化学工学論文集
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26 巻, 5 号
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  • 緑 静男, 鄭 双寧, 山田 幾穂
    2000 年 26 巻 5 号 p. 627-632
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    垂直分割型カラム (Divided-Wall Column略してDWC) は1949年WrightとElizabethにより考案されて以来, 熱効率が高く, 省エネルギーが可能でコンパクトな構造として注目が集められてきた. そして, 筆者らの実績 (1996) を含め, 既にDWCは工業化に成功している. しかし, 今までのDWCの構造では, 共沸系あるいは近沸点物質系の分離に適用できず, 通常の3成分系を分離対象としていた.
    本文では, DWCの概念を新規抽出蒸留法に適用できるように考案したと共に, プロセスのコンパクト性及び熱的インテグレイト性について通常の2塔方式と比較した. ここで, 考案したカラムはDWC-Eと称し, 以下の特徴を有する. すなわち, 1) 塔頂部から供給段と塔底部までの中間部は垂直分割板より分割されている, 2) 塔頂コンデンサー2基とりボイラー1基のみで, プロセスがコンパクトとなっている. さらに, アセトン/メタノール/水系の抽出蒸留プロセスを例としたシミュレーションを行い, 2塔方式と比較した結果, DWC-Eは最大36%まで省エネルギーが可能であることを示した.
  • 三村 富雄, 松本 公治, 飯島 正樹, 光岡 薫明
    2000 年 26 巻 5 号 p. 633-636
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    排ガス量770m3/hの条件下で高さ約23mのパイロットスケールの吸収塔を用いて, 炭酸ガス濃度最小約3%までのLNGコンバインド火力発電所排ガスに対する炭酸ガスの分離・回収を行った. その結果アルカノールアミン系ヒンダードアミンである吸収剤KS-1を用いた化学吸収法が良好な適合性を示すことが確認された. すなわち, 適切な蒸気供給量を選ぶと炭酸ガス濃度3.4%から10.3%の範囲で, 炭酸ガス吸収率は90%を超えた.
    また, 炭酸ガス濃度が低下するにつれて炭酸ガス回収熱原単位が大きくなっていることが確認できた. 但し, KS-1吸収液では炭酸ガス濃度3.4%でも炭酸ガス回収熱原単位は約3.5×103kJ/kgCO2と少ない.
  • 後藤 繁雄, 田川 智彦, 伊藤 始
    2000 年 26 巻 5 号 p. 637-642
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究で提案する膜反応器は, 内管としてパラジウムーセラミックの複合膜管を用い, 内管と外管の環状部に触媒を充填する2重管の反応器である. さらに, 半径方向の濃度および温度分布を軽減するために, 触媒層中にはガス流路を制御するため2種のリング状の整流板を交互に入れる.
    この反応器について, シクロヘキサンの脱水素をモデル反応としてシミュレーションを行なった.
    標準条件のみならず, 全圧, 温度, 原料モル分率の条件を変化させて, 反応率および水素モル分率を計算することにより, 整流板の有効性を確認した.
  • 田中 猛訓, 武内 啓二, 田谷 正仁
    2000 年 26 巻 5 号 p. 643-648
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    好アルカリ性セルラーゼ生産菌による工業スケール発酵生産プロセスに対して, fuzzy推論を応用した培養異常診断システムを開発した. 評価関数として異常度Jを導入し, これを, オンラインで取得可能な3種のプロセスデータの相対偏倚量 (当該培養時間における標準値から偏倚した相対量) に基づき, fuzzy推論を応用して算出する. 診断システムの概略プロセスは以下の通りである. まず, コンピュータが培養状態をJ値の大小により, 正常状態, 中間状態, 異常状態の3領域に自動的に類別する. この内, 中間状態にのみオペレータの直接診断を集中させ, 培養異常診断業務の省力化を目指す. 100バッチの回分生産培養に対して, 今回提案した診断法を適用したところ, 正常培養と異常培養を誤って判定したケースは発生しなかった. また, 本研究におけるテストの範囲内では, 従来法に比べて99%以上のプロセス監視作業時間が削減される省力化効果が確認された.
