魚病研究
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27 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 久下 敏宏, 高橋 計介, バーチ イストバン, 林 不二雄
    1992 年 27 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     ナマズの種苗生産時に感染症によるものと思われる大量死亡が起こることがある。今回, この大量死亡を起こしている群れの瀕死魚(7日齢)から最近分離を行い, A. hydrophila をナマズとコイに腹腔内注射したところ, 両魚種を80-100%死亡させ, 死亡魚の腎臓から菌が再分離された。従って, これまでしばしばみられたナマズ仔魚期の大量死亡の一因はA. hydrophilaによるものと推論された。
  • Chumlong Arunlertarce, 川津 浩嗣
    1992 年 27 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     パラコート原体を用いて孵化直後のコイの仔稚魚に対する急性毒性を調べた。孵化1日(体重1.7mg),7日(10.2mg),(126mg), 35日(873mg)後の仔稚魚に対する96h-LC50は11.3,33.3,67.5,134.1ppmと上昇し, 成長に伴い抵抗性が増大した。パラコート原体のLC50は市販製剤について知られている値よりも著しく高い値を示した。孵化35日後の稚魚を178ppm,96時間暴露した時の生残魚では鰓呼吸上皮の壊死, 腎細尿管上皮細胞の核濃縮と怪死, 肝実質細胞の核濃縮, 腸粘膜上皮の崩壊等, 広範な病理組織学的変化が認められた。
  • 野村 哲一, 吉水 守, 木村 喬久
    1992 年 27 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     北海道10河川産のサケ, カラフトマス及びサクラマス成熟親魚それぞれ420尾, 120尾及び180尾について, 体腔液と腎臓からA. salmonicida の検出を試みた。腎臓よりは低率ではあるが, 体腔液からA. salmonicidaが検出され, 生菌数は106CFU/mlに及ぶことがあることが明らかになった。これらの結果に基づき, 保菌魚から排出される体腔液に起因する水平感染の可能性, 卵を介しての汚染の拡大, 更に現状の人工ふ化事業のサケ体腔液によるA. salmonicida 環境感染に警告を与えた。
  • 吉水 守, ディレクブサラコム , 野村 哲一, 絵面 良男, 木村 喬久
    1992 年 27 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     抗サクラマスIg家兎血清を用いたELISAによるサケ科魚類の血清中の抗A. salmonicida抗体の検出を試みた。A. salmonicidaで免疫したサクラマス, サケおよびギンザケは免疫後2週間から凝集抗体価と共にELISA抗体価の上昇が観察され ELISAによる抗体価の測定が可能となった。1989および1990年秋に北海道に回帰したサケ科魚類採卵親魚および1990年の放流幼魚の血中A. salmonicida 抗体の検出をELISAを用いて行い, 従来の凝集抗体検出法に比べ効率に抗体保有魚を検出できた。
  • 高橋 清孝, 岡本 信明, 池田 彌生
    1992 年 27 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     EIBS(rythrocytic inclusion body syndrome,赤血球封入体症候群)病魚由来の血液, 脾臓, 頭腎および腸内容物のホモジネート濾液を用いて, 健康なギンザケ稚魚を種々の条件下で人工感染させた。人工感染用生体材料としては封入体を有する軽症魚赤血球が最も強い感染性を示した。この魚の全血ホモジネート濾液を腹腔注射またはその希釈液に浸漬すると水温8~10℃で, 赤血球封入体はそれぞれ3または4週目に最も高率に出現し, Ht値は4または5週目に最低となった。その感染性は腹腔注射で10,000倍希釈, 浸漬で1,000倍希釈まで保持された。
  • 高橋 清孝, 岡本 信明, 舞田 正志, John S. Rohovec, 池田 弥生
    1992 年 27 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     EIBS(erythrocytic inclusion body syndrome; 赤血球封入体症候群)について、人工感染によりその特徴をより詳細に知ることを目的とした。その結果、本病は5つのステージに分けられ、Stage IIとIIIはさらにそれぞれ2つのサブステージにわけられた。まず、幼若赤血球のみ(Stage II-a)に、次に、幼若、成熟両赤血球(Stage II-b)に封入体が見られ、さらには、幼若赤血球が消失し(Stage III-a)、Ht値が最低になること、そしてこの時期の赤血球には封入体はもはや見られなくなること(Stage III-b)、回復期には核分裂をおこす赤血球や巨大赤血球が出現すること(Stage IV)などが明らかになった。
  • 井上 潔, 吉越 一馬, 高見 生雄
    1992 年 27 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     魚類株化細胞とトラフグの生殖腺由来初代細胞(PFG)を用いて“口白症”の原因ウイルスの分離を試みた。病魚の脳および腎臓の磨砕試料を, 常法により無菌濾過して培養細胞に接種した。その結果, 株化細胞では異常は認められなかったが, PFG細胞では原因ウイルスによると推定されるCPEが発現した。分離ウイルスによる感染実験では, トラフグ稚魚の高率な斃死のほか, 噛み合い行動と口吻部のフィルターで濾過したウイルス液による感染実験結果から, 病原ウイルスのサイズは50nm以下と考えられた。
  • 中井 敏博, 藤家 紀子, 室賀 清邦, 有元 操, 水田 洋之介, 松岡 学
    1992 年 27 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1991年2月に長崎県下で中間育成されていたシマアジ稚魚が大量斃死した。斃死は約1か月続き, オキシテトラサイクリンおよびオキソリン酸の径口投与により終息した(死亡率34%)。病魚には顕著な外見的症状は認められなかったが, 臓器から一種類の細菌が分離され, 生物学的・血清学的性状からPasteurella piscicida に同定された。分離菌は健康なシマアジ稚魚に強い病原性を示し, またシマアジおよびマダイに致死性を有する菌体外毒素を産生した。
  • 北尾 忠利, 吉田 照豊, 楠田 理一, 松岡 高広, 中野 覚, 岡田 昌昭, 大島 健雄
    1992 年 27 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     細胞壁合成阻害作用をもつ抗生物質在であるビコザマイシン(BCM)の過去5年間に分離された263株のP. piscicida に対するMICは、1.56~6.25μg/mlの範囲に分布した。対照薬では高度耐性株が多く認められたが、BCMとの交差耐性はなかった。BCMは殺菌的に作用し、人工耐性獲得のパターンは暖やかで段階的であった。以上のことから、BCMはブリ類結節症に対する新しい治療剤として、可能性があるのではないかと考えられた。
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