日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
17 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 小山 健二
    1973 年17 巻2 号 p. 49-53
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イナズマヨコバイの人工飼育を開発するため,糖に対する選択性にひきつづきイナズマヨコバイの飼料の色に対する選択性を検討した結果,次のことが判明した。
    1. イナズマヨコバイの色に対する選択性は黄:白では黄,緑:白では緑を好み,赤:白では白,青:白では白,紫:白では白をやや好む。
    2. 色どうしの選択性では黄,緑を他の赤,青,紫より好む。
    3. 黄,緑,赤,青,紫を同時に用いた実験では黄を最も好み次に緑で,赤,青,紫は好まない。
    4. イナズマヨコバイは蒸溜水よりビタミン混合液をまた5%スクロースよりは5%スクロース+ビタミン混合液を好むが,それはその味によるためでなく,液の色によるものである。
  • 赤井 弘
    1973 年17 巻2 号 p. 54-62
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    著者はカイコの中腸皮膜組織の超微形態を超薄切片法によって観察してきたが,今回は立体視の観点からfreeze-etching法によって再度中腸細胞の一般的な超微形態を観察した。
    中腸の円筒細胞および盃状細胞の核および核膜,ミトコンドリア,コルジ装置,基底部の原形質膜の陥入,ミクロビリー,分泌物,ならびに細胞内の接着部,などの諸小器官の微細構造を立体的に観察した。核膜に沿った核表面の観察から核膜孔の分布密度および大きさを知ることができた。さらに,盃状細胞の盃胞面に密集するミトコンドリアを内在する原形質膜の突起についても立体的な微細構造を明らかにした。
    昆虫組織の電子顕微鏡的研究におけるfreeze-etching法の利点および超薄切片法との併用の必要性について考察した。
  • 梅谷 献二, 関口 洋一, 潮 新一郎
    1973 年17 巻2 号 p. 63-70
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミカンコミバエの成虫について,その強力な誘引剤として知られるメチルオイゲノールへの反応,およびそれに関連した産卵能力について調査した。
    人工飼料を与え,飼育箱を用いた25°C定温下の調査において,最初の交尾は日齢10日目以降,産卵は12日目以降から認められた。日齢14日目以降の卵のふ化率は85%以上に達した。また,同条件下で,過半数の雄がメチルオイゲノールに誘引反応を起こすのは日齢9日目以降であることが推定された。
    羽化後15日目まで十分交尾させた雌は,雄を除去しても,その後約4か月にわたって有効な産卵を行なうことがわかった。
    雄が受精能力を持つためには雌と同様の栄養摂取が必要であり,誘引剤への反応と,受精能力の獲得時期についてのわずかなずれは,相対的に野外においても適用されると推定した。
    羽化直後の個体群を,誘殺トラップを常設した飼育箱または屋外網室に放飼し,誘殺および自然死亡個体数を経時的に追跡した。その結果,すべての供試虫が死亡するまでに少数の産卵が認められた。さらに,それらの卵の一部は,幼虫のふ化によって受精卵であることが確かめられた。このことは,誘殺または自然死亡に至る前に,有効な交尾を完了した雄が存在したことを意味する。このような雄の存在は,今後,誘引剤利用による本種の防除に当たって,メチルオイゲノールへ反応しにくい個体群を選択して行くおそれのあることを指摘した。
    上記の誘殺試験において,多数の雌が誘殺されるという,野外とは異なる現象が見出された。原因については不明であったが,雌の誘引性の発現には,共存する雄との性比が関与している可能性は少ないことがわかった。
  • 永田 徹, 前田 洋一, 守谷 茂雄, 岸本 良一
    1973 年17 巻2 号 p. 71-76
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    トビイロウンカの防除適期を知るために,発生経過と処理時期別の効果を調べた。圃場で雌成虫の見取り調査を行なって,第3回成虫期初期,中期,末期,第4回成虫期初期をえらび,MIPC微粒剤をそれぞれ1回散布した。成虫密度,払い落とし調査による幼虫密度の推移,稲の被害を調べ,比較した。
    効果の高かった処理時期は第3回成虫期の短翅型雌の出現初期および第4回成虫期初期であった。いずれも処理後成幼虫密度を低くおさえ,稲の被害もなかったが,収量的には第3回成虫期の方がややすぐれる傾向を示した。その他の処理時期では成幼虫密度の回復が早く,坪枯れを生じ,補正防除を必要とするような結果を示した。
    成虫期中期および末期に処理した場合の幼虫密度の回復状況から,用いたMIPC微粒剤の効力は処理後6日程度しか続かなかったものとみられる。これはトビイロウンカの卵期間より短かく,卵の多いこれらの時期の処理が効果の低くなった原因と考えられる。
  • 上条 一昭
    1973 年17 巻2 号 p. 77-83
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    北海道中央部のトドマツ造林地に大発生しているコスジオビハマキの寄生性昆虫を調べた結果,つぎのことがわかった。
    1. 寄生性昆虫は合計46種がえられた。このうちヒメバチ科は23種,コマユバチ科は6種,コバチ上科は10種,ヤドリバエ科は7種であった。
    2. 寄生性昆虫による寄主の死亡は終令幼虫にもっとも多く,蛹期がこれに次いでいる。しかし終令以前の幼虫期では非常に少ない。
    3. 優占種は幼虫寄生蜂のCephaloglypta laricisあるいはLissonota sp.である。寄主の個体数の少ない林分(天然林や幼令造林地)ではLissonota sp.,大発生の続いている林分ではC. laricisが優占種であった。
