日本応用動物昆虫学会誌
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23 巻, 2 号
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  • 笹川 滿廣, 塩澤 幸雄
    1979 年23 巻2 号 p. 55-60
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    京都府下夜久野町のクリ園(筑波5年生植栽)で,クリイガアブラムシの発生消長と移動及び分散との関係を調査し,以下の結果を得た。
    1. 幹母→普通型(5世代)→産性型→有性型の計8世代を経過する。
    2. 発生消長には2つの型がある。ひとつは樹皮上の幼虫が,6月下旬ごろからきゅう果へ第1次移動を行った後に増殖して高密度に達するもので,他は8月中旬ごろまでほとんど寄生が認められないのに第2次樹内移動及び樹間分散後に急増するものである。当然,若はぜによる被害は前者に大きく,後者ではほとんど認められない。
    3. 第2次移動は8月下旬から9月中旬にかけて,主として1令幼虫によって行われ,かなり大視模な樹内・樹間の分散が起こる。ただし,1令幼虫の推定歩行距離や各樹の寄生きゅう果率変動からみて,樹間分散は広域に拡がるのではなくて狭い範囲にとどまる。
  • 安田 壮平
    1979 年23 巻2 号 p. 61-68
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    クワシロカイガラムシの外部形態,とくに口器・生殖門・生殖門周囲孔・背縁分泌孔および腺剌などの諸器官を走査電子顕微鏡によって観察し,また,桑条組織中における口針のそう入と吸汁部位,口針の植物組織中における進入が,その経路の植物細胞の生理障害に及ぼす影響について,光学顕微鏡で調べ,本種の外部超微形態と吸汁加害機構の一端を明らかにした。その結果の大要はつぎのとおりである。
    (1) 口針は植物の汁液を吸収するに役立つキチン質の繊細な長い管で,大腮針と小腮針の各1対からなっていて,大腮針は小腮針を外側からはさみこむような状態で先端が尖っている。
    (2) 生殖門周囲孔は生殖門の中央前部と両側前後にあって5群を構成している。個々の生殖門周囲孔の中には多数の小孔(室)がみられ,これら室の中には数個のキノコ様突出物があって,それぞれ自在に動く。
    (3) 背縁分泌孔は数個の小孔が集まって円形の群を構成し,介殻の形成に必要な平板状のろう質物を分泌する。
    (4) 腺剌は虫体の外縁部に毛状で突出し,先端の開孔部から分泌液を溢出する。
    (5) 口針の桑条組織中での進入は,最初そう入部位を口針の触覚で探し,適当な場所に口針の大腮針を機械的に運動させてさし込み,これが穿孔運動によって小腮針が誘導されて達成するようである。
    (6) 桑条組織の表皮から靱皮部に至る口針そう入の経過時間について調べてみると,ふ化幼虫の場合,定着・寄生してから1時間後には木栓・初生皮層を経て靱皮繊維部まで口針が進入し,その2時間後には靱皮部へ到達する。カイガラムシの口針は体内の袋crumenaの中に巻き縮められていて,これが吸汁に際して伸長する。クワシロカイガラムシの雌成虫の場合,桑条組織中においては1.2∼1.8mm程度伸長する。
    (7) 桑条組織内における口針のそう入は,主に細胞の間隙を縫って進入するが,細胞も貫通する。口針が細胞を貫通した場合,その細胞は直ちに死滅するが,口針が植物細胞の間隙を縫って進入し,細胞に機械的な傷害を与えないかぎり,これら細胞は生きている。
  • 神田 健一, 内藤 篤
    1979 年23 巻2 号 p. 69-77
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウ成虫の羽化から産卵までの一連の行動について室内観察を行なった。
    (1) 成虫の羽化消長は消灯前後に明らかなピークがみられ,羽化成虫が飛翔できるようになるまでに約3時間を必要とした。
    (2) 成虫の活動と日令の関係についてみると,羽化後2日目までは日暮れ時と夜明け時のみに活動のピークがみられるが,3日目になると日暮れ時のほかに,23時以降にも活発な飛翔が行なわれ,雌ではコーリングが開始された。4日目では雄の活動パターンは前日とほぼ同様であったが,飛翔時間は増加した。未交尾の雌は日暮れ時から夜明け時まで連続して活発に翔飛し,飛翔の合間にコーリングと産卵をくり返したが,雄・雌ともに夜明けの数時間から数十分前に活動を停止する個体があらわれ,この傾向は日令が進むにつれて強まった。
    (3) 吸蜜は日暮れ直後に最も多く見られた。吸蜜量は日令によって変化し,2・3日目が多く,5日目以降は少なかった。
    (4) 交尾は3日目から観察されたが,4日目に交尾した個体が最も多かった。交尾は20時頃(日暮れ1時間後)から始まり,1∼2時頃にピークが見られた。雌の平均交尾回数は約2回であった。
    (5) 産卵は暗期の前半,とくに日暮れ1時間後にピークが見られ,暗期の後半にはコーリングが観察され,2回目以降の交尾が行なわれた。産卵数は産卵が初めて行なわれた日が最も多く,日令が進むにつれて減少した。
