日本応用動物昆虫学会誌
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16 巻, 4 号
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  • 浅山 哲, 渡辺 昌久, 今村 三郎, 尾崎 典光
    1972 年 16 巻 4 号 p. 171-174
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    フキほ場におけるウスグロハナアブの生態を調査した。愛知県東海市における自然状態のフキほ場では,成虫は8月下旬から9月を中心に発生し,産卵はフキ葉柄基部に行なわれる。孵化幼虫は葉柄から根茎部に向かって食入し,徐々に発育しながら越冬する。春から夏にかけて,幼虫は根茎内部が空洞状となる程髄質部を食下して発育し,この部分で8, 9月頃蛹化する。
    しかし,施設ほ場では2月以降の収穫時に成虫が認められ,本種の発生はあたかも年2回のように見えるが,原因はフキ栽培法の変化によることが判明した。
  • 氏家 武
    1972 年 16 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    キンモンホソガの交尾習性について観察し,あわせて若干の実験を行なった結果つぎのことが明らかになった。
    1) 本種は早朝交尾するが,第1世代(6月中旬)の交尾は日出後に,第3世代(8月下旬)のそれは日出前に開始された。
    2) 日出時刻を起点とした第1世代の50%交尾時刻は第3世代に比べて平均約50分遅れた。
    3) 第1世代の交尾持続時間は85∼120分,第3世代のそれは40∼90分であった。
    4) 交尾は雌のcallingによって開始されることから,性フェロモンの分泌が暗示された。
    5) 順調な交尾には8時間以上の暗期とそれに続く照明が必要であり,これらの条件はとくに雌に対して強く作用した。
    6) 暗期と明期の限界照度は1lux以下であったが,このほか照度の傾斜を感ずるもののようである。7) 第1∼3世代の交尾は概して羽化後24時間以内に行なわれる。
  • 山田 偉雄, 梅谷 献二
    1972 年 16 巻 4 号 p. 180-186
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    日本におけるコナガの被害は季節差があり,地域によって異なる。神奈川県下においては夏季には被害が少なく,成虫の誘殺数もいちじるしく少ないが,冬季における被害は大きい。この現象を追究する目的の一部として,野外成虫の前翅長・産卵能力・寿命を時期別に調査して次の結果を得た。
    前翅長:野外成虫の前翅長を測定した結果,雄は雌よりも小型であること,および雌雄ともに夏季は小型で冬期は大型になる明瞭な傾向が認められた。
    産卵数・寿命:時期別に野外のカンランから蛹を採集し,羽化成虫の産卵数と寿命を,25°C,長・短日条件下で調査した。その結果夏季の成虫は短命で産卵数も少なく,冬季はその逆になり,その間の季節では段階的に増減することが認められた。また,成虫期における日長時間のちがいはこれらの特性に影響を与えないこと,成虫期の産卵能力は,その成虫にとってすでに前決定されていることが推定された。
    上記の特性を成虫に与えた要因を解析するため,寄主の栄養,卵∼蛹期における密度効果,気温および日長時間の季節的変化のそれぞれの影響について検討を加えた。その結果幼虫生育期における気温がもっとも支配的な要因であることを推定するに至った。
  • I. 寄主の種類と寄生様式
    植松 秀男
    1972 年 16 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    宮崎県と福岡県のマキアカマルカイガラムシおよびトビイロマルカイガラムシを材料として,マダラツヤコバチの寄主の種類とその寄主への寄生様式を調査した。
    1) マキアカマルカイガラムシを寄主とする一次寄生蜂は次の5種が認められた。すなわち,フタスジコバチ,ハネケナガツヤコバチ,Prospaltella spp. (2種),Aphytis sp. Aである。一方,トビイロマルカイガラムシからはフタスジコバチ,Aphytis sp. Bの2種の一次寄生蜂が認められた。
    2) マダラツヤコバチはこれらすべての一次寄生蜂の蛹に外部寄生する単寄生性の二次寄生蜂で,FLANDERS (1963)が定義している“直接的二次寄生(direct secondary parasitism)”に属する二次寄生者である。
