魚病研究
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 近藤 昌和, 伊丹 利明, 高橋 幸則
    1992 年 27 巻 4 号 p. 185-189
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. クルマエビ血液中のフェノールオキシダーゼ (PO) 活性の分布を調べるために, 血漿成分と血球成分のPO活性を測定した。その結果, 血漿ならびに血球成分ともにPO活性が認められたが, とりわけ血球中の活性が高かった。2. クルマエビ血球成分中のPO活性の酵素化学的性状について検討した結果, PO活性の反応至適温度は40℃であり, 熱処理または0.5M以上の条件下において著しい活性の低下がみられた。また, 活性はEDTAにより阻害されたが, EGTAによる阻害性は低く, Caイオン依存性ではなかった。3. PO活性はPMSFやDEDTによって阻害されたことから, 活性の反応系にはセリンプロテアーゼや銅酵素の関与が示唆された。
  • 有元 操, 虫明 敬一, 水田 洋之介, 中井 敏博, 室賀 清邦, 古澤 巌
    1992 年 27 巻 4 号 p. 191-195
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     シマアジ仔魚の神経壊死症原因ウイルスに対するウサギ抗血清を作製し, 間接ELISAによりシマアジの病魚(仔魚), 受精卵, および親魚の組織(生殖巣, 脳)から本ウイルスの検出を試みた。純化ウイルスを用いた本法の抗原検出限界は約5ngであった。検査したすべての病魚からウイルス抗原が検出されたことから, 本法は本病の簡易・迅速診断に有効であると判断された。また仔魚に神経壊死症が発生した時の受精卵および親魚の卵巣から本ウイルスが高頻度に検出されたため, 本病の主たる感染源は雌親魚と考えられた。
  • 小川 和夫
    1992 年 27 巻 4 号 p. 197-205
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     養殖シマアジの体表に寄生するカイアシ類をCaligus longipedis と同定し, 成虫期を含む全発育期を記載した。ノープリウスは水温22.5℃, 19時間でコペポディットに変態した。コペポディットの20℃の海水中での最長生残日数は7日であった。カリムスはシマアジの鰭と体表に付着していた。自由生活期の幼生(ノープリウス, コペポディット)をシマアジと同居させたところ, 21.2℃で10日後には成虫となり, 12日後には抱卵した雌も採集された。13日後には飼育水から孵化幼生も回収された。従って, 本虫の生活環は約2週間で回転すると見積もられた。
  • 岡本 信明, 高橋 清孝, 熊谷 明, 柴崎 弘之, 舞田 正志, 田中 真, John S. Rohovec, 池田 彌生
    1992 年 27 巻 4 号 p. 207-212
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1986年以来, 毎年5-7月の低水温期に宮城県下の淡水養魚場のギンザケに集団発生している貧血症について, 赤血球内封入体の検出, 電顕観察によるウイルスの確認と人工感染の成立ならびに本病耐過魚が示したEIBS抵抗性から, 本病がEIBSウイルスに起因する疾病であることが確かめられた。死亡率の上昇に伴い, 病魚はミズカビの寄生を受けるものが多く見られたので, ギンザケの水カビ病の一次因の一つとしてEIBSが疑われた。本報は淡水ギンザケのEIBSの日本での最初の記載である。
  • 岡本 信明, 高橋 清孝, 熊谷 明, 舞田 正志, John S. Rohovec, 池田 弥生
    1992 年 27 巻 4 号 p. 213-216
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     EIBS耐過ギンザケが獲得する抵抗性について調べた。EIBSに人工感染させたギンザケを15℃で242日間飼育後, EIBSウイルスで再攻撃して8℃で飼育した結果, 同魚はHt値のわずかな減少を示しただけですぐに回復した。すなわち, EIBS耐過魚は耐過後すくなくとも242日間は免疫力を保持することが実験的に確かめられた。また, 淡水養殖場で自然発病し回復したギンザケは, 追跡調査の結果, 海面養殖でもFIBSに抵抗性をゆうしていることがたしかめられた。
  • 近藤 昌和, 松山 博子, 矢野 友紀
    1992 年 27 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. クルマエビの血液からPercoll連続密度勾配遠心法により, 3種の血球 (透明細胞, 半顆粒細胞, 顆粒細胞) を分離した。2. クルマエビの血球はいずれもグルタルアルデヒド固定ヒツジ赤血球 (SRBCf) を貪食し, 半顆粒細胞と顆粒細胞の貪食率は透明細胞よりも2~3倍高かった。また, 血球の貪食率はSRBCfをクルマエビ血清で処理すると著しく増大した。この血清のオプソニン活性は, 加熱処理 (60℃, 15分間) やEDTA処理によっては影響を受けなかったが, N-アセチルグルコサミン (GlcNAc) によって阻害された。3. クルマエビ血清からSRBCfに結合性を示すレクチンを分離してその特性を調べた結果, 本レクチンは分子量330kDaで, 均一なサブユニット (33kDa) からなること, 血清の凝集価 (210) と同じになるよう希釈したレクチン溶液のオプソニン活性は血清のそれに匹敵すること, およびレクチンのオプソニン活性はGlcNAcによって阻害されることがわかった。これらの実験結果はクルマエビ血清のオプソニン活性はレクチンによるものであることを示している。
  • Leobert D. de la Pena, 桃山 和夫, 中井 敏博, 室賀 清邦
    1992 年 27 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     クルマエビのブビリオ病(Vibrio sp.PJ)の存在を, 広島県および山口県下の計4つの養殖池において調査した。その結果, 水温が高く環境条件が悪化したと考えられる夏から秋にかけ外見的に健康なエビおよび池水から本菌が分離され, 本菌は養殖環境中に定着しているものと判断された。すなわち, 保菌エビが存在しそれらが環境の悪化などの影響を受け発病すると推測された。エビのリンパ様器官の塗抹標本を用いた蛍光抗体法が本病迅速診断に使用しうることが確認された。
  • C. Michel, J-F. Bernardet, D. Dinand
    1992 年 27 巻 4 号 p. 229-232
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     フランスの淡水養殖ヨーロッパウナギの病魚からP.anguillisepticaと思われる細菌が数株分離されたので, そのうちの2株を標準株NCIMB1949Tおよび日本, スコットランド(2株), フィンランドにおける分離菌株, 計5株と比較した。7株とも形態学的, 生理学的, 生化学的性状が極めて類似し, DNA-DNAハイブリダイゼーション法による相同性は85%以上であった。また, 4株について調べたDNA塩基組織は60~62mol%G+Cであった。なお, フランスでP.anguillisepticaが分離・同定されたのは, これが最初である。
  • 畑井 喜司雄, 星合 愿一
    1992 年 27 巻 4 号 p. 233-234
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1985年, 宮城県内の1養魚場で飼育されたいたギンザケ幼魚(20-60g)に水カビ病が発生し, 飼育魚の50%以上もが斃死した。その後, 本病は同県内の数か所の養魚場にも発生し, 毎年5月末から7月上旬にかけて同程度の被害を与えている。病患部は主に頭部と尾部で, それらの部位には綿毛状の菌が繁茂していた。本病の発生と飼育水温の間には相関がないと判断された。菌の繁茂が見られる部位の筋肉を一部採取し, GY培地で培養した結果, Saprolegnia purasitica Coker が分離された。このことから本菌が本病の原因菌と考えられた。
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