砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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56 巻, 12 号
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  • 田中 隆太郎, 西本 秀人, 田中 大輔, 古本 達明, 細川 晃, 上田 隆司
    2012 年56 巻12 号 p. 819-823
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/06/03
    ジャーナル フリー
    本研究では,焼結鋼の旋削加工における工具刃先逃げ面温度と仕上げ面粗さの関係を調査した.焼結鋼と比較材料である炭素鋼を乾式と湿式条件下で加工を行い,CBN工具とセラミック工具の工具刃先逃げ面温度を光ファイバ型2色温度計で測定した.乾式切削でのCBN工具の工具刃先逃げ面温度は炭素鋼より硬度が低い焼結鋼で50-120℃程度高くなった.また,熱伝導率が高い工具や水溶性クーラントを用いると工具逃げ面刃先温度の上昇を抑制できた.クーラントによる工具刃先逃げ面温度の抑制効果は,熱伝導率が大きい工具ほど顕著である.工具の種類によらず工具刃先逃げ面温度が上昇すると粗さが減少した.また,工具刃先逃げ面温度が同等であれば,乾式より湿式で切削した方が良好な仕上げ面が得られた.
  • 児玉 紘幸, 廣垣 俊樹, 青山 栄一, 小川 圭二
    2012 年56 巻12 号 p. 824-829
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/06/03
    ジャーナル フリー
    本研究では,工具カタログデータに,階層・非階層型のクラスタリング手法を適用した切削条件決定支援システムを提案している.提案する手法では,工具カタログに記載されている工具形状を表すパラメータから,知識発見手法であるデータマイニングプロセスの中で,工具メーカが推奨する切削条件と線形関係にあるパラメータを効率的に抽出し,重回帰分析により切削条件決定行列式を導出する.本報告では,切削条件決定式により導出された切削条件の妥当性を検証するため,金型鋼を対象に切削実験を行い,切削後の切りくず形状および切れ刃形状,表面粗さにより評価した.
  • 坂口 彰浩, 川下 智幸, 松尾 修二
    2012 年56 巻12 号 p. 830-834
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/06/03
    ジャーナル フリー
    研削加工は,砥石表面に固着されている微小な砥粒が加工物を微小量ずつ削り取っていくため,加工精度や表面粗さに優れた加工法である.その加工物の表面には砥石作業面の砥粒の分布が転写されるため,研削に関与する砥粒切れ刃の形状や分布がその精度に大きな影響を与える.しかしながら,これまで砥石作業面のさまざまな状態を定量的に評価する実用的な手法が確立されていないのが現状である.そこで,本研究では画像処理とサーボ制御を用いた砥石作業面の砥粒切れ刃の状態を解析するシステムについて報告する.本システムでは,サーボ制御を用いることで砥石作業面の全領域を全自動で計測でき,さらに,得られる画像データに画像処理を施すことで,砥粒切れ刃の面積や突出し量などさまざまな状態を定量的に評価できるようになった.
  • 五十嵐 恵介, 柿沼 康弘
    2012 年56 巻12 号 p. 835-840
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/06/03
    ジャーナル フリー
    低弾性樹脂材は高い耐傷性を持ち製品のコーティング材として用いられている.一方で,その独特の特性により,コーティング表面品位を高めるための精密な研磨加工が難しい.そのため現在は,熟練の技術者により手作業で研磨加工が行われている.熟練者は,経験的に材料の特性や製品の形状に合わせて研磨圧を調節することで低弾性樹脂の研磨を実現している.このような観点から,コーティング材の仕上げ工程を自動化するためには,高精度かつ高応答な力制御技術が必要となる.一般的に力制御は力センサを用いて行われる.しかし外部センサの導入は,コストの増大,機械剛性の低下,温度ドリフトなどの問題を抱えている.そこで本研究では,外部センサを用いることなく研磨圧制御する手法を開発し,これを適用した研磨装置により低弾性樹脂材のバフ研磨特性を解析する.特性解析の結果,用いたアクリルウレタン系樹脂は,3KPa付近に研磨圧を設定することで,効率よく高い表面品位が得られることが明らかになった.
  • 川堰 宣隆, 杉森 博, 森田 昇, 薛 敏超, 関口 徹
    2012 年56 巻12 号 p. 841-846
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/06/03
    ジャーナル フリー
    本研究は,工具表面にマイクロ・ナノメートルオーダの微細なテクスチャを作製し,そこで発現する摩擦の低下の作用を応用することで,優れた加工性を持った切削工具を開発することを目的としている.テクスチャによる酸化の影響について検討するため,ガスを吹きかけながらの切削実験および雰囲気を変化させた状態でのボールオンディスク型摩擦摩耗試験を行った.アルミニウム合金の旋削加工実験を行った結果,空気および酸素を吹きかけた場合にテクスチャによる効果が強く表れた.一方,アルゴン中で,その効果は小さい.摩擦摩耗試験を行った結果,雰囲気に酸素が存在する場合に摩擦が小さくなることがわかった.また切削実験と同様に,空気中,酸素中で,テクスチャによる摩擦の減少が見られた.以上の結果より,テクスチャによって摩擦が減少する要因の一つとして,酸化の作用が存在することがわかった.
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