研磨方向に対し直角方向に砥石を超音波振動させる超音波振動固定砥粒研磨法における研磨機構および工業的有効性について調べた.はじめに,この研磨法による低速研磨における砥粒の挙動に基づいて,研磨特性や工業的有効性を解析した.次に,振動数20kHz,最大振幅15μmで超音波振動するダイヤモンドおよびcBN砥粒電着角型砥石を製作し,高速度工具鋼に対して研磨実験を行った.その結果,加工量,切りくず性状,研磨面の特徴などを明らかにすることができた.
研削加工では,無数の砥粒が高速微小切削を繰り返すことにより,良好な研削仕上げ面が創成される.しかし,砥粒の形状や配列といった砥石の作業面状態が,直接研削仕上げ面に転写されるわけではなく,砥粒や工作物の弾塑性挙動の要因が研削仕上げ面の創成に影響を及ぼす.本研究では,砥粒および工作物の弾塑性挙動を考慮し,研削仕上げ面を予測することのできる仕上面創成シミュレ-タを試作した.そして,実測した砥石表面結果を用いて,研削仕上げ面粗さを正確に予測することができるか検討を行った.実験は,算出した砥粒支持剛性と砥粒先端半径,単位面積当たりの法線抵抗を用いて,研削加工後の砥石表面を測定した結果を使用してシミュレ-ションを行った.そして,平面プランジ研削中における研削パス回数の違いや,異なるドレッシングリ-ドを施した砥石による研削仕上げ面粗さにおいて,実研削とシミュレ-ション結果を比較したところ,実研削結果とシミュレ-ション結果が一致したことから,試作したシミュレ-タにより,研削仕上げ面粗さを正確に予測できることを明らかにした.