  • 瀬川 修一, 三谷 優, 大垣 一成
    2000 年 26 巻 5 号 p. 649-653
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    タンパク質などの表面活性を有する高分子の水溶液において, 高分子は気泡表面に集まり気泡を安定化する. これら高分子表面活性物質は表面エネルギーを下げる方向に働き, 気液界面への吸着と吸着後の分子内親水基を液側に疎水基を気体側へ向ける伸展を起こすと推察される. ビールより分離した高分子を酢酸緩衝液に溶解し気液界面での挙動を表面張力変化から推察した. すなわち, ビール高分子溶液では, 低分子溶液の表面張力のように短時間で一定値に達せず, 数秒以上にわたって減少した. この表面張力の減少を高分子物質の気液界面への吸着と吸着分子の伸展の二段階に分離して速度論的に記述した. β-カゼイン水溶液についてはビール高分子溶液より明確な二段階性を示す表面張力減少が認められた. この表面張力減少もタンパク質分子の吸着と吸着後の伸展を表すものと推察される.
  • 篠田 栄司, 杉立 淳, 福井 国博, 吉田 英人
    2000 年 26 巻 5 号 p. 654-660
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    閉回路粉砕・分級プロセスの立ち上げ時において, プロセスの安定化時間を短縮する手法について数値シミュレーション及び実験による検討を行った.
    粉砕機及び分級機の性能特性について実験結果を基に数式化を行い, 分級機からの戻りを考慮して各粒子径ごとの物質収支を逐次的に解いた. 非定常特性の数値シミュレーションについては, 原料供給量制御, 粉砕機の回転数制御及び分級機を起動から一定時間バイパスさせる制御法の3種類について検討した. その結果, 粉体供給量を制御した場合にプロセスの安定化時間は最小となり, 制御しない場合の約1/3に短縮化された. また, 分級機をバイパスさせる制御を行った場合に非定常時に発生する製品粉体が最小となった.
    粉体供給量を制御した場合に関しては実験結果と計算結果はほぼ一致し, 本報のシミュレーション手法の妥当性を確認した.
  • 西 竜志, 阪田 明弘, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    2000 年 26 巻 5 号 p. 661-668
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ジョブ間の切換えコスト, 在庫コストおよび納期遅れペナルティを評価指標とした多工程フローショップ問題に対する, 自律分散型スケジューリングシステム (自律分散型SS) を開発した. 提案する手法では, 工程を単位とするサブシステムが, 前後の工程との情報交換と自工程でのスケジュールの修正を繰り返し行うことで, 次第に実行可能で良い評価のスケジュールを作成する. 本研究では, 工程でのジョブの処理順が定まったとき, 中間在庫コストを最小にする各ジョブ開始時刻を効率よく計算するアルゴリズムを開発した. そして, 開発したアルゴリズムを従来の自律分散型SSに組み込むことにより, 最終工程のみならず全ての工程でジャストインタイム生産を目指したスケジュールを作成できる, 自律分散型SSを開発した. また, 最大在庫が制約されるケースに対しても, 開発したシステムを容易に拡張できることを示すとともに, 開発したシステムの有効性を検証した.
  • 上和野 満雄, 上ノ山 周, 仁志 和彦, 水島 彩子
    2000 年 26 巻 5 号 p. 669-674
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    固体微粒子が高濃度に懸濁した光不透過なスラリー液を対象としてパドル翼のような小型翼を用いて撹拌した場合には, 槽内において翼廻りの流動域とその外側に流動が不良でその流速が無視小となる淀み領域とが形成される. 本報では両領域の境界を熱的に決定する手法を提示する. 同手法は以下のことを測定原理としている. 即ち翼直下に熱源を設置し, これよりステップ的に流体を加熱した状況下で, 流動域内にある翼先端に設定した基準点と槽内の任意のもう1点との温度を熱電対で経時的に計測する. 翼廻りの流動域では対流伝熱支配となり, 速やかにこれら2点の温度差が減少するのに対して, その外側の淀み域では伝導伝熱支配となり, この温度差が経時的に増大する. これより槽内任意の測定点が流動域か淀み域であるかが判定される. 同手法によれば翼廻りで良好に流動している領域と流動不良の淀み流域, さらにその中間的な境界領域の3者に判別されることが判った. 同結果を着色法を用いた可視化実験やモデル的な数値計算による結果と照合したところ, 境界領域を含めた領域が他の手法での流動領域にほぼ相当することを検証し, 同手法の信頼性を確認した.
