1967年,7,8月に五島各地で蓄養大ブリにCaligus spinosus YAMAGUTIの寄生による斃死が起り,延放養尾数3万尾中約1万尾の被害を生じた。筆者らはこれの駆除方法として,純淡水,DEP淡水溶液, DEP海水溶液による薬浴を試み,DEP100ppm海水溶液の50秒薬浴が有効なことを明らかにした後,約8,000尾についてこの方法で駆除作業を行ない,次の結果を得た。(1) 宿主から取り出した状態のカリグスは純淡水の3分浴では斃死せず,4分浴では85%程度が斃死する。 DEPの50,100,250,500ppmでは,淡水,海水溶液とも1分間浸漬で100%斃死し,海水25,12.5ppm溶液でも100%斃死する。(2) 寄生状態のカリグスは,DEP25ppm淡水溶液の3分浴では殆んど脱落せず,50ppm海水溶液の1分30秒浴では50%が脱落し,100ppm海水溶液の50秒浴ではほぼ100%脱落斃死する。(3) DEP100ppm海水溶液中では大ブリは3分で横転仮死状態になり,完全な安全時間は1分内外以下である。(4) DEP100ppm海水溶液の50秒薬浴で,養魚中のブリ8,188尾(5~7kg)について,カリグスの駆除作業を行なったが,駆除中の斃死はなく,駆除後斃死は急速に止り(表3,図1),著効があったものと考えられる。
抄録全体を表示