砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
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53 巻, 12 号
DEC.
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  • 長谷川 勇治, 伊藤 伸英, 大森  整, 加藤 照子, 松澤 隆, 根本 昭彦
    2009 年53 巻12 号 p. 735-740
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    環境調和型ELID研削加工技術の構築を目指して,植物を原料とするカーボンを用いたELID研削用導電性カーボンボンドダイヤモンドホイールの試作を行った.カーボンホイールに電解ドレッシングを施すと,ホイール表面に研削液成分の酸化物による不導体被膜が形成された.その被膜は摩擦係数が高く,とくにアシカーボンホイールの被膜はホテイアオイカーボンホイールの被膜と比べて耐摩耗性がよいことがわかった.植物カーボンを評価することを目的として#1200砥粒を用いたアシカーボンレジンボンドダイヤモンドホイールを製作し加工特性について調査を行った.植物カーボンホイールとELID研削を組み合わせることにより,単結晶シリコンに対し加工面粗さRa:5.2nmを達成した.
  • 亀山 雄高, 水谷 正義, 成瀬 哲也, 狛 豊, 佐々木 慶子, 大森 整, 澤田 浩之, 松木 則夫
    2009 年53 巻12 号 p. 741-744
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    団塊の世代の熟練技能者が大量に退職を迎えている今日,加工に関する技能の継承が産業界における関心事となっている.このような状況を鑑み,加工に関する技能の継承を支援するためのツールである「加工テンプレート」を開発した.加工テンプレートは,ノウハウを要する作業の手順と方法をフローチャートや画像などを適宜組み合わせて記録し,それらを鳥瞰的・視覚的に表現可能な特徴を有している.特殊形状品の加工に関するノウハウとして,治具の活用方法などに着目して加工テンプレートへの記録を行い,技能の可視化を図った.このようにして構築した加工テンプレートを,中小企業において試用評価に供したところ,経験の浅い作業者でも加工テンプレートを閲覧することにより,熟練者と同レベルの加工を行える可能性が見出された.
  • —第2報 断続的な除去加工に関する実験的考察および多刃工具の提案—
    今井 健一郎, 橋本 洋
    2009 年53 巻12 号 p. 745-750
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    第1報では,延性モード研削加工における砥粒1個当たりの抵抗,比研削エネルギ,平均切りくず厚さを明らかにした.そして,加工能率の向上のためには,工具-工作物間の断続的な接触をうながす背分力方向振動の援用が有効との考えにいたる経緯を述べた.本稿では,背分力方向振動を援用した単結晶シリコンの延性モード研削加工を行い,振動を援用しない場合との比較で,研削抵抗が安定し,約3倍の切込みで延性モード面を得た.さらに,背分力振動援用時の切れ刃単体の材料除去過程をフライカット加工実験で確かめ,連続切れ刃による材料除去過程の簡易なモデル化を行った.その結果,切れ刃間隔が均一な多刃工具を用いることで,切れ刃単体の材料除去量を抑え,断続的な除去機構を実現する効果的な延性モード加工が可能になることを示唆した.
  • 清水 淳, 周 立波, 山本 武幸
    2009 年53 巻12 号 p. 751-755
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,磁気ディスク基板の仕上げ研磨や半導体基板のCMPに代表されるような,原子レベルの材料除去を伴う砥粒加工において重要となる,摩擦・摩耗現象を明らかにすることを目的としている.ここでは,完全剛体ダイヤモンドの極微小砥粒に3次元ばねを連結して把持剛性を考慮した分子動力学モデルにより,銅単結晶の完全表面を加工する場合について,上すべりから原子除去に至る遷移領域における現象を解析した.押込み深さを変化させた一連のシミュレーションの結果,上すべり過程では,工作物表面の原子配列の周期に対応した2次元ないし1次元のスティックスリップ現象が生じるのに対し,垂直荷重の増加により原子除去を伴うようになると,2次元スティックスリップ現象の周期および振幅がばらつくことなど,原子スケール特有の現象が生じることを明らかにした.
  • 松浦 寛, 児玉 壮平, 國枝 康博, 吉原 信人, 田辺 実, 閻 紀旺, 厨川 常元
    2009 年53 巻12 号 p. 756-761
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2010/07/09
    ジャーナル フリー
    直径数ミリ以下の小径ダイヤモンド砥石の問題点は,砥石周速度が遅く,砥石作業表面に存在するダイヤモンド砥粒(切れ刃)の絶対数が少ないため,研削理論からも推測できるように,研削表面粗さを向上させることが難しいことである.そこで,切れ刃の減少を抑える方法として,加熱しても化学反応を起こすことなく軟化し,冷却することで再び固化する性質を持った熱可塑性レジンをボンド剤として使い,研削中の熱を利用して,脱落する砥粒を埋め戻すことを考えた.本稿では,開発した熱可塑性レジンボンド砥石と通常使われている熱硬化性レジンボンド砥石を同一条件で超硬を研削して,性能の比較をおこなった.その結果,新型砥石で研削すると,研削初期において,算術平均表面粗さは,通常砥石の51 %に減少し,砥石摩耗量は,通常砥石の57 %になった.
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