  • 市村 重俊, 山口 猛央, 中尾 真一
    2000 年 26 巻 5 号 p. 675-682
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    細孔径の異なる二種類の多孔質ガラス膜 (SPG膜) を用いて, 鎖状高分子に対する阻止特性を測定した. 真の阻止率のフラックス依存性から, SPG膜が二層構造を有することが示唆された. そこでJagur-Grodzinski and Kedemの式を用いてカーブフィッティングを行い, 表面層および内部層の反射係数 (σA, σB) と表面層の溶質透過係数 (PA) を求めた. 細孔モデル (OPモデル) と立体障害細孔モデル (SHPモデル) の理論線との比較により, σAとσBからそれぞれ表面層と内部層の細孔径 (rpA, rpB) を評価した. 純水透過係数および水銀圧入法の測定結果から, OPモデルによる構造評価が妥当であることが示された. 一方SHPモデルでは細孔径が過小評価された. いずれの膜においてもrpAとrpBの比として1.4が得られた. またPAをOPモデルにより解析した結果, 表面層の厚みは1μm以下であると推測された.
  • 今福 啓, 山下 祐, 西谷 紘一
    2000 年 26 巻 5 号 p. 683-686
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    完全混合槽型反応器 (CSTR) における自励振動反応を用いて目的物の高い収率を得る問題を, オンライン最適制御問題として取り扱う方法を提案した. まず最初に, 有限時間先までを評価する最適制御問題を定式化した. そして, 筆者らの提案したランダムな入力を用いた探索法を用いて, 各サンプリングステップごとに有限時間区間の最適な入力をリアルタイムに探索して求める手法を提案した. シミュレーションにより, 提案した制御手法の有効性を確認した.
  • 中村 嘉利, 小林 史尚, 沢田 達郎, 山口 和男
    2000 年 26 巻 5 号 p. 687-692
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    グルコアミラーゼを迅速かつ高効率で生産するために大量発現系遺伝子組換え大腸菌の育種と培養が実験的に研究された. 組換えプラスミドpET-12-STA1を持つ大量発現系組換え大腸菌E. coli BL21 (DE3) [pET-12-STA1] はグルコアミラーゼ遺伝子であるSTA1遺伝子を大量発現系ベクターpET-12に挿入して作成された. 従来から用いられている組換え大腸菌E. coli JM109 [pET-12-STA1] はLB培地中で少量のグルコアミラーゼしか合成しなかったが, 組換え大腸菌E. coli BL21 (DE3) [pET-12-STA1] は約3U/mlのグルコアミラーゼを生産した. グルコアミラーゼの生産のための最適培養条件が培養液中の炭素源, pHと金属イオンを変化させることによって決定された. pH7で炭素源としてグルコースを用いたM9最少培地では組換え大腸菌は大量のグルコアミラーゼを生産した. さらに, 培養液へのナトリウムイオンの添加はグルコアミラーゼの生産だけでなく菌体外への分泌も促進した. 本研究で得られた最大菌体外グルコアミラーゼ活性は6.6U/mlであり, この値は通常のLB培地で分泌される値, 0.002U/mlよりも非常に高かった.
  • 森本 潤, 山下 善之, 鈴木 睦
    2000 年 26 巻 5 号 p. 693-697
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    代表的な最適フィードバック制御として, 最適レギュレータが広く知られているが, 多変数の非線形システムについてオンライン・リアルタイムで解を求めることは容易ではなかった. 本研究では, 多変数の非線形最適レギュレータ問題の解法として, 状態変数空間上の評価関数分布をダイナミックプログラミングで繰り返し計算させることによって収束させ最適操作変数値を求める方法を提案する. タンクのレベル制御およびCSTRの温度制御のシミュレーションの結果, 実時間での計算が可能であり, 良好な制御性能を示す制御系を実現できることが示された. また, 擬定常状態を仮定して最適レギュレータを逐次的に実施することによって, バッチプロセスの追従制御にも適用可能なことを示し, バッチ蒸留の還流比制御のシミュレーションを例として本手法によって良好な制御が実現できることを検証した.
  • 近藤 剛, 三宅 義和
    2000 年 26 巻 5 号 p. 698-704
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    チタニウムテトライソプロポキシド (TTIP) を塩酸水溶液中に溶解させ, 透明なチタニアゾルを調製した. この溶液と界面活性剤水溶液を混合し, 60℃で48時間熟成することによりチタニアの沈殿物を得た.
