砥粒加工学会誌
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61 巻, 3 号
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  • イスラエル マルチネス, 田中 隆太郎, 山根 八洲男, 山田 啓司, 關谷 克彦, 古屋 諭, 石原 忠弥
    2017 年61 巻3 号 p. 139-144
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,フェライト系,フェライト・パーライト系およびパーライト系球状黒鉛鋳鉄をTiNコーテッド超硬工具で旋削し,切削抵抗,切削温度および工具摩耗から被削性を調査した.その結果,切削抵抗および切削温度は,フェライト率が50%程度以上の鋳鉄では,ほぼ同程度の値を示したのに対し,パーライト主体の鋳鉄は前者に比べ明らかに大きな値を示した.また,引張強度と切削温度との関係では500MPa以下(フェライト率が50%程度以上の鋳鉄)ではほぼ同じ温度になったのに対し,520MPa以上(パーライト主体)では急激に温度が高くなった.工具摩耗については,フェライト率が50%程度以上では引張強度が高いほど大きい摩耗を示した.またパーライト主体の鋳鉄はフェライトを含む場合に比べ摩耗が非常に大きく発達した.また,いずれの被削材でも逃げ面摩耗部全体で明瞭な擦過痕が確認できず凝着に覆われていた.また,実験結果と各鋳鉄のレーダーチャートによる被削性評価値を比較したところ高い相関が得られた.上記の結果から,引張強度が同程度(本研究では500MPa)であっても,フェライトを50%程度含む場合は,パーライト主体と比べ工具摩耗から見た被削性は非常に優れていることがわかった.
  • 齋藤 周也, 武末 翔吾, 小茂鳥 潤, 深沢 剣吾, 三阪 佳孝
    2017 年61 巻3 号 p. 145-150
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    耐摩耗性や耐酸化性を改善することを最終目標として,AIH-FPP処理システムを用いてチタン合金表面にTi-Al金属間化合物被膜を創成することを試みた.具体的には,メカニカルミリングによりさまざまな成分を有する粉末を作製し,それを用いて処理を施すことにより,均質な金属間化合物被膜を創成するプロセスについて検討した.投射粒子には(i)Ti粒子とAl粒子を混合した粒子,(ii)Ti粒子,Al粒子とFe粒子を混合した粒子,(iii)Ti粒子とAl粒子を混合した粒子にNi基合金粒子を加えた粒子の3種類を準備した.本研究では,処理温度を1000℃,粒子供給量を0.1 g/sとし,粒子を10秒間投射することで,投射粒子成分が被膜の形成に及ぼす影響を検討した.その結果,AIH-FPP処理を用いて空隙の少ない被膜を形成させるためには処理時に被処理面が一度,半溶融状態となる必要があることが明らかとなった.また,その手法としてTiやAlに加え第三の元素を添加することで燃焼合成反応を利用し,被処理面を高温保持することが有効であることが明らかとなった.
  • 研削加工で形成したガラス穴の測定と解析
    小川 昭, 高橋 武則, 樋口 英一
    2017 年61 巻3 号 p. 151-153
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    微小穴の内側は測定子が入らないため接触式測定機で測定することは不可能である.対象を切断して穴内部を露出させ測定することは可能であるが,破壊測定であり切断に要するコストと時間が多大なため実施は困難である.本研究の目的は,穴内側形状を外側形状に変換したレプリカを作成し,これを非接触式測定機で測定,解析することで間接的に穴形状を解析するレプリカ法の有用性の確認である.超音波援用研削加工でガラス板に微小穴をあけ,この穴のレプリカを作成し,このレプリカを非接触測定機で測定し,得られたデータを解析した.レプリカの直径,真円度,断面曲線さらにはその周波数スペクトルを基にしてうねり曲線と粗さ曲線を統計的に解析した.一連の解析から穴形状に関連する有益な情報を得たことでレプリカ法の有用性を確認した.
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