1973年以来,全国各地のアユ養殖場で薬剤耐性菌によるビブリオ病が流行し,大きな被害が発生した。そこで,医学や獣医学の領域で併用効果の認められているTMPとSAの治療薬としての細菌学的評価をおこない,次の結果を得た。1.TMP, TMPとSAの合剤(1:5)の薬剤耐性Vibrio anguillarumに対する抗菌力はCP, TC, NF,NAよりも優れていた。しかし, TMPとSAの合剤の耐性菌に対する協力作用は認められなかった。2.TMPとSAの協力作用はSA感受性のV.anguillarumに対して顕著に認められた。3.V.anguillarumのTMPとSAの合剤(1: 5)に対する10代継代後の耐性獲得率は,SA感受性株においても2~8倍であり,対照のクロラムフェニコールとほぼ同じであった。4.薬剤耐性のV.anguillarumによるアユの人為感染魚に対するTMPとSAの合剤(1: 5)の経口投与による治療効果試験の結果,優れた治療効果が認められた。また,この治療効果はTMPによるところが大きいものと思われた。5.薬剤耐性ビブリオ病の自然発生例にTMPとSAの合剤(1: 5)を1日1回,36~43mcg/kg・b.w.を3日間投薬したところ,著しい死亡魚の減少がみられた。
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