高い平坦度と表面粗さが要求されるシリコンウエハの仕上げ加工において,化学機械研磨(CMP)は不可欠な工程であり,広く活用されている加工方法である.しかしながら,スラリ-による化学的な弱体化および除去作用と砥粒による機械的除去作用からなる除去プロセスの詳細は依然解明されていない.そこで本研究では古典分子動力学を用いて,CMPにおける化学的・機械的作用をシミュレ-ションする方法を提案する.提案方法では,ウエハ表面から加工対象であるシリコン原子までの距離に応じてポテンシャルパラメ-タを制御し,原子間の結合力を弱体化させることでアルカリ性スラリ-によるウエハの軟化を表現する.本論文では,5種類の弱体化条件でシミュレ-ションを行い,弱体化を行わない場合のシミュレ-ション結果と比較し,ポテンシャルパラメ-タを制御することで弱体化の程度とそれに伴う研削抵抗,二分力比をコントロ-ルすることに成功し,基本となるモデルが構築された.