日本応用動物昆虫学会誌
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6 巻, 3 号
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  • 伊藤 嘉昭
    1962 年 6 巻 3 号 p. 183-189
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 静岡県柑橘試験場西野操技師の調査結果から,越冬前期のヤノネカイガラムシ個体群の分布型を検討し,次の結果を得た。
    2) ヤノネカイガラムシの成熟♀のミカン1葉当たりの個体数分布は,果樹園や平均値を異にしても,ほぼ0.4611という共通のkをもつ負の二項分布に従う。
    3) それゆえ,ヤノネカイガラムシの個体数の分散分折に当たってはlog(x+1)などの変換が必要である。
    4) 変換をほどこした価について分散分折を行なった結果,果樹園のあいだには有意な差があるが,一方木間の変動も有意なため,この調査単位数(1園5本×50葉)でははっきりした結論をだせないことがわかった。そこで木内・木間の変動を考慮して,一定の精度で個体数を推定するのに必要なナンプル数を計算した。
    5) 個体数0の葉の頻度による平均個体数の推定や,ちく次抽出法の適用性についても検討し,ともによい結果を得た。
  • 森本 尚武, 佐藤 安夫
    1962 年 6 巻 3 号 p. 190-195
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    筆者らは前報で(1962 a),ニカメイガの卵塊性幼虫集団の大きさと生存率との関係によって集合性の意義を追求したが,本報ではその集合性の機構を解析するために二,三の実験を試みた。すなわち,ふ化の斉一性とイネ茎内での幼虫の集合度との関係を実験的に調べ,またふ化した幼虫が摂食場所に到達するまでの行動の観察をも行なった結果,次のことがわかった。
    1) 大きい卵塊では小さいものに比べてふ化がより斉一に起こり,前者では平均13分,後者では平均20分でふ化が完了した。また小さい卵塊では,ふ化開始から完了までに要する時間に卵塊による変異が著しく認められ,10分から25分でふ化を完了するものまであったが,卵粒数の比較的多いものが早くふ化を完了するといった傾向はなかった。
    2) ふ化の2日前に1箇の卵塊を数箇の小片に切り離すと各小片のふ化の状態は上記の小卵塊のふ化と同じような傾向を示したが,各小片を合わせてもとの1箇の大きい卵塊として見た場合にはふ化完了までにきわめて長時間(2∼3時間)を要した。またとなりどうしの各小片があいついでふ化する傾向はなく,各小片で独立にふ化が起こった。
    3) ふ化2日前に1箇の卵塊を数箇所任意に針でつぶすと,ふ化完了までに長時間(1∼1.5時間)を要した。
    4) 野外のイネ茎における幼虫の集合性は,大きい卵塊ではきわめて強く,針でつぶした卵塊では最も弱かった。
    5) ふ化した幼虫は大部分まず葉の先端へ移動し,しばらくwanderingしたのち下降するが,このうちの1ぴきが他の幼虫に先がけて摂食場所に到達し,下降してくる他の幼虫と合流して集団を作り摂食活動に入った。なおこの場合1ぴきの幼虫ではほとんど摂食できず2ひき区では全区のうち半数が摂食可能であって,集団を作らないと摂食しにくいことがわかった。
    以上の結果からふ化の斉一性が幼虫集団の形成過程に影響を与え,以後の幼虫の生存率に大きな役割を演じているものと考えられる。
  • 杉本 毅
    1962 年 6 巻 3 号 p. 196-199
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    タケノホソクロバの卵は卵塊として産下され,ふ化幼虫は3令ごろまで集団生活を営む。
    本種の室内での飼育によると,死亡率は幼虫初期(1∼3令)には集団が大きいほど減少し,1頭区では1令期にほぼ15%であるのに対し,20頭区では3令にならなければ死亡個体はあらわれなかった。集合区では分散期に当たる3令以後急激に死亡率が増加し1頭区よりはるかに大きかった。
    幼虫期間の長さは集団が大きくなるほど長くなった。第3回目脱皮までは集合区と隔離区はほぼ脱皮期間が一致したが,4令期間は集合区で発育が数日遅れた。また令数は集団の大きいほど多くなった。
    以上より,分散期を境に本種の幼虫は密度に対して逆の反応を示すことがわかった。
  • 2. モンシロチョウ,タマナギンウワバおよびヨトウガのキャベツ株内での産卵部位
    平田 貞雄
    1962 年 6 巻 3 号 p. 200-207
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. In this paper the writer gave an account of observations on the habits of oviposition of Pieris rapae crucivora, Plusia nigrisigna and Mamestra brassicae on cabbage plants.
