日本応用動物昆虫学会誌
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21 巻, 4 号
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  • 小松 明
    1977 年21 巻4 号 p. 179-183
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) ストレイン・ゲージをもちいてコワモンゴキブリ雄成虫の腹部の呼吸運動を記録した。羽化後1日∼200日の個体をもちいて記録し,1回の記録は約6時間行なった。
    2) 背位に固定後30分∼2時間は呼吸運動以外の種々の運動が生じた。その後安静状態になるとともに次第に呼吸運動が出現した。
    3) 羽化後3日以内の個体では,約10秒に1回の割で数分間呼吸運動を行ない,その後数分間休むという規則的な周期性の呼吸運動を示した。
    4) 羽化後日数を経た個体ほど不規則な呼吸運動を示した。4∼30日の個体の呼吸運動は,不規則ではあるがまだ周期性であった。50日を越えると非周期的な呼吸運動へと移行した。さらに100日を越える個体では,腹部の呼吸運動を示さないものが少数認められた。
  • 桜井 宏紀
    1977 年21 巻4 号 p. 184-189
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イエバエの成虫にみられる蛹脂肪体と成虫脂肪体の起源を明らかにするため,変態にともなう脂肪体の組織学的変化を検討した。
    幼虫期においてよく組織化されている幼虫脂肪体の各細胞は,蛹化にともない遊離し単独の細胞として存在し,細胞中にspherule cellや核片をphagocyticに取込むが,蛹期後半に入ると幼虫脂肪体は細胞崩壊を起こして完全に消失した。その後クロマチンの周囲に幼虫脂肪体の細胞成分が集合することにより,蛹末期に蛹脂肪体が形成された。
    一方,蛹化直後に多数みられたgranulocyteは,幼虫組織残物を捕食してspherule cellに変化し,またgranulocyteの一部は真皮下に集積して組織化され,細胞分裂を起こすことにより成虫脂肪体を形成した。
    これらの結果より,イエバエの蛹脂肪体および成虫脂肪体の両組織とも蛹期において新生された組織であり,また脂肪体の形成の過程にはgranulocyteが密接に関係していることが示唆された。
  • 中村 寛志
    1977 年21 巻4 号 p. 190-196
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    集合性昆虫の室内飼育においてみられる集団サイズと若令期の死亡率の関係を,孵化直後の幼虫の食草への食いつきの機構に関する単純な仮説によってモデル化した。
    (1) 1個体が一定時間内にたまたま食草へ食いつく確率をpとすると,n頭区の飼育区の死亡率(Mn)はMn=(1-p)nで与えられる。このモデルを適用するにあたっては,死亡要因と死亡のおこり方を検討しなければならない。
    (2) 3種の集合性昆虫(クワゴマダラヒトリ,マツノキハバチ,ナガメ)を使って集団サイズ別分離飼育をおこない,その死亡率とモデル式からの理論値を比較した。その結果,クワゴマダラヒトリについては,若令期の死亡要因はほとんど食草への食いつき不可能によると推測され,各飼育区の死亡率もモデルとよく一致した。
    (3) 集合性昆虫の幼虫には,単独でも食草へ食いつける個体Aと,食いつけない個体Dのあることを仮定しても,同一のモデル式を導くことができた。
    (4) 卵期に死亡が働き,それに伴っておこる孵化幼虫の2次的死亡に関して,このモデルを応用することによって集団サイズが小さい程不利になることが示唆された。
  • 村上 陽三, 梅谷 献二, 於保 信彦
    1977 年21 巻4 号 p. 197-203
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1975年夏,訪中調査団が陜西省西安市郊外で採集した69個のクリタマバチゴールから,翌年4月上旬に寄生蜂Torymus (Syntomaspis) sp. 7個体(4♀♀3♂♂)が羽化した。これらのゴールを解体した結果,Megastigmus sp. 2♀♀, Ormyrus sp. 2♂♂, Eurytoma brunniventris 1♂, Eudecatoma sp. 3♀♀と不明種5個体の寄生蜂死ごもり個体が検出された。これらの結果から,サンプルを採集した中国のクリ園での寄生蜂の寄生率は,60∼80%の範囲内にあると推定された。
    羽化した中国産寄生蜂Torymus (Syntomaspis) sp.のうち,3♀♀2♂♂を用いて予備的放飼試験を行なった結果,これらは雌当たり10.3個体の次世代を残し,本種が日本で定着可能であることが示唆された。本種は一化性で,寄主とよくシンクロナイズした生活環を示す種特異的な寄生蜂であり,今回明らかになった範囲の中国産天敵の中で,導入する価値のある唯一の種であると結論された。
  • 佐藤 力郎
    1977 年21 巻4 号 p. 204-209