    4. コスジオビハマキの生活習性に適応した4種の寄生蜂(C. laricis, Lissonota sp., Meteorus sp., Dirophanes yezoensis)がいて,これらはトドマツ林の他のハマキガにはほとんど寄生しない。
    5. しかしカラマツの害虫ではあるが,コスジオビハマキによく似た生活様式をもっているカラマツイトヒキハマキには,Meteorus sp.を除く3種が寄生し,寄生性昆虫群は類似した構造を示している。
    6. 北米のChoristoneura fumiferanaやヨーロッパのC. murinanaに特殊化している寄生蜂と,コスジオビハマキの4種の寄生蜂を比較すると,かなりの相違がみられる。これはコスジオビハマキの系統に由来していると思われる。
  • IV. 脳側方部IV型神経分泌細胞の変化
    河野 義明
    1973 年17 巻2 号 p. 84-90
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    モンシロチョウの脳側方部IV型神経分泌細胞の微細構造を5齢4日目から蛹化8∼12時間後にわたって観察し,その変化を休眠・非休眠個体間で比較した。
    その結果,蛹化脱皮を境に,休眠個体では分泌果粒が細胞質内に蓄積し,板状粗面小胞体が細胞周縁部と核の周囲に並列するのに対して,非休眠個体では細胞質内の分泌果粒が減少し,袋状小胞体が細胞質のほとんど全域を占めるようになることが明らかになった。
    また,光周条件の影響が,5齢4日目の神経分泌細胞の構造にすでに現われることも判明した。
  • 浅野 昌司, 榊原 啓高, 北垣 忠温, 中村 后代枝, 松下 洋子
    1973 年17 巻2 号 p. 91-96
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Bacillus thuringiensisの生産する,結晶性蛋白毒素,δ-endotoxinを含むThuricide A, BおよびCの3製剤の,そ菜の鱗翅目害虫,コナガ,モンシロチョウ,ハスモンヨトウおよびヨトウガの幼虫にたいする防除効果を室内および野外試験規模で調べた。コナガおよびモンシロチョウはThuricideの3製剤のいずれにも高い感受性を示したが,ハスモンヨトウガは低感受性であった。処理後の日数とLC50値の関係も,昆虫の種類によって異なり,コナガおよびモンシロチョウは,処理後の日数に従い,LC50値は漸次小さくなり,2日以後を考えれば,ほぼ直線関係が得られる。一方,ハスモンヨトウおよびヨトウガは処理3日後までは,LC50値が小さくなるが,それ以後はほとんど同じ値を示した。モンシロチョウの幼虫で調べた摂食抑制効果は,致死効果にさきだって現われ,後者が処理後の日数に従い増大するのに比べ,前者はほとんど変わらない。摂食抑制作用による個体の死亡が考えられ,B.t.製剤の間接的な致死要因になることが推測された。散布葉面上のThuricide Aの残留は非常に早く消失し,8および14日後に,それぞれ1/14および1/71に減少した。一方,野外防除試験における見かけの残効性は,5∼7日であると考えられた。
  • 宮田 正, 斎藤 哲夫, 弥富 喜三
    1973 年17 巻2 号 p. 97-100
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    NS 2662をマウスに投与し,マウス筋肉中の薬量およびアデノシンリン酸含量の変化をしらべた。
    1. マウスにNS 2662を経口投与した場合,有機リン剤特有の激しい興奮,けいれん症状を示さず,まひ状態を呈し死亡したが,大後頭孔を通し,脳に直接投与した場合には有機リン剤特有の激しい興奮,けいれん症状を呈し,死亡した。
    2. マウスにNS 2662を経口投与し,30分後筋肉中の未分解物および分解物の濃度は10-4M程度であったが,他の有機リン剤では10-5M程度であった。マウスの脳に直接投与した場合には,筋肉中には10-8∼10-7M程度の薬剤が存在するのみで,経口投与した場合に比べ著じるしく少なかった。
    3. 殺虫剤中毒時におけるマウス筋肉中のアデノシンリン酸含量をしらべたところ,NS 2662を経口投与した場合にATPの減少が著じるしく大きかった。
  • 荒武 義信, 栢村 鶴雄
    1973 年17 巻2 号 p. 101-106
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコの細胞質多角体病ウイルス(六角形の多角体を形成する系統:HCおよび四角形の多角体を形成する系統:TC)の野外昆虫に対する病原性を経口接種によって調査した。
    1. HCに感染した野外昆虫はヒメクロイラガ,マツカレハ,オビカレハ,マイマイガ,カシワマイマイ,セグロシャチホコ,オビヒトリおよびクスサンの8種で,感染しなかった野外昆虫は17種であった。
    2. TCに感染した野外昆虫はヒメクロイラガ,マツカレハ,オビカレハ,マイマイガ,カシワマイマイ,フクラスズメ,セグロシャチホコ,オビヒトリおよびシンジュサンの9種で,感染しなかった野外昆虫は12種であった。
    3. カイコ細胞質多角体病ウイルス接種によって感染した野外昆虫のうち,6種の昆虫に形成された多角体(HC, TC)は元の宿主であるカイコに対してすべて病原性を示した。
  • 梅谷 献二, 山田 偉雄
    1973 年17 巻2 号 p. 107-109
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 護, 上村 清
    1973 年17 巻2 号 p. 109-111
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小山 健二, 三橋 淳
    1973 年17 巻2 号 p. 111-113
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 松井 正春
    1973 年17 巻2 号 p. 113-115
    発行日: 1973/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
feedback
Top