魚病研究
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4 巻, 2 号
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  • 大岩 靖之, 南沢 篤
    1970 年 4 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     過炭酸ソーダ(Sodiumpercarbonate, 2Na2Co3・3H2O2,有効酸素10.5%以上)のハマチに対する魚毒性と外部寄生虫B. seriolaeの駆除効果につき二,三の実験を行い次の結果を得た。1)水温25℃の場合,過炭酸ソーダ0.2%の海水薬液で4分,0.25%で3分,0.3%で2.5分以内の薬溶処理は,ハマチに影響を及ぼさない。 (体重20~30g)2)28℃の場合0.25%で3分間(体重25~40g),23℃では5分間(300~400g)の薬浴で異常はない。3) この薬剤を淡水に溶解した場合,毒性は強いので,淡水溶解で使用出来ない。4)水温28℃で0.2%2.5分,0.25%~0.3%で2分間の処理で100%, B. seriolaeを駆除出来る。23℃の場合も同様な駆除効果を示す。
  • 中島 健次, 江草 周三, 中島 東夫
    1970 年 4 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    The reproductive emergence of Philometroides seriolae (ISHII, 1931) YAMAGUTI, 1935(nematode) from the yellowtail, Seriola quinqueradiata, was observed in a large exhibition tank of the Ohita Marine Palace from the middle of August to the beginning of September, 1969. From the observations the following process was suggested. A matured P. seriolae comes out from the interior of the fish body through a small hole made in the skin and hungs down from the hole for a few weeks or more by Ieavng one end of the body under the skin. The part of the worm body exposed to the outside loses elasticity and color and flattens. The end of the exposed part collapsed and thus the larvae are released. and scattered about widely owing to the swimming of the host. The number of the larvae carried by a mother worm varies with the size of the worms, being about 6 to 8 millions in worms measured over 30cm in length.
  • 病魚から分離したAeromonas菌について
    楠田 理一, 高橋 幸則
    1970 年 4 巻 2 号 p. 87-97
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     (1) コイ科魚類の立鱗病の原因として細菌が関係するか否かを確かめるために,病魚の細菌学的検査を行なったところ,復元性をもつ細菌を分離することができた。(2) 分離菌の形態学的,生化学的および生物学的性状を検討した結果Aeromonas属と同定され, EDDY,SCHUBERTおよび江草らの記載と比較してAeromonas liqnsfaciensとするのが妥当であると思われた。(3) 本菌の薬剤に対する感受性はクロラムフェニコール,ナリジキシックアシッドなどが強力であるが,薬剤によってかなりの差が認められた。
  • 窪田 三朗, 小島 清一, 石田 昭夫
    1970 年 4 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1) ハマチにスルフイソミジンを投与し,第10-11椎骨が骨折する事故があり,その復元実験を行なった。2) スルフイソミジン800mg/kg BW/day投与区では骨折が見られないが,その投与量でもハマチエードを併用すると骨折が起ることがわかった。3) 骨折は急性で烈しいけいれんと体の弯曲により起り,その時点における魚の観察を記録した。また局所の解剖所見について記載した。4) 骨折の原因はサルファ剤の副作用であり,粘着性の強い添加物が間接的に骨折を促進する性質を持っていると考察した。5) 摂餌の個体差,投与方法などが骨折と深い関係があると考えられた。6) 骨折の機序と骨折位置の特殊性について推論した。
  • ニジマスの肝癌(1)
    窪田 三朗, 角田 光司
    1970 年 4 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     栃木県水産試験場黒磯分場のニジマスに発生した肝腫瘍を病理組織学的にしらべ,原発多発性実質性肝癌と診断した。病理学的所見からは欧米で多発したアフラトキシン癌,実験腫瘍学的に作られたアフラトキシン癌に多くの点に酷似している。