    アニオン界面活性剤SDS添加系では, SDS濃度が増加するにつれ, 沈殿生成速度が速くなり, チタニア結晶構造はルチルからアナターゼへと変化した. 焼成したチタニアの比表面積および細孔容積は, 界面活性剤無添加系で得られた値よりも非常に大きくなり, SDSが鋳型として働きチタニアの微細構造が形成された. また, TTIPとSDSの濃度比1: 1において, 焼成前の沈殿物のXRDパターンには低角度にピークが見られ, 規則的なナノ構造体が形成されていることが示唆されたが, 焼成によって規則構造は破壊された.
    カチオンおよびノニオン界面活性剤添加系では, 沈殿生成速度が遅いためにすべてルチル構造となり, 比表面積および細孔容積も無添加系と同じ程度であった. これらの界面活性剤では鋳型としての機能が見られなかった.
  • 岩橋 英夫, 岸 正弘, 宮武 修
    2000 年 26 巻 5 号 p. 705-710
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    海水淡水化に多く用いられている中空糸型モジュールの海水流路内の物質移動について, その微小空間の海水流路を相似な平行平板間および円管内流路としてモデル化し, 変数分離法を用いて, 基礎方程式から速度分布の解析解および濃度分布の数値解を求めた. その結果, 膜面における濃度分極比は, 脱塩率および透過水体積流束と流路半幅の積を拡散係数で除した無次元透過水体積流束によって決まるが, 前者の影響は小さく, 後者とは直線関係となった. また, 実用操作域では, 濃度分極比は平均濃度の1.01以下で無視できることが明らかとなった. 平行平板と円管のモデル間の差は殆どない. 一方, 既存の物質移動式はレイノルズ数の関数で, 海水流路幅に比べてはるかに大きい濃度境界層厚さを与える. これは拡散抵抗と無関係な偏流などを誤認したものと思われる. これらの知見は, 膜汚染現象の解明に有力な手段になると思われる.
  • 西村 龍夫, 川原 秀夫, 森尾 健一
    2000 年 26 巻 5 号 p. 711-719
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ブラフボディバーナにおける拡散プロパン火炎の渦構造及び温度場の関係を検討した. 実験は遷移域を対象とし, 流れの可視化と温度の同時計測を行い, 火炎に及ぼす環状空気流の影響に着目した. 環状空気流の増大によって, 火炎内側に形成されるせん断渦の発達が促進されると共に, 渦の回転方向が逆転する. 温度変動は渦の動的挙動に対応し, 火炎の内側と外側にそれぞれピークを持つ. 本実験範囲では燃料流よりも環状空気流が火炎に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった.
  • 大平 勇一, 山田 諭, 空閑 良壽, 小幡 英二, 安藤 公二
    2000 年 26 巻 5 号 p. 720-722
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    亜硝酸イオン初濃度0.0-1.6kg・m-3の培養液を用い, スピルリナの増殖に及ぼす亜硝酸イオン初濃度の影響を実験的に検討した. その結果, 亜硝酸イオンを添加していない標準培養液でスピルリナを培養した場合の結果と比較して, 亜硝酸イオン初濃度が約0.8kg・m-3以下ではスピルリナの比増殖速度が大きくなり, 亜硝酸イオン初濃度0.3-0.4kg・m-3付近で比増殖速度は約1.3倍になった. また, 亜硝酸イオン初濃度が約0.8kg・m-3以上の場合, 亜硝酸イオンによりスピルリナの増殖が阻害され, 比増殖速度は低下した.
  • 花熊 克友, 山本 順三
    2000 年 26 巻 5 号 p. 723-726
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ファジィクラスタリング法の欠点である局所最適解に陥ることを解消するため遺伝子アルゴリズムを用いたクラスタリング法が提案されている. 本論文では, EPDM製品のムーニィ粘度値と粘度調整のためのジエン量を40個測定した実績運転データを用い, ファジィクラスタリング手法と遺伝子アルゴリズムを用いたグラスタリング法を比較した. その結果, 遺伝子アルゴリズムによるクラスタリング法が実運転によく合っていることが判った.
