砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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59 巻, 9 号
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  • 布引 雅之, 原田 泰典, 奥田 孝一
    2015 年59 巻9 号 p. 516-520
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    近年,金型などの大きな負荷のかかる工業製品に対する長寿命化の要求が高まっている.低い製作コストで長寿命化を図るためには必要部分にのみ高強度な合金被膜を形成する方法が有効と考えられ,本研究ではレーザ熱処理を用いて炭素鋼表面に局所的なFe-Al系合金被膜を作成する手法を提案する.ショットライニングにより炭層鋼に貼り付けたアルミ箔にデフォーカスしたCO2レーザ照射することで境界面での鉄とアルミの相互拡散を促進しFe-Al系合金を成長させる.生成されるFe-Al系合金の組成は熱処理温度に依存するため,いろいろな熱処理条件でレーザを照射した試験片の断面を観察した結果,高速度レーザ走査によって表面を加熱することで母材の性質を変えずに局所的にFe-Al系合金被膜を生成できることを示した.
  • 第1報:マイクロカンチレバーの接触挙動の観察
    出井 大裕, 笠川 政孝, 芦田 極, 藪野 浩司, 藤澤 悟, 黒田 雅治
    2015 年59 巻9 号 p. 521-524
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    本研究ではマイクロカンチレバーに振動を付与して加工を行う方法に注目し,実験により加工時のマイクロカンチレバーの振動現象を明らかにすることを目的とした.加工の実現に向けて試料とマイクロカンチレバーの距離に応じたダイナミクスを把握するために,強制加振状態でのフォースカーブ(動的フォースカーブ)を計測した.この結果から,マイクロカンチレバーの振動形態を(a)引力タッピング,(b)斥力タッピング,(c)押しつけこすり,(d)引きこみこすりと分類した.また,マイクロカンチレバーを強制加振した状態で加工実験を行い,加工を行うには押しつけこすり状態が有用であることを切削くずの多さから指摘した.
  • 南部 紘一郎, 菊池 将一
    2015 年59 巻9 号 p. 525-530
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,従来のショットピーニングと比較して,微粒子を用いたピーニングが金属の微視組織の改質に有効である要因について検討を加えた.具体的には,高速度カメラによる粒子飛翔速度測定結果を基に有限要素法を用いた衝突シミュレーションを行い,ショットピーニングによる基材の塑性変形挙動に及ぼす投射粒子飛翔速度の影響について検討を行った.その結果,粒子衝突時に生じる基材の塑性ひずみは,投射粒子の寸法によらず粒子飛翔速度の増加に伴い増加する傾向を示した.このことは,投射粒子の飛翔速度が,基材の塑性ひずみを支配する最重要因子であることを示すものである.また,基材の塑性変形エネルギーは,ショットピーニングを施した場合において高い値を示したが,単位塑性変形領域当たりの総塑性変形エネルギーで整理した場合,投射材粒径の小寸法化に伴い増加する傾向を示した.以上の結果は,微粒子を用いたピーニングが被処理材表面の微視組織変化に有効であることを示唆するものである.なお,実験結果から得られた総塑性変形エネルギーと解析値はほぼ一致したことから,粒子飛翔速度を用いた本シミュレーションによって粒子衝突現象を再現することが可能であると考えられる.
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