    (6) 以上のように,成虫の行動は日令が進むにつれて変動したが,今回の実験から成虫のどの段階の行動が集団移動や集中産卵に結びつくのかについては,明白な知見を得ることはできなかった。
  • 高橋 正三, 瓦谷 光男, 佐藤 安夫, 坂井 道彦
    1979 年23 巻2 号 p. 78-81
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウ性フェロモン成分の精製を室内生物検定法に基づいて行い,(Z)-11-hexadecenyl acetateと(Z)-11-hexadecenolが8:1の割合で含有されていることを確認した。
    クサシロヨトウも同様な生物検定に基づいて性フェロモン成分の検索を行い,(Z)-9-tetradecenyl acetateと(Z)-11-hexadecenyl acetateが4:1の混合比で含有されていることが確認された。
  • III. 葉面における網の形成と微生息場所選好
    斎藤 裕
    1979 年23 巻2 号 p. 82-91
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トドマツハダニOligonychus ununguis (JACOBI),ミカンハダニPanonychus citri (MCGREGOR)タケスゴモリハダニSchizotetranychus celarius (BANKS)およびナミハダニTetrauychus urticae KOCHの4種類に関して,経時的な活動性の変化とそれに伴う葉内での生息場所の選好および吐糸によって形成される網と行動との関係を実験的に検討した。
    1. タケスゴモリハダニとナミハダニは新葉に入れると,まず活発な歩行(〓吐糸)行動を行ない,一定時間経過後に摂食(休止を含む)へ移行する活動パターンを示し,トドマツノハダニもほぼ前2者に近いパターンであったが,ミカンハダニにはこのような導入初期とそれ以後との活動の変化は見られなかった。
    2. 葉の凹部,隆起部および平坦部位への選好性をみると,トドマツノハダニとタケスゴモリハダニが凹部に対する強い選好性を示したが,ミカンハダニとナミハダニは凹部と平坦部の双方を同等に利用することが分った。
    3. 吐糸行動の結果,生息葉面に糸が蓄積され網を形成するが,この網に対する4種の反応は様々であった。トドマツノハダニは主に網の下で生活し,タケスゴモリハダニでは全生活を網の下でのみ過ごすが,ナミハダニは網の上・中・下部のいずれでも歩行し,摂食は主に網の下部で行なわれた。一方,ミカンハダニは網とほとんど無関係(網を作らない)な生活をすることが判明した。
    4. これら一連の結果から,吐糸のもつ意味には斎藤(1977a)で示された「命綱」としての役割の他に,生息面を改変する「構造物(網)の形成の材料としての糸」というもう1つの側面があり,トドマツノハダニとナミハダニはこの両側面を持ち,ミカンハダニは「命綱」のみ,タケスゴモリハダニは「構造物の材料」の面のみを持っていると考察された。
  • 松本 奎吾, 辻 英明
    1979 年23 巻2 号 p. 92-99
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The winter population of Myzus persicae in a Chinese mustard field in Shiga contained a large proportion of red (R) aphids, whereas the proportion of yellow green (YG) aphids began to increase in spring. When R aphids were reared at 25°C, some YG progenies appeared at F2 generation and all aphids were found to be YG ones after 2 months. Very few YG progenies were produced in R colonies and no R progenies were produced in YG colonies when both the colonies were continuously reared at 15°C. A short period (4 to 8 days) of chilling treatment of YG aphids at 5°C was effective in producing R aphids in their F1 progenies reared at 25°C. The stage most sensitive to the chilling treatment was the fourth (final) instar. Adults and third instar nymphs were also sensitive, but younger nymphs died during the chilling treatment. The number of aphids per colony was greater in colonies from R parents than in