  • 石岡 宗浩, 森川 容任, 丸川 英和
    2000 年 26 巻 5 号 p. 727-730
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    V型グルーブを有するスクイズコーターでの塗液付着量の予測精度を向上させるために, 通板速度の影響と転写液量について検討した.
    通板速度の影響は, グルーブ内を流れる塗液の粘性力に起因し, この粘性力として等価なギャップの正回転剛体ロール間に発生する値を用いた. また転写液量も, 既往の等価な等速正回転剛体ロール間の流動解析結果から推定した. 本モデルの妥当性は, 通板速度およびグルーブ形状の異なる実験結果より確認できた.
  • 姚 水良, 欧陽 峰, 中山 明, 鈴木 栄二, 奥本 衛, 水野 彰
    2000 年 26 巻 5 号 p. 731-733
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    室温および773Kで大気圧パルスプラズマを用いてメタン/二酸化炭素のカップリング及び改質からエチレン, 一酸化炭素及び水素を生成する研究を行った. 室温では, エチレンの選択率が最も大きい. 773Kで, パルス周波数が低い (320s-1) 場合, エタンが主生成物であるが, パルス周波数を高く (2, 060s-1) すると, エチレンの選択率が高くなる. 773Kと高いパルス周波数を用いて, エネルギー効率を改善できた.
  • 迫原 修治, 木村 孝志, 西川 和男
    2000 年 26 巻 5 号 p. 734-737
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    水溶液の状態で加温あるいは冷却すると可逆的な親・疎水転移を示す感温性ポリマーを用いた懸濁粒子の凝集について検討した. 感温性ポリマーには転位温度が約32℃のポリN-イソプロピルアクリルアミド (poly NIPAM) を用いた. 凝集試験はカオリン懸濁液を用いてジャーテスト法で行った. 操作温度がpoly NIPAMの転移温度以下の場合には, 通常の高分子凝集剤と同様に最適添加量があり, 過剰に添加するとカオリン粒子は分散安定化された. しかし, 過剰添加量の状態で転移温度以上に懸濁液を加温するとフロックの形成が認められた. さらに, これを再び転移温度以下に冷却するとフロックは分散安定化された粒子へと解体した. これらの現象から, 転位温度以上への加温によって生じるフロックの形成は粒子に吸着しているpoly NIPAM分子の疎水性相互作用によるといえる.
  • 神谷 秀博, 香川 幸子, 畔上 統雄, 堀尾 正靱
    2000 年 26 巻 5 号 p. 738-740
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    CaのNOx生成触媒作用の塩素による促進効果を検証するため, 石灰石粒子固定層へのNH3を含有したRDF燃焼模擬ガスの透過試験を行い, NOx生成挙動の変化を測定した. その結果, HClが存在するとNOxの生成が促進されることを確認した. SEM観察によりHClが存在すると粒子表面に1μm以下のCaOの微結晶粒が析出し, 表面積が増加するためNOx生成が促進されると考えられた.
  • 遠田 幸生, 菅原 勝康, 菅原 拓男
    2000 年 26 巻 5 号 p. 741-744
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    酸性水溶液でも効果のある有害金属溶出抑制技術を開発した. 石炭火力発電所から排出されるフライアッシュから造粒体を作製し, 同発電所から排出される炉底灰をフライアッシュの造粒体表面に被覆処理した.
    そして, 被覆したフライアッシュ造粒体と被覆しないフライアッシュ造粒体をpHを3, 4, 5.5の溶液に浸積させ, 鉛イオン溶出試験を行った. その結果, 被覆していない造粒体では, 鉛イオンの溶出が増加する傾向が見られたが, 被覆した造粒体では, pHが低い溶液においても鉛の溶出の増加は見られず, 有害金属溶出の抑制に大きな効果が見られた.
  • 栗山 雅文, 門叶 秀樹, 原田 英二
    2000 年 26 巻 5 号 p. 745-748
    発行日: 2000/09/10
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    擬塑性分散相液の流動特性を考慮して, 最大安定滴径の相関式を理論的に導出した. 流動特性は粘稠度と流動指数をレオロジー定数に持つ指数法則モデルで良好に表し得た. 導出した相関式は先に報告したニュートン分散相液に関して提出したものの一つの拡張形である. この新たな相関式の妥当性は粘稠度と流動指数の広い範囲に渡る撹拌分散実験で検証した.
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