    2. These species deposit their eggs on all leaves of young plants but only on the leaves of middle and upper parts in aged plants. However, even in aged plants, Pieris rapae crucivora and Plusia nigrisigna deposit some eggs on the lower leaves when the density of adults in the field is high.
    3. Almost all of the eggs of Pieris rapae crucivora were deposited on the under surface of leaves. But a few were deposited on the upper surface of the middle and upper leaves in the third and fourth brood. The latter fact is probably due to the increasing number of eggs deposited on a plant; i.e., about one quarter of the eggs per plant were on the upper surface at the time of peak oviposition in the fourth brood. Similar results were obtained in Plusia nigrisigna, though the number of eggs deposited on the upper surface showed no such close correlation with that on the under surface as in Pieris rapae crucivora.
    4. Mamestra brassicae usually deposit their egg-masses on the under surface of the leaves, and an egg-mass deposited on lower leaf contains more eggs than those on upper leaf.
    5. Pieris rapae crucivora and Plusia nigrisigna showed a tendency to deposit their eggs on the leaves in every direction in a plant. On Mamestra brassicae, the obtained results did not ascertain this point.
  • 竹沢 秀夫, 相原 次郎
    1962 年 6 巻 3 号 p. 208-215
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヤノネカイガラムシの越冬は雌の成虫で行なわれるが,これらの越冬世代雌虫の成熟度を見ると成熟成虫が全体の約80%をしめ,残りの約20%は未成熟成虫であった。
    未成熟成虫からの幼虫の発生は非常に少なく,越冬後死亡する個体が多い。したがって翌春における第1世代幼虫の発生に関与する雌成虫の主体は成熟した雌の成虫であると考えられる。
    成熟した雌の成虫を個体飼育して第1世代幼虫の発生消長を調査した結果,各個体とも5月中,下旬きわめて短期間の中にほぼ一斉に幼虫の発生を始め,ほとんどの個体が明りょうな2峰型の幼虫の発生を示し,途中で幼虫の発生を一度休止することが明らかとなった。第1回目の山を形成する幼虫の発生時期,幼虫発生の休止期には個体による大きな重なり合いが認められず,したがって全体としての幼虫発生消長曲線は2峰型を示した。
    以上のように第1世代幼虫が2峰型の発生を示す原因を明らかにするため,越冬世代雌虫について蔵卵数の消長を調査した結果,本種は卵胎生であって,卵巣内で胚子がほぼ完全に発育してから産下される。そして,蔵卵数が次第に増加し,産卵時期が近くなると,新しい卵の形成を一度停止し,産卵を始めることによって卵の形成を再開することが明らかとなった。したがって,第1世代幼虫が2峰型の発生を示すのは卵巣内における卵の形成過程に休止現象が見られ,産卵が途中で一度停止するためであると結論された。
  • 1962 年 6 巻 3 号 p. 215a
    発行日: 1962年
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 6 巻 3 号 p. 215b
    発行日: 1962年
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 岡田 豊日
    1962 年 6 巻 3 号 p. 216-229
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    樹液を好むショウジョウバエの多くは果物にも誘引されるといわれているが,樹液と果物とが共存するかしないかが,選好性にいかに影響するかを野外において調査した。その結果樹液は元来果物を好む種のほとんど全部を誘引するが,果物は元来樹液を好む種の一部を誘引しないことを知った。
