日本集中治療医学会雑誌
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1 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 青木 英彦, 高野 照夫, 土師 一夫, 有馬 新一, 舘田 邦彦, 早崎 和也, 柴田 淳一, 平盛 勝彦
    1994 年 1 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症は発症早期の急死例が多く,それが臨床上の最大の問題である。急性心筋梗塞症の致命率はおよそ40%と推定されている。一方,CCU治療が進歩して院内死亡率は10%前後に減少した。しかし,心筋梗塞症の死亡例の多くが病院到着前の急死例であり,初期治療を受けることなく命を落としているものが圧倒的に多いという現状が目前にある。近年,急性心筋梗塞症の治療を論じるとき,再疎通療法の有用性について議論が賑やかである反面,治療上の最大の難点である発症直後の急死に目を向け,その対策を真剣に追求しようとするものが少ない。また,本邦には悉皆性の高い大規模な疫学的調査がなく,心筋梗塞発症率が明らかにされていない。発症者全体を視野に入れた救命対策が行われていないことの一因と考えられる。この現状を直視し,具体的な対策を急ぐべき時である。本論文の内容は第20回日本集中治療医学会総会のパネルディスカッション「急性心筋梗塞症の早期収容体制の現状と問題点と対策」(座長:柴田淳一,平盛勝彦)のなかで討論されたものである。そこで明らかにされたわが国における心筋梗塞症患者の早期収容体制の現況と問題点について記す。
  • MAP-CRC中の好中球エラスターゼの変化
    梅垣 修, 相引 眞幸, 小栗 顕二
    1994 年 1 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    【対象および方法】健康成人7名から全血を採血し,日本赤十字社により新しく開発された血液保存液であるMAP液を用いた赤血球濃厚液(MAP-CRC)と従来の血液保存液であるCPD液を用いた赤血球濃厚液(CPD-CRC)を作製し,それぞれの中での好中球エラスターゼ・α1-アンチトリプシン複合体(EAC)の経時的変化を測定し,白血球数の経時的変化との関係を検討した。【結果および結論】CPD-CRC中のEACは,採血後7日目から急激に増加し始めるのに対し,MAP-CRC中のEACは,CPD-CRCより遅れて,作製後14日目から増加しはじめた。さらに,MAP-CRC中のEACは,全経過においてCPD-CRC中のEACよりも低値を示した。白血球数はMAP-CRC中では,CPD-CRC中よりも緩徐に減少した。以上の結果より,MAP-CRCは,CPD-CRCよりもEACの増加は低く抑えられた。その理由として,MAP-CRCがCPD-CRCに比し,製造過程での白血球除去率が高いことおよび保存中における白血球崩壊速度が遅いことが考えられる。
  • 山内 順子, 丸川 征四郎, 尾崎 孝平, 藤田 啓起, 真淵 敏, 岸川 典明
    1994 年 1 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    重症患者の背側肺野に合併する下側肺障害(いわゆるびまん性無気肺)に対する,2時間以内の短時間腹臥位管理の効果を検討した。下側肺障害を合併する19症例を対象に,平均49.5±14.5(80~25)分間の腹臥位管理を施行した。酸素化効率(PaO2/FIO2:P/F)の平均値は,腹臥位で202.7±60.1から297.7±88.4へ有意に増加し,腹臥位時間や喀痰量ではなく肺胞音改善例で増加が良好であったが,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive lung disease: COLD)を合併する2例(10.5%)では軽度低下した。14例(73.7%)では仰臥位に戻した4時間後も,前値より有意に高値であった。炭酸ガス呼出効率,換気量,呼吸数および肺胸郭コンプライアンス(Ceff)の変化は有意でなかった。短時間の腹臥位管理は,長時間腹臥位管理に比べて患者の苦痛と患者管理の煩雑さを軽減できる。本法は重症患者では肺理学療法に取り入れ,頻回に施行することが望ましいと考えられる。
  • 高橋 徹, 国元 文生, 石川 進, 大滝 章男, 森下 靖雄, 荒井 賢一, 佐藤 泰史, 藤田 達士
    1994 年 1 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    開心術直後の消化管領域の循環動態を,胃粘膜pH(pHi)を通して他のパラメーターと比較検討した。対象は術後低心拍出量症候群がなかった14例で,内訳は冠動脈バイパス術5例,僧帽弁置換術5例,大動脈弁置換術2例,僧帽弁および大動脈弁置換術2例だった。ICU入室直後から24時間後まで,心係数は4l・min-1・m-2以上,混合静脈血酸素飽和度は70%以上と心拍出量は十分に維持されていた。pHiは入室直後7.23,6時間後7.21,12時間後7.29と,critical levelである7.32以下であったが,24時間後7.34と有意に(p<0.01)改善した。開心術直後は,心拍出量が維持されていても消化管領域の血流低下による組織のアシドーシスがあり,その回復には24時間を要した。消化管領域の循環の評価に,pHiの測定は簡便で有用な手段である。
