台湾省,高雄県澄清湖,屏東県墾丁公園,台東県桃源村と大分県南海部郡上浦町の低地森林生態系(標高300m以下)で,リン,窒素,カリウム,カルシウム,マグネシウム,ナトリウムとBHCの分布を調査した。検体は土壌(A, H層),落葉落枝層(L層),植物,昆虫類,土壌動物などであった。そのおもな結果はつぎのとおりである。
1) A層のリン,カリウム,マグネシウムの含量とH層のリン,カリウムの含量は大分県が台湾より高かった。L層のカルシウムの含量は台湾が大分県より高かった。
2) シダ類,草本類,樹木類のリンの含量と樹木類の窒素の含量は台湾が大分県より高かった。
3) 台湾の昆虫類に含まれる6元素の含量はすべて大分県のそれより高かった。
4) A, H, L層,植物のBHCの含量は大分県が台湾より高かった。
5) リン,窒素,カルシウムの移動と分布の調査を通じて,これらの移動は台湾(墾丁公園)が大分県より活発であると思われる。
6) 台湾と大分県におけるBHCの移動を通じての特色は異なるものと思われる。
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