日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
20 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • I. 成虫の摂食習性の比較
    内藤 篤
    1976 年 20 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    農作物特に飼料作物を加害するヨコバイ10種について,雌成虫を供試し,ソルゴー葉とラジノクローバ葉に対する摂食状況を植物組織学的に調査し,主として摂食の際形成される唾液鞘の形状等にもとづいて摂食習性の比較を試みた。
    これらのヨコバイはおおまかに維管束摂食者と葉肉摂食者に分けることができた。オオヨコバイ,ツマグロヨコバイ,マダラヨコバイ,シバマダラヨコバイ,トバヨコバイ,ウスバミドリヨコバイ,ヒメアオズキンヨコバイ,マメノミドリヒメヨコバイは維管束摂食者であった。これらのうちでオオヨコバイ,ツマグロヨコバイを除く他のものは木部より師部に口針の挿入が多かった。特にマメノミドリヒメヨコバイ,ウスバミドリヨコバイは,ラジノクローバにおいて師部を特異的に摂食していると推定された。オオヨコバイは師部より木部に挿入が多く,ツマグロヨコバイは両組織にほぼ同数であった。
    葉肉摂食者としてはヨツモンヒメヨコバイ,マメノミドリヒメヨコバイがこれにはいる。両種はヒメヨコバイ科に属し,普通のヨコバイのように明りょうな唾液鞘を形成しなかった。また食害部は葉肉が摂食されるためカスリ状となり,排せつ甘露は摂食の際取込まれる葉緑素のため緑色を呈する。なおヨツモンヒメヨコバイは口針を気孔細胞から挿入する習性がある。
    ミドリヒメヨコバイはこのように維管束(特に師管)摂食者と葉肉摂食者の二面性を持っており,本種は他のヨコバイとは別のグループに入れたほうが適切かもしれない。
    ソルゴー葉において,維管束の種類との関係を検討すると,オオヨコバイは大維管束に,他のヨコバイはすべて小維管束に挿入が多かった。
    摂食習性が食餌植物の種類によって変わるかどうかという問題については,この実験の結果から少なくともヨコバイそれぞれのもつ基本的な習性は,たとえ植物が異なっても変らないと見ることができよう。
  • 新井 哲夫
    1976 年 20 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. ミカンコミバエDacus dorsalis HENDELの幼虫のとび出しは,20, 25°Cの恒暗,恒明では周期性はみられなかったが,12L:12Dでは暗→明の頃にピークがみられた。そして,6L:18Dでは暗期中,18L:6Dでは明期中にとび出す個体が多かった。
    2. 明暗周期(25°C, 12L:12D)の後に恒暗に保つと,ほぼ24時間の周期でとび出しリズムが持続されたが,恒明では消滅した。
    3. 20°Cと25°Cの温度周期を与えると,恒暗,恒明共に高温(低温)期の長さに関係なく,温度の低下後2時間以内にとび出しが集中した。高温期が長いほど集中度が高くなった。
    4. 温度周期(25°C:20°C,各12時間)を与えた後に20°Cに移すと,約24時間周期のとび出しリズムが持続されたが,25°Cではみられず,とび出しが抑制される傾向があった。
    5. 温度と日長が1月下旬の自然条件下では,暗→明の刺激に反応するのに必要な暗期の長さは5∼7時間であった。25°C, 12L:12Dでは,10時間の暗期が必要であった。
    6. あらかじめ温度周期(25°C:20°C,各12時間)を与えた後に,高温期のいろいろな時刻に20°Cに移すと,幼虫のとび出しが誘発されたが,高温期の1時間目以前では,温度低下後ピークの出現までに1∼2時間が必要であった。
    7. 恒暗条件下で温度周期(25°C:20°C,各12時間)を与え,いろいろな時刻に暗→明の刺激を与えると,低温期には反応がみられたが,高温期にはみられなかった。
  • 行成 正昭
    1976 年 20 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    リンゴコカクモンハマキとチャノコカクモンハマキが共存している徳島県で,それぞれの幼虫の寄生性昆虫を調べた結果,つぎのことがわかった。
    1. 両種幼虫の重要な寄生性昆虫の種類構成はほとんど変らない。すなわち,コマユバチ科のApanteles sp., B. adoxophyesi,アリガタバチ科のハマキアリガタバチ,ヒメバチ科のチャハマキチビヒメバチが,両種幼虫の共通の主要天敵として働いていた。まれにではあったが,ヤドリバエ科のPseudoperichaeta insidiosa ROBINEAUDESVOIDYも両種の幼虫から出現した。
    2. 他にチャノコカクモンハマキ幼虫にはコマユバチ科のRogas sp.(カモドキバチの1種),ヒメバチ科のGelinae(オキシヒメバチ亜科)の1種が寄生していたが,極めてまれであった。
