関東地方平担部の代表的な畑作物4種と雑草5種を供試し, 1971, 72年に4月から7月まで播種期を変えて, その初期生育を比較検討した.
1. 播種後30日における草丈・主茎長は, トウモロコシが最も大きく, 陸稲, 大豆が中間で, これらは播種後30日までの日平均気温の平均値が13~25℃の条件で供試雑草に優った. 落花生は最も小さく, 約20℃の条件でメヒシバとほぼ同等, 約25℃の条件ではメヒシバ, スベリヒユ, カヤツリグサに劣った. 作物・雑草とも高温条件ほど伸長量は大きいが, 気温上昇に伴う伸長量の増加速度は作物間に大差がなく, オオイヌタデを除く雑草はいずれも作物より大きかった.
2. 播種後30日における地上部乾物重は, 落花生が最も大きく, トウモロコシ, 大豆は中間であり, 13~25℃の条件で雑草に優った. 陸稲は作物の中では最も小さく, 約20℃の条件でオオイヌタデに, 約25℃の条件でオオイヌタデ, スベリヒュ, メヒシバに劣った. 作物・雑草とも高温条件ほど乾物増加量は大きいが, 気温上昇に伴う乾物増加速度は作物より雑草の方が優れた. なお, 播種後30日目の地上部乾物重と種子重との間に高い正の相関がみられた.
3. 播種後30~50日の乾物増加量は, 17~28℃の条件で作物の中ではトウモロコシが大きく, 大豆, 落花生は中間, 陸稲は最も小さかった. 雑草の中ではオオイヌタデが大きく, 大豆, 落花生, 陸稲に優り, 約22℃以下の条件ではトウモロコシにも優った. メヒシバ, シ ロザ, スベリヒユは中間の増加量で陸稲に優り, カヤツリグサは供試植物中最も小さかった. 作物・雑草とも高温条件ほど増加量は大きいが, 気温上昇に伴う増加速度はカヤツリグサ, メヒシバが大きかった.
4. 以上のように, 雑草は作物に比べ, 播種30~40日頃までの生育は劣るが, 30~40日から50日頃の生育が旺盛で, 著しく競合力が高まる, また, 18~20℃以上の高温条件ほど初期生育が優れ, 作物との競合力もより強くなる. 従って, 初期除草が重要であるが, 高温条件ほどその必要性が高いことが明らかとなった.
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