日本応用動物昆虫学会誌
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29 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 植松 秀男, 濱川 秀正, 坂之下 旭, 瀬口 信義, 鈴木 敏雄
    1985 年29 巻2 号 p. 97-101
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    NAC水和剤(セビモール)中に31%配合されている廃糖蜜が,ミツバチによって花蜜の代替餌として利用されるかもしれないという危惧がある。本研究ではこの薬剤の安全使用の観点から,廃糖蜜をミツバチが採蜜するか否かを明らかにするため,いくつかの実験を行い以下の結果を得た。
    1) 廃糖蜜そのものはミツバチの吸蜜対象となることはない。
    2) 廃糖蜜が多量の蜂蜜に混入された場合には,ミツバチによって蜂蜜といっしょに吸蜜される。しかし,蜂蜜に混入された廃糖蜜の濃度が20%を越すと,ミツバチはその混液を吸蜜しない。これは廃糖蜜中の何らかの物質がミツバチの吸蜜行動を抑制するためと思われる。
  • 後藤 千枝, 筒井 等, 本間 健平, 飯塚 敏彦, 中島 敏夫
    1985 年29 巻2 号 p. 102-106
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The larvae of the spotted cutworm collected from grass fields at the beginning and the end of winter season were reared on an artificial diet in the laboratory. The larvae which died in the course of rearing were microscopically examined. In April and May, 1983, the main causative agents of diseased larvae were identified as nuclear polyhedrosis and granulosis. Two different types of polyhedra were observed: one was tetragonal and the other was trigonal in shape. Alkaline-liberated virions were rod-shaped and measured 80-190×320-380nm in the tetragonal type and 95-165×345-385nm in the trigonal type. The occlusion bodies of GV were ellipsoidal and measured 0.2-0.3×0.4-0.6μm. Nucleocapsids of GV were slightly curved and measured 70-72×400-405nm.
  • II. 雌成虫の体サイズの違いと堆積穀層への侵入度
    渡辺 直
    1985 年29 巻2 号 p. 107-112
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アズキゾウムシおよびヨツモンマメゾウムシについて24°C, 16L-8D日長条件下で試験を行った。両種を低密度条件下で飼育し羽化した多数の成虫のなかから雌の体サイズの違ったものを選び出し,これと同サイズか,より小さい雄と対にした。試験管(内径1.4cm,深さ16cm)にリョクトウ100粒を入れ,対にした成虫を1組ずつ放飼した。その結果,ヨツモンのほうがアズキゾウよりも穀層のより深部に産卵し,前者の最大サイズの個体ですら,後者の最小サイズのものよりもより深層に産卵した。アズキゾウでは体サイズにかかわらず産卵深度は一定の深さに留まったが,ヨツモンでは小形の個体が大形のものよりより深層にまで産卵した。ヨツモンでは雌が小形になるに従って腹長/体幅比および産卵数/体サイズ比が大きくなる傾向が見られたが,アズキゾウではこの逆であった。
    以上の結果をもとにマメゾウムシの貯穀への潜入の難易には,穀粒の形状・サイズと虫の体形・体サイズ・行動活力が複雑に作用することを指摘した。
  • 野口 浩, 玉木 佳男
    1985 年29 巻2 号 p. 113-118
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    チャノコカクモンハマキおよびチャハマキの性フェロモンの同種の雌への影響を室内および野外条件下で調査し以下の結果を得た。
    1) 室内の密閉容器内の条件でチャノコカクモンハマキおよびチャハマキの合成性フェロモンによってそれぞれの種の処女雌の求愛行動の開始時刻に遅延が生じた。
    2) 野外条件下で,両種の合成性フェロモンをおおよそ1mg/day/m2の放出速度で処理した場合,両種とも雌の求愛行動の開始時刻は無処理の場合に比べて遅延した。
    3) 室内の通風条件下において,両種ともに風下の雌の求愛行動の開始時刻は風上の雌よりも遅延した。
    4) 風下の雌の求愛行動が遅延する現象の生物的意義は交尾の効率化であると考察した。
  • 伊賀 幹夫
    1985 年29 巻2 号 p. 119-125
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) コナガのフェロモン・トラップによる誘殺数からその年間の発生変動を考慮し,1982年4月から2年間,東京都内のキャベツ畑で10枚の生命表を作成した。産卵密度から見て,誘殺数の変動はコナガの発生量をよく反映していた。
    2) 卵期のおもな死亡要因として卵寄生蜂のメアカタマゴバチによる寄生,アリなどによる捕食および物理的な死亡を認めた。これらのうち,とくに夏季には卵寄生蜂の寄生率が高かった。幼虫の死亡個体を直接観察したところ,1∼2齢期では降雨による水没死がおもな要因であった。また,3∼4齢幼虫期のそれは明らかではなかった。蛹では,5∼9月までスズメによる捕食割合が高かった。
    3) 生命表から,コナガ個体群の増加期の卵から成虫期の総死亡率は低く,それに続く減少期では高かった。盛夏季の低密度と秋の回復期および冬季では,総死亡率は低い値を示し,これらは季節的変動と矛盾しなかった。
    4) VARLEY and GRADWELL (1960)の方法にしたがって基本要因分析を行ったところ,変動主要因は卵期に存在した。
