日本救急医学会雑誌
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13 巻, 2 号
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  • 2002 年 13 巻 2 号 p. 49
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 北川 喜己, 大宮 孝, 奥村 孝子, 秋田 宏樹, 佐竹 立成, 真弓 俊彦, 有嶋 拓郎
    2002 年 13 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    当院救命救急センター受診患者を対象にして,外来死亡症例の剖検診断名を調査し,心臓性突然死について臨床病理学的に検討した。1992年1月から1999年12月末日までの8年間に当院救命救急センター外来で死亡した1437例のうち病理解剖を行った108例の剖検診断名は,心疾患に分類されたものが69例で64%を占めており,そのうち65例が心臓性突然死であった。さらに心臓性突然死の内訳をみると,急性心筋梗塞が18例,拡張型心筋症が2例,陳旧心内膜下梗塞が1例,病理学的異常所見なし4例,そしてその他の心臓性突然死が40例であった。この40例は組織学的には,(1)心筋が正常心筋に比較してわずかに好酸性に染色される(好酸性変化)。(2)ミオグロビン染色を施すと好酸性変化を示す心筋はミオグロビンの脱出を示す。(3)マッソントリクロム染色では,好酸性変化を示す心筋は正常心筋に比較して赤く染色され,横紋の幅はより狭く過収縮の像を示す。(4)この好酸性変化の所見は左右両心室にびまん性にみられる。(5)冠状動脈にほとんど変化がない場合がある,などの特徴があり,臨床的には,(1)男性に多く(男:女=4:1), (2)急性心筋梗塞に比較して若年齢者に多く(平均年齢58歳,急性心筋梗塞では68歳),(3)発症から死亡までの時間は,30分以内が28/40例,30分から24時間が12/40例であった。このように急性心筋梗塞とは異なる臨床病理形態を示す一群の病態を“超急性心筋好酸性変化(superacute myocardial eosinophilic change)”と呼称したい。
  • 早期神経除圧の意義
    加藤 宏, 大友 康裕, 本間 正人, 井上 潤一, 原口 義座, 辺見 弘, 山本 保博
    2002 年 13 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    頸髄損傷における早期神経除圧の臨床的意義を検討するため,脊髄圧迫病変に対して除圧術(脱臼整復または脊柱管内骨片除去)を施した頸椎損傷患者35名の神経学的予後を調査した。受傷時に不全麻痺を呈した20例(Frankel B8例,C10例,D2例)(IC群)は,1年経過時で麻痺の悪化例なく17例に1ランク以上の改善がみられた。回復率(Yale Scale Score)は44.1±30.0%で,受傷から除圧までの時間が長くなると低下する傾向にあり(R=-0.727, p=0.0003),とくに除圧6時間以内(11例:64.0±20.4%)と10時間以降(9例: 19.8±20.2%)で有意差を認めた(p=0.0004)。一方,受傷時Frankel Aの15例(C群)は,調査時は不変8例,改善7例(B5例,C1例,D1例)であった。回復率は11.3±19.6%と低値を示し,除圧時間との相関もみられなかった(R=-0.390, p=0.151)。また,C群の除圧時点での球海綿体反射(BCR)は,陽性8例,陰性7例であり,各々2例と5例に麻痺改善がみられた。CやDへの改善2例は除圧時BCR陰性例に含まれ,それぞれ6時間と3時間で除圧後,BCR出現(spinal shock離脱)とともに随意運動が出現した。以上より,不全麻痺の症例では早期神経除圧(とくに6時間以内)により有意な麻痺の回復が期待できると推測される。一方,受傷時Frankel Aの場合は早期除圧も総じて改善効果に乏しいが,本質的には回復能を有する脊髄不完全損傷(spinal shock期)が潜在している可能性も否定し得ない。それゆえ,たとえ受傷時にFrankel Aであっても頸髄損傷の急性期は臨床的にすべて不全麻痺として対応(早期除圧)することが望まれる。
  • 口・口人工呼吸法の代わりとなるか
    多保 悦夫, 新井 達潤
    2002 年 13 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    一次救命処置における人工呼吸法としては優れた換気効果をもつmouth-to-mouth法(口・口人工呼吸法)を推奨しているが,患者との直接的接触が必要なことから,その実施が躊躇されている。今回,患者との直接的接触を必要としない側胸部圧迫法および腹臥位骨盤挙上法における換気量を測定し,口・口人工呼吸法の代わりとなりうるかを検討した。対象は全身麻酔および筋弛緩下に気管挿管を行った82名で,まず61名に対し側胸部圧迫法における換気量を測定し,換気量におよぼす性別,年齢および肥満度の影響を検討した。次に21名に対し側胸部圧迫法(n=16),側胸部圧迫+腹壁固定法(n=16)および腹臥位骨盤挙上法(n=5)を施行し,換気量を比較検討した。結果は,側胸部圧迫法による換気量(n=61)は165±57mlであったが,年齢および肥満度が低いほど換気量が多く,40歳以下でやせ型の人では5例において250ml以上得られた。性別による差異は認められなかった。側胸部圧迫法と側胸部圧迫+腹壁固定法の比較では換気量に差はなく(106vs. 109ml),腹臥位骨盤挙上法で有意に多かった(210ml)。側胸部圧迫式人工呼吸法は口・口人工呼吸法の代わりとはなりにくいが,若年者でやせ型の人では考慮の余地がある。また,腹臥位骨盤挙上法については特殊な状況では試す価置がある。
  • 池田 寿昭, 福山 真弓, 三和 敬史, 池田 一美, 大橋 裕樹, 櫻井 淳
    2002 年 13 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Toxic-shock syndrome is an acute-onset, multiorgan illness that resembles severe scarlet fever. Superantigen activates a huge number of T-cells by linkage to a particular V βelement of the T-cell receptor, which directly associates with major histocompatibility complex (MHC) class II molecules. We report a 64-year-old man with superantigen toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1), who had severe hypoxemia caused by airway stenosis and septic shock due to a cervical abscess. He underwent emergency tracheostomy and cervical incision to remove the abscess. Septic ARDS developed despite intensive care. Here, septic ARDS refers to the respiratory index (R-index: A-aDO2/PaO2) increasing to 5.57 on day 10 in the ICU. Changes in TSST-1 were similar to the R-index. No correlation was seen between IL-6 and serum TSST-1 antigen during the ICU period, but a statistically significant correlation (r=0.813, p<0.05) between serum TSST-1 antigen and R-index was found in this case. These results suggest that serum TSST-1 antigen is a possible cause of ARDS.
  • 横田 裕行, 黒川 顕, 山本 保博, 野手 洋治, 小井土 雄一, 久志本 成樹, 松園 幸雅
    2002 年 13 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    Since Japan's organ transplantaion law went into effect in 1997, more than a dozen donations have been made from braindead donors. We discuss 2 problems with organ procurement in Japan, based on 14 cases, including our own, for which we obtained information on the donation time line. The first problem is the need to diagnose clinical brain death before Japanese criteria for brain death are met. The second problem is inputting data on newly available organs to the Japan Organ Transplantation Network computer system. An organ may be input for shipping only after brain death is diagnosed. Beause of these 2 problems, organ donations take much time and place a heavy burden on donor hospitals. The organ procurement procedure is strictly regulated by legal guidelines, and we propose that the procedure is redesigned within the existing legal framework.
  • 2002 年 13 巻 2 号 p. 78-95
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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