砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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66 巻, 12 号
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  • 寒川 哲夫, 下元 一輝, 原 宣宏
    2022 年 66 巻 12 号 p. 698-705
    発行日: 2022/12/01
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    ミルタ-ン加工は高能率な加工が可能であるが,不均一な切削痕が創成されることが問題視され,粗加工にしか使用されていない.一方で,生産現場では仕上げ加工の高能率化が求められていることから,ミルタ-ン加工の仕上げ加工への適用に向けた研究が活発化している.ミルタ-ン加工を仕上げ加工に適用するには,加工精度の向上だけでなく,加工面における審美性の向上が必要不可欠と考えられる.そこで本研究では,ミルタ-ン加工で創成される切削痕が審美性に及ぼす影響を分析し,ミルタ-ン加工の仕上げ加工への適用可能性を検討した.加工面の輝度や反射像の鮮鋭性を評価することで,切削痕の形状や連なり方が審美性に影響することを明らかにした.切削痕の形状を制御することにより,ミルタ-ン加工を仕上げ加工に使用できる可能性があることを示した.

  • —研磨特性に及ぼす基板初期面性状とクーラントの影響—
    畝田 道雄, 澁谷 兼斗
    2022 年 66 巻 12 号 p. 706-711
    発行日: 2022/12/01
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    工業用ガラス基板の生産プロセスには,専用ク-ラントを用いたダイヤモンドシ-トによる固定砥粒研磨法が用いられている.この固定砥粒研磨法ではガラス基板の初期面性状やク-ラントが研磨特性,とくに研磨レ-トや表面粗さに影響を及ぼすことが経験的に知られているものの,それを体系的に評価した試みは十分ではない.したがって,本研究ではこれら2つのパラメ-タに着目し,両面同時研磨による検証を行った.とりわけ,基板の初期面性状を白色光の透過現象で,ク-ラントの特性については上定盤を外しての両面同時研磨において下定盤に形成される気泡の発現に起因する液膜の色合い(輝度値)によって評価した.その結果,基板の初期面性状が研磨レ-トに及ぼす影響は大きく,初期面が鏡面に近いほど研磨レ-トは小さいことを明らかにするとともに,初期面性状の程度を表すために定義した梨地面比と研磨レ-トには相関があることを確認した.さらには,下定盤に形成される液膜が白色に近づくク-ラントほど高い研磨レ-トを得ることが難しく,その白色はガラス基板の固定砥粒研磨に伴う気泡の発現による研磨界面へのク-ラントの浸入抑制とスラッジの排出性に関係すると考察した.

  • 池田 真遥, 古城 直道, 山口 智実, 廣岡 大祐, 角田 勝俊, 棚田 憲一
    2022 年 66 巻 12 号 p. 712-719
    発行日: 2022/12/01
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    単結晶シリコンの超仕上げにおいて,化学的作用をもつ硫酸バリウム(BaSO4)砥粒を含むメカノケミカル超砥粒砥石の開発によって従来のダイヤモンド砥石よりも仕上げ性能の向上,高寿命化が実現された.本報では,メカノケミカル超砥粒砥石において,砥石表面のBaSO4砥粒の割合と超仕上げ性能との関係を調査した.その結果,目直し後に対して超仕上げ中に砥石作業面内のBaSO4砥粒がある程度維持され,作業面以外の砥石表面のBaSO4砥粒が次第に破砕すると,高い結晶性が保持された良好な仕上げ面が得られる.一方で,BaSO4砥粒の割合が大きく減少すると,機械的除去作用が主体となるため仕上げ面粗さが悪化し,結晶性が低くなることがわかった.

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