  • 鷲塚 靖
    1985 年29 巻2 号 p. 126-130
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    山火跡地の植生の回復に伴うリン(TP),窒素(TN),BHCの分布について調査した。
    1) 山火跡地とアカマツ林のリン,窒素の分布と生物濃縮は地点間の著しい相違がみられなかった。
    2) リンの生物濃縮と窒素のそれは類似の傾向を示し,窒素はリンに比べてその含量が概算で約2ケタの幅のずれで上まわっていた。
    3) BHCの生物濃縮はリン,窒素と異なり,L層のBHCの含量が高く,栄養摂取を通じてBHCの移動による分解が考えられた。
  • 積木 久明, 兼久 勝夫, 白神 孝
    1985 年29 巻2 号 p. 131-136
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ニカメイガ第2世代幼虫の被害に及ぼす深水栽培の影響について調査した。
    1980年の試験では被害茎率は水深5cm区が最も高く,次いで0cm区であった。水深20cm区は被害茎率,在虫数とも最も低く,ニカメイガ第2世代幼虫の被害防止に最も効果があった。水深10cm区においてもニカメイガの被害防止に効果がみられた。収量は被害が最も多かった5cm区で最低をしめし,20cm区で最高をしめした。
    1981年の試験においても普通栽培区(水深1∼5cm)より深水栽培区(水深15∼20cm)で,ニカメイガ第2世代幼虫の被害が少なかった。しかしながら,試験田の被害レベルが低かったため,深水栽培による収量への効果は明らかでなかった。
  • 菅野 紘男, 阿部 徳文, 水沢 政夫, 佐伯 喜美, 小池 賢治, 小林 荘一, 田付 貞洋, 臼井 健二
    1985 年29 巻2 号 p. 137-139
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    近年,新たに発見された1成分(Z)-9-hexadecenalを加えた3成分系性フェロモンをニカメイガの発生予察に応用できるかどうかを判断するため,新潟県下3地区,長野県下1地区の予察灯設置場所に合成性フェロモントラップを配置し,誘殺数および誘殺消長を予察灯と比較した。また,1化型ニカメイガの発生地として知られる長野県原村にも同様のトラップをおき,特異的な発生型をとらえうるかどうかの調査を実施した。
    1) 第1, 2回成虫期を通して合成性フェロモンの誘引活性は非常に高く,誘殺数の合計は予察灯の3∼5倍に達した。さらに,誘殺消長についても2者間にほぼ平行的関係が認められたことから,合成性フェロモンを予察灯に代わって,本虫の発生予察に使用しうる可能性が示唆された。
    2) 合成性フェロモントラップにより,1化型ニカメイガの発生消長をも的確にとらえることができた。
  • VII. 増殖能力に及ぼす温度の影響
    河合 章
    1985 年29 巻2 号 p. 140-143
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミキイロアザミウマを恒温条件下で卵から成虫まで飼育し,増殖能力に及ぼす温度の影響を検討した。
    1) 産卵から羽化までの発育零点・有効積算温量は,11.6°C, 189.1日度と推定された。
    2) 総産卵数・日当り産卵数は25°Cで最大であり,それぞれ59.6, 3.8卵であった。成虫寿命は低温区ほど長かった。
    3) 一世代平均期間は高温区ほど短く,一世代当り純繁殖率は25°Cで最大であった。また,日当り内的自然増加率は高温区ほど大きく,30°Cで0.144であり,1か月当り増殖倍率は75.2倍であった。
  • 大竹 昭郎
    1985 年29 巻2 号 p. 144-149
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Synthetic sex pheromones used were those of the oriental fruit moth Grapholita molesta, the Asiatic leafroller Archippus breviplicanus, and the peach fruit moth Carposina niponensis. Actually no G. molesta were caught when their sex pheromones were placed side by side with those of A. breviplicanus in the same traps. A. breviplicanus was not caught in any of the traps set up. In either of G. molesta and Pammene nemorosa which were frequently caught in the G. molesta traps, curves depicting the trend in the cumulative percentage of daily catches in the summer and autumn did not show significant differences between Japanese pear and chestnut. This fact indicates that the dispersal activities of the males of both species can be traced over wide areas in different environments including chestnut trees, which are not the habitual host plants of G. molesta. It is suggested that in the summer and autumn, G. molesta males invaded extensively the Japanese pear plots studied, which consisted of young trees with a canopy thin. C. niponensis males were caught both in the Japanese pear plots and in a chestnut plot, although the total number of catches was small in all the plots.