those from YG ones in the winter field, but this tendency was reversed late in march. The growth of experimental populations was faster in clones from YG parents than in those from R ones under the high temperature of 25°C.When exposed to the low temperature of 5°C, most of YG adults died during the first 8 days, whereas most of R ones survived for more than 16 days. These facts suggest that the occurrence of two colour types in M. persicae is a kind of dimorphism adaptive to seasonal changes of the environment. When tested at 25°C, R aphids were 2 to 8 times as susceptible to 5 insecticides tested as YG aphids, though two insecticides, 2-(N, N-dimethylcarbamoyl)-4-isoxazolin-3-one and O, O-diethyl-S-(4-chloro-5-methyl-3-oxo-4-isoxazolin-2-ylmethyl) dithiophosphate, were quite effective against YG aphids.
  • 蒲生 卓磨, 藤森 胡友, 山本 俊雄, 上田 朋子
    1979 年23 巻2 号 p. 100-104
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    新たにみいだされた皮膚光沢遅蚕は,2眠期および3眠期で皮膚が光沢を示すとともに,虫体が紡錘形を呈し,全齢で約4日間分雑した正常蚕より発育が遅い。その発現は優性の遺伝子に支配され,ホモ型は胚子反転期あるいはその直後に致死する。連関検索の結果,狭胸(nb)遺伝子と連関し,第19連関群に所在することが判明したが,さらに皮膚光沢性(Gl)遺伝子と対立関係にあり,この遺伝子記号をGlRと命名した。
  • 岩淵 喜久男, 石井 賢二, 細川 千枝美
    1979 年23 巻2 号 p. 105-109
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    食草の乾燥粉末とクロレラを含んだ人工飼料を用いて,ヒメエグリバの飼育をおこない10世代以上の累代飼育をおこなうことができた。この飼料で飼育した幼虫および蛹の生育所要日数,生存率は食草で飼育した場合と差がなかった。飼料中に含まれるクロレラは,生育の促進と,生存率を高めるのに役立つことが明らかとなった。飼料へのL-アスコルビン酸の添加は,本種の生育に必要であり,これを添加しないと生育の遅延,生存率の低下が起こることが明らかとなった。
  • 鍜冶 秀雄
    1979 年23 巻2 号 p. 110-112
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 浅野 昌司, 亀井 正治
    1979 年23 巻2 号 p. 113-114
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 力郎, 柳沼 薫, 熊倉 正昭
    1979 年23 巻2 号 p. 115-117
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 鷲塚 靖
    1979 年23 巻2 号 p. 117-118
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 中筋 房夫, 本多 八郎
    1979 年23 巻2 号 p. 118-120
    発行日: 1979/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Yellow artificial flowers filled with 10% honey solution were put in a box (65×42×50cm) with a fluorescent lamp (20w) located on the ceiling. Adult females of Parnara guttata guttata copulated there and laid eggs on rice seedlings. Larvae were reared on rice seedlings. The rearing stock was maintained for over 20 generations by this method.
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