砥粒加工学会誌
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52 巻, 10 号
OCT.
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  • —削除量が砥石作業面に及ぼす影響—
    小田喜 敏美, 冨田 進
    2008 年 52 巻 10 号 p. 583-588
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2009/10/31
    ジャーナル フリー
    工業製品の高品位化への適用増大で, 高能率による高品位仕上面生成への要望に対応する研削加工技術の確立が望まれている. その中で, 高能率化・高品位化を求める場合に, 工作物の形状における研削長さの違いが,研削性能に及ぼす影響をとらえることも重要な因子と考えられる. さらに, 研削性能に及ぼす供給油剤の作用効果が重要な要素となると考えられる. そこで, 本研究では, 工業材料の中で, 冷間金型材料として用いられている工具鋼(SKD11)を加工材として, 粒度#170のレジンボンドcBN砥石によるプランジ研削加工を行い, 削除量の違いが研削性能に及ぼす影響を検討した. 研削油剤には, エマルジョン形油剤および極圧エマルジョン形油剤の2種類を供給し, 1ストロークあたりの削除量の違いが研削性能に及ぼす研削油剤の効果を検討した. その結果, 極圧形研削油剤を供給することで, 1ストロークあたりの削除量が異なった場合でも砥石作業面の形態変化を抑制することが可能となり, 研削性能の低下を防ぐことができることが明らかになった.
  • 第1報:スラッジおよび砥粒のスクラッチ形成に及ぼす影響
    長谷川 裕之, 岡本 敏宏, 千葉 陽介, 大橋 一仁, 塚本 真也, 西澤 信也, 藤田 能裕, 宮川 和彦
    2008 年 52 巻 10 号 p. 589-594
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2009/10/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,表面精度を決定づける新たな要因として,研削時に生成されるスラッジと砥石から脱落する砥粒が工作物の表面性状を損なわせるとの仮定に基づき,スラッジおよび砥粒により意図的に汚染させた研削液と加工後の工作物表面品位との相関を明らかにした.特に,生産現場において問題となるスクラッチに焦点を絞り,スラッジ濃度または砥粒濃度に対するスクラッチ個数を体系的にまとめた.実験結果からスラッジによる汚染に伴い,スクラッチ個数は単調に増加し,スラッジ濃度50×107/lにおいて一定値となった.一方,砥粒はスクラッチ発生数に支配的に関与し,スラッジに比べ40倍以上の影響を与えた.さらに,光学顕微鏡による観察結果から,研削液の汚染により発生するスクラッチ形状は2種類に分類され,スラッジによる汚染では直線型,砥粒による汚染では曲線型が主に形成された.
  • 第2報:各種粉末によるファイバ先端加工性の評価
    古本 達明, 上田 隆司, 青木 慎太郎, 葛西 惇士
    2008 年 52 巻 10 号 p. 595-600
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2009/10/31
    ジャーナル フリー
    Nd:YAGレーザを用いた歯科治療では,出射したレーザ光は石英光ファイバを用いて口腔内部に伝送され,レーザ光をレンズで集光させることなく患部に照射して治療が行われる.これまで,治療部位に対してレーザ光の吸収を効果的に行う手法として,伝送用光ファイバの先端を酸化チタン乳液から製作したペレットで加工する手法を提案し,加工ファイバ先端におけるエネルギ分配割合を求めてきた.本研究では,酸化チタン粉末に加えて,ジルコニア粉末,二酸化ケイ素粉末,二酸化マンガン粉末を用いて伝送用光ファイバ先端の加工実験を行い,加工ファイバ先端から出射される直進レーザ光の割合を求め,各粉末が石英ファイバ先端の加工特性に与える影響について調べた.その結果,ファイバ先端の加工性は,ペレットに含有された粉末濃度が高いほど,また,加工するレーザエネルギが大きいほど優れていることが明らかとなった.また,ファイバ先端の加工条件を同一とした場合,二酸化チタン粉末含有ペレットが最も加工性に優れ,ジルコニア粉末,二酸化マンガン粉末の順に加工性が悪くなり,二酸化ケイ素粉末ではファイバ先端がほとんど加工されないことがわかった.
  • 清水 淳, 周 立波, 山本 武幸, 津村 貴史, 岡部 秀光, 江田 弘
    2008 年 52 巻 10 号 p. 601-606
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2009/10/31
    ジャーナル フリー
    シリコンウエハのダイヤモンド研削において,加工環境・条件が加工現象に及ぼす影響を明らかにするため,実研削や微小引っかきなどによる検討を行なっている.本報では,そのうちの加工雰囲気が及ぼす影響の検討として,大気(おもに湿気)が加工現象に及ぼす影響を調べた.手法として,環境制御型SPM(走査型プローブ顕微鏡)を用い,大気中と比較用の真空中において,ダイヤモンドプローブによるシリコンウエハのナノ引っかきを試みた.加えて,大気による潤滑作用の検証のため,工具-工作物間の凝着を制御することにより,SPMによる実験を模擬した分子動力学シミュレーションも試みた.実験とシミュレーションの結果,双方の定性的一致が確認され,大気による潤滑は,加工レートの低下を伴うものの,加工変質層や工具摩耗などの低減に有効なことが明らかにされた.
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