    3. 寄生率は寄主の種類,寄主植物,世代,採集場所および気象条件などによって異なり一概に云えないが,両種の第1世代,第2世代幼虫にはApanteles sp.の寄生率が高く,第3世代幼虫にはハマキアリガタバチの寄生が優占的であった。
  • 垣矢 直俊, 桐谷 圭治
    1976 年 20 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    水田ほ場において見取り法,あみかけ法,個体別標識法(雌成体のみ)を行い,キクズキコモリグモの密度推定法の比較,検討を行った。
    1. 標識法による密度推定式ではIWAO et al.法が最も精度が高いと考えられる。
    2. IWAO et al.法による密度推定値と見取り法による発見数との比較により,雌成体の見取り法による発見効率を求めると55%であった。またこの値は全ステージこみの場合にも適用可能と思われる。
    3. 雌成体のあみかけ法による発見効率は91%と推定された。
    4. *m-m回帰分析法により,本種の水田における分布は,株を単位としてみれば,一個体単位のランダム分布であり,0.3頭/株の低密度時でも100∼150株の調査によりSx/x=0.2の精度で生息数の推定が可能と考えられる。
  • 村越 重雄, 上門 敏也, 張 清芬, 桜井 成, 田村 三郎
    1976 年 20 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    葉を主体とした地上部のメタノール抽出物が,カイコの生育に悪影響を与えることを確認した4種類の植物に含まれる活性成分を単離し,それらの成分のカイコの生育におよぼす影響を調べた。
    1. キバナオランダセンニチに含まれる活性成分はspilantholであった。spilantholを人工飼料中に200ppm添加すると,すべての幼虫は6日後までに死亡した。
    2. ジギタリス中の活性成分はdigitoxinにdigitalinが加わったものであると推定された。digitoxinは25ppmで虫体を軟化させ,100ppmで6日後にすべての幼虫を死亡させた。digitalinでは100ppmで虫体の軟化が見られたが,400ppmでも死亡するものはなかった。
    3. コブシの活性成分としてsesaminとkobusinが単離された。kobusinは新しく見い出された化合物で,400ppm添加飼料を与えると,幼虫に強い生育阻害が見られ,すべてのものが5日後に死亡した。sesaminはkobusinの約1/2の活性を示した。
    4. キツネノマゴからは活性成分として,justicidin AとBが単離された。justicidin Aでは20ppm添加飼料を与えると6日後にすべての幼虫が,Bではほとんどの幼虫が死亡するという強い活性が認められた。
  • 稗圃 克己, 広瀬 義躬, 木本 浩之
    1976 年 20 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    3種のTrichogramma属寄生蜂アゲハタマゴバチ,キイロタマゴバチおよびメアカタマゴバチの寄生率,産卵率および産卵行動に及ぼす寄主アゲハ卵令の影響を調べた結果,次の点を明らかにした。
    1. 寄生蜂3種の寄生可能な期間は,いずれも全卵期(25°Cで4日)のうち産下後1/6の期間に限られる。
    2. アゲハタマゴバチとキイロタマゴバチでは,令の進んだ寄主卵に対して,産卵管をアゲハ卵に挿入した後産卵を抑制することが,令の進んだアゲハ卵における寄生率低下の原因となっている。
  • クロロフィリドaの生成
    林屋 慶三, 西田 順, 内田 由子
    1976 年 20 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫の中腸および消化液中にみられる赤色けい光性たんぱくRFP生成にはカイコ中腸起源のたんぱく質と緑葉クロロプラスト中のクロロフィルaと一酵素たんぱく質との三者が必要であり,しかして,まず最初にクロロフィルaに酵素が作用して色素が生成し,この色素が中腸起源たんぱく質と作用してRFPになる。この既報の生成機構に次の二点を加えた。
    1) クロロフィルaから変性した色素はクロロフィリドaであり,しかしてクロロプラスト起源のたんぱく質はクロロフィラーゼである。なおこの反応はカイコ幼虫消化液のpHと同じアルカリ性下で進行する。
    2) 中腸起源たんぱく質とクロロフィリドaとの作用でRFPが生成する過程で光が関与している。なおこの反応はカイコ幼虫中腸組織のpHとほぼ同じpH下で進行する。
  • 浅山 哲
    1976 年 20 巻 1 号 p. 44-46
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小山 光男
    1976 年 20 巻 1 号 p. 46-47
    発行日: 1976/03/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
feedback
Top