    3) 産卵対象とする寄主のステージは世代によって異なっている。すなわち,春から秋にかけての世代では卵は寄主(一次寄生蜂)の蛹の上またはその付近に直接産下される。他方,越冬世代の卵はフタスジコバチの若令幼虫を含んでいるカイガラムシの体内に産下される。このような世代による寄生様式の違いは,越冬のための適応として発達してきたものであろう。
    4) マダラツヤコバチは過寄生による共喰いと自種寄生という二つのタイプの種内競争を行なうことが認められた。このうち自種寄生は寄主密度低下時において自種個体群の増殖の抑制とその維持に関与する密度制御機構の一つとして役立っているものと考えられる。
  • 渡部 仁, 今西 健一
    1972 年 16 巻 4 号 p. 193-201
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チャノコカクモンハマキの顆粒病ウイルスは脂肪組織に感染する。感染脂肪細胞を電子顕微鏡により観察したところ,桿状ウイルス粒子がクロマチンより出現し,二重膜を得たのち,ウイルスが1本ずつcapsule蛋白質に包埋される過程が認められた。ウイルスの大きさは約305×70nmであり,楕円体状のcapsuleの大きさは500-540×250-280nmであった。
    正常なcapsuleに混って種々の異常な形態を示すcapsuleが観察され,また感染細胞全体が異常形のcapsuleで占められる例も認められた。一方capsuleが形成されず,未成熟のウイルス粒子のみで充満した感染細胞も観察され,そのような異常感染細胞の出現の原因について考察を行なった。
  • 梶田 泰司
    1972 年 16 巻 4 号 p. 202-204
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヤノネカイガラムシの寄生蜂,ハネケナガツヤコバチの日令が卵巣内の成熟卵数および産卵数に及ぼす影響を25°Cの温度条件下で調べた。この寄生蜂は羽化当日から成熟卵を持っているpro-ovigenicな種である。羽化後寄主を与えないと,羽化後3∼4日目から卵吸収が始まり,その後寄主を与えてももはや卵形成は行なわれないようである。1日あたりの産卵数は双曲線を描いて減少し,平均寿命は約13日である。羽化当日から産卵した寄生蜂の総産卵数は平均67.8個であるが,羽化後4日間寄主を与えないだけで総産卵数は13.9個に減少した。また,羽化後8日間寄主を与えないものの総産卵数はわずか3.4個であった。このような寄生蜂をヤノネカイガラムシの密度を低下させる要因として生物農薬的な利用を行なっても,その効果は期待されないであろう。
  • 山中 久明, 中筋 房夫, 桐谷 圭治
    1972 年 16 巻 4 号 p. 205-214
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウ野外個体群の密度の変動に果たす天敵の役割を評価するために,すべての天敵の働きを除去する区,地上移動性天敵の働きを除去する区,天敵を自由に働かせる区の3つの実験区を用いて生命表の作成を試みた。
    その結果,ハスモンヨトウの1令幼虫期から成虫の羽化までに99.8~100%の高い死亡率がみられ,その内68~89%が,天敵による死亡と評価された。天敵として,6種の寄生性天敵と13種の捕食性天敵が確認された。なかでも,ふ化幼虫集団を分散させて間接的に死亡に導くコサラグモと中・老令幼虫を捕食するアシナガバチがハスモンヨトウ幼虫の個体数変動に重要な役割を果していることが明らかになった。
    ハスモンヨトウの生存曲線はコサラグモの密度の高い梅雨期にはDEEVEY (1947)のタイプIIIになるが,コサラグモの密度の低い夏期にはタイプIIに移行し,天敵が働かなければタイプIになり,天敵の働き方によって生存曲線のタイプが必ずしも一定でないことが解った。
  • 平井 一男, 宮田 正, 斎藤 哲夫
    1972 年 16 巻 4 号 p. 215-216
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 富樫 一次
    1972 年 16 巻 4 号 p. 217-218
    発行日: 1972/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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