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    人工飼料に色素(水溶性42種類,脂溶性10種類)を加えてチャノコカクモンハマキ幼虫を飼育し,成虫の生体マーキングを試みた。
    (1) 0.1% (W/V)の水溶性色素スダンレッド(SR)およびローダミンB (RB)で処理した雄の射精管および付属腺は染色され,これらと無処理雌を交尾させると雌の受精嚢が着色した。しかし,処理個体の日令が進むと退色する個体が生じた。
    (2) 0.2%の脂溶性色素スダンブラック(SB)および0.4%のスダンIII (SIII)で処理すると,雌雄の脂肪体,精巣および卵巣が染色された。処理雄を無処理雌と交尾させると雌に移された精包は着色しており,また処理雌は着色した卵を産下した。これらの着色は5∼6日後の日令および2∼3回の交尾後でも認められた。
    (3) 色素を摂食することによる生育への影響は,SBやSIII処理では無処理よりもわずかに幼虫期間が長くなり,蛹体重もわずかに軽くなった程度であった。室内条件下での処理個体と無処理個体との交尾における競争力は,雌雄ともに差は認められなかった。また,SB処理個体の成虫期間も無処理のものと差はなかった。
    (4) 数種の他のハマキガについてもSIIIおよびSBの処理を試みたが,リンゴコカクモンハマキでSBによる染色が認められただけであった。
  • 根岸 務, 石渡 武敏, 浅野 昌司
    1977 年21 巻4 号 p. 210-215
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ナシヒメシンクイの合成性フェロモンを用いてマス・トラップ試験を行なったところ,園の周辺域に設置したトラップのほうが中心域のそれらより捕獲数が多く,マス・トラップ効果を誘引虫数から判断すれば,4∼5化期の成虫に与える影響が最も強く,2化期の成虫に対して最も弱いことが明らかになった。さらに,マス・トラップ園での新梢心折れ数は対照園(慣行防除園)とほぼ同程度ないしはそれ以下であった。
  • 誘殺効率と誘引距離について
    平野 千里
    1977 年21 巻4 号 p. 216-219
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    合成性フェロモンを誘引源とした水盤式トラップのハスモンヨトウ雄成虫誘殺効率を,放飼した標識虫の再捕率から推定した。このトラップは20∼30mの距離から放たれた雄成虫の約30%を誘引捕殺し,誘殺効率はかなり高いといえよう。
    標識虫は放飼点を囲む8個のトラップのうち,いくつかの特定のトラップに集中して誘殺された。この事実は放飼点を飛立った成虫が風上のトラップからのフェロモン分子のトンネルに導かれて,あるいはフェロモン分子の刺激で解発された走風性によって定向的に誘引捕殺されたことを示している。すなわちハスモンヨトウ雄成虫は,少くとも20∼30mの距離から性フェロモン源に定位できる。
  • 守谷 茂雄, 前田 洋一, 米久保 智得, 浅川 浩一
    1977 年21 巻4 号 p. 220-226
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    いもち病防除剤であるイソプロチオランの水溶液にイネの幼苗を浸根処理し,処理苗にトビイロウンカを放飼してウンカの生育,産卵などに及ぼす影響を調べた。
    40ppm処理苗で連続飼育した成虫は寿命が短くなり,特に雄において影響が著しかった。生存1雌1日当りの産卵数は減少し,卵のふ化率も低下した。しかし,処理苗で短期間飼育した成虫の産下卵は正常にふ化し,ふ化幼虫を無処理苗で飼育した場合には正常に生育した。
    ふ化直後から処理苗を与えた幼虫は徐々に死亡し,40ppm処理では羽化までにほとんどが死亡したが,死亡虫の中には脱皮途中で死亡する個体もみられた。5ppm処理苗を全幼虫期間与えたトビイロウンカは羽化後死亡する個体が多く,羽化成虫は寿命が明らかに短くなり,産卵数も少なくなる傾向を示した。
    イソプロチオランはイネに産下されたウンカ類の卵にほとんど影響せず,処理卵からふ化した幼虫の生育,羽化,羽化成虫の産卵にも大きな影響は認められなかった。
  • 立花 観二
    1977 年21 巻4 号 p. 227-230
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 村越 重雄, 上門 敏也, 田村 三郎
    1977 年21 巻4 号 p. 230-232
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 瀬戸口 脩
    1977 年21 巻4 号 p. 232-236
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • III. ビニルハウスにおけるオンシツコナジラミ,アブラムシ類の発生様相と薬剤防除
    斎藤 哲夫, 小倉 信夫, 巌 俊一, 宮田 正, 本多 八郎, 加藤 喜重郎, 中込 暉雄
    1977 年21 巻4 号 p. 236-238
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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