磁気研磨法は磁場の特性を生かし,磁場から受ける磁気力を加工力として研磨を行う方法である.従来のフライス系の装置を用いた平面磁気研磨では,回転磁極は工作物平面に対して垂直に配置している.この場合,供給した磁性研磨材に撹拌作用が得られず目づまりを起こすことや,砥粒を効果的に活用できないことから,長時間安定した研磨性能を維持できない問題があった.そこで,本研究では,撹拌作用を得る方法として回転磁極の軸傾斜に注目し,軸傾斜が研磨特性に及ぼす影響について検討した.その結果,軸傾斜を与えることにより,長時間安定した研磨性能を得られることを明らかにした.さらに,軸傾斜を一方向に固定せず,工作物の送り方向に応じて軸傾斜の方向を変えた研磨方法を検討し,軸傾斜を与えない場合の研磨では得られなかった底部が平坦な断面形状が得られることを示し,単純な研磨パスの設定により広範囲の研磨が可能になることを明らかにしたので報告する.
本論文では,ガラス微小穴内部の縦軸方向の形状測定について,内部形状を転写したレプリカを間接測定する方法と,ガラス穴を切断しその断面を露出させてガラスを直接測定する方法との比較を述べる.断面周方向の形状測定は第1報で報告している.実験は,まず初めに厚さ4 mmのガラス板に超音波援用研削穴加工で直径1 mmの通り穴をあけた.次にこのガラス穴のレプリカを作成し,その外側形状を縦軸方向に沿って2種類のレ-ザ顕微鏡で測定した.その後,このガラス穴を縦軸方向に切断し,穴底部を接触式測定機およびレ-ザ顕微鏡で測定した.2種類の測定法を2種類の測定機で実行し4通りの形状デ-タ得た.これを解析し,レプリカの転写率を計算して第1報の結果と比較、考察した.その結果,レプリカ法は微小ガラス穴内部の縦軸方向の測定に有用であるとの結論を得た.