    また選好性の季節的変化,それに伴う集団の大きさや性比の変化,性比と蕃殖成立との関係,樹液選好に適応した成虫・幼虫の形態・習性上の諸特性,食物環境と種間の競争との関係,食性の進化,などの調査および考察を行なった。
    更に果物との共存が樹液における蕃殖地成立を遅らせる事実を認め,応用昆虫学上害虫防除への一暗示を与えた。
  • 福田 秀夫, 升田 武夫, 宮原 義雄, 富沢 長次郎
    1962 年 6 巻 3 号 p. 230-236
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    生育程度を変えて栽培した3種類の水稲に32P-Baycid乳剤を散布し,その変化を追跡した。稲体においてBaycidが加水分解される速度はmethyl parathionなどに比較してかなり遅いと考えられる結果を得たが,Baycidの形(PS-sulfide)は散布後急速に消失した。Baycidの酸化物としてはPS-sulfoxide PS-sulfoneが大部分を占め,thiophosphate(PS-型)のphosphate (PO-型)への酸化はきわめて少ないと考えられる。出穂数日前に散布した場合,Baycidの代謝物質は出穂後の穂に移行し,主として“ぬか”に集積する傾向が認められた。乳熟期の“もみ”における水溶性代謝物質をイオン交換樹脂により分離した結果,
    Phosphoric acid, thiophosphoric acid, O, O-dimethyl phosphoric acid, O, O-dimethyl thiophosphoric acid, O-methyl O-(3-methyl-4-methylmercaptophenyl) thiophosphoric acidおよび一個の未同定物質を検出したが,特にBaycidの脱メチル化合物の割合が高かった。
  • 富沢 長次郎, 福田 秀夫, 升田 武夫, 宮原 義雄
    1962 年 6 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ポツトに栽培した茶ならびにカンランに32P-Baycid乳剤を散布し,その変化を追跡した。なお茶の場合には製茶過程における変化もあわせて調べた。
    茶葉における新葉と古葉では,その変化はあまり大きな差が認められない。カンランでは茶葉に比較して葉面からの浸透速度も加水分解速度も早い傾向が認められた。茶葉におけるBaycidの酸化はPS-sulfide→PS-sulfoxide→PS-sulfoneの方向へ大部分進み,thiophosphate (PS-型)のphosphate (PO-型)への酸化は少なかつたが,カンランにおいてはPO型酸化物がPS-sulfoxide, PS-sulfoneと同程度検出され,更にBaycidのS-methyl異性体と考えられる物質もかなり検出された。緑茶の製茶過程においてはBaycidおよびその代謝物質の絶対量も,また各代謝物質の割合もあまり変化が認められない。散布直後の茶葉では製茶過程における加熱により,葉面からの蒸発による減少が認められた。
  • 桐谷 圭治, 法橋 信彦, 木村 勝千代
    1962 年 6 巻 3 号 p. 242-246
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ミナミアオカメムシの3化期成虫の大部分はスギやイブキの生垣内やキミガヨランの葉のあいだなどで冬を越す。越冬中の平均死亡率はスギ:38.0%,キミガヨラン:64.6%,イブキ:86.0%であった。♀の死亡率は♂に比べて平均11%低かった。冬季死亡率♀♂の差の結果,越冬地における性比(♀/♀+♂)は越冬前の48.3%から越冬後の54.5%に変った。他方,野外における越冬前の性比は晩期栽培水稲のほ場で,越冬後の性比はナタネおよびコムギ畑で調べた結果,それぞれ47.2%, 54.4%で越冬の性比とよく一致した。
    越冬場所による死亡率の違いは分布の境界地帯では,ミナミアオカメムシの個体群の存続が好適な越冬場所の有無に大きく左右される点で重要である。また♀の冬季死亡率が♂より低い結果,生殖個体群の♀性比が高くなることは,個体群密度をより高く保とうとする生物の内的要求にも合致する。
    1対の2化期の成虫から4.3頭の越冬成虫が生ずると計算されるが,もの羽化から越冬場所および越冬後産卵に至るまでの死亡を考えれば,この値はなお低くなると考えられる
  • 松沢 寛, 谷 精一
    1962 年 6 巻 3 号 p. 247-248
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 玉木 佳男
    1962 年 6 巻 3 号 p. 248-250
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 林 真守, 早川 充
    1962 年 6 巻 3 号 p. 250-252
    発行日: 1962/09/30
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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