  • 病徴学及び病理組織学―1
    窪田 三朗, 木村 正雄, 江草 周三
    1970 年 4 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1) 昭和44年6月から10月にかけて仮に細菌性類結節症と名づける感染力の強い一種の細菌感染症が全国的にハマチに流行した。2) 感染初期症状は外見的にも,また内部の肉眼観察でも診断しにくく,重症魚も狂奔することなく,小割底に静止し,そのまま死亡とするので発見が遅れるのが本病の一つの特徴である。3) 重症魚では腎臓,脾臓,心臓,肝臓,鰓などに特徴的な大小の白点が作られ,大きい白点は結節化している。またそれらの臓器にはしばしば著しく肥大するものもあり,色調が白味を帯びている。筋組織中に膿瘍ができないという点で本病はノカルジア症と区別できる。4) 病理組織学的に実質臓器中の白点を調べたが,白点には結節,単純な菌集落,小さな菌集落の球面配置によるものなどがある。5) 病原菌は運動性を持たない。呑喰細胞内で増殖し,集落のもとになるし,血管中で大きな集落は栓子になり栓塞を起こす。6) 病原菌は実質細胞中で増殖しない。またそれらの崩壊組織像が見られないことから,この病原菌は蛋白分解酵素を殆んど持たないのではないかと推定された。7) 類結節症とノカルジア症の白点と結節についてそれらの相違点を述べた。8) 化学療法剤の効果が大きいのは生体内における病原菌の血行,間質性の生態と関連があるのではないかと考えられた。
  • 佐野 徳夫, 牛山 宗弘
    1970 年 4 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     各地養鱒場に発生したニジマス稚魚の流行病は,1) 外部寄生性疾病,2) ヘキサミタ寄生性症,3) 皮膚,筋肉に灰白患部を形成する疾病,および4) 不明病とに大別され,以下のように要約される。1) 鞭毛虫,繊毛虫,吸虫ならびにコンドロコッカス様細菌などの寄生による鰓病と皮膚病。2) 鞭毛虫の一種Hexamita salmonisが幽門垂,消化管系に寄生し,本虫の多数個体寄生例では,上皮の剥離をともなうはげしいカタル腸炎を呈していた。3) 主として背部に,時には腹部の皮膚に灰白患部を形成し,筋肉は硝子変性を呈していた。患部からはコンドロコッカス様細菌が認められた。4) 不明病は膵臓壊死をともなっている。450mμと100mμミリポァフィルターによる瀘液は感染性を示し,同液の加熱処理により感染力を失なった。感染死亡魚は膵臓壊死を発症しており,自然発病魚の病変膵細胞からRNA由来の封入体が認められた。これらの事実は不明病が米国におけるニジマス,カワマスのIPN(伝染性膵臓壊死症)と類似していることを示している。
  • 佐野 徳夫, 牛山 宗弘
    1970 年 4 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     ニジマス稚魚のヘキサミタ症について症状,病害などを観察し,病原虫の駆除実験を行なった。1. 本鞭毛虫が寄生しても外観上,健康魚と見分けがつかない個体がかなりいることが分った。しかし,これらの魚は環境の変化に対して死にやすいことを示した。このことは,選別や移動作業などによって大量斃死する傾向を示唆している。2. 本鞭毛虫の駆除法としては,エンヘプチン,フラゾリドンなどの投薬が有効であった。実験的に,フラゾリドンは10倍散剤で1日量として魚体重1kg当り200~400mgの割合で餌にまぜ,4~5日間投与することで本虫を駆除できることを示したが,実際的な投薬に当っては,本虫発見後連続して9日間行なうことが望ましい。
  • 白木 建二, 宮本 文雄, 佐藤 紀久, 曽根 崎巌, 矢野 邦一郎
    1970 年 4 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     新ニトロフラン誘導体Nifurprazine(HB-115)の魚病病原菌に対する抗菌力及びウナギに対する薬浴毒性,薬浴効果を調べた。1. HB-115の魚病病原菌V. anguillarum, Aeromonas Chondrococcus及び海水由来のVibrio菌に対する抗菌力は,0. 01~0.04mcg/mlと極めて強く,ニトロフラゾン,フラゾリドン,クロラムフェニコール,クロルテトラサイクリンと比較しても,20~300倍の抗菌力がある。2. ウナギに対し,20℃ 30分薬浴において,300ppmでも毒性はあらわれなかった。3. ウナギにおける感染防御実験では,HB-115 30分薬浴で, V.anguillarum感染に対し,5ppmで80%,1ppmでも40%の魚が生残し有効であり, Aeromonas感染に対しては,10ppmで80%の生残効果を示した。これはニトロフラゾン,フラゾリドンにくらべて,顕著な防御効果を示している。
  • 田中 二良, 白木 建二
    1970 年 4 巻 2 号 p. 138-145