  • 森永 一生, 松本 行弘, 三上 淳一, 大川原 修二
    1994 年 1 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    著者らは,すでにバルビツレート療法にポルフィリン尿症を合併した症例を経験し,報告したが,本研究では,本療法中に経時的に尿中ポルフィリン体を測定し,本療法の合併症としてのポルフィリン尿症の存在を確認した。対象は過去4年間に中枢性疾患で入院し,バルビツレート療法を施行した9例である。バルビツレート療法は,サイアミラルを持続静注で使用し,1~5mg・kg-1・hr-1で投与した。投与期間は平均8.6日間で,総投与量は平均667.4mg・kg-1であった。ポルフィリン尿症合併例は3例(33.3%)で,コプロポルフィリン異常高値3例,ウロポルフィリン異常高値2例,ポルフォビリノーゲン異常高値1例であった。ポルフィリン尿症合併例は,バルビツレートの投与期間が長く,総投与量が多い傾向にあった。また3例全例で,肝機能障害を合併していた。今回の検討で,バルビツレート療法の合併症の1つとして,ポルフィリン尿症も念頭におく必要があると思われる。
  • 鶴田 良介, 笠岡 俊志, 池田 賢次, 井上 健, 定光 大海, 立石 彰男, 中島 明雄, 前川 剛志
    1994 年 1 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    β2刺激性エロゾルを定量噴霧式吸入器(metered dose inhaler: MDI)にて投与し,早期の改善が得られた重症喘息発作3例について報告した。呼吸状態,心電図,血中電解質を観察しながら発作の改善がみられるまでβ2刺激性エロゾルを噴霧した。1例は吸入のみ,2例は人工呼吸管理を要し,挿管時間は13および36時間で他の報告例に比べて短時間で発作の消失が得られた。副作用は認められなかった。
  • 笠岡 俊志, 鶴田 良介, 井上 健, 山本 彩, 上田 聡子, 定光 大海, 立石 彰男, 前川 剛志
    1994 年 1 巻 2 号 p. 119-121
    発行日: 1994/09/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    The aim of this study was an evaluation of the climical usefulness of a new ion-selective electrode for ionized magnesium (iMg2+). In 36 healthy volunteers (Group-H) and 24 postoperative patients (Group-P), blood levels of iMg2+ were measured by a Stat Profile 8 Analyzer (NOVA Biomedical, U. S. A.).
    In Group-H, the mean level of whole blood iMg2+ was 0.53±0.04mmol·l-1 and was higher than that of plasma iMg2+ obtained immediately after centrifugation. The mean plasma or serum levels of iMg2+ obtained after centrifugation and preserved at -20°C for one week were lover than those obtained without preservation, respectively. However, when preserved at -80°C, they were not significantly different from those obtained without preservation, respectively.
    The mean level of whole blood iMg2+ in Group-P (0.43±0.07mmol·l-1) was significantly lower than that in Group-H.
    We concluded that an ion-selective electrode for iMg2+ was useful for investigation of various pathophysiologic processes related to blood iMg2+ in critically ill patients.
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