  • 河野 哲
    1985 年29 巻2 号 p. 150-157
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ディコホル感受性および抵抗性ナミハダニに対する各種薬剤の効果検定を行い,有効な薬剤を選抜するとともに,交差抵抗性について考察した。またビニールハウス内でイチゴ,キュウリ,ナスに接種したディコホル抵抗性ナミハダニに対するそれらの有効性について検討した。
    1) 雌成虫に対してほとんど効果のない薬剤は,抵抗性系統では44薬剤のうち,ディコホル,フェニソブロモレート,BCPE・クロルベンジレート,マラチオン等16薬剤,感受性系統では両系統に共通するCMP,マンゼブ,ベンゾメートの3薬剤であった。また効果が優れる薬剤は,抵抗性系統ではポリナクチン複合体・BPMC,水酸化トリシクロヘキシルスズ,ビナパクリル,プロチオホス等9薬剤,感受性系統ではこの他にディコホル,フェニソブロモレート,BCPE・クロルベンジレート,PPPS等15薬剤であった。
    2) ディコホル抵抗性系統の雌成虫に対して効果が優れた9薬剤の殺卵効果は,ポリナクチン複合体・BPMC,ビナパクリル,水酸化トリシクロヘキシルスズ,プロチオホスが高く,メソミル,DMTP, DDVP等は低かった。
    3) 殺虫ならびに殺卵効果ともに優れた前述の4薬剤は,イチゴ,キュウリ,ナスに接種したディコホル抵抗性ナミハダニに対するビニールハウス内の試験でも高い防除効果を得たが,イチゴでは水酸化トリシクロヘキシルスズ水和剤,ビナパクリル水和剤で,キュウリでは水酸化トリシクロヘキシルスズ水和剤,ポリナクチン複合体・BPMCで薬害が認められた。
    4) 両系統の各種薬剤に対する感受性の有意差から交差抵抗性を考察した結果,ディコホルと交差抵抗性関係にある薬剤は,ディコホルに類似の化学構造をもつジアリールカルビノール系薬剤と有機リン系薬剤のなかに比較的多く見られた。
  • 鷲塚 靖
    1985 年29 巻2 号 p. 158-165
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    台湾の中興大学惠〓実験林場のアブラギリ単純林を中心に,その周辺の針葉広葉混交林,タケ単純林と玉山山麓,自忠のタイワンヒノキ単純林,新阿里山のタイワンスギ単純林,大分県祖母岳山麓の針葉広葉混交林でリン(TP),窒素(TN), BHCの分布について調査した。調べた検体は土壌(H層),落葉落枝層(L層),緑色植物,昆虫類,ネズミ類,ヘビ類等であった。そのおもな結果はつぎのとおりである。
    1) 惠〓実験林場と祖母岳山麓のリン,窒素の分布はほとんど差がみられなかった。
    2) 玉山山麓と祖母岳山麓のリン,窒素の分布で,栄養摂取を通じての前者のリンの移動量は後者のそれより多く,窒素についてもわずかにその傾向があった。
    3) 祖母岳山麓のBHCの分布は栄養摂取を通じてBHCの移動が進むにしたがって,その含量は減少する傾向がみられたが,台湾ではまったく異なるBHCの分布になった。
  • 田村 正人
    1985 年29 巻2 号 p. 166-168
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    年1化性のミノウスバは比較的低温適応性の昆虫で(田村・大内,1977),早いものは4月下旬頃より夏期休眠に入り(田村・小見山,1976),低温・短日下で休眠消去(ISHII et al., 1983)した蛹は日増しに気温が低下する10月下旬∼11月中旬の午前8∼10時に集中して羽化する。しかしながら,この時期の気温はほぼ昼間が15∼20°C,夜間が10∼15°Cであり,探雌のための雄成虫の飛しょう活動には15°C以上が必要なため,昼間活動性であることは本種の生存上きわめて有利であり,適応的であると考えられる。
  • 粥見 惇一, 坂下 敏
    1985 年29 巻2 号 p. 168-170
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    イネミズゾウムシ幼虫の頭幅測定値は四つの山を形成し,4齢を経過することが確認された。野外で採集された幼虫の頭幅を測定することにより,齢期を判定することはほぼ可能と考えられた。頭幅値は等比級数的増加を示し,DYARの成長式によく合致した。
  • 山田 偉雄, 山口 泰治
    1985 年29 巻2 号 p. 170-173
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 山田 偉雄
    1985 年29 巻2 号 p. 173-175
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • II. 日長を感受するステージ
    氏家 武
    1985 年29 巻2 号 p. 176-177
    発行日: 1985/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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