ダンダラテントウ(以下ダンダラと略記)の被食者としての適性を,ワタアブラムシ,マメアブラムシ,モモアカアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシ,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ヘクソカズラヒゲナガアブラムシおよびエンドウヒゲナガアブラムシの7種について,15L-9D, 18°Cにおける産卵から羽化までの発育期間と生存率,蛹重,産卵前期間ならびに羽化後10日間の産卵数を指標として検討した.比較対象としてナミテントウ(以下ナミと略記)を用いた.
ヘクソカズラヒゲナガアブラムシでは,ダンダラ,ナミともに,供試したすべての個体が1齢幼虫期に死亡した.ダンダラについては,発育期間はマメアブラムシ(18.0日)で最も短く,モモアカアブラムシ(18.7日)を除く他の4種アブラムシ(20.1∼20.9日)との差は有意であった.生存率は6種(70.3∼91.3%)間に有意差はなかった.雌の蛹重はモモアカアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシ(18.4∼18.5mg)において,エンドウヒゲナガアブラムシ(16.0mg)あるいはムギヒゲナガアブラムシ(15.2mg)より有意に重かった.雄の蛹重は6種(12.2∼15.6mg)間に有意差はなかった.産卵前期間はマメアブラムシ,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシおよびモモアカアブラムシ(7.3∼8.0日)において,ワタアブラムシ(11.6日)より有意に短かった.産卵数はマメアブラムシ(172.5個)において,ワタアブラムシ(98.8個)より有意に多かった.
これらの結果を総合的に判断して,ダンダラの被食者としての適性は,ヘクソカズラヒゲナガアブラムシを除く6種については,マメアブラムシとモモアカアブラムシで最も高く,ジャガイモヒゲナガアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシ,エンドウヒゲナガアブラムシがこれらに次ぎ,ワタアブラムシで最も低いと評価した.各指標(発育期間と産卵前期間は発育率に換算)について,最大値を1としたときの相対値平均は最高のマメアブラムシで0.97,最低のワタアブラムシで0.78であるので,6種アブラムシ間の被食者としての適性の差異は比較的小さいと考えられる.ナミについても,被食者としての適性はマメアブラムシとモモアカアブラムシで高く,ワタアブラムシで比較的低いと評価でき,ダンダラと顕著な差異は認められなかった.
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