魚病研究
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40 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • Mahbubur Rahman, Temdoung Somsiri, 田中 礼二, 澤辺 智雄, 田島 研一
    2005 年 40 巻 4 号 p. 151-159
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     16S rDNAの塩基配列から作製したエロモナス属菌同定のための特異的プライマーにより, 供試したすべての病魚および水棲動物由来エロモナス属菌種106株で所定の1206bpの増幅産物が得られた。ビブリオ属菌を含めた近縁属菌では増幅産物は認められなかった。5種の制限酵素(Alul, Mbol, Pvull, Pstl, Narl)による増幅産物のRFLPパターン解析からエロモナス遺伝種の同定が可能であったが, 新菌種Aeromonas sp.T8 groupとA. caviaeの識別には若干の性状検査が必要であった。
  • 降幡 充, 鈴木 可奈, 細江 昭, 宮崎 照雄
    2005 年 40 巻 4 号 p. 161-167
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     長野県下の養殖ニジマス自然発病魚から分離したOMVを用いて人為感染試験を行い, 自然発病魚と人為感染魚について病理組織像及び電子顕微鏡像を精査した。本病の特徴は, 脾臓, 腎臓の造血組織, 肝臓, 腸管, 心臓, 鰓弁, 真皮そして体側筋組織におけるOMV感染細胞の壊死であった。特に腸管の粘液上皮や粘液下織には出血を伴った激しい壊死がみられた。このような腸管の病理組織像は本病では初めての記載である。
  • 小川 和夫, 安崎 正芳, 良永 知義
    2005 年 40 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     Heterobothrium okamotoiの吸血量を推定した。まず, 虫体が寄生したトラフグの肝静脈内に直径1μmの蛍光ビーズを注入し, 3時間後と12時間後に採血し, 血中ビーズ数を算出し, 3時間後と12時間後の平均値を血中ビーズ濃度とした。次に, ビーズ注入の12時間後に寄生していた虫体を回収し, 虫体内のビーズ数を求め, トラフグ血中濃度から吸血量を推定した。吸血量は寄生虫の発育とともに増加し, 成虫では12時間の吸血量は平均0.69μLに達した。鰓弁の把握器4対の未成熟虫と鰓腔壁の成虫は, 12時間のうち少なくとも1回は吸血していた。
  • 安田 広志, 大山 剛, 中村 充志, 岩田 一夫, Oswaldo Palenzuela, 横山 博
    2005 年 40 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     陸上養殖ヒラメに粘液胞子虫性やせ病が発生した。病魚は腹部膨満や脱腸, また頭骨が張り出すほど極度のやせ症状を呈した。病理組織検査により, 腸管上皮組織内に粘液胞子虫の栄養体が多数観察された。寄生虫の形態観察および遺伝子解析から, 原因粘液胞子虫はトラフグのやせ病原因虫の1種Enteromyxum leeiに同定された。さらに病魚の腸管を経口投与することで, ヒラメからヒラメ, ヒラメからトラフグへの実験感染が成立した。
  • 田中 真二, 井上 美佐
    2005 年 40 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     マダイ幼魚のマダイイリドウイルス病(RSIVD)に対する飼育密度の影響を調べた。飼育尾数または飼育容積をそれぞれ3段階に設定した人為感染試験おいて, RSIVDによる死亡率は低密度区で有意に低かった。野外試験でも同様の結果が得られ, 低密度飼育のRSIVDに対する有効性が示された。また, 高密度区の魚では, 血漿中の総コレステロールとリン脂質が低値を示したことから, 血漿脂質成分がRSIVD抗病性に関与しているのかもしれない。
  • Ramasamy Harikrishnan, Chellam Balasundaram
    2005 年 40 巻 4 号 p. 187-189
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     インドにおける一般的な3種の薬用ハーブCurcumalonga, Ocimum sanctumおよびAzardirachta indicaの水およびエタノール抽出物の単独あるいは混合物のA.hydrophilaに対する抗菌活性を調べた。活性の測定にはディスク法による阻止円の大きさおよび各種濃度における出現コロニー数を指標に用いた。単独抽出物ではA.indicaが, また3種のハーブの水およびエタノール抽出物ではそれぞれを1: 1: 1で混合したものが最も強い抗菌活性を示した。
  • 前田 稔, 楠本 賢一, 水城 英一, 伊丹 利明, 大庭 道夫
    2005 年 40 巻 4 号 p. 191-193
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     クルマエビ卵巣由来の初代培養細胞の長期維持を, 4種類の増殖因子および抗酸化剤を添加した改変Leibovitz-15倍地を用いて試みた。増殖因子として, 上皮増殖因子, 塩基性繊維芽細胞増殖因子, インシュリン, 毛様体神経栄養因子を, 抗酸化剤として2-メルカプトエタノール(2-ME)を用いた。これら5種類を添加した培地を用いたところ卵巣初代培養細胞は無添加培地の45日間よりも長い6ヶ月間の維持が可能となった。各因子の添加による影響を比較し, 2-MEの添加が卵巣初代培養細胞の長期維持に有効であることが明らかになった。
  • Le Van Khoa, 畑井 喜司雄
    2005 年 40 巻 4 号 p. 195-196
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     2001年12月に鹿児島県内で鰓黒症状を示すクルマエビと示さないものとを各々5尾採取し, 鰓をポテトデキストロース寒天培地(PDA)とマイコセル寒天培地(MCA)に接種した。鰓黒を示すエビからのみPDAで5株, MCAで3株の真菌が分離された。PDAからの2株は形態学的にFusarium oxysporumに, 他の株はF. solaniに同定された。両菌種の各1株をクルマエビ稚エビ(3~4g)に接種した結果, いずれも病原性を示した。F. oxysporumによるクルマエビの感染症は日本では始めての報告である。
  • 宮嶋 清司, 横山 博, 福田 穣, 岡本 久美子, 小川 和夫
    2005 年 40 巻 4 号 p. 197-199
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     海産魚の脳に寄生して脊椎湾曲症を引き起こす粘液胞子虫 Myxobolus acanthogobiiを検出するため, 虫体のSSU rDNAを標的としたPCR法を開発した。single-およびnested-PCRの検出感度はそれぞれ1 pgと0.01 pg DNAであり, 他の粘液胞子虫8種のいずれとも交差反応がみられなかった。このnested-PCRを用いて養殖マサバと37種の天然魚の疫学調査を行った結果, チダイ, イゴダカホデリ, キタマクラはM.acanthogobiiの宿主であることが判明した。
  • 宮崎 照雄
    2005 年 40 巻 4 号 p. 201-207
    発行日: 2005/12/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    Koi herpesvirus disease (KHVD) is an emergent cyprinid herpesvirus disease causing mass mortalities in koi and common carp Cyprinus carpio worldwide since 1998. In Japan, KHVD broke out in Autumn 2003 and has caused mass mortalities in farmed fish as well as wild fish all over Japan. Establishment of control measures against KHVD is the urgent theme, and in order to address this issue many scientists belonging to universities, national and prefectural research institutes, and pharmaceutical companies have studied on KHVD and produced excellent results. Not only scientists but also fish farmers are eager to know the results. This context motivated the author to organize a symposium in Mie. The symposium focused on the up-to-date results of studies on KHVD: KHV genome analysis, methods to inactivate KHV in the environmental water, ways to coexist with KHV, development of a delivery system for oral vaccination using liposome, and successful oral vaccination with liposomes entrapping KHV antigens.
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