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     新ニトロフラン誘導体nifurprazine(HB-115)のハマチに対する薬浴毒性,薬浴体内濃度,経口毒性およびbioautographyによる経口体内濃度を調べた。1,ハマチ幼魚に対するHB-115の薬浴毒性は,水温により相当の差がある。10分薬浴では,25℃,20℃,15℃でのそれぞれの安全限界濃度は,13.3ppm,33.3ppm,46.7ppmであり, LD50はそれぞれ,36ppm,96ppm,238ppmとなり,5℃の温度上昇により,2.5倍前後の毒性があらわれた。2,ハマチに対する経口毒性は,66.7mg/kg BW 3日間連続投与しても,投与の影響はまったく見られなかった。3,Bioautographyによりハマチ体内へのHB-115の移行を調べたところ,各区により差が認められた。特に66.7mg/kg BW投与区のハマチの切片にStaphylococcus aureusの発育を顕著に阻害する作用が認められた。4,HB-11530ppm,10分薬浴をおこない,時間をおって体内濃度を測定した。全血中においては,薬浴直後に,2.2mcg/ml(25℃),1.0mcg/ml(20℃),0.92mcg/ml(15℃)を示し,以後比較的長時間残留した。また筋肉,エラへの移行は少なく,肝臓においては,まったく検出されなかった。
  • 養殖対象魚類に寄生する日本産蠕虫類
    江草 周三, 中島 健次
    1970 年 4 巻 2 号 p. 147-171
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
  • 江草 周三, A.T.A. AHMED
    1970 年 4 巻 2 号 p. 172-175
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
    An eel-farm company at Yaizu City imported a large number of elvers of the European Eel from France in the spring of 1969. Through the end of August into September eels grown to 15 to 20cm in body length died at a high mortality rate. Dying eels showed an abnormal swimming action suggestive of suffocation. Observations of eels showing such an action revealed that their gills were infected, without exception, with large numbers of Trichophrya (Fig.15), while it was rarely observed in healthy eels. As Trichophrya had never been reported in the Japanese Eel, this parasite was first suspected of being introduced from France. Afterwards a similar parasite, however, was discovered in high incidences in Japanese eels in ponds in a different district(Fig.6).
    This note is the first to describe the suctorian infection of the eel.
  • 江草 周三, A.T.A. AHMED, 窪田 三朗
    1970 年 4 巻 2 号 p. 176-179
    発行日: 1970/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    A huge number of elvers of the European Eel were imported, as seeds for culture, from France into Japan in the spring of 1969. From the end of March to the early part of May ichthyophthiriasis broke out among them in many ponds. The parasites occurred on the body and fins, but were never seen on the gills. The disease caused no mortality in any pond and disappeared late in May.
    Taking the fact into consideration that icthyophthiriasis has never been known to occur among the Japanese elvers, though the present authors found out afterwards one case of icthyophthiriasis amog large Japanese eels in a pond, the causative parasite was thought to have deen introduced, carried by the imported elvers, from France into Japan and to have multiplied explosively but temporarily.
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