結果は次に示すとおりである。1.交叉凝集反応において供試菌株間に共通した抗原性がみられた。2.生菌状態では凝集しない菌株で,加熱処理後に凝集する菌株がみられた。3.吸収試験において各菌株に複数の抗原因子が存在することが認められた。4.菌株の培養条件が主抗原因子以外の抗原因子の凝集性に影響するものと思われた。5.ゲル内沈降反応は凝集反応の結果とほとんど一致した。6.因子血清を用いた血清型別において110-1株はA型,110-2株はB型,110-3,110-4,110-5,110-8,M110-1およびSHy-2株はC型,110-6と110-7株はD型およびK110-1株はE型に型別できた。また, SHy-1株はどの因子血清とも反応しなかった。
  • 分離菌株と人由来菌株の血清学的性状の比較
    杉山 昭博, 楠田 理一
    1981 年 16 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     高知,香川,三重および兵庫県の養殖ハマチ,マダイとウナギから分離されたS.epidermidisと人由来菌株の血清学的性状を,分離菌株および人由来菌株抗血清を用いて比較検討した。その結果,すべての分離菌株は人由来菌株と共通した抗原性をもち,また吸収試験から110-2とK110-1株が人由来菌株と類似した抗原構造をもつことが明らかになった。なお,110-1,110-3,110-4,110-5,110-6,110-7およびM110-1株は人由来菌株と特異的に異なる抗原構造をもつことが認められた。さらに,前報で作製した病魚分離菌株因子血清は複数の抗原因子に対して反応することが認められた。ゲル内沈降反応においては110-2とK110-1株は,人由来菌株と異なる抗原構造をもつことが明らかになった。
  • 森川 進, 三木 知, 田代 文男
    1981 年 16 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     アマゴにせっそう病原因菌のA.salmonicidaを筋肉内接種し,血液性状の変化と,接種菌生菌数の消長について検討して次の結果を得た。1.菌接種魚は検査のために取り上げたものを除き,接種8日後にすべて斃死した。2.菌接種魚は定型的なせっそう病の外観症状を示したが,解剖所見では腸管の充・出血がみられず,自然発病魚と相違が見られた。3.菌接種魚は接種3,4日後より赤血球数,血色素量及び血漿蛋白量の減少,相対血球容積の低下がみられた。4.菌接種魚は接種2,3日後より,血液,肝臓及び腎臓において接種菌生菌が検出され,その後,肝臓及び腎臓で1070~8 cells/gに達した。5.接種菌生菌の魚体内分布について検討したところ,多くの器官から接種菌が検出され,全身感染に陥っていると考えられた。
  • 安永 統男, 畑井 喜司雄, 小川 七朗, 安元 進
    1981 年 16 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    Recently a mortality has occurred in sea bass, Lateolabrax japonicus, transferred from Korea and cultured at a fish farm in Goto, Nagasaki Prefecture. The main symptoms of this disease are circular swimming movement, whirling and extremely swelled air bladder. The results of bacteriological observations were negative. However, a myxozoan spores was found in every parts of the brain of the fish. They were characterized by the six to eight polar capsules (Fig. 1). Trophozoites were not observed. It closely resembles to Hexacapsula neothunni ARAI and MATSUMOTO, 1953 found in a jellied condition of the body muscles in yellowfin tuna, Thunnus albacores, but can be distinguished from it by the number and size of polar capsules and the site of infection.
    Later, the identical spores were also found in the brain of the other marine cultured fish, Japanese striped knifejaw, Oplegnathus fasciatus and yellowtail, Seriola quinqueradiata.
  • 山下 金義
    1981 年 16 巻 1 号 p. 55
    発行日: 1981/04/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    The parasite reported in the above article was misidentified, which was pointed out by Dr. K. MUROGA and Mr. Do of Hiroshima University and Dr. J. S. Ho of California State University. Reexamination by Dr. Kunihiko IZAWA of Mie University upon my request has revealed that it is a copepodid larva belonging to the Caligoida.
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