日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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16 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 間遠 文貴, 青木 克憲, 仁科 雅良, 吉野 篤人, 金岡 繁, 佐藤 潤, 鈴木 浩一
    2005 年 16 巻 6 号 p. 255-260
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    悪性症候群は,抗精神病薬や抗パーキンソン病薬の開始,変更,中断により発症するとされている。今回,われわれは抗精神病薬増量が原因と考えられる悪性症候群の1例を経験したので報告する。患者は54歳,女性。3年前から精神科通院歴があり,抗精神病薬の投与を受けていた。薬剤増量の約1週間後に,40℃を超える発熱,意識障害にて発症。全身冷却及びdantroleneの投与を行ったが,全身状態の悪化に従い,人工呼吸管理,血液透析等の集中治療を行った。Max CPKは42,550U/lであった。第10病日に人工呼吸管理から離脱し,第28病日には血液透析からも離脱した。第57病日,全身状態及び意識レベルが安定したため,当院精神科へ転科となった。悪性症候群は,精神科領域のみならず,救急医療の分野でも忘れてはならない重篤な疾患である。精神疾患治療の有無,治療薬歴,現症及び血液検査所見等より本疾患を疑った場合,血液透析等を含めた治療及び厳重な全身管理を早期より開始することが必要と考える。
  • 塩塚 かおり, 宇都宮 昭裕, 鈴木 晋介, 上之原 広司, 西野 晶子, 近江 三喜男, 桜井 芳明
    2005 年 16 巻 6 号 p. 261-266
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,男性。既往歴特記なし。自殺企図にて縫い針を後頸部に1針と前胸部に2針刺した。その後,乗用車を運転し側溝に転落した状態で発見された。他院にて気胸に対し胸腔ドレーンを挿入後,当院へ救急搬送された。来院時,強い胸部痛を訴えるも呼吸循環動態は落ち着いていた。各針の刺入点は皮膚上に観察されたが,いずれも皮下に埋没していた。神経学的所見としては,意識清明,四肢麻痺なく,明らかな感覚障害もなかった。頭部単純X線像では,後頸部皮下にその先端が大孔内まで達する約3cmの縫い針を認めた。胸部単純X線像では,左胸部に2本の縫い針を認めた。頭頸部CTでは,針の先端は延髄背側に達していた。胸部CTでは,1本の針が心臓壁に埋没しており,もう1本の針は胸壁にあるのが確認された。脳血管造影では,血管系への針による外傷はなかった。搬入当日に全身麻酔下に針の摘出術を行った。腹臥位にて針の刺入部を中心として開創した。X線透視を使用し皮下に埋没した針を捕らえた。針を全体に渡り露出した後,直視下に抜去した。針先端は延髄背側下部にまで達していた。次に,右側臥位にて心臓壁内に埋没した針と胸壁内の針を直視下に摘出した。術後,感覚異常等の神経症状はなかった。術後5日目に全身状態良好で,精神障害との診断で精神科入院となった。
  • 杉田 学, 関井 肇, 横手 龍, 清水 敬樹, 清田 和也
    2005 年 16 巻 6 号 p. 267-271
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    American Heart AssociationがInternational Liaison Committee On Resuscitation(国際蘇生法連絡会)と合同で発表した心肺蘇生法と急性心血管治療に対するガイドラインの中で早期除細動の有効性が強調されて以来,全自動体外式除細動器(AED)の様々な場所への配備が始まっている。われわれは突然の心肺停止に陥った若年男性にAEDが装着され,AEDの記録から心停止に至る病態が診断できた症例を経験した。症例は19歳男性,ロックコンサート鑑賞中に心肺停止となり,現場医務室の医師によりAED装着を含めた心肺蘇生術が施された。AEDは「ショックの適応無し」を示したが,救急隊の現場接触時(通報17分後)には心拍再開,深昏睡状態であった。当院到着時意識障害があり激しく暴れていたが,循環動態は落ち着いており心電図も正常であった。鎮静下にICU入院し,36時間後にはわずかに短期記憶障害を残すのみに回復した。AEDの記録から心停止時の心電図は完全房室ブロックであったことが判明し,これが心停止の原因と診断した。健康若年者の突然死の原因は心室細動によるものが多いといわれているが,未だ不明の部分も多い。心停止時の波形を記録できるAEDは,除細動のみならずその病態を類推するのに有用と思われた。
  • 相星 淳一, 小池 薫, 久志本 成樹, 小野寺 謙吾, 柿沼 敏行, 上田 康晴, 山本 保博
    2005 年 16 巻 